【見本あり】介護職の職務経歴書の書き方とは?ポイントや困ったときの対処法も紹介
■執筆者
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介護業界の転職活動では、必ず職務経歴書の提出が必要になるわけではありませんが、提出を求められた際には自分の職歴や業務内容を分かりやすく簡潔にまとめる必要があります。
また提出が特別求められない場合でも、職務経歴書を用意しておくと、採用担当者とのコミュニケーションが円滑に進み、相互理解がしやすくなり、転職活動のしやすさに繋がるでしょう。
初めて職務経歴書を作成する人は不安に思うかもしれませんが、書くべきことはある程度決まっているので、コツさえ押さえれば比較的簡単に書くことができます。経歴を振り返ることは、自己分析にも繋がり将来の働き方を考えるきっかけや転職活動の面接対策にもなります。
今回は、職務経歴書のポイントや書き方、困ったときの対処法を、サンプルを示しながら紹介します。これを機に、これまでの職務をしっかりまとめご自身のキャリアと向き合ってみてはいかがでしょうか。
そもそも、職務経歴書とは?
職務経歴書とは、上のサンプルのように、求職者のこれまでの経歴や職務を一覧できるように記載した書類のことです。採用担当者は職務経歴書の内容で、求職者の経験レベルや能力を判断するのです。
職務経歴書にはこの形式でなくてはならない、という決まりはありません。しかし、だからといって、伝えたい内容を思いつくままに並べればよいというものでもありません。多くの応募書類を見る採用担当者にとっては、論理的な構成で簡潔に書かれた職務経歴書が好印象です。
また入職後にこんなはずではなかったと、求職者も採用側もミスマッチを起こさないように、具体的にわかりやすくまとめることで、お互いの理解のすり合わせがしやすくなるでしょう。採用試験を受けている業種や職種や業務内容に活かせる経験やスキルを優先的に記載すると、よりわかりやすくなるでしょう。
■履歴書との違いは?
履歴書では、職歴としてどこで何年間働いたということや保有資格はわかりますが、具体的にどのような職場で、どのような業務内容をしていたのかまではわかりません。
またその業務がどの程度のレベルなのかやその成果なども履歴書からは読み取れないでしょう。
いわば、履歴書は求職者のプロフィール・自己紹介で、職務経歴書はいままでの業務経験やスキルを確認するための書類と捉えるといいでしょう。
職務経歴書の主な書式
職務経歴書の書式には、主に編年体式、キャリア式の2種があります。
■編年体式
職務経歴を時系列に記入します。直近の経歴を強調したいときは、時系列を逆に記入する方法もあります。これを逆編年体式といいます。
■キャリア式
業務や職種ごとにまとめるのがキャリア式です。勤務先の名称や規模、職員数、勤務期間などを正確に記入します。業務内容はわかりやすく箇条書きで書くのがポイントです。配属先、配属期間、実際の業務内容をまとめ、自分は何ができるのかをアピールします。複数の業種で職務経験を積んだ人にはアピールしやすい書式です。
それぞれの特徴を理解して、自分に合った書式で作成しましょう。より一般的なのは、サンプルのような編年体式(時系列)の職務経歴書です。
職務経歴書作成のポイント
では、採用担当者から見てわかりやすく好印象な職務経歴書を作成するためには、どんなことに気をつければよいのでしょうか。介護職に転職する場合の職務経歴書作成のポイントを紹介します。
■A4判の用紙2枚以内におさめるのが基本
職務経歴書は、A4の用紙1枚か、職歴が長くても2枚におさまるようにまとめましょう。3枚以上になると余計な情報が増えて読みにくくなり、採用担当者に負担がかかります。また、要点をまとめる能力に欠けると見られ、採用で不利になる可能性もあります。必要な情報のみに絞って書くことが大切です。
■PCで作成したほうが便利
応募先の事業所から特に指定がなければ、職務経歴書は手書きでもパソコン入力でも、どちらでもかまいません。ただ、パソコンで作成しておくと、加筆や修正がしやすく、後から何度でもプリントできて便利です。近年は、介護職でも介護記録や報告書の作成にパソコンを使うことがあるため、パソコンの操作スキルのアピールにもなります。
■応募先に合わせた内容にアレンジする
職務経歴書は、ただ職務を事実通りに並べる書類ではなく、自分のスキルをアピールして採用につなげるための書類です。一度パソコンで作っておけば使い回しできますが、その場合は応募する事業所に合わせて内容をアレンジすることが大切です。
たとえば同じサービス形態の介護事業所でも、チームの一員としての介護職を求めているのか、チームリーダーを求めているのかでは、アピールすべき内容が変わってきます。事業所案内や募集要項をしっかり読み込み、応募先の事業所がどのような状況でどのような人材を求めているかを想像して、よりマッチする内容にしましょう。
■資格や免許の情報は正確に書く
資格の名称は省略せず、正式名称で書きましょう。法律の改正で名称が変わっているものは、取得時の名称を書くようにします。取得見込みや勉強中のものがあれば、それらも記入します。資格があることで採用時に有利になるうえ、入職後に資格手当が支払われることもあります。
■業務内容を具体的に記述する
採用担当者は、応募者がこれまでどのような環境でどのような仕事に従事し、どのような成果をあげたのかを詳細に知るために職務経歴書を見ます。担当者の頭のなかにイメージが浮かぶように、できる限り具体的な情報を書くことが大切です。
以前も介護事業所に勤務していた場合は、その事業所の利用者数や従業員数、利用者の要介護度、イベントの企画を担当した回数などの数字を盛り込むと、担当者が応募者の経験や能力レベルを判断しやすくなります。
■人柄・コミュニケーション能力をアピールする
介護職は、現場で高齢者を直接ケアする仕事であり、医療や福祉のさまざまな専門職とチームになってケアにあたります。利用者とのコミュニケーションはもちろん、スタッフ間の円滑な意思疎通や情報共有も大切です。
そのため採用では、実務経験やスキル以上に、人柄やコミュニケーション能力が重視される傾向があります。これまでの経歴のなかで、顧客や利用者に喜ばれたエピソードやコミュニケーションの取り方で工夫した経験があれば、実績欄や自己PR欄などに記載しましょう。
たとえば入所当初は無口で他の人ともコミュニケーションを取りたがらなかった利用者が少しずつ会話を楽しむようになった、家族から利用者が活き活きしているので安心していると声をかけられたといったエピソードは、ひとつの成果といえます。介護業界が未経験の人は、前職での経験をコミュニケーションの向上という切り口で整理して書くこともできます。
■大変だった経験は前向きに表現する
退職理由などでこれまでに経験した業務で苦労したことや大変だった経験に触れる場合は、単なる前職の悪口と受け取られないように、表現に注意しましょう。たとえば、自分が困難をどう乗り越えたか、その経験がどのように次のステップへの動機につながったのかを述べて、自分のやる気や人柄をアピールする方向につなげるとよいでしょう。
職務経歴書の書き方(編年体式の場合)
ここからは、最も一般的な編年体式の職務経歴書の書き方を、項目別に詳しく見ていきましょう。
■タイトル・日付・氏名
タイトルは「職務経歴書」とし、記載した年月日と氏名を記入します。西暦、元号のどちらでもOKですが、職務経歴書内ではどちらかに統一しましょう。
氏名は必ず戸籍に登録されている名前を書きます。旧漢字で登録されている場合は登録されているまま旧漢字で氏名を書くのが基本です。また、仕事では旧姓を使いたい場合は、履歴書や職務経歴書には戸籍に登録されている名前を書いて、面接の際に担当者に希望を伝えるか、履歴書の備考欄に書いておきましょう。
■経歴概略
最初に、これまでの経歴を短く略して記します。採用担当者がこの部分を読むだけであなたの大まかな経歴とスキルを把握できるよう、4~5行ほどでわかりやすく簡潔にまとめましょう。
■職務経歴欄
サンプルのように、最初に勤務した会社から順に、項目ごとに詳しく書いていきます。
■在籍期間
その法人・事業所に在籍していた期間を記入します。
■勤務先の法人名
勤務していた法人(企業)名を書きます。
■業種
介護業界以外に勤務していた場合は、その法人の事業内容を書きます。介護業界の場合は、事業所名で介護事業所と一目でわかることがほとんどなので、特に加えなくてもかまいません。
■所属
介護職として勤務していた場合は、事業所名と利用者数、従業員数も付記しましょう。
■雇用形態
正社員、契約社員、パート、アルバイトといった雇用形態を書きます。
■職種・役職
介護職、ケアマネジャーといった職種名を記入します。
■業務内容
従事していた業務の内容を箇条書きで書きます。
■実績(学んだこと)
在籍期間中に「社内で表彰を受けた」、「担当したレクリエーションの参加率が◯割に上がった」「プロジェクトリーダーとして業務改善を成功させた」といった実績があれば記載します。キャリアが浅く実績と呼べるほどの成果がなければ、業務を通して学んだことや成長した部分について書くのもよいでしょう。
■保有資格欄
介護関連の資格や免許がある場合は、正式名称と取得時期を記入します。介護以外の資格でも、入職後に役立ちそうなものは記入しましょう。たとえば通所介護施設(デイサービス)では、利用者を車で送迎するので、普通自動車免許の有無が採用に影響する可能性があります。
■自己PR欄
これまでの経験を振り返り、自分の強みをアピールします。
そのアピールポイントから、自分がどのように転職先でも貢献できるのかを伝えるようにしましょう。またスペースがあれば少し長めでもかまいませんが、7~8行程度にまとめるとよいでしょう。
自己PRでは、経験やスキルはもちろん、人柄や意欲もアピールできます。職務経歴欄に書けなかったアピール要素があれば、自己PRに盛り込みましょう。
自己PRでは、どの事業所でも通用するような有能さや人柄の良さに加えて、特に応募先の事業所にマッチした人材だというアピールができると理想的です。たとえば募集要項に「明るく前向きな人柄の方を歓迎します」という言葉があれば、明るく前向きな人柄であることを示すエピソード(経験談)を盛り込むのもよいでしょう。
こんなときどうする?
職務経歴書を書いていくなかで、どう書けばよいのかわからない状況になることもあるでしょう。よくある困った事例とその対処法をまとめました。
■履歴書と同じような内容になる
履歴書では表現できない詳しい業務内容を書くのが職務経歴書です。どのような業務を経験したのかを具体的に伝え、その経験を通して何を学び、何ができるようになったのかをしっかり明記しましょう。
市販の職務経歴書用紙は履歴書と同じような項目で構成されているものがほとんどなので、履歴書と似た内容になりがちです。パソコンで自作して、「実績」「業務を通して学んだこと」といった履歴書にはない項目を立てると、自然に履歴書との違いが明確になります。
■業務内容が多岐にわたる
業務内容が多岐にわたり簡潔に書ききれない場合は、すべてを記入するのではなく、応募する職種に関連するものや重要度の高い業務を中心に書きます。そうすることで読みやすくなり、印象にも残りやすくなります。
■転職回数が多い
日本では転職回数が多いと、採用担当者に「一つの業務での習熟度が足りない」「採用してもすぐ辞めるのではないか」などのマイナスのイメージを持たれがちです。そのことを理解したうえで、マイナスイメージを払拭する内容にする必要があります。
1か月~2か月程度のごく短期のアルバイトやパート経験は省いてもかまいませんが、正社員としての職歴は漏らさず全て記載するのが基本です。職歴の全てを同じボリュームで羅列するのではなく、応募する職種と関連のある職歴をより詳しく書くようにしましょう。
職歴欄に退職理由を付記することも大切です。退職理由が何も書かれていないと、意味もなく転職を重ねているように見えるためです。倒産などの雇用側の都合によるケース以外は、キャリアアップやキャリアチェンジのために前向きに退職したことを伝えましょう。さらに自己PR欄では、幅広い職場や業務を経験してきたことを強みとしてアピールするとよいでしょう。
職務経歴書の書式で見せ方を工夫するのも一つの方法です。一般的な編年体式は、時系列で経験してきたことは明白に伝わりますが、転職回数の多さが目立ちます。一方のキャリア式は、時系列で経験したことを把握しにくくなる代わりに、どのような経験を積み、何を身につけてきたのかが強調できます。転職回数の多い人は、キャリア式を利用すると、転職回数の多さよりも経験の豊富さ、身につけたスキルの多さに注目を集めることができます。
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■ブランクがある
職歴に3か月以上のブランクがあるにもかかわらず説明が全くないと、何をしていたのかと気になる採用担当者もいるでしょう。採用担当者に不安感を抱かせないよう、ブランク期間に何をしていたのかを簡潔に書いておく必要があります。介護職への転職のためにスクールに通っていた場合は、そのことをちゃんと書いておけば、やる気があるとみなされ、プラス要素になります。
介護職の場合、ブランクの理由が出産や子育て、家族の介護であれば、転職のハードルはそれほど高くありません。ブランク中の経験を業務に活かせること、経験を通して介護職への意欲が高まったことを前向きにアピールすれば、好意的に受け止められるでしょう。病気やケガといった健康上の理由でのブランクの場合は、現在は回復していて勤務には支障がないことを明確に伝えるとよいでしょう。
■正社員の経験がない
正社員経験がなく、アルバイトの経験しかない場合は、アルバイト経験を職歴として書きます。アルバイトであっても、応募する職種に活かせる経験やスキルがあれば、十分にアピール要素になります。
なぜ正規で就職せずにアルバイトをしていたのかを気にする担当者もいるので、理由・目的についてもきちんと伝えましょう。「希望職種につくことを優先したら結果的にアルバイトになった」「新卒時に正社員としての就職ができなかったが、アルバイトで経験を積んできた」などと正直に説明すれば、理解してもらえるはずです。
専門家の見解:面接官は、介護職の職務経歴書をどう見る?
次に福祉・介護職の離職防止や人財確保などの活動に従事されている大庭先生にどのように職務経歴書を活用しているのかをお伺いしました。こちらの情報もぜひ、お役立てください。
■執筆者/専門家
皆さんは、職務経歴書を書いたことはありますか?
転職をする機会がないと、職務経歴書を書くことはないかもしれませんね。
ハローワークの求人票や、WEBでの職員募集サイトなどでは、応募書類として履歴書とともに「職務経歴書」があげられていることが多いと思います。
「職務経歴書」とは、その名の通り、自分自身の職務の経験の歴史を記すものです。採用担当者にとっては、履歴書とともに、重要視する書類の一つです。
■職務経歴書の提出を求められた場合は、どんな事情があっても必ず提出しましょう
私自身が経験したケースで、応募書類にて「職務経歴書」を求めたにも関わらず、持参をされない方がいらっしゃいました。
「忘れていた」「書き方がわからない」「書くべき経歴がない」などと理由はあるかもしれませんが、求められている場合は必ず提出をしましょう。それだけで、採用選考においては、大きなマイナス材料となります。
多くの求人企業は中途採用者に対しては、職務経歴書を求めていると思います。
■必要書類に職務経歴書が書いていなかった場合は?
「履歴書を持ってきて」とだけ言われた場合でも、職務経歴書は持参した方が良い
では、「応募書類に職務経歴書持参の記載がない場合」や「採用担当者に『履歴書を持ってきてください』とだけ言われた場合」はどうすればよいでしょうか。
私は、その場合でも職務経歴書は持参した方がよいと思います。
職務経歴書はあなたの武器になる
採用側から見れば、職務経歴書には採用担当者が知りたい情報が記載されていると同時に、求職者側から見れば「求職者が自分自身の経歴をアピールできる武器」になるからです。
「応募した法人に対して、自分自身はどのような貢献ができるか」が綴ってある職務経歴書は、採用するか否かにおいて、採用への後押しをしてくれる存在です。
これを出さない手はありません。ぜひとも、職務経歴書は提出してください。
■短期離職でも、職務経歴は全部書くべき?
職務経歴に自信がないときは、書き方に工夫を
「私は誇るべき職務経歴がない」「転職回数が多くて、かえってマイナス印象を与えるのでは」と心配な方もいると思います。
仮にそのような心配があっても、書き方に工夫をしてみてはいかがでしょうか。
介護以外の経験、管理職経験、PCスキルも書きましょう
介護と関係ない仕事をしてきた場合でも、接客・運転・営業などこれまでの仕事を通じて、何を学び、何を身に着けたか。そしてそれを、介護にどう活かすかは記せると思います。
「管理職の経験がある」「パソコンのスキルがある」なども、求人企業によっては、喜ばれるかもしれません。
正社員の経験だけ記載するのは可!空白期間について説明できるようにしましょう
転職が多い場合は「正職員」だけに絞るのは良いと思います。
その場合はアルバイトの期間などが空白の期間になるわけですが、事前にその理由を自分自身で整理をしておきましょう。
「この間は何をしていたのですか」と問われたときに、しっかりと答えることができればよいと思います。
職務経歴書を偽ると、後々トラブルになることも
正職員を短期間で退職したケースもあると思います。それも含め、職務経歴書は正しく書かなければいけません。
虚偽記載や故意の不記載は、のちにそれが発覚し、職場とのトラブルに発展しないとも限りません。取り返しのつかないことにならないように、職務経歴書は正直に書きましょう。
書き方次第で、武器にも足かせにもなるのが職務経歴書
記してきたように、職務経歴書は書き方いかんで、武器にも足かせにもなります。
読む方のことを意識して、丁寧にかつ分かりやすい表現を心がけ、「職務経歴書」を自分自身の最強の武器として、フル活用してください。
ご健闘をお祈り申し上げます。
まとめ:自分をアピールする職務経歴書を作ろう
職務経歴書はこれまでの経歴や業務内容、実績を具体的に伝え、自分が役立つ人材であることをアピールする書類です。職務経歴書の書き方のポイントをおさえて、採用担当者に「この人と働きたい」と思わせるような職務経歴書を作りましょう。
一度書いたら、具体的に書けているか、内容が独りよがりでないかに意識をしながら読み返してみましょう。心配な場合は、友人など第三者に添削してもらうと、客観的な意見がわかります。職務経歴書の準備ができたら、福祉・介護職専門の求人サイトマイナビ福祉・介護のシゴトに会員登録をして、興味のある求人に応募してみましょう。
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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