介護職の転職ではどんな準備が必要?転職活動の流れを徹底解説
介護職が活躍する施設や事業所にはさまざまな種類があり、経験を重ねてから転職するという人も少なくありません。しかし、キャリアはあっても、転職が初めての人にとっては、転職活動をどのように行えば良いのか不安に思うことも多いことでしょう。そこで今回は、介護職に転職するときの転職活動の流れを詳しく解説します。
介護職への転職を取り巻く現状とは?
介護職は慢性的に人材が不足していると言われていますが、その現状を厚生労働省が発表したデータで見ていきましょう。
◆有効求人倍率
全産業平均:1.5倍
介護職:3.5倍
介護職の有効求人倍率が全産業平均に比べ2以上となっています。
◆離職率
全産業:14.9%
介護職:16.2%
介護職の離職率が全産業での数値より高くなっていますが、ここ5年間はほぼ横ばいの状態です。
◆採用率
全産業:16.0%
介護職:17.8%
この数字は全産業がこの5年にほぼ変化がないのに対し、介護職では5年間に4%も低下しています。
また、2018年の「介護労働の現状」の調査では採用段階での人手不足感が強く、施設や事業所の88.5%が「採用が困難である」を人手不足感の理由に挙げていることから、介護職は人手が集まりにくいという現状であることがわかります。
国もこの状況を打破するため、さまざまな施策をとっています。例えば医療福祉分野の賃金水準を引き上げるために、厚生労働省は2009年から介護職員の処遇改善に取り組み、2017年度までの処遇改善加算額は月額平均5.7万円まで上昇。そして2018年度の介護職員の平均基本給は約18万円となっています。今後も消費税増税に伴うさらなる処遇改善が行われる予定で、さらに賃金水準は上がっていくことでしょう。
(出典:※1 厚生労働省「介護人材の処遇改善について」 ※2 厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況調査結果の概要」)
介護職の仕事内容を知ろう
介護職の仕事には、主に「身体介護」「生活援助」があります。
■身体介護とは
直接サービスを利用している人の身体に触れて行う介護で、入浴や食事、排泄などの介助が該当します。
特別養護老人ホームなどの入所系施設では、身体介護の割合が大きく生活援助は清掃スタッフなどの専門スタッフが行うことが多いでしょう。
■生活援助とは
掃除や料理、洗濯など、生活するうえで欠かせない支援で、在宅サービスでは利用者と一緒に行うこともあります。
ホームヘルパーなど訪問系サービスでは、利用者の心身状態によるものの生活援助の割合が大きくなります。身体介護は利用者の心身状況によって変わるでしょう。
このように、施設によって仕事内容に特徴があるので、転職を考えるときには、自分に合う施設を選ぶことが大切です。
介護職への転職で気になる雇用形態
介護職には、どのような雇用形態があるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。介護職は、正職員だけでなくパートや派遣など、働く人の環境や家庭事情などに合わせてさまざまな働き方ができるという特徴があります。
例えば、入所施設の場合にはシフト制で早出・日勤・遅出・夜勤というような勤務が組まれることが多いでしょう。正社員の場合には全シフトをこなす必要があるものの、パートや派遣であれば日勤のみや午前中のみという働き方も可能です。実際に、介護現場には多くのパートや派遣が活躍しています。
また、夜勤専門に働く夜勤専従という働き方もあります。夜勤専従の場合は、日をまたいで勤務することから月の出勤日数は少なくなるものの、パートや派遣として働いても給料は高くなる傾向にあります。施設によっては、正職員で夜勤専従を募集しているところもあります。
介護職への転職準備のポイント
介護職に転職するときには気をつけておきたいポイントが大きく分けて3つあります。そのポイントについて詳しく見ていきましょう。
■履歴書や職務経歴書の書き方
履歴書や職務経歴書は、採用担当者にあなたのことを知ってもらうための重要な資料です。履歴書では、自己PRでいかに自分の強みを伝えるかが重要です。自分を客観的にみつめたうえで、これまでの経験で得られた自分の強みをわかりやすくまとめるようにしましょう。
職務経歴書では、これまでの経歴や職務を具体的に書いたうえで、介護職で活かせる部分をアピールすることが大切です。介護職では人柄やコミュニケーション力が重視されることが多いため、これまでの仕事でチームワークを必要とした職務経験を重点的に書くと良いでしょう。
■介護職の求人の探し方
介護職はチームで仕事をすることが多い職種です。また、施設や事業所の種類によって仕事内容も大きく変わります。ですから、転職の際には施設選びが大変重要です。まずは、施設の特性を知ったうえでどのような施設で働きたいかを明確にしておきましょう。
職場の人間関係も仕事に大きく影響します。可能であれば、施設見学や体験をさせてもらい、実際の雰囲気を確認しておくと良いでしょう。求人の探し方は、公共職業安定所(ハローワーク)だけでなく、求人広告や人材紹介など、さまざまな求人方法を活用して自分に合う職場を見つけることが大切です。
■転職を成功に導く面接対策
転職が成功するかどうかは、面接をどう攻略するかにかかっています。面接では、基本マナーを押さえ、身だしなみを整え明るくハキハキとした印象を与えることが大切です。
また、面接でよく聞かれる質問については、事前に確認しておき、自分なりの答えをまとめておくと安心です。特に、転職理由は必ず聞かれます。事前にしっかりとまとめておき、面接官に自分の熱意や将来の目標が伝わるように工夫しましょう。
転職が決まったら? 退職の手続きの仕方
転職が決まったら、退職の手続きを進めましょう。介護や福祉業界は意外と狭いもので、以前一緒に働いていた人と同じ職場になるということも少なくありません。事業者間で情報交換が行われていることもないとは言えないため、後味の悪い辞め方はあなたの評判を落とす可能性もあります。これまであなたを成長させてくれた職場に感謝しつつ、今後も活躍できるよう円満退職することが大切です。
具体的な退職の流れは、次の通りです。
1. 退職の意思表示をする
退職の意思は直属の上司に伝えるのが原則です。また、退職日については就業規則で定められていることもあるため、事前に確認しておきましょう。一般的には30~60日が目安となります。
2. 退職願を提出する
退職する意思を伝えたら退職願を提出します。理由は「一身上の都合」が一般的です。
3. 業務の引継ぎを行う
退職後の職場に迷惑がかからないよう、業務の引継ぎは完璧に行いましょう。利用者さんや取引先などにも挨拶することも忘れてはいけません。
4. 保険証や備品の返却
保険証や制服などの備品は、返却方法が職場によって異なります。事前に確認し返却忘れのないようにしましょう。
5. 離職票などの必要書類の受理
年金手帳や離職票などの必要書類は、いつ頃受け取れるのか事前に確認しておくことも大切です。受理方法についても聞いておきましょう。
6. 退職
あなたを育ててくれた施設・事業所に感謝し、退職の日を迎えましょう。今後どこかでつながることがあるかもしれません。
介護への転職を成功させるには流れに沿うことが大切
介護職への転職が初めての人にとって、転職活動の流れを知ることは心強い味方になるでしょう。転職活動を成功させるためにも、まずは流れに沿って進めることが大切です。
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