ただし老健の場合、入所されている目的が特養とは大きく異なります。
目的が変わるということは、業務内容の意味も一つひとつ変わってくるということです。
特養の目的は、これまでの生活を継続すること
特養での業務支援は『それまでの生活の継続』を軸に計画が立てられ、支援が提供されます。
在宅生活で送ってきた、その人らしい生活を紐解き、生活の場所が『特養』という場所に代わっても、可能な限りこれまでの生活サイクルや習慣を大切に、お一人お一人の生活サイクルに合わせて支援が提供されていきます。
老健の目的は、在宅復帰(家に帰ること)
一方で老健という施設の場合には、『在宅復帰』が入所の目的となります。
入所期間も基本的には3か月以内で、その期間に集中的にリハビリテーションが実施されることとなり、在宅生活へ戻る前の準備をして行く施設となります。
■老健の役割とは?
入院してベッド生活が続くと、もとの生活に戻りにくくなる
認知症の状態や加齢に伴う心身機能の衰えによって、怪我や病気で入院をしてしまうことがありますよね。
病院に入院すると、入院期間の多くはベッド上での生活になります。
当然、その期間が長ければ長いほど下肢筋力(脚の筋肉等)の低下など身体的な機能は低下します。
治療が完了し退院したとしても、その低下したままの状態で在宅生活に戻るとどうなるでしょうか?
日常生活に戻るためのリハビリ等をするのが老健
入院前には行けたはずのトイレに一人で行くことが難しくなっていたり、ちょっとした段差でつまずきやすくなってしまったり、浴槽をまたげなかったりと、家で生活を送るには様々な弊害が生まれてしまいます。
以前の生活に戻るためには、衰えた心身機能をできるだけ元の状態まで戻すことが必要ですよね。
病院での治療は完了しているので、ベッド上で長期間療養を続ける理由もありません。
そこで入所するのが、医療的管理のもと提供されるリハビリテーションや介護の機能がある、老健ということになります。
たくさんの専門職と一緒にチームで働く
老健では常勤の医師が配置されており、看護職員や理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といったリハビリ専門職が、その方にとって必要な、「家に帰る」ためのリハビリを提供していきます。
介護職員もそのチームの一員となり、他の専門職が専門性を発揮できるように、目的や情報を共有しながら、退所までのご利用者の日常生活の支援を行います。
以上が老健での介護職員の業務内容です。
特養と老健では、施設としての機能が違うこと、業務内容が同様であってもその目的が変わってくるということは、ご理解いただけたでしょうか?
特養と老健、どんな人が向いている?
特養と老健では、業務内容に大きな差はないことをお伝えしましたが、では自分はどちらの施設形態があっているのか?一緒に考えていきましょう。
■特養に向いているのはこんな人
特養はご利用者と、とことん向き合える
老健では入所期間が3か月以内という『期限』があります。
チームとして一生懸命支援をして、無事元気になり、在宅で生活できるまでの機能が回復したご利用者は在宅へと帰っていきます。
そしてまた新しいご利用者が入所してきます。
そんな時に、『もっと関わりたかった』『もっとたくさんお話をしたかった』『もっとじっくり関係を築きたい』『最後まで関わりたい』という想いを抱く可能性があるのであれば、特養が向いているかもしれません。
老健はあくまで、在宅復帰をサポートするリハビリの機能を重視した施設です。
ご本人との人間関係が築けてきたころには退所してしまうという寂しさもあるかもしれません。
特養に向いている人の特徴は?
よって、特養に向いている人は、総合的な保健医療介護の知識や技術を得ながら、とことんご利用者のことを知り、関係を築きながら最後までその方と関わり続けたいと思うかた!
そして、お看取りという人生の総仕上げを経験された後に、深く悲しみながらも、感謝をもってその想いを他のご利用者に全力で活かせるかたです!
■老健に向いているのはこんな人
老健は、期限があるからこそ、集中してご利用者と向き合える
老健で働く場合、在宅復帰を目的としたチームの一員として、『終身ではない』その瞬間の関わるというところに力の見せ所があると思います。
日々の生活の中で心身機能の維持や向上を実感できることで、在宅復帰という目的が達成された際には、大きなやりがいや喜びを感じられます!
また、老健ではリハビリをはじめとした医療看護の専門職が特養に比べて多く配置されているので、専門職との連携の中で介護技術や医療的な知識も得ることができます。
老健に向いている人の特徴は?
よって、老健に向いている人は
技術や知識を総合的に学び、入所者の在宅復帰という目標を支援できる喜びを感じれるかたです。
職業選択をされる際の参考になれば幸いです!!
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有限会社ケアステーション大空 代表取締役
一般社団法人日本介護協会 理事長