第35回介護福祉士国家試験 対策問題(総合問題)
■問題
次の事例を読んで答えなさい。
〔事 例〕
Dさん(70歳、男性)は、19歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し、入退院を繰り返しながら両親と一緒に生活してきた。両親が亡くなったことをきっかけとして不安に襲われ、妄想や幻聴の症状が強く現れるようになった。そのため、兄に付き添われて精神科病院を受診し、医療保護入院となった。
現在は、入院から3年が経過し、陽性症状はほとんどなく、病棟で日中はレクリエーションに参加するなど落ち着いて生活している。
Dさんは施設への入所が決まり、うれしそうに退院の準備をするようになった。ある夜、1人で荷物の整理をしていたときに転んでしまい、顔を強打して大きなあざができた。後遺症はないことがわかったが、Dさんは自信をなくし、介護福祉職に、「これでは施設も自分を受け入れてくれないだろう」と言い、「施設入所がうれしくて早く準備がしたかった」と話した。
そばに寄り添い、Dさんの話を聴き終えた介護福祉職が、「施設入所がうれしくて、早く準備をしたかったのですね」と言うと、Dさんは、「退院を諦めていたけど、自分にも暮らせる場所があると思った」とやりたいことや夢を語り出した。
介護福祉職が行ったコミュニケーション技術として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.あいづち
2.言い換え
3.要約
4.繰り返し
5.閉じられた質問
解答と解説
■解答
4.繰り返し
■解説
1.(×)あいづちは、相手の話に対して、うなずいたり、肯定的な声をかけたりして、調子を合わせることです。
2.(×)言い換えは、相手が話した内容を、別の言葉で言い直すことです。
3.(×)要約は、相手の話の内容や気持ちを整理して簡潔にまとめることです。
4.(○)繰り返しとは、相手の話した言葉の一部または全部をおうむ返しする技法です。重要だと思われる部分を繰り返すことで、共感や受容の態度を示すことができます。設問の事例では、Dさんの話した内容を復唱していることから、繰り返しのコミュニケーション技術を行ったと考えられます。
5.(×)質問法には、開かれた質問(open-question)と閉じられた質問(closed-question)があります。閉じられた質問は、「はい/いいえ」または「明確な1つの答え」で簡潔に答えることができる質問方法を指します。
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