第35回介護福祉士国家試験 対策問題(総合問題)
■問題
次の事例を読んで答えなさい。
〔事 例〕
Eさん(35歳、男性)は、1年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と診断された。当初の症状としては、ろれつが回らず、食べ物の飲み込みが悪くなり、体重の減少がみられた。
その後、Eさんの症状は進行し、同居している両親から介護を受けて生活をしていたが、両親の介護負担が大きくなったため、障害福祉サービスを利用することになった。障害支援区分の認定を受けたところ、障害支援区分3になった。Eさんは訪問介護員(ホームヘルパー)から食事や入浴の介護を受けて自宅で生活をしている。
ある日、Eさんの自宅を訪問した訪問介護員は、Eさんの両親から、「これまでEは話をするのが難しく、筆談で意思を聞いてきたが、ペンを持つのが難しくなってきた」と聞いた。確かにEさんは、発話や字を書くことは困難な様子だが、目はよく動いている。
次のうち、今後、Eさんが家族とコミュニケーションをとるときに使うことのできる道具として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.ホワイトボード
2.絵や写真
3.透明文字盤
4.拡声器
5.補聴器
解答と解説
■解答
3.透明文字盤
■解説
1.(×)「ペンを持つのが難しくなってきた」という情報から、ホワイトボードを利用した筆談は困難であると考えられます。
2.(×)絵や写真を用いたコミュニケーションも可能ではありますが、意思伝達の内容が狭い範囲に限定されてしまいます。Eさんは発語が困難なだけで、自分の意思を言語化することはできるため、最適な方法とはいえません。
3.(○)透明文字盤は、五十音表や「はい/いいえ」が書かれた透明な板で、目の動きやまばたきにより文字を示すことで意思表示が可能となる支援機器です。筋萎縮性側索硬化症(ALS)で目の機能は障害されないため、Eさんのコミュニケーションを支援する道具として適しています。
4.(×)拡声器は声を大きくするための道具であり、発語が困難なEさんには向きません。
5.(×)補聴器は聴覚障害を有する人とのコミュニケーションに用いられますが、ALSで聴覚の異常は生じません。
ささえるラボ編集部です。
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