第35回介護福祉士国家試験 対策問題(総合問題)
■問題
次の事例を読んで答えなさい。
〔事 例〕
Fさん(50歳、女性、障害支援区分5)は、アテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺(のうせいまひ)(cerebral palsy)による四肢・体幹機能障害がある。居宅介護を利用し、入浴の支援を受けながら母親(79歳)と暮らしていた。Fさんは障害基礎年金1級を受給していて、Fさん名義の貯蓄がある。金銭管理は母親が行っていた。
Fさんは、3年前に誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)(aspiration pneumonia)で入院したことがある。言語障害があり、慣れた人でないと言葉が聞き取りにくい。自宅では車いすに乗り、足で床を蹴って移動し、屋外は母親が車いすを押していた。Fさんは自宅内の移動以外の日常生活については、母親から全面的に介護を受けて生活していた。
最近、日中活動の場と短期入所(ショートステイ)の利用について、市の障害福祉課に相談するようになった。
ところが、母親が持病の心疾患(heart disease)で亡くなり、市の障害福祉課がFさんと当面の生活について検討することになった。
Fさんは1人で生活することは難しいと思い、施設入所を希望している。
Fさんは、障害者支援施設に入所できることになり、アセスメント(assessment)が行われた。
相談支援専門員は、Fさんの希望をもとに、これまでの生活状況と身体の様子等から、もう少し本人にできることがあるのではないかと考え、「障害者支援施設で施設入所支援と生活介護を利用しながら、将来の生活を考える」という方針を立てた。また、長期目標を、「自分に適した介護を受けながら、様々な生活経験を積む」とした。
Fさんの短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.入浴時に自分でからだを洗えるようになる。
2.毎日字を書く練習を行い、筆談で会話ができるようになる。
3.施設内は、車いす介助を受けながら安全に移動する。
4.経管栄養で食事がとれるようになる。
5.日中活動として外出や興味のあるグループ活動に参加する。
解答と解説
■解答
5.日中活動として外出や興味のあるグループ活動に参加する。
■解説
1.(×)アテトーゼ型脳性麻痺により四肢・体幹機能障害があることから、今後も入浴の支援は必要であると考えられます。
2.(×)運動機能に障害があり、言葉によるコミュニケーションが可能であることからも、筆談での会話をめざすことは適切な短期目標とはいえません。
3.(×)自宅では自分で床を蹴って移動していたことから、施設内でも自力での移動が可能であると考えられます。
4.(×)3年前に誤嚥性肺炎を起こしており、嚥下状態に留意する必要はありますが、ただちに経管栄養が必要であるとは考えにくい状態です。
5.(○)長期目標を「自分に適した介護を受けながら、様々な生活経験を積む」としていることから、日中に外出したり、興味あるグループ活動に参加したりすることが最も適切な短期目標となります。
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