本日のお悩み
有料老人ホームにて就業中、男性利用者様より暴言暴力を受けました。
介護職として勉強不足は認めますが、毎日のように私の顔を見ただけで言葉になっていない暴言を吐かれます。
他の職員も助けてくれず、どう対処したらいいか分からず困っています。
相談者:ジャンボ さん
暴力をふるってしまう・暴言を吐いてしまう背景を探りましょう
・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表 ・アモールファティスクール⻑ 介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員 介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤
ご利用者からの暴言・暴力、辛いですよね。
ご利用者の様々な要因を考えてケアを提供する側としては、自分だけが特別に何かあるのではないかと悩んでしまうのは自然なことです。
でも、本当にあなただけに何かあるから暴言や暴力が飛び出すのでしょうか?
暴力や暴言の背景を考える際、どのようなことが影響しているのかを探ることも大切です。
ここで一度、「なぜ自分に対してなのか」に焦点をあてて考えてみましょう。
■精神面だけでなく、身体面の観察もしてみましょう
もしかして、その利用者さんは相談者さんだけに何かを訴えているのではないでしょうか?
実はどこかに不調があって、相談者さんだけにそれを訴えているのかもしれません。
相談者さんにだけ、自分のことを理解してくれる人だと思っている可能性もあるかもしれません。
暴力のようなインパクトの強い症状があらわれると、つい精神面に注目してしまいますが、身体面に問題が発生していないかを観察することも大切です。
ぜひ、「どこかお具合悪いところはありませんか?」と優しく声掛けをしてみるのも良いかと思います。
■俯瞰的に距離を取りましょう
また、感情の抑制は脳の前頭葉が担っていますが、認知症の進行によって機能が低下したり、障害があることで怒りの感情を抑えられずに暴力的になることもあります。
「暴力はだめです」などといっても怒りを助長してしまう可能性も。
そのような場合は「暴力を成立させない」ように俯瞰的に距離をとることも大切です。
■原因を探ることが大切です
まずは、このような行動心理症状の背景の要因を探ることからはじめてみましょう。
原因を探ることでご利用者に適切なケアを提供することができます。
大変だとは思いますが、分析することから始めてみましょう。
暴言を吐いてしまう利用者さんに関連したお悩み
認知症のかたの暴言の受け止め方がうまくできなくてつらいです。
傷つくからやめてほしいと言っても忘れてしまうし、周りに相談しても慣れるしかないと言われます。
行動・心理症状(BPSD)について理解を深めましょう
・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表 ・アモールファティスクール⻑ 介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員 介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤
まずは「どうして認知症の方が暴言を吐くようなことがあるのか」その要因を把握しておくことが大切だと思います。
ご存知かとは思いますが、BPSDとは、不安、焦燥感などの心理症状と徘徊や暴力などの行動症状を指しています。
暴言・暴力はどのタイプの認知症でも見られるBPSD。中期以降の男性に多くみられる傾向があり、身体的な不調とも関係があります。
心理面では、中核症状が顕著になってくると、助けてもらいながら自分で折り合いをつけてこられたものも自分で処理できなくなります。
さらに不安が強くなると、恐怖から自分を守ろうとして暴言がでるのではないかと言われています。
■認知症の方の、不安や焦燥感の要因は
不安・焦燥感の要因としては
①言葉で表現できない苛立ち
②プライドが傷つけられる などが挙げられます。更には、
①便秘でお腹が苦しい
②下剤によるお腹の痛み
③脱水
④皮膚のかゆみ
⑤空腹感
⑥発熱 等の身体的苦痛も考えられます。
■「表面的なことに振り回されない」という意志を
このように、暴言に至るには必ず原因があるのです。だからこそ、その原因を探ることが大切。
言葉をそのまま鵜呑みに捉えるのではなく、どうしてその言葉になっているのかを探ることで対応方法がわかってきます。
「暴言という表面的なことに振り回されない」という意志を持って対応してください。
また、対応するときのポイントは
「責めない・怒らない・無理になだめない・大きな声をださない・気分が落ち着くのを待ってから本人の言葉を聞く・パーソナルスペースに配慮する」です。
■最後に
認知症という疾患や、認知症の方の心についての理解が不足していると、うまく対応ができず、ケアをすることが余計に辛くなってしまいます。
認知症を理解することでケアをする側の心もだいぶ楽になりますよ。
・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表
・アモールファティスクール⻑
介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員
介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤
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