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勤務管理をスタッフ同士で行うストレス。こういうとき、どうする?

勤務管理をスタッフ同士で行うストレス。こういうとき、どうする?

【回答者:大庭 欣二】職場の「業務分掌」について、考えてみてはいかがでしょうか。


本日のお悩み

訪問入浴ヘルパーを10年している者です。
利用者のスケジュール管理、スタッフの勤務管理、割り振りをしていた正社員の管理者が今月急に辞めることになってしまいました。
後釜として同事業所の福祉用具の担当者が管理者になったのですが、今までの管理者のように上記の仕事はされず、入浴の現場スタッフにその仕事が割り振られることになりました。
指示をした上司は、一時的でなく、今後もスタッフ間でその仕事を回すつもりでいるのですが、同じ立場のスタッフ同士で勤務管理やケアマネからの問い合わせ、新規対応をしていくことに非常に不安と危機感があります。
不公平感が増していき、スタッフ同士の人間関係もとても影響してくるからです。

管理者という立場の人が仕切っていたことで抑えられていた不満や、仲立ち的にしてくれていた日々の様々なことがスタッフ間でダイレクトに飛び交うことや、自分がスタッフを配分しなければいけない精神的負担がとても大きいです。
現場スタッフ間で、スケジュールの管理や、新規の受付から対応まで行うことは、他の事業所でもしていることなのかお聞きしたいです。

相談者:グラタン さん

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職場の「業務分掌」について、考えてみてはいかがでしょうか。

今までになかったご負担を強いられている現状へのお悩みですね。
さまざまな職場で同様なことは起こっているようです。
幾つかの視点から、今回の事象を捉えてみたいと思います。

業務分担表のようなものをつくる事業所も

まずは、組織や事業所内の、役割分担の理想についてです。
今回のような職員さんの不安や不満を起こさないために、「業務分掌表」「業務分担表」のようなものを作られている組織もあります。
比較的、規模が大きな組織では整備されていることが多いようです。

例えば、「訪問入浴部門」の「管理者」の業務として、「スタッフのスケジュール管理」「シフト作成」「新規の受付」などと、表形式で明記されているものです。
この場合、人の異動や退職があったとしても、新たにそこに任命された方が、その業務を担うという仕組みです。
必ずしも「管理者」が「シフト管理」等を行うわけでなく、「リーダー」や「主任」が担うケースもあります。
質問のような責任の重たい業務に関しては、一般職の方が担うケースは少ない気がします。

小規模組織では柔軟な対応をしているところも

それとは逆に、業務分掌が明確でなく、その時毎に柔軟に役割を変えていく組織もあります。
その中には、人に業務が付いて回るケースもあります。役職や職責に関わらず、固定された方がある業務を常に分担するやり方です。
輪番制を取る組織もありますね。
これらのやり方は小規模の組織で行われることが多いやり方です。

質問者さんの組織では「業務分掌表」なるものは存在するでしょうか?
責任者の方に、現状をお話し、役職ごとの業務を明確にすることも一つの考え方です。

正式な役職者を見極める期間かもしれません

視点を変えてみましょう。今回の人事や業務分担には、何か目的や狙いがあるのではないでしょうか。
役職者の急な退職に伴う人事はどうしても付け焼刃的なものになりがちです。
一時的に他の役職者に兼務をさせたりすることもあります。
一時的な人事を行ったうえで、それを次の正式な役職者を見極める期間とするケースもあります。
役職者の業務をいろんな方にしていただき、適性を確認しているかもしれませんね。

同僚と一緒に、勇気を出して確認してみては?

いずれにしても、今回のケースを推察すると、管理者や経営者からの説明が足らない気がしますね。
この業務をスタッフで回すようにするのはなぜなのか、この業務の本来の実施者は誰なのか、いつまでこの状態は続くのか、この辺りはしっかりと分かったうえで仕事に臨みたいですよね。

一度、勇気を出して確認してはいかがでしょうか?一人で不安な場合は同じ思いを持つ同僚と一緒に。
その際に心掛けたいのは、クレームを伝えるというモードでなく、ご自身の想いと状態をアサーションというスキルを使い、伝えることです。
「アサーション」とは、相手の意見や価値観を尊重しつつ自分の思いや考え、意見などを伝えること。
対話をし、お互いを分かりあうことで解決に向かうことも多いですよ。
心地よく働ける職場になることを切に願っております。

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福岡福祉向上委員会 代表

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