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介護の“あるある”を共有したい。好評連載中のマンガはリアルな現場が舞台

介護の“あるある”を共有したい。好評連載中のマンガはリアルな現場が舞台

連載中のマンガ「介護職員・並木マイのほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」の監修を手掛ける、公益社団法人日本介護福祉士会理事の望月太敦さんにお話を伺いました。


目次

介護の“あるある”を共有したい。好評連載中のマンガはリアルな現場が舞台

ささえるラボでは、介護従事者の皆さんが休憩時間などに読むと「クスッと笑える」「ちょっぴり癒される」そんなエピソードをお届けしたいと、『介護職員・並木マイのほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~』の連載を、昨年末より再スタートしました。その監修を手掛ける望月さんに、マンガを通じて伝えたい思いなどをうかがいました。

望月さんが監修するマンガを読む

お話をうかがった人

写真は、本人(保護者)の許可を得て掲載しております。

望月太敦さんのプロフィール

公益社団法人日本介護福祉士会 理事
公益社団法人東京都介護福祉士会 副会長
社会福祉法人 三育ライフ 杉並エリアマネジャー
杉並区立重症心身障害児通所施設わかば 園長

介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員

社会福祉法人三育ライフへ入職後、介護福祉士として現場で勤務した後、特別養護老人ホームの介護課長や相談課長、グループホームのホーム長を経験する。
2015年4月より、重症心身障害児が通う児童発達支援事業所の開設に携わり、その後は、重い障害や医療的ケアが必要な未就学のこどもたちの支援をしている。
又、職能団体の理事や東京都福祉サービス第三者評価の評価者としての活動などをするほか、筑波大学大学院を修了し、重症心身障害児の地域生活に関する研究に取り組んでいる。

望月 太敦

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/20

公益社団法人日本介護福祉士会 理事

介護現場の“あるある”を共有。ちょっぴり元気になれるマンガを届けたい

マンガの監修をお引き受けいただいた時のお気持ちを教えてください。

私が理事を務める公益社団法人日本介護福祉士会を通じてご依頼いただきました。「介護従事者の皆さんはもちろん、これから介護に興味を持つ方にも分かりやすく、クスッと笑っていただけるような楽しいマンガにしたい」というコンセプトが素敵だと思いましたね。ただ、マンガを監修するのは今回がはじめて。自分に務まるだろうかと不安もありました。

お引き受けいただいてありがとうございます!実際に監修ではどのようなことをされていますか?

マンガの“もと”になるネタやエピソードを提出しています。自分が知ることだけでなく、これは起こり得るだろう、体験されている方がいらっしゃるだろうと想像することもありますね。監修で最も大切にしているのは、現場とズレがないことです。介助方法や利用者さんの姿、職員の役割など、介護現場とズレがないか丁寧にチェックしています。

望月さんのリアルな体験談がベースになったストーリーも多いそうですね。

はい。「こんなことがありましたよ」と文字ベースで提供したら、漫画家の伊藤美穂さんがイメージを膨らませてくださいます。私のリアルな体験とほぼ同じシーンが再現されていることもあれば、これまでに私が出会った職員の方々が個性豊かなキャラクターとして登場することもあります。異業種から転職される方も多く、マンガに登場するグラフィックデザイナー出身で図画工作が得意な金井さんやスポーツトレーナー出身で体操が得意な大島さんのほか、外国籍の方までいろいろな経験や文化を持つ人が一緒になって支援できる職場であることも介護職の魅力かも知れません。

監修で苦労されていることはありますか?

ネタを提供する側の悩みは尽きませんね(笑)。インパクトが大きい出来事もありますが、個別性が高すぎると“あるある”という共感があまり得られないかと思いますし…。実際の現場とかけ離れ過ぎないよう気をつけています。

難しそうですね。逆に楽しんでいらっしゃるところはありますか?

監修のために送っていただくラフ画(確認のためにラフスケッチしたもの)をとても楽しみにしています。「今回はこのテーマを取り上げてもらったのか」「こんな風に描かれたのか」と読者目線で楽しく読んでいます。

私たちも仕上がりを毎回楽しみにしています。そのほかにも監修で心掛けていることがあれば教えてください。

現場とかけ離れていないことを大切にするだけでなく、不適切な表現はないか、誤解を生じるような描写はないかにも気をつけています。「クスッ」と笑っていただける楽しいマンガにするためには、マンガとしての描写も大事ですよね。その“塩梅”が難しいところですが、読者の方にはラフな気持ちで楽しく読んでいただきたいと思っています。

登場人物一人ひとりをもっと詳しく紹介したい。愛されキャラクターの誕生秘話

マンガ登場人物紹介

望月さんの“推しキャラ”は誰ですか?

全員です(笑)。あえて選ぶなら、増田さんでしょうか。増田さんのモデルになったのは、私が新人時代にお世話になった方で、実在する人物に近いカタチで描かれているんですよ。前職は歌手という設定は実際とは異なりますが、増田さんに関するマンガを読んでいるとその方を思い出します。

増田さんのモデルになった方は、望月さんにとってどんな存在でしたか?

上司や先輩という感じではなく、お母さん的な存在でした(笑)。バリバリ仕事するタイプの方ではありませんでしたが、自分が何について分かっていないのかも理解できていなかった当時の私にとって、本当に頼りになる存在でした。何かあるとバシッと解決してくださる方でしたね。

それは頼りにしてしまいますね。

はい。シフトが一緒だったらまず安心でしたね。いつも気にかけてくださっているのが伝わってきましたし、よく声を掛けていただきました。そうそう、葛西さんのようなタイプも方も結構いらっしゃるんですよ。「孫の運動会に行くのはじーじ(ばーば)の役目だから」と仕事を休まれる方、皆さんの周りにもいらっしゃるのではないでしょうか(笑)。

ほっこりしますね(笑)。ほかにもいろいろなキャラクターの方が登場しますよね。

介護する人、介護される人、人と人が関わる仕事だからこそ、利用者さんはもちろん、職員にもいろいろな背景を持つ人が同じ場所にいるのですが、その世界観を上手くマンガで描けるといいなと思っています。福祉・介護の仕事に興味はあるけれど、なかなか踏み出せないでいる方や「介護職は大変そう…」と苦労ばかりを想像している方に、現場のリアルな雰囲気や仕事の魅力をお伝えしたいですね。

「興味はあるけれど、自分には無理…」という方、意外と多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そうなんです。マンガを通して介護現場の魅力やいろいろな介護職員が活躍していることを知っていただき、「私も一緒に働いてみたい」と思っていただけたら嬉しいですね。最初は上手くできないことが多く、悩んだり、落ち込んだりすることもあるかも知れません。ただ、マンガを通して「自分だけではなかった」と安心してもらえる、何だかほっとできるものになるといいなと思っています。

介護職に就いたばかりの新人職員の方にも読んでいただきたいですよね。

ぜひ読んでいただきたいですね。最初はつまずきやすいこともあると思いますが、先輩たちも同じように失敗してきましたし、誰もが通る道です。考えすぎることなく、「みんな同じように失敗してきたんだ」と思っていただけたら。

第12話「謎の洗濯もの」のように、洗濯で洋服が縮んでしまうなんてことも“新人さんあるある”なんです。大きなショックを受けて落ち込むのではなく、次から気をつけようと気持ちを切り替えてもらえたらと思います。

第12話「謎の洗濯もの」 | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/503

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。

実際、マンガでいちばんページビュー数(ページが表示された回数)が多いのは、第16話「新人あるある」の回でした。※2022年3月末現在

やっぱり皆さん気になるのかも知れませんね(笑)。福祉や介護の仕事に興味があれば、あまり難しく考えるのではなく、皆さんの温かい気持ちを必要としている場所がたくさんあることをぜひ知っていただきたいと思います。

第16話 「新人あるある」 | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/552

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。

人と人が直接関わる介護の仕事だから楽しめる。その魅力を多くの人に広めたい

連載がスタートして何か変化はありましたか?

私としては、マンガで描かれているように多くの人と直接関わることができる楽しい職場であることや利用者さんのことを深く考えるなど、介護の仕事にはやりがいが詰まっているとあらためて再確認できました。また、マンガにもさまざまなキャラクターが登場しますが、実際に現場で働く人々も本当にいろいろなタイプや経歴を持つ職員さんが活躍しています。そんな介護の仕事や職場の魅力をもっと多くの人に伝えたい、深く知っていただきたいと考えるようになりました。

周囲の反応はいかがでしたか?

「高齢者介護の現場で実際にありそう~」「ほっこりするエピソードがいいね」「施設で同じような話があったよ」とさまざまな共感を得ることができています。現在、私が働いているのは障がい児・者の通所施設なので、高齢者施設と“あるある”の内容が違いますが、高齢者施設で働いた経験があるメンバーから「懐かしい~」なんて声もありました。

気になるマンガの今後はいかがでしょうか?

主人公の新人介護職員の並木マイさんが成長していく姿はもちろん、さらにいろいろな要素を盛り込んでいきたいですね。新人職員の近くには先輩、介護リーダー、主任がいて、それぞれに異なる悩みを抱えています。新人職員だけでなく、それぞれの立場だからこそ持つ悩みをテーマにするなど、介護現場で働くいろいろな方を応援したい。新人よりさらに難しい対応をしている人たちの力に少しでもなれたら嬉しいですね。

さらにマンガを通して伝えたいことはありますか?

いろいろとありますね。福祉・介護の仕事には、高齢者以外にも障がいをお持ちの方のための支援者もいます。マンガでは高齢者施設が舞台になっていますが、ほかにもさまざまな介護現場があることも知っていただきたいと思っています。

福祉・介護の仕事について知らない方に仕事内容や職場の魅力を伝えると同時に、現場で働いている介護従事者の皆さんにも人と関わる楽しさをあらためて感じてもらえたら嬉しいですね。そうなると、やっぱり「クスッ」と笑える癒し系のマンガであることが大前提になりますね(笑)。

そうですね(笑)。ささえるラボ編集部も望月さんと一緒に頑張りたいと思います。これからも監修をどうぞよろしくお願いします。

こちらこそどうぞよろしくお願いします。

取材後記

『介護職員・並木マイのほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~』の企画が立ち上がった時から監修を相談した望月さんは、どんな時でもにこやかに話してくださる温かいお人柄です。そんな望月さんの新人時代のエピソードや現場でのお話しをうかがっているだけでも、驚いたり、笑ったり、時には感動することも…。

介護を受ける利用者さんにとって“介護現場”は毎日を暮らす場所であり、介護する人とされる人が温かい時間を過ごしている場所でもあることがマンガを通して伝わってきます。これからもささえるラボでは読者の皆さまに向けて「クスッと笑える」「ほっこりする」マンガを監修の望月さんと一緒にお届けしたいと考えています。次回更新をぜひお楽しみにお待ちください♪

望月さんが監修するマンガを読む
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