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介護職のボーナスはどれくらい?支給状況や施設・職種による違いをチェック!

介護職のボーナスはどれくらい?支給状況や施設・職種による違いをチェック!

今よりたくさんボーナスをもらうには?支給金額の決まり方についても解説!志望する企業のボーナス額は気になるもの。介護職の場合、ボーナスの有無や金額は事業所によってまちまちですが、平均額や支給状況、施設・職種による違いなどがわかれば参考になるはずです。介護業界のボーナス事情を探ります。(コラム:大庭欣二)


介護職のボーナスはどれくらい?支給状況や施設・職種による違いをチェック!

就職や転職を考えるうえで、志望する法人(事業所)のボーナスの有無や額は外せないチェックポイントでしょう。
もちろん介護職も、法人(事業所)に勤める以上、ボーナスが支給される可能性があります。
介護職の場合、ボーナスの有無や金額は、勤務する事業所やサービスの種類などによってまちまち。
とはいえ、平均額や支給状況、施設の種類や職種別の相場などがわかれば参考になるはずです。
今回は、介護業界のボーナス事情を探ってみましょう。

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コラム「今よりたくさんボーナスをもらうには?支給金額の決まり方についても解説!」

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正規職員には、約7割の事業所がボーナスを支給

まずは、介護業界でどれくらいの事業所がボーナスを支給しているのか見てみましょう。

介護労働安定センターは、2019年に全国の介護保険サービスを実施する事業所を対象にボーナス(賞与制度)の有無や実施状況を調査しています。

正規職員の場合

同調査によると、対象が正規職員の場合、約7割(71.9%)の事業所が「定期的にボーナスを支給している」と回答しています。

さらに「ボーナスの制度はあるが、経営状況に応じて支払わない場合がある」(11.0%)
「制度はないが、経営状況に応じて支給している」(8.0%)
といった状況次第で支給されるケースを入れると、9割(90.9%)を超えます。

「制度もなく支給していない」は、全体の6.9%。
これらの数字を見る限り、正規職員として介護施設に就職すれば、ボーナスをもらえる可能性はかなり高いといえるでしょう。

非正規職員の場合

一方、非正規職員の場合、「定期的にボーナスを支給している」は約4割(38.8%)
「制度はあるが、経営状況に応じて支払わない場合がある」が 8.9%
「制度はないが、経営状況に応じて支給している」が15.2%
「制度もなく支給していない」が15.2%
正規職員に比べると確率は下がりますが、非正規でも、事業所によってはボーナスをもらえる場合があることがわかります。

では、金額はどれくらいもらえるものなのでしょうか。
同調査によると、月給制の全職員(理学療法士、看護職員など、介護職以外の職種も含む)のボーナスの平均額は、約58万円。
介護職だけに限定すると、約54万円です。
ボーナスは年2回支給されることが多いので、介護職の1回のボーナスの相場は27万円程度といえます。

(出典:公益財団法人 介護労働安定センター『令和元年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書』)

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ボーナスの支給時期・金額の決め方

介護業界でも、他の多くの企業と同様、ボーナスは冬(12月)と夏(6月か7月)の年に2回、「基本給の◯カ月分」という形で支給されるのが一般的です。
ただ、事業所によっては、支給時期は年に1回冬のみというところ、基本給とは関係なく定額を支給するところ、業績に応じた算定方法を採用しているところもあります。

ボーナスは、法律上、企業が必ず支払わなければならないというものではありません。
基本的には毎年支給されていても、業績が悪化した年には支給がない場合もあります。
就業規則で「原則は年2回、基本給の◯カ月分とするが、業績によっては支給しない場合もある」といった規定を設けている事業所も少なくありません。

処遇改善加算をボーナスとして支給する場合も

介護職の賃金アップのために介護報酬に加算される「介護職員処遇改善加算」を、ボーナスとして支給する事業所もあります。

というのも、同加算は、毎月の基本給に上乗せして支給することが推奨されてはいますが、ボーナスや他の手当てとして支給したり、定期昇給に当てたりすることも可能だからです。
年2回のボーナスに上乗せして支払う事業所もあれば、規定のボーナスや毎月の給与とは別に一時金として支給する事業所もあるようです。

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施設のサービス形態によるボーナス額の違い

介護施設には、さまざまなサービス形態の事業所がありますが、その種類によってもボーナスの有無や金額は異なります。

前出の介護労働安定センターの調査では、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)のような入所型の事業所は
「定期的にボーナスを支給している」が約9割(90.1%)と高い割合を占めるのに対し
通所型の事業所では約7割(69.8%)
訪問系の事業所は約6割(59.8%)にとどまっています。

つまり、入所型の事業所に勤務すれば、ほとんどの場合ボーナスをもらえますが、訪問系の事業所ではもらえないケースも多いということです。

次に、サービス形態別のボーナス額を見てみましょう。
下記のデータは、介護職に限らず、看護職員や理学療法士なども含めた全ての労働者のボーナス額の平均ですが、ひとつの参考にはなるでしょう。

主な介護サービス形態別の平均ボーナス額

■介護老人福祉施設(特養):約79万円

■介護老人保健施設(老健):約69万円

■特定施設入居者生活介護:約52万円

■訪問介護:約44万円

■通所介護(デイサービス):約48万円

■認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム):約38万円

(出典:公益財団法人 介護労働安定センター『令和元年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書』)

このデータを見ると、介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)といった入所型サービスの事業所のボーナス額がより高く
訪問系や通所型サービスのボーナス額は低めとなる傾向がうかがえます。

また、介護業界でも他の業界と同様に、事業所の規模が大きくなるほどボーナス額も高まる傾向があります。
訪問系、通所型では、入所型に比べ中小規模の事業所が多いことも、ボーナス額に差がつく要因でしょう。

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職種によるボーナス額の違い

同じ介護に関わる仕事でも、職種によって、ボーナス額は次のように変わってきます。

職種別の平均ボーナス額

■介護職員:約54万円

■生活相談員(ソーシャルワーカー):約65万円

■介護支援専門員(ケアマネージャー):約68万円

■訪問介護員:約43万円

■サービス提供責任者:約60万円

(出典:公益財団法人 介護労働安定センター『令和元年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書』)

介護業界では、現場で働く介護職から、相談業務や関係機関との調整を行う生活相談員、ケアプランの作成に従事する介護支援専門員へとキャリアアップするケースが少なくありません。
それに伴い、ボーナス額も大幅にアップするようです。

また、訪問介護員の平均ボーナス額は、施設で働く介護職より低めですが、訪問介護事業所で管理や指導を担当するサービス提供責任者になると、ボーナス額が増加する傾向があることがわかります。

コロナ対応従事者への慰労金の給付も

ボーナスではありませんが、2020年には、介護保険が適用される介護サービス事業所で働く職員に対し、国から「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金(介護分)」が給付されました。
この給付は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクの高い高齢者と日々接する介護職の負担増や、介護施設で度々集団感染が起こっている状況を考慮して実施されたものです。

給付額は、新型コロナウイルス感染症が発生、または濃厚接触者である利用者に対応した事業所に勤務し、利用者と接する職員には20万円、それ以外の事業所の職員には5万円。
申請や慰労金の給付は、事業所を通して行われました。

多くの介護職が慰労金を受け取ったはずですが、残念ながら、なかには事業所が申請してくれないケースや、支給が大幅に遅れたケースもあったようです。

慰労金の申請は、2021年2月28日で締め切られましたが、新型コロナウイルス感染症の流行は続いていて、変異ウイルスも広まりつつある状況です。
今後、再給付が検討されることもあるかもしれません。

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コラム:今よりたくさんボーナスをもらうには?支給金額の決まり方についても解説!

大庭 欣二

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/11

福岡福祉向上委員会 代表

介護業界で、正規職員の約7割がもらっているという賞与、いわゆるボーナス。
皆さんは、夏のボーナスは支給されましたか?その金額には満足していますか?

今回は、ボーナスが決まる仕組みや、少しでもその額を増やすにはどうしたらよいかを考察したいと思います。

ボーナスの金額はどうやって決まる?

最初からこう言うと身も蓋もないですが、ボーナスが決まる仕組みは、法人によりさまざまです。

極端に言えば、ボーナスを支払う義務は経営者にはないので、賃金規定にさえしっかりと謳っていれば、いかようにでも出来るのです。(もちろん、労働者の不利益となる規定の変更は勝手にできません。)
つまり、利益が出ていない状態のときは、ボーナスの支給率を減らすことも出来るわけです。

転職するときに必ず確認したい「賞与」の欄

しかしながら、いまや生活給の一部ともなっているボーナス。勝手に無くなったり、大幅な減額をされたりすると困っちゃいますよね。住宅ローンなど、各種返済のアテにしている方もいるのではと思います。

就職するときに、ハローワークを通して就職先を決めた方は、必ず目にしたであろう「求人票」。紹介会社経由や求人サイト経由であったとしても、労働条件は確認したうえで、行きたい先を決めていくと思います。
求人票であれば「賞与」という項目があり、前年度の支給実績の有無、有るのであれば年何回で、何か月分の支給なのかを確認できます。これは必ず確認しておいたほうが良いです。前述したように、必ずしも賞与を支給されるところばかりではないからです。

そのうえで、気になる方は、面接時に賞与の支給決定方法は確認してもいいと思います。

あなたのボーナスは、固定?業績連動?

固定で「何か月分」という事業所もあれば、業績連動のところもあります。業績連動とは、売り上げや利益額に応じて、賞与の支給月数や金額が変わる仕組みです。その対象期間や、どのように変動させるかは、事業所により異なり、賃金規定に明記しているところもあれば、「業績により変動する」とだけ謳っているところもあります。

さまざまな法人格が介護事業を運営していますが、私の経験でいうと、「社会福祉法人」は比較的賞与の月数を固定しているケースが多く、「株式会社」などは業績連動で支給率や額が変動しているところが多い気がします。一定なのか上下動があるかの違いなので、一概にどちらが良いとは言えません。

そして、いずれの場合でも、それを職員に等しく分配するかどうかも、事業所次第なのです。半期ごとに賞与を支給している事業所を例にとると、半期ごとの人事考課を行い、支給額の査定をされるところが多いようです。

ボーナス金額の決まり方(例)

私が関わってきたところでは、人事考課を行うときに、「人事考課表」や「人事評価表」と言われるものを使い、自己評価→第一次評価→第二次評価→最終評価というプロセスを経て、個々の支給額が決定するという仕組みでした。第一次評価は直属の上司、第二次評価はその上の上司というように、評価者の役職があがっていき、組織全体の評価バランスが整っていく形となります。

ズバリ、ボーナスの金額をアップさせるには?

皆さんに気にしてほしいのは「人事考課表」に記されている項目です。
この項目こそが、組織が求めるものであり、職員さんに目指してほしい姿が明示されているのです。つまり、半年ごとの自己評価の時だけ、それを見るのではなく、常日頃からそれを意識し、実践することが、組織が求める職員像に近づくこととなり、結果的に賞与額に反映されていくと思います。

多くの方々が、「人事考課表」をそのような形で意識し、実践することが、自分自身も組織も成長していくこととなり、「賞与」や「人事考課」が職員一人一人のモチベーションアップに繋がっていくと思います。

ボーナスは、仕事への向き合い方を変化させる機会

単に金額の多い少ないで一喜一憂するのではなく、そのような賞与との向き合い方をしてみてはいかがでしょうか。

それが、自分自身の働き方や、仕事や組織への向き合い方が良い方に変化するきっかけになるかもです。
是非とも、しっかりと成長して、たっぷりと賞与をもらってくださいませ。

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まとめ:ボーナス額だけにとらわれず、さまざまな要素を考慮して判断を

ボーナスの額やもらえる回数は、多いに越したことはありません。
介護施設への就職や転職を考える際には、求人票などをよく確認して、今回ご紹介した情報を参考に、ボーナス額が少しでも多いところを選ぶとよいでしょう。

ただし、職場選びで考慮すべきポイントはボーナスだけではありません。
事業所によっては、基本給が少ない代わりにボーナスを高めに設定している場合もあります。

また、基本給やボーナス額が高い施設ほど、要介護度の高い利用者が多く、重労働になる傾向があるのも現実です。
ボーナス額だけでなく、基本給や職場環境、サービス形態、利用者の要介護度など、さまざまな要素を考慮して、自分に合った勤務先を選ぶことが大切です。

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