第35回介護福祉士国家試験 対策問題(総合問題)
■問題
次の事例を読んで答えなさい。
〔事 例〕
Dさん(70歳、男性)は、19歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し、入退院を繰り返しながら両親と一緒に生活してきた。両親が亡くなったことをきっかけとして不安に襲われ、妄想や幻聴の症状が強く現れるようになった。そのため、兄に付き添われて精神科病院を受診し、医療保護入院となった。
現在は、入院から3年が経過し、陽性症状はほとんどなく、病棟で日中はレクリエーションに参加するなど落ち着いて生活している。
1年前からDさんの退院について検討が行われてきた。Dさんは退院後の生活に対する不安があり、「帰る家がない」、「顔見知りの患者や職員がいるのでここを離れたくない」と退院には消極的であった。しかし、Dさんと仲のよい患者が、退院し施設入所したことをきっかけに退院を考えるようになった。
Dさんは、整容、入浴、排泄(はいせつ)、食事、移動は見守りがあればできる。また、介護福祉職の助言を受ければ、日用品などを買うことはできる。経済状況は、障害基礎年金2級と生活保護を受給している。要介護認定を受けたところ、要介護1と認定された。
Dさんの退院先の候補になる施設として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.養護老人ホーム
2.老人福祉センター
3.更生施設
4.地域生活定着支援センター
5.介護老人福祉施設
解答と解説
■解答
1.養護老人ホーム
■解説
1.(○)養護老人ホームは、身体的には自立しているものの、環境的・経済的に在宅生活が困難な65歳以上の高齢者を養護し、社会復帰を促す施設です。Dさんは70歳であり、日常生活動作(ADL)の状況や、障害基礎年金2級と生活保護を受給していることなどから、退院先の候補として最も適切です。
2.(×)老人福祉センターは、地域の高齢者に対して、無料または低額で各種の相談に応じたり、健康増進、教養の向上、レクリエーションのための便宜を総合的に提供したりする施設です。
3.(×)更生施設は、心身上の理由から養護や生活指導を必要とする要保護者が生活扶助を受けるための、生活保護法に基づいた施設です。
4.(×)地域生活定着支援センターは、刑務所などの矯正施設を退所した自立困難な高齢者や障害者を対象とする支援施設であり、都道府県により設置されています。
5.(×)介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、要介護度3以上の人が対象となります。
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