介護業界の施設長とは?
この記事では、施設長になるために必要な資格や具体的な仕事内容、平均年収、キャリアパスなど、施設長を目指す方や施設長について知りたい方に向けて詳しく解説します。
■施設長の役割
具体的には、介護職員の指導や育成、利用者さんやそのご家族とのコミュニケーション、施設の運営計画の立案・実行などをおこないます。また、施設内における法令遵守や収支管理も重要な役割の1つです。
施設長はリーダーシップやマネジメントスキルを活かしながら、施設全体を様々な角度から支え、利用者さんに質の高い介護サービスを提供する責任を担います。
■施設長としての責任
そのため、施設長は責任者として、職員が生き生きと働き続けられる施設の運営・マネジメントをしっかり行います。また、法令遵守・衛生管理・緊急時の対応などもしっかり行うことでサービスを絶やすことなく継続的に提供することができるでしょう。
施設長になるための必要な資格
サービス形態によって、施設長になるための要件は異なるので、1つずつ確認していきましょう。
■特別養護老人ホームの施設長になるには
2.社会福祉事業に2年以上従事した者
3.社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者
社会福祉施設長資格認定講習会は「社会福祉法人全国社会福祉協議会 中央福祉学院」が実施する講習で、福祉の基本的な知識と管理者に必要な知識の習得をおこないます。自宅学習とスクーリング(対面)のハイブリッド形式でスクーリングでは5日間の講義と演習を受けます。
また、管理者の場合は資格要件が定められていません。介護業界において施設長と管理者の明確な定義は定められていませんが、2つの役職が共に存在する場合は一般的に施設長が管理者の上司になるといわれています。
※出典:厚生労働省 施設長の資格要件等
■介護老人保健施設の施設長になるには
※都道府県知事の承認を受け、医師以外の者に管理させることができる。
つまり、原則は医師が施設長を務める必要がありますが、都道府県知事に承認を受けた場合は医師以外のものでも施設長になることができます。
※出典:介護保険法第95条
■介護医療院の施設長になるには
つまり、基本的にはその介護医療院に常勤の者が施設長(管理者)になるべきであるとされています。
※出典:介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
■グループホームの施設長になるには
・認知症対応型サービス事業管理者研修を修了した者
上記のように認知症に関する専門性が施設長になるためには必要です。
※出典:厚生労働省 認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)
■その他の施設で施設長になるには
資格や経験、スキルがあるとより選考でも有利に進むでしょう。
施設長の仕事内容
主な業務内容は以下の通りです。
・介護業務のマネジメント
・施設の収支・運営管理
■介護職員のマネジメント
採用活動に関しては、施設のニーズに合った方を採用できるよう必要な人材像を整理しておくことも重要になるでしょう。また教育プログラムや定着施策も重要です。
初期だけでなく継続的なモチベーションの維持も大切です。日々、職員の業務を効率的に分担し、個々のパフォーマンスを引き上げるために適切なキャリアラダーや研修の実施を計画していきます。
業務を通じてのみでなく、従業員の満足度アンケートや面談などを実施し、現状を把握したり、その結果から必要があれば人員配置の転換や、施策の実行などをおこなったりし、職員が働きやすい環境づくりを行います。
■介護業務のマネジメント
また、利用者さんやそのご家族とも定期的にコミュニケーションをとり、意見がある場合は解決策を検討していくなど、利用者やご家族の満足度を高める努力も必要です。
ほかには、新しい介護技術や機器を導入し、その使用方法を職員に指導することもあるでしょう。
昨今の報酬改定の動向や地域の特徴などにも目を向け、地域社会のニーズに即した介護サービスの提供が行えるよう情報収集とサービスの施行も重要な仕事になります。
■施設の収支・運営管理
そのなかで、従業員に適切な賃金が支払うことができるか、利用者さんの数は確保できているか、職員のコンプライアンスは徹底されているかなどを確認し、定期的に研修や勉強会も行います。
施設の課題を職員全体で認識し、改善に努めることでサービスの質は向上し続けるでしょう。
施設長の1日のスケジュール
以下はあくまで一例ですが、施設長がどのような1日を送っているのかイメージをもつきっかけとしてご活用ください。
施設長の年収と収入アップの方法
ここからはサービス形態別に平均年収を確認したあと、施設長が給与アップを目指すためにできることについても紹介していきます。
※出典:厚生労働省 令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果
■【サービス形態別】施設長の平均年収
このことから、施設長へのキャリアアップは役職のアップだけでなく、収入アップにも繋がると言えるでしょう。
※出典:国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
■施設長が年収を上げるためのポイント4選
ここからは、施設長の給与アップについてその方法を紹介します。
2.業務の効率化をおこなう
3.転職を検討する
4.評価制度を理解する
●1.スキルアップを図る
●2.業務の効率化をおこなう
●3.転職を検討する
また、そのアピールも含めて給与交渉に繋げられる場合もあるので、なぜその希望年収なのかなども根拠を持っておけるとよいでしょう。
●4.評価制度を理解する
年収アップを目指したい方は、今の環境から何に挑戦ができるのか何を変えることができるのか考えてみましょう。
施設長のキャリアパスとは?
ここからは、現場で培った経験を活かして進むことができるキャリアパスを紹介していきます。
■スーパーバイザー
施設長が自施設の運営について検討し、管理していたのに対し、スーパーバイザーはさらに広い視点かつ、現場の経験や第三者視点も取り込んだうえで業務を遂行する必要があるため、より責任感の強さやマネジメント能力が求められます。
■エリアマネージャー
エリアマネージャーもスーパーバイザー同様に、さらに広い視野と責任感やマネジメント能力が求められる職種です。
■本社で管理職につく
そのため、スーパーバイザーやエリアマネージャーなどと連携しながら、より自社サービスを広く普及させていくことができるか検討を行います。現場で培った実務経験に加え、高度なマネジメント能力や経営に関する知識も活かすことができるでしょう。
施設長への転職活動を成功させるポイント
そのうえで、施設長になりたいという方にむけて施設長への転職活動を成功させるポイントを紹介します。
■自己分析を行う
また、今回の転職活動における軸も定めやすいでしょう。
■求められる資格取得や経験を積む
それらを確認し、必要な資格の取得に努めるほか、マネジメント経験やリーダー経験、実務経験年数が別途で要件となっている施設もあるため、施設長のキャリアを検討している場合は、現在勤めている施設でも早めに相談をし、いずれかの経験を積んでおけると、選考において有利になるでしょう。
■面接対策をしっかり行う
そのため、施設長として譲れない軸をしっかり持ちつつ、施設運営における熱意や強みをしっかりとアピールできるよう準備しておきましょう。
■施設の情報を十分に収集する
施設の評判やスタッフの口コミを確認し、自分に合った職場かどうかを見極めましょう。
■転職エージェントや求人サイトを活用する
施設長に向いている人の特徴
施設長に向いている人はどのような人なのでしょうか。ここからは施設長に向いている人の特徴を紹介します。
・リーダーシップを発揮できる
・問題解決能力が高い
・ストレス耐性がある
・経営感覚がある
■コミュニケーション能力が高い
■リーダーシップを発揮できる
■問題解決能力が高い
また、事前に問題を予測して対策を講じる予防的なアプローチも必要です。
■ストレス耐性がある
ストレスを受け流す力や、ストレスを感じた際の息抜きや発散方法を考えておけるとよいでしょう。
■経営感覚がある
予算の立案や経費削減の提案など、経営視点での判断ができるとよいでしょう。
あくまで紹介したものは一例ですが、転職活動にむけた自己分析などをおこない、一致する部分や似ている部分がないか探してみてください。
まとめ:施設長について理解しキャリアプランを立てましょう!
施設長になるためには、介護の知識やスキルはもちろんのこと、マネジメントスキルや運営管理能力なども求められます。 施設長になるために必要なものをしっかり理解したうえで、キャリアプランを考えていきましょう。
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