本日のお悩み:残暑や体感温度の違いに配慮した衣替えとは?
残暑や体感温度の個人差に配慮した衣替えを行うためにどのような工夫ができるのでしょうか。
四季が失われ始めている日本、秋の不安定な気候に合わせた衣替え
■執筆者/専門家

(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表 ・アモールファティスクール⻑ 介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員 介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤ 理論と経験に基づく「優しく丁寧に美しい介護」を理念に実践的な介護技術研修/コミュニケーション研修及び介護離職防止の為一般企業様向けに「介護セミナー」を実施しています。
春のさわやかな陽気や梅雨時のジメジメした気候を感じる間もなく、いきなり猛暑の夏が来たり、爽やかな秋の心地よさを味わう間もなく冬に突入したりと、季節が急激に変化しているように思えます。ときには昨日まで冷房を使っていたのに、翌日には暖房が必要になることもあり、体が気候に追いつかないことが増えてきました。
特に9月後半から10月にかけては、暦の上では秋でも、暑い日と肌寒い日が交互にやってくるような不安定な時期です。本来であれば過ごしやすく、食欲や読書、スポーツなどを楽しめる「秋」ですが、最近では気温の予測が難しく、体調を崩しやすい時期になってきています。
高齢者ケアにおける季節の変わり目の注意点
さらに、筋肉量が減少することで体の熱を生み出す力が弱まり、寒さに敏感になる一方で、暑さに対しては鈍感になってしまいます。その結果、体調の変化に自分で気づきにくくなり、熱中症や低体温症といったリスクが高まります。
高齢者の衣替えでできる4つの工夫と配慮
2.重ね着がしやすいカーディガンや薄手のベストなどを用意する
3.衣服の着脱がしやすいこと、締めつけがないこと、動きやすさにも配慮する
4.去年の服が今の体に合っているか確認する
■体感温度だけじゃない!サイズ感の確認も重要なサポート
具体的には、背中が丸くなっていれば服の丈の前後が不自然になる、膝の関節が変形していればズボンの丈が合わなくなるなどです。 このような変化に気づいたら、職員間で共有し合い、状況によってはご家族に伝えて、必要に応じて新しい衣類の準備をお願いするのも大切なサポートです。
衣替えでは、体温調節・着脱のしやすさ・安全性の視点を持って行っていきましょう。
季節の変わり目に注意したい室温管理の重要性
・暑い日であれば室内を28度前後に
・寒い日であれば室内を22度前後に
・扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
・カーテンで日差しを調節する
衣替えは「個別ケア」の時間

この時期の衣替えは、衣服のチェックを通して室温や体調の変化などに丁寧に目を向けることで、病気や体調不良を未然に防ぐことができ、ご利用者が安心して穏やかに過ごせる毎日につながっていくと私は思います。 また、衣替えの時期は、ご利用者と個別に関わることのできる特別な時間です。
■衣類を通じた関係性の構築
衣類を通して、ご利用者の好みを知ったり、服について尋ねたりすることは自然な流れであり、ご利用者も安心して受け入れてくださるはずです。
もし気持ちよく話をしていただければ、「いつ、誰と買ったのか」「そのときの思い出は何か」といった会話に広がり、そこからご利用者の人生の一端を知るきっかけにもつながります。
■QOL向上につながる気づき
例えば、食べることが大好きな方が胃瘻になり、「半年後にはお寿司を口から食べたい」という強い思いを持つことで、嚥下機能のリハビリを頑張れたという話を耳にします。
同じように衣替えも「お気に入りの服を着て外出したい」「あの色をもう一度身に着けたい」といった意欲を引き出すきっかけになるかもしれません。
最後に:衣替えを利用者さんに向き合う時間にしてください!
ご利用者への関心を持ちながら取り組むことで、職員にとっても衣替えは「単なる作業」ではなく、「心が通い合う温かな時間」となるのです。衣替えの時期を是非、有意義な時間にして欲しいと思います。
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・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表
・アモールファティスクール⻑
介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員
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