本日のお悩み:訪問介護の限られた時間の管理術を知りたい!
1日に4名のご自宅に訪問をしているため、限られた時間の使い方がわからず、いつもなんとなくで進んでしまっています。
また、以前はデイサービスで働いていましたが、そのときは時間が余ってしまい何をすればよいかわからないときもありました。
介護の現場において、時間の使い方や、管理のコツがあれば教えてください。
介護サービスは【Time is money】
■執筆者/専門家
株式会社ケアサービスひかり 介護福祉士/介護支援専門員 日本ホームヘルパー協会東京都支部 副会長 2000年4月より24時間365日型の訪問介護事業所の管理者・サービス提供責任者として医療的ケア児から障害・高齢者の在宅介護支援に携わっています。 ヘルパーは、利用者の伴走者であり、先導者でもあり、より安全な暮らしができるように生活見守り隊でもあります。ヘルパー自身も生きて活かされるこの魅力ある仕事を発信し、繋ぎたいと奮闘しています。
■介護は、提供するサービスの時間で報酬が決まる
介護保険制度における在宅サービスの利用料金は、全て、利用した時間の長さで決まります。訪問系は、専門職が、訪問して滞在した時間の長さ「訪問時間」で決まり、通所リハビリテーション・通所サービスは、利用者が、施設に「滞在した時間」で決まります。これらは、介護支援相談員による居宅支援サービス計画書(ケアプラン)で位置付けられていることが必要になります。
■1回のアセスメントで課題設定を適切におこなうことは難しい
ケアマネージャーは「初めまして」の利用者さんの生活をアセスメントしながらサービスを決め、それに係る時間数を想定し、初回のケアプランを作成します。そのためICF(国際生活機能分類)をもとにした「できること」「できないこと」を見出すのは難しいことです。
ケアマネージャー自身の専門性によって、課題設定に違いが生じることも多くあります。そのズレは、特に生活を支援する「訪問介護」サービスには表出しやすいように思えます。
時間が足りない方向け|訪問介護サービスは【タスクとTO DO】
■訪問介護計画書を細分化してみましょう!
それらの援助項目を細分化してタスクとTO DOを洗い出し、必要時間を確認しモジュール表を作成しましょう。タスクについては、以下のモジュール表のように「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等において」(老計第10号)などを参考にして利用者ごとに行っている援助内容に置き換えるとスムーズにできます。
■自立支援の観点で利用者さん主体の声かけも意識しましょう!
一方、利用者さんは生活援助だけでなく、ヘルパーとの「コミュニケーション」も求めており、ホームヘルパーの視点では、「限られた時間のなかで何から始めたらいいの?」と頭を悩ませるでしょう。利用者さんとのコミュニケーションに迷った際は、まずヘルパーが行う援助をタスクにし、その日の援助内容の優先順位を利用者に決めてもらうことから始めましょう。
時間が余ってしまう方向け|利用者さんの心の声、届いていますか?
■適切なサポートができているか確認しましょう
自分が行ったサポートで満足してくれているのか、一度立ち止まって考えてみましょう。介護は意図的に行うものです。ヘルパーが業務を終了し、帰宅したあとに、利用者さんが不満足感を抱いていた場合、利用者さんの時間とお金を損ね、尊厳までも損ねてしまう可能性があります。
時間が余ってしまう方はもちろん、足りないと悩まれている方も、サービス提供責任者に相談し、モニタリングでサポートが適切か確認をしてもらえるとよいでしょう。
■通所型サービスで働く方は、利用者さんがなぜ選んでくれているのかを考えてみましょう!
通所型サービス(デイサービス)も訪問介護と同様にケアプランに位置付けられた介護サービスの1つであり、通所介護計画書において利用者さんの目標を設定しています。しかし、通所型サービスで働く職員の皆さんは、それぞれの利用者が、なぜ、あなたの事業所を利用しているのか、知っていますか?
ケアマネジャーに勧められたからでしょうか。通所型サービスは、1日当たりの利用者数が少ない小規模な施設やリハビリや入浴サービスに特化した施設、理髪ができる施設などさまざまな特徴があります。あなたが所属するデイサービス施設はどのような特徴がありますか?時間が空いたときに、ケアマネジャーに特徴を伝えに営業に行くことは、利用者さんにとって満足のいくデイサービスを選んでもらえるだけでなく、事業継続するうえでも重要な業務となるでしょう。
最後に:時間は有限!目の前の利用者さんにしっかり寄り添いましょう!
通所型サービスでも科学的情報システムLIFEを活用した取り組みのため、利用者さんのADLをアセスメントしていることでしょう。しかし、普段の生活をどれくらい把握できているでしょうか。ICFでの心身機能や身体構造を捉えただけでは、利用者本人が望む生活やその人らしい人生を支援することはできません。
時間の許す限り、目の前の利用者さんに寄り添い、その利用者さんのナラティブ(物語)を聴きましょう。それまでとは違う利用者さんの「顔」を見ることができます。これらをもとに、目の前の利用者さんの意思決定や人生を支援することができるようになります。そして、得た情報をチームで共有し、多職種連携を進めましょう。時間は有限です。
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株式会社ケアサービスひかり 介護福祉士/介護支援専門員
日本ホームヘルパー協会東京都支部 副会長