本日のお悩み:介護施設で利用者さんとできる環境問題への取り組みが知りたい!
利用者さんも一緒にできる取り組みがあれば教えてください。
そもそも環境の日やSDGsとは?
■執筆者/専門家
けあぷろかれっじ 代表 ・NPO法人JINZEM 監事 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。
利用者さんと職員さんが一緒に取り組める「環境の日」にちなんだエコ活動やSDGsへのアプローチについて、具体的かつ実践的にご紹介できればと思います。
記事をご覧になられた方も、より分かりやすいように「環境の日」と、「SDGs」についてのご説明から始めさせていただきます。
■1.環境の日とは
日本では、1993年に「環境基本法」により、この世界環境デーを「環境の日」として定め、環境保全への関心と理解を深め、積極的な活動を促す日として制定されています。
日本では環境庁の主唱により、環境の日を含む6月を「環境月間」としており、様々なイベントが行われています。※
※参考:環境省 「Environment Day & Environment Month 環境の日&環境月間」
■環境の日に向けた取り組みの意義
また、職員にとってもSDGsや環境意識を再確認する好機となり、職場の連帯感やモチベーションの向上にも寄与すると考えています。
さらに、当事者意識の高まりによる、副次的な効果として施設運営のコスト削減や、適切な備品の管理にも繋がっていくと思います。
■2.SDGsとは
あらゆる貧困に終止符を打つことが地球規模の課題であり、持続可能な開発のための必要条件であるとして、達成すべき「17の目標(ゴール)」が設定されています。
貧困や飢餓・平和・ジェンダー平等・教育などの社会面、エネルギーの有効活用・働き方改革・不平等の解消などの経済面、気候変動や環境保護など環境面のように幅広く目標を定めていて、持続可能な経済成長を目指しながら、「誰一人取り残さない」という基本理念のもと、各国が力を結集してゴールを目指しています。※
※参考:外務省 SDGsとは
特別養護老人ホームでできるエコ活動5選
まずは、特別養護老人ホーム(特養)での取り組みから紹介します。
2.グリーン活動(緑化活動)
3.節電・省エネ活動
4.クリーン清掃活動
5.廃棄物のリサイクル
■1.リサイクル活動に繋がるレクリエーション

■ゴミの分別をゲーム感覚で実施
間違い探しやクイズ形式にすることで、これまでの生活を振り返っていくことができ、活発な思い出話も聞くことができるかもしれませんよ。
■古布を使った雑巾作り
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」にもつながり、エコ活動を知りながら、子どもたちへ雑巾を作った思い出や、大掃除の思い出話などもできると思います。
■2.グリーン活動(緑化活動)

■屋外・ベランダ菜園の共同作業
育てて終わりではなく、育てたものを食事やおやつに取り入れることで、日々の生活と自然のつながりを実感できます。軽作業を中心にすることで、利用者さんにも負担なく取り組んでいただける活動になると思います。
■「施設花だんコンクール」の開催
さらに、完成した花壇を見て、職員や利用者さんに投票していただき、優秀ユニットなどを決めていくことで、利用者さんの生活環境が明るくなるでしょう。
■グリーンカーテン
ゴーヤなどの野菜を栽培しながら、グリーンカーテンを設置することで、日陰を作りエアコンの設定温度を高めに設定できると思います。気軽に始められるエコ活動として取り入れやすい取り組みです。
■3.節電・省エネ活動

そこで、環境問題への取り組みとして利用者さんと一緒に取り組んでみるのも1つの策です。
■利用者さんと一緒に「電気見守り隊」
「今日の節電指数」などを定めて、掲示板に記録していくことで達成感が得られると思います。 予めチェック時間を定めておくと、意識的に確認する習慣ができるようになってくるかもしれません。
■4.クリーン清掃活動

■地域の清掃活動
利用者さんが地域から感謝されるきっかけにもつながり、「ありがとう」を伝えてもらうことで、利用者さんにやりがいや喜びを感じてもらうことができます。
■5.廃棄物のリサイクル

■施設で出た食品廃棄物の再利用
導入への予算編成や費用は掛かりますが、食品廃棄物を分解して、堆肥にする機器もあります。施設で出た生ごみなどを活用することで、プランターや畑の堆肥のリサイクルとして、エコな循環を作り出すことができます。
デイサービスでできるエコ活動3選
2.エコクッキング
3.環境の日・イベントデー
■1.エコクラフト制作

■牛乳パックや新聞紙を使った工作
完成品は持ち帰っていただくことができるので、ご家族にも取り組みを知ってもらうきっかけにもなると思います。
■紙すき体験(再生紙づくり)
季節の花などを入れると見栄えもよく、ご家族へのお土産などにもなります。この活動のあと、さらにレク活動の一環として、暑中見舞いなどのお手紙作成にも活用できます。
■2.エコクッキング

■地元の旬野菜を使った調理レク
皮まで使うレシピなどを紹介し、無駄のないレシピを作成することで、SDGs目標2「飢餓をゼロに」の項目に貢献することができます。
■3.環境の日・イベントデー

■エコ祭りの企画、実施
職員も法被(はっぴ)などを着て参加し、施設全体で盛り上げられるとよいでしょう。
ショートステイでできるエコ活動3選
2.エコに関するインタビュー企画
3.リサイクルレクの実施
■1.環境ポスター作り

商業施設などとも協力することで、地域との交流の機会にもなります。
■2.エコに関するインタビュー企画

■「昔の暮らしから学ぶエコ」聞き取り企画
戦後の再利用文化や節電の知恵は現代にも通ずる内容が多く、世代間交流としても有意義になると思います。さらに、その知恵袋をカプセルトイにして、おみくじ感覚で今日のエコ教訓として毎日発表していくのも良いかもしれませんね。
■3.リサイクルレクの実施

■廃油を使用したオーガニック石鹸製作
廃油での石鹼製作は、もしかしたら小学校の頃に学校で制作したことがある方もいらっしゃるかもしれません。廃油と化成ソーダで加工した石鹸は、清掃などに活用もできます。施設やご家庭へ持ち帰っていただくことも可能です。ただし注意点として、誤飲はもちろんのこと、身体や頭皮には使用しないようにしてください。
最後に:特別なことではなく、日常の中にエコを取り入れていきましょう!
それこそが、自ら動きたくなる原動力となり、自立支援にも繋がり、持続可能で心豊かなケアの一環になっていくと思います。
また、こうした取り組みを広報誌やSNS、地域イベントなどで発信することで、地域からの信頼と共感を生み、安心の輪を広げることにもつながります。 6月5日をきっかけに、1年を通じた「環境にやさしい施設運営」を職員の仲間と共に育んでいきましょう。
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・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士