「介護の魅力を伝えたい」そう思った時に意識したいこと
■執筆者/専門家
社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士 介護現場の職員の後、祖父の在宅介護での後悔と、自身の介護うつ経験から、そのきっかけになった排泄の支援を追求すべくおむつメーカーへ転職。 1000人以上の方のおむつ交換に触れ、介護する側もされる側も双方が「シッカリ出して、スッキリ生きる」ことが、より良い人生に繋がる。気持ち良く「出す」ことをサポートすることで良い循環が生まれることを実感する。
それでも、2040年には「介護職は57万人不足する」といった推測から、介護の魅力発信は、まだまだ十分ではなく、今後も業界全体で向き合う必要があるとも言えるテーマです。
そんな中、「介護の魅力発信」という表現を耳にしたことがあると思います。国としても推進しているこのテーマ、どんな目的で発信するかでも変わりますが「介護の仕事」を伝えるときに意識したいことについて、自身のキャリアの始まりから例を挙げ、整理していきたいと思います。
【事例あり】大関さんと介護の仕事との出会い
■私のキッカケからみる職業との出会い
子どもながらに「世の中にこんなに居心地の良い場所があるんだ」と感動し、その温か さは強烈に記憶に残りました。それが「介護施設」との初めての出会いでした。 それ以来「介護職」を目指して学校へ進んだ、というのが私のキャリアの始まりです。
■自分の大切にしたいものを見逃さない
そんな「なりたい人物像」が「介護職」だったから、介護業界に興味を持ったと言えます。
■大切にしたいものや譲れないものに気づかせるのが発信者の役目
何千とある職業の中から今の仕事を選んだ理由は、どのようなものですか?
人生の中で「どんな仕事をするのか」はとても大きな選択です。でもそのキッカケは、些細なことだったり、偶発的なものであるかと思います。何に惹かれるのか、も個人によって全く異なるはずです。 ですが、その根っこにある自分だけの「大切にしたいもの」「譲れないもの」が隠れているコアな部分を早い段階に知ることができると、仕事を選択する際の迷いがなくなり、納得のうえでキャリアを描くことにもつながります。
また、その譲れないものに気づくことができるようなメッセージの発信を、意図的に発信側も行う ことで、業界への興味関心を引くことや、ミスマッチを防ぐことに繋がると思います。
大関さんが介護の魅力を発信するうえで意識していること
■1.介護職の価値と向き合ってみましょう
誰しもが老いに向かう道の上、 必ず必要な仕事だけれど、悲しみや辛さが多いゆえに見ないようにしている場所に光を当てる、そんな価値や役割をもつのが「介護職」ではないでしょうか。
■2.介護職の専門性を理解しましょう
しかし実際の介護職は、利用者さんそれぞれのこれまでの人生や経験に目と耳を向けながら、体や心の変化に触れ、その中でその方らしい暮らしを守ろう、生きようと思うことを支えようとすることが仕事です。
その方の生きる力を見つめて邪魔せず、生活を整えていくためには「身体のしくみ」と「心のしくみ」を理解したうえで、その人にとって最適な暮らしのために、毎日・毎瞬の優先順位と関わり方を考えていくことが必要です。そのような関わり自体が、介護の専門性となっています。
そして、実はこの唯一無二の専門性自体がすでに魅力であるということを、発信者側がどれだけ意図してメッセージを届けていくことができるかが重要なのです。
施設や事業所ができる介護の魅力を広める方法
■1. 自己理解促進への取り組み
では、働く人が主体性をもって行うキャリア形成には、どんなステップがあるかというと、一連の行動として示されているのが、下記の6ステップです。その中で、どのような働き手にとっても、自らが主体的にキャリア形成を行ううえで基本となるものの1つ目に「自己理解」が挙げられています。
ーキャリア形成の6ステップ
■2. ケアの質を高める取り組み
産休明けでモチベーションが下がっていたが、ケアの改善によって自分の大切にしたいものが見つかったそうです。
毎日が「当たり前」と慣れきってしまうと、思考停止状態で「こなすための仕事」に陥りがちで、そこからはポジティブな変化は起こらず、大変さだけが残ります。そうならないために、習慣やその世界の常識にとらわれず「違和感」を大切にできる現場であることは、大切なポイントかと思います。
もっとストレートに、人が生きるということや、人生に向き合わせてくれる仕事であるといった「生の声」の発信を行うことで、受け取る側の琴線に響くチャンスが増えるでしょう。
まとめ:介護業界の「魅力発信」を行い続けましょう!
個人のキャリアは、「計画的偶発性理論」によると、8割は偶然から作られると言われています。※
この理論を参考に考えてみると、「はじめから介護業界を目指す人には自分の価値観の言語化」を、「異業種から介護業界を目指す方へ向けては、介護ならではの真の専門性が真っ直ぐに届くよう」意識して発信することで、興味関心を持ってもらえるきっかけになるのではと思います。
※参考:計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)ジョン・D・クランボルツ 1999年発表
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社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士