本日のお悩み:介護職への入職前1ヶ月でできることとは?
4月から新しい職場に入るにあたって、3月の1ヶ月間でできることや、やっておいたほうがよいことがあれば教えてください。
春は「原動力」を育む大切な時期!
■執筆者/専門家
社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士 介護現場の職員の後、祖父の在宅介護での後悔と、自身の介護うつ経験から、そのきっかけになった排泄の支援を追求すべくおむつメーカーへ転職。 1000人以上の方のおむつ交換に触れ、介護する側もされる側も双方が「シッカリ出して、スッキリ生きる」ことが、より良い人生に繋がる。気持ち良く「出す」ことをサポートすることで良い循環が生まれることを実感する。
春という季節は、桜のつぼみのように、これから新しい場所で咲こうとされる方の「原動力」を育む大切な時期ですね。私自身も新人時代、先輩方の温かい言葉に何度救われたかわかりません。
仕事が始まるまでの、この期間にできることを模索されている相談者さんは、もうすでに立派な援助者でいらっしゃるなと思いつつ、私なりの失敗と気づきから、アドバイスをさせてください。
入職前1ヶ月でおすすめの過ごし方4選
2.知識よりまずは「心の準備体操」を行いましょう
3.本物の自分のリフレッシュ方法を探しておきましょう
4.「頼る力」を準備しておきましょう
■1.自分の原動力の確認をしましょう

私の場合は、大好きだった祖父の存在が大きいです。どんなにしんどくても、祖父の写真を見たら「そうだった、私はこのために今の仕事を選んだんだ」と思い出すことができます。ご相談者様も自分の中にある「原石」を見つける作業から始めてみませんか?
私のおすすめは、自分の好きなノートに思いつくがままに書き出す方法です。そして、それを思い出せるようなアイテム(写真やそれを表す記念品など)を、目につく場所に置いておきます。原動力やきっかけは、すぐに見つからないこともあると思います。しかし、見つかれば、いつでも心にガソリンを注ぐことができるようになるので、ぜひ、ノートを気軽に開いて原動力と向き合う時間を持ってみてください。
■2.知識よりまずは「心の準備体操」を行いましょう
介護職として働きだし、日々の業務に追われてしまうと、利用者さんの普通の生活が見えづらくなってしまいます。そのため、業務に携わる前に、公園でお年寄りの歩き方を見る、銭湯でお風呂の入り方をこっそり観察する、スーパーで買い物かごを持つ手の動きを想像する…そんな日常トレーニングを始めてみてはいかがでしょうか?
現場で長く、そして本当に役立つのは、意外と思われるかもしれませんが「生活者の目線」です。特別なことじゃなくて大丈夫です。あなたの「気づきアンテナ」を少し広げてみるだけで、4月からの現場がぐっと近くなりますよ。
■3.本物の自分のリフレッシュ方法を探しておきましょう

●介護職は心を預かる仕事
感情労働とは、仕事の中で自分の感情を意識的にコントロールし、相手に適切な情緒的反応を示すことを求められる労働形態を指します。介護職意外にも、接客・教育など対人サービス職に顕著ですね。
例えば、疲れていても笑顔で接する、とか、自分の感情を抑制して冷静に対応するなどといった行為が該当します。介護現場のあるあるで言えば、認知症の方に同じ質問を1日20回繰り返されても穏やかに答え続けることでしょうか。
介護は「心を預かる仕事」なのではないかと思います。利用者さんの不安やご家族様からの期待を一身に受けることが多いです。私も共感性が高い性質なので、頭が仕事のことでいっぱいになりすぎると、仕事は終わっているのにボーッとすることも(笑)。そんなときは「感情のシューズを脱ぐ時間」を作るのがコツ。簡単にいうと「リフレッシュする時間」ですね。
●本物のリフレッシュ方法を見つけましょう
周りに言われたことや、惰性で行ってしまっていることなど、欲求としてはたしかにあるけれど、偽物のやりたいことを続けている方がとても多いです。
『偽物のやりたいこと』は、それをやっても「あぁ、休みが終わっちゃったな」と、仕事に向かう気力が湧いてこなかったり、満たされないものです。流行っていたり、みんながやっていたりするからといって、それが自分にも合っているかは分かりません。逆に、充実感があって、仕事も頑張ろうと思えるような過ごし方が、本物のリフレッシュ方法です。
●自分の行動に点数をつけ、本当のリフレッシュ方法を見つけましょう
行動は、テレビやスマホゲーム、食べ放題、山登りやカフェでコーヒーのように自由です。点数が高いものが、今のあなたにとって本物のリフレッシュ方法です。自分にとってのリフレッシュ方法を知っておくと、充実した時間を過ごすことができ、しっかり心が充電されます。
趣味を見つける際、やったことのないことにチャレンジするのも素敵ですね。新しい友人を作ることにも繋がるし、仕事以外のサードプレイスができるかもしれません。感情のメンテナンスは、ケアの質を守る盾です。実は「自分を満たす技術」が大切。
私が実践しているのは「朝の散歩」と「甘いものを我慢しないこと」です(笑)
これも立派なセルフケア。重要なのは「感情の消耗」を自覚し、「心のオイル交換」は定期的にしていくこと。感情労働は尊い仕事の代償として発生するものです。適切なセルフケアを身につけ、共に歩む技術が、長く現場で働く秘訣です。
■4.「頼る力」を準備しておきましょう
現場で一番最初に学んだのが、これでした。新人時代、失敗してトイレで泣いていたとき、先輩が「大関さんのその涙、利用者さんへの想いでしょう?それだけで十分だよね」と励ましをもらったことがあります。そして、失敗の原因を先輩に相談したら、一瞬で解決しました。自分の頭だけで考えていることは、本当に視野が狭く、先輩に聞くことは悪いことではなく、結局1人で考えているより利用者さんのためになったことを今でも覚えています。
「自分が頑張れば・我慢すれば良いんだ」「こんなことくらいで頼ってはだめだ」と思いがちな性格であれば、仕事上ではより意識して周りを頼ってください。きっとご相談者さんも、人から頼ってもらえたら嬉しいはずです。その、相手に華を持たす役目を奪わないためにも、辛いときには辛いと言ったり、1人でどうにかしたりしないことを、意識してみてください。
最後に:今しかできないことを楽しみつつ、自分らしさを見つけましょう
技術や知識は働いている中であとからついてきます。今しかできないことを楽しみつつ、ご相談者さんらしい過ごし方やリラックス方法を見つけることで、介護業界でもぐんぐん花咲いていくことを、祈っております。
■あわせて読みたい記事

介護施設への入職初日!準備すべきこととは?【持ち物や心構えなど大切なポイントを解説!】 | ささえるラボ
https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/766[2024年6月更新]介護職の入職初日は緊張しますよね。入職初日の持ち物や準備しておくべきことをしっかり確認しスムーズに初日を迎えましょう。

介護職1日目、初日から辞めたいと思ってしまった…「入社1ヶ月の壁」を越えるためには? | ささえるラボ
https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/780[2024年6月更新]どんな仕事にも「入社1ヶ月の壁」があります。働く前に抱いていたイメージとのギャップに悩んでいませんか?そんなときの解決方法をお伝えします。【回答者:大庭 欣二・伊藤 浩一】
ささえるラボ編集部です。
福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします!
「マイナビ福祉・介護のシゴト」が運営しています。