本日のお悩み
入居された利用者に龍の刺青があります。
背中、両腕、両腿、そして指が3本なく、刑務所にも入った事があるようです。
今は改心されたとの事ですが、なぜそのような人を誠心誠意介護しなければいけないのですか?
生も死も平等だから?改心すれば許される?
入居者様に寄り添い、少しでも幸せだったと最後を迎えて欲しい。
その一念で辛くても働きがいを持って頑張って来ました。
でも、その人は気持ち悪いと感じてしまいます。
要介護5ですが、とても介護する気になれません。
会社も信用出来なくなってしまいました。
こういう気持ちに、どう対処すればいいですか?
相談者:M さん
なぜその方に入居頂いたのか意図を確認してみてはいかがでしょうか。
そうですよね。気持ちの整理が難しいですよね。
もやもやしている気持ちはとても理解できます。
私の経験も踏まえて回答させて頂けましたら幸いです。
■入居判定の意図を確認しましょう
まず、施設への入居判定の際に色々な情報を知ったうえで入居を決められていると思います。
なぜ入居を決めたのか、その意図と想いを確認してはいかがでしょうか。
■専門家・平栗さんの経験から
実は、私も同じような経験があります。
その方は何かと色々な方に高圧的に接していまして「おれを誰だと思っているんだ!」と常に怒鳴っておられました。
更衣をする際は、上腕と胸に大きな刺青が入っていました。
職員やご利用者の皆さんも怖がり、どう対応していいのかわかりませんでしたので入居を決めた方に聞いてみたのです。
「なぜこの方にご入居頂いたのですか?」と。
すると、このような話を教えてくださいました。
「この方はずっと事業をされてきた社長さんで、知人と一緒に会社を作ったんです。
でも知人の方に騙されてしまい、会社のお金を持ち逃げされ、自暴自棄になってしまいました。
人を信用できなくて、もう人に近づいてほしくないから身体に刺青を入れて周りの方々を警戒するようになったみたいです。
刺青怖いよね。でもその方は苦労されて生きてこられてきたんだよ。
色々な施設に断られてうちに入るしかなかったんだよね。
だから私たちが介護を提供することで最期くらい安らかに暮らしてほしい。
そう思ったんだよね。」と。
私は見た目にとらわれて、その方をしっかり見れていなかったなと反省しました。
■なぜそういう判断になったのか?背景を理解する
納得できないこと、理解できないことは仕事をしているとありますよね。
その時は「なぜそういう判断になったのか」を確認すると、見えない意図や背景が見えてくることもあるかもしれません。
参考になりましたらうれしいです。
株式会社コンソーシアムジャパン 代表取締役
有限会社ケアステーション大空 代表取締役
一般社団法人日本介護協会 理事長