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そこで今回は、介護職の採用試験でよく出るテーマと例文を紹介。あわせて、介護施設が作文を出題する理由や作文作成のポイント、注意点、必要な対策を解説します。
介護職の採用試験で作文を出題する理由・目的
■1.作文課題を通じて見られる「人間性」
介護職に求められるのは、単なる介護スキルだけではありません。質の高い介護サービスを提供するためには、思いやりを持って利用者に接することができる人柄や、高齢者を尊重し、プライバシーや安全性の確保に配慮できる倫理観が不可欠です。
たとえば、「介護観」や「理想とする介護職像」といったテーマで作文を課すことで、応募者の価値観や人柄、倫理観を読み取ることができます。これは、面接だけでは見えにくい内面を知るための有効な手段となっています。
■2.理解力・思考力・関心の深さを測る
また、介護施設によっては、時事問題をテーマに小論文を課す場合もあります。こうした課題では、応募者が介護業界の現状や課題にどれだけ関心を持ち、知識を持っているかを見極めようとしていると考えられます。
「介護職採用試験の作文」作成の基本ポイント4つ
では、どのように書けば、読み手にしっかりと伝わる作文になるのでしょうか。ここでは、作文作成のポイントを解説します。
2.丁寧な言葉遣いを心がける
3.介護への思いを自分の言葉で伝える
4.自分の体験談を盛り込む
■1.結論から書く
また、結論を先に示すことで、「なぜそう考えるのか?」という関心を引き出し、自然とその後の内容に引き込むことができます。文章を書くのが苦手な人にとっても、取り入れやすいテクニックです。
■2.丁寧な言葉遣いを心がける
丁寧な言葉や文字は、利用者に対しても誠実に接することができる人物であるという印象を与えます。書き終えた後は、誤字脱字がないかを必ず確認し、必要に応じて修正しましょう。
■3.介護への思いを自分の言葉で伝える
そうすることで、他の応募者とは異なる、自分らしい作文になり、説得力も増します。
■4.自分の体験談を盛り込む
具体的な体験談があることで、読み手は応募者の行動や考え方をよりリアルにイメージすることができます。結果として、人柄や思いがより深く伝わる作文になります。
介護職採用試験の作文でよく出るテーマと例文5選
2.あなたが目指す介護職像
3.理想とする介護とは
4.利用者にとって良い介護施設とは
5.超高齢社会における介護施設の役割とは
■1.介護の仕事を選んだ理由
このテーマは応募書類や面接でも問われることが多いため、基本となる文章を準備しておくと、さまざまな場面で応用できます。
■例文1
介護に興味を持ったきっかけは、趣味で続けている音楽活動の仲間に誘われて、高齢者施設でピアノ演奏をしたことです。演奏後、利用者の皆さんとお話しする機会があり、「ありがとう」「よかった」と声をかけてもらい、人の役に立てたという喜びを感じました。
また、施設で働く介護職の方々が、利用者さんに優しく声をかけながら丁寧に接している姿を見て、介護職は身体だけでなく心もケアする仕事なのだと気づきました。私も心身のケアを担う介護職として、多くの利用者さんと関わっていきたいです。
■例文2
地域の高齢者支援の現状を調べるうちに、介護サービスと介護職の存在が高齢者の安心した暮らしに欠かせないことを痛感しました。また、地元でも介護人材の不足が課題となっていることを知り、介護を通じて地域に貢献したいと考えるようになりました。
現場で経験を積んだ後は、介護福祉士の資格を取得し、新人の指導や研修にも携わりたいです。介護人材を育て、高齢者が安心して暮らせる社会づくりに貢献したいと思っています。
■2.あなたが目指す介護職像
「自分がどんな介護職になりたいか」を、できるだけ具体的なエピソードとともに率直に伝えることが大切です。
■例文1
また、担当の職員さんが祖母の体調や様子を丁寧に説明してくれたことも印象的でした。その経験から介護職に興味を持ち、昨年、介護職員初任者研修の資格を取得しました。
これから現場経験を積み、祖母をケアしてくれた職員さんのように、自然な笑顔で利用者さんを安心させられる介護職を目指したいです。
■例文2
その経験から、他職種と連携することで、より良いケアが提供できることを学びました。情報共有や意見の尊重を大切にしながら、共通の目標に向かって動くことが重要だと感じています。
今後は介護施設で、他職種と連携しながら質の高いサービスを提供し、利用者さんの生活の質を高めることに尽力したいです。また、介護福祉士の資格も活かし、将来的にはリーダーとして新人教育にも携わりたいと考えています。
■3.理想とする介護とは
介護関連の情報を、求人サイトや介護職員初任者研修のテキストなどで確認したうえで、自分の介護観を伝えることが求められます。
■例文1
介護職は、利用者さんが自分でできることを尊重し、見守りながら必要な部分だけを支援することが基本です。食事や着替えの際にも、自分でできる部分は任せ、できない部分だけを手助けする。そうすることで、達成感や喜びを感じてもらえる介護が実現できると考えています。
■例文2
仲間と協力し合いながら働き、自分自身の人生も充実させることが、良い介護につながると考えています。また、利用者さんの家族の心の余裕も大切です。安心して施設を利用してもらうためには、介護職が積極的に様子を報告したり、相談に乗ったりする支援が必要です。
利用者さんも、そのご家族も、そして介護職自身も元気になれるような、関わる人すべてが幸せになれる介護が私の理想です。
■4.利用者にとって良い介護施設とは
応募先の施設の理念と大きくずれないよう、事前にパンフレットやホームページを確認し、理念を理解しておくことが重要です。
■例文
そのためには、介護職が利用者さん一人ひとりの気持ちを尊重し、プライバシーに配慮した細やかなサービスを提供することが必要です。また、生きがいにつながるレクリエーションや、利用者さん同士が交流できる場を設けることも大切です。
良い施設をつくるには、組織全体で理念や意識を共有し、チームとして連携することが欠かせません。私もその一員として、利用者が安心してくつろげる空間づくりに貢献していきたいです。
■5.超高齢社会における介護施設の役割とは
日頃から、介護施設が社会に果たす役割を広い視点から捉え、自分の考えを整理しておくことが大切です。
■例文
施設では夏祭りや秋祭りなどの地域イベントが開催されるほか、学生ボランティアの受け入れなどを通じて、利用者さんや職員以外の人々が訪れる機会も多く、多世代の交流の場としての役割も果たしています。
さらに、介護職を目指す人たちへの研修を実施する施設もあり、介護人材の育成にも貢献しています。介護施設は、利用者さんを支えるだけでなく、その家族の負担を軽減することで、現役世代の生活を支える役割も担っています。
今後の介護施設は、生活インフラとしての機能をさらに強化しながら、人と人とをつなぐ重要な役割を果たしていくことが期待されていると考えます。
介護職採用試験の作文作成時の注意点

いずれの場合も、読み手に誠実さや自身の強みが伝わるよう、以下の点に気をつけて作成するようにしましょう。
2.生成AIの文章をそのまま使わない
3.応募先の理念を理解しておく
4.読みやすさを意識して、一文を長くしすぎない
5.テーマに沿った内容を書く
■1.コピペや盗作をしない
採用担当者が知りたいのは、応募者自身の人柄や介護観です。そのため文章が多少拙くても、自分で考えた内容のほうが、ずっと説得力があります。例文の構成や表現を参考にする程度であれば問題ありませんが、必ず自分の言葉で書くようにしましょう。
■2.生成AIの文章をそのまま使わない
また、場合によっては、AIによる文章だと読み手に見抜かれることもあるでしょう。AIを参考にする際は、自分の体験や考えを加え、文面全体を自分らしく修正することが大切です。
■3.応募先の理念を理解しておく
たとえば、効率重視の集団ケアを行っている施設に対して、「一人ひとりにじっくり寄り添ったケアをしたい」と書いてしまうと、施設の方針と合っていない、応募先をしっかりとリサーチしていないと判断されるかもしれません。
■4.読みやすさを意識して、一文を長くしすぎない
特に、「〜が、〜」「〜ので、〜」といった接続が続く場合は、文を2つに分けることを意識しましょう。簡潔でわかりやすい文章は、読み手に好印象を与えます。
■5.テーマに沿った内容を書く
テーマから逸れた話題や関係のない情報を盛り込むと、理解力やコミュニケーション力に疑問を持たれる可能性があります。テーマに対して自分の考えを丁寧に述べることで、好印象を持ってもらえる可能性が高まります。
選ばれる作文を書くために、日頃からできる3つの対策
2.日頃から介護関連のニュースに触れる
3.正しい文章の書き方を身につける
■1.自分の介護観を整理しておく
介護職を志したきっかけを振り返りながら、書籍や初任者研修のテキストなどを参考にして、介護の基本を学びつつ自分の考えを整理してみましょう。
■2.日頃から介護関連のニュースに触れる
特に、介護報酬や制度改正など、介護に関する最新のトピックはこまめにチェックしておくと、作文に説得力を持たせることができます。
■3.正しい文章の書き方を身につける
これらのケースを避けるために、採用試験に向けて、書き言葉の基本や正しい文法を本や教材で学び直しておくと安心です。また、よくあるテーマで作文を練習し、周囲の人に読んでもらって意見を聞いたり、文章が得意な人に添削してもらったりするのも、質を高める方法の一つです。
「よくある作文のテーマ」を面接で聞かれたら?

面接で答える際も、まず結論を伝え、そのあとに体験談を交えて理由を述べるという流れが基本です。文章で伝えるとき以上に、簡潔にまとめて話すことを意識しましょう。ただし、あまりに短すぎると、仕事への思いや意欲が十分に伝わらないこともあります。
人が1分間に話せる文字数は、約300字前後といわれています。面接で話すときは、1分程度を目安にすると、内容も伝わりやすく、聞き手にも負担をかけません。ハキハキとした口調で、早口にならないようにゆっくり話すことも大切です。
まとめ:作文のスキルは、応募書類の作成にも活かせる!
特に作文に苦手意識がある人は、就職や転職に備えて、文章を書く練習をしたり、介護関連のニュースに目を通したりと、日頃から自分なりの準備をしておくことが大切です。
また、介護職の採用試験で出題される作文のテーマには、応募者の介護観を問うものが多く見られます。自分がどんな介護職になりたいのか、どんな介護をしたいのかを、日頃からじっくり考えておくことが、作文にも面接にもつながる重要な準備となります。
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