介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~
■監修者
作:伊藤 美穂
編集:株式会社サイドランチ
今回のケース、どう対応すればよかった?認知症の症状を知って、適切なケアを!
執筆者
まず認知症とは、一度正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった「状態」を指します。
つまり「認知症」という疾患があるわけではありません。
■認知症の代表的な中核症状5つ
代表的な認知症には、脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症などがあり、それぞれに特徴がありますが、共通する症状は中核症状と呼ばれ、以下のような症状が現れます。
・記憶障害
新しいことを覚えられなくなったり、直前にしていたことや聞いたことを記憶することが難しくなる。
・見当識障害
時間や場所、季節など自分の今の状況を把握することが難しくなる。
・実行機能障害
物事を行うときに計画を立て、順序立てて行うことが難しくなる。
・失行
食事や更衣など、日常的に行っていた動作や物の操作が運動機能の障害がないにもかかわらず難しくなる。
・失認
・実行機能障害
自分の身体の状態や自分と物との位置関係、目の前にあるものが何かを認識することが難しくなる。
■BPSD(行動・心理症状)にも着目を
また、環境や精神状態によってはBPSD(行動・心理症状)と呼ばれる症状が現れることもあります。
これは、多動や不潔行為、暴力行為といった行動や、妄想、幻覚、誤認といった精神に症状が現れることです。
一般的に、中核症状は次第に進行が見られますが、BPSDは適切なケアで軽減することが出来るとされています。
■今回のケース、どう対処するべき?
今回のケースの場合、利用者さんはこのBPSDによって身体の不快感を「誰かがやった」と被害的に捉えた可能性が高いです。
これは、排便という行為に対して、記憶障害や見当識障害、失行といった認知症の中核症状に加えて、身体の不快感を正確に理解できず混乱や不安、気持ち悪さ、羞恥心などを感じることで現実と異なる認識で自分の心を守ろうとする=誰かの仕業に違いないと思おうとする、という心理が働いているのではないかと推察されます。
共感とその後の対応方法を伝えましょう
この場合、マイさんの対応にあるように本人の発言を否定せず「気持ち悪いですよね。すぐにきれいにしますね」「大変でしたね。着替えを用意するので大丈夫ですよ」などと声をかけ、本人の不快感に対しての共感と、これから行う行為について具体的に伝えるようにしましょう。
利用者さんの羞恥心や不安に配慮を
怒り出してしまう利用者の方の気持ちの背景には、不快感だけではなく、羞恥心や不安、混乱といった感情があります。その気持ちに寄り添い、配慮しながら対応することで、利用者さんの感情にも変化が現れてくるはずです。
また、このようなことが続く場合は、精神面からのアプローチだけではなく、排泄のリズムのチェックや介入のタイミング、下剤の有無など排泄ケアの面からも対応を検討していきましょう。
今回のお話し
マイさんが出勤すると、怒りに震える利用者さんが…
一体どうしたのでしょうか?!
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「信じられないわ、誰かが私のパンツに大便を入れたのよ…!」
そう、これは誰かがやったことにして
急いで下着を取り換えるマイさんなのでした。
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次回もお楽しみに♪
ささえるラボ編集部です。
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