マイナビ福祉・介護のシゴト
介護の事故、振り返るときに大切なのは?事故を4つの側面から見つめましょう

介護の事故、振り返るときに大切なのは?事故を4つの側面から見つめましょう

1番大切なのは、同じことを繰り返さないこと【回答者:古畑 佑奈】


本日のお悩み

先日、置いていた薬を隣の席の方が一口飲んでしまうという事故(誤薬)を起こしてしまいました。数日後よりレベルが落ちてきて、ご自分で食べることができなくなってしまいました。
上司に相談しましたが、薬は少量であったし、もしその影響ならすぐに出るから違うと言われました。

数週間後、車椅子からの移乗の際、私のミスでベッドの高さを下げておらず、ギリギリの所でベッドに一緒に倒れ込むような形で移乗してしまいました。
その日の夜に39度の高熱が出て、1日で下がったものの、また食事が入らなくなってしまいました。上司や看護師にも伝えましたが、大丈夫だと言われました。

自分が介助したせいでこの方を苦しめてしまってると思うと、胸が痛いです。
いつも何か起きるたび自分のせいだと思って苦しくなります。
こんな時、どうしたら良いのでしょうか。

相談者:ゆず さん

1番大切なのは、同じことを繰り返さないこと

古畑 佑奈

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/19

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

自分に責任を感じて苦しくなってしまう質問者さんは、普段から責任感の強い方なのではないかと感じました。
仕事がつらくなるほどにご自身を責めてしまうことは、利用者さんにとってもつらいことだと思います。

大切なのは「過ちを繰り返さないこと」

ただ、私はその責任感を持ち続けることはとても大切なことだと考えています。
なぜなら、1番大切なことは同じ過ちを繰り返さないことだからです。

私たち介護職は、時に命にかかわる仕事をしているからこそ
些細なミスもきちんと振り返り、同じことが起きる前に予測することが出来るようになることが大事だと思います。

今回のケースについて

今回のケースについては、
・誤薬の事故と食事量低下
・移乗時の事故と発熱
の因果関係があるのではないかと責任を感じているのですね。

薬の内容や細かい状況が分かりませんが、きっと上司の方や看護師さんは状況から見て因果関係が薄いと判断してそのように声をかけたのではないかと思います。

事故は、起きてしまうもの。
生きている限り、この宿命からは逃れられません。

大事なのは、事故が起きる前に予測して必要な対策を取っていたか。事故を起こしてしまったあとにどう対応したか。
それしかないように思います。

事故の振り返りに活用できる、4つの側面

質問者さんは今回の件で、誤薬や移乗の事故の振り返りをされたでしょうか?

事故というのは、
・人的な要因
・環境的な要因
・物理的な要因
・マニュアル等のソフト的な要因
など様々な要因が重なって起きていることが多いので、もし振り返りをされる際はこれら4つの側面からも考え、チームで対策を検討してみてください。

移乗の事故の場合は?

人的な要因:「ベッドの高さを下げ忘れた」
環境的な要因:「時間に追われており慌てて介助に入ってしまった」
ソフト的な要因:「まだ介助に慣れないのに1人で対応してしまった」

こういったことは、質問者さんだけではなく、同じ状況で対応した人が「起こすかもしれない」事故であり、チームで共有して防ぐ必要があります。

責任を取るということは、自分を責めることではない

きっと質問者さんは、小さなことでも「私のせいで」と感じてしまう場面が多いのかもしれませんね。
ただ、事故は誰もが起こす可能性があるものです。事故を恐れて何もしないということになってしまうと、誰しもずっと布団で横になったままが1番安全だということになってしまいます。

責任とは、自分を責めて後悔することではなく、同じ誤ちを繰り返さないように振り返り、分析し、次同じようなことが起きた場合に備えること。
そんな風に考えてみてはいかがでしょうか。

専門家への質問はこちらから!

この記事のライター

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

関連する投稿


生前整理や終活の進め方とは?介護職がアドバイスを求められた際のポイントを解説します!

生前整理や終活の進め方とは?介護職がアドバイスを求められた際のポイントを解説します!

介護職として働いていると、生前整理や終活について利用者さんやそのご家族から相談されることもあるのではないでしょうか。この記事では、生前整理や終活について相談を受けた際に、介護職がスムーズに対応できるポイントを紹介します。【執筆者/専門家:羽吹さゆり】


介護職は人見知りでも大丈夫!現場で使えるコミュニケーションのポイントを解説します!

介護職は人見知りでも大丈夫!現場で使えるコミュニケーションのポイントを解説します!

「人見知りだけど介護職に挑戦したい!」「介護職はコミュニケーションが多いから人見知りだとできないんじゃないの?」この記事では、そのような悩みを抱える方に介護現場で人見知りを克服しながらコミュニケーションをとるポイントを紹介します!そもそもなぜ人見知りは起こるのか…根本から解決していきましょう!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


介護職が楽すぎるって本当?噂の実態と、働きやすい施設の選び方を紹介!

介護職が楽すぎるって本当?噂の実態と、働きやすい施設の選び方を紹介!

介護職はよく「楽すぎる」と言われることがあります。実際はどうなのでしょうか。この記事では、介護職が楽すぎると言われる理由や、介護業界の実態、働きやすい施設の選び方やサービス別の特徴を紹介します。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


介護職で新人教育担当に!新人職員、Z世代、年上の部下への声かけの例やポイントを紹介します!

介護職で新人教育担当に!新人職員、Z世代、年上の部下への声かけの例やポイントを紹介します!

年次を重ね、教育担当や指導担当になり、心配な方も多いのではないでしょうか。また近年、Z世代との向き合い方が課題とされていたり、介護業界に多い年上の部下との付き合い方もやはり気になるのでは。この記事では、新人教育担当になった方にむけて、声かけの具体例やポイントなどを専門家が徹底解説します!【執筆者/専門家:伊藤 浩一】


介護現場で活かせるコーチングとは?コーチングの活用方法やポイントを解説します!

介護現場で活かせるコーチングとは?コーチングの活用方法やポイントを解説します!

人材不足が問題視されている介護業界において、コミュニケーションはストレス軽減や、ケアの質の向上においてより重要となってきています。この記事では、コーチングのポイントや、そもそもコーチングとティーチングは異なるのか、介護現場ではどのように実践すればよいのかなどを専門家が解説します。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


マイナビ福祉・介護のシゴト 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東・甲信越】
【北陸・東海】
【関西・中四国】
【九州・沖縄】

最新の投稿


機能訓練指導員になるには?必要な資格、仕事内容、年収やキャリアまで徹底解説!

機能訓練指導員になるには?必要な資格、仕事内容、年収やキャリアまで徹底解説!

機能訓練指導員とは、高齢者や障害者の身体機能を改善・維持するための訓練を提供する専門職です。高齢化とともに社会でのニーズも高まっています。この記事では、そんな機能訓練指導員になるために必要な資格や、仕事内容、給与事情などについて徹底解説します!


第148話 「美容トーク」/ほっこり介護マンガ

第148話 「美容トーク」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


福祉用具専門相談員の資格を取るには?難易度や費用、仕事内容なども徹底解説!

福祉用具専門相談員の資格を取るには?難易度や費用、仕事内容なども徹底解説!

主に福祉用具貸与・販売事業所で、福祉用具の選定や提案を行う福祉用具専門相談員。その資格は、指定された講習を受けると取得できます。この記事では、資格の取得方法だけでなく、福祉用具専門相談員の仕事内容や給与事情などの基礎情報も紹介します。


生前整理や終活の進め方とは?介護職がアドバイスを求められた際のポイントを解説します!

生前整理や終活の進め方とは?介護職がアドバイスを求められた際のポイントを解説します!

介護職として働いていると、生前整理や終活について利用者さんやそのご家族から相談されることもあるのではないでしょうか。この記事では、生前整理や終活について相談を受けた際に、介護職がスムーズに対応できるポイントを紹介します。【執筆者/専門家:羽吹さゆり】


第147話 「生産性向上」/ほっこり介護マンガ

第147話 「生産性向上」/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


マイナビ福祉・介護のシゴト
「マイナビ福祉・介護のシゴト」は、福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
介護職をはじめ、福祉・介護業界に関連する職種の求人を掲載しています。
本当に自分にあった施設や事業所を、ご自身で手軽に探すことができるよう職場の雰囲気がリアルに伝わる情報を用意することで、適切なマッチングを実現していきます。
【職種から求人・転職情報を探す】