本日のお悩み
先日、置いていた薬を隣の席の方が一口飲んでしまうという事故(誤薬)を起こしてしまいました。数日後よりレベルが落ちてきて、ご自分で食べることができなくなってしまいました。
上司に相談しましたが、薬は少量であったし、もしその影響ならすぐに出るから違うと言われました。
数週間後、車椅子からの移乗の際、私のミスでベッドの高さを下げておらず、ギリギリの所でベッドに一緒に倒れ込むような形で移乗してしまいました。
その日の夜に39度の高熱が出て、1日で下がったものの、また食事が入らなくなってしまいました。上司や看護師にも伝えましたが、大丈夫だと言われました。
自分が介助したせいでこの方を苦しめてしまってると思うと、胸が痛いです。
いつも何か起きるたび自分のせいだと思って苦しくなります。
こんな時、どうしたら良いのでしょうか。
相談者:ゆず さん
1番大切なのは、同じことを繰り返さないこと
自分に責任を感じて苦しくなってしまう質問者さんは、普段から責任感の強い方なのではないかと感じました。
仕事がつらくなるほどにご自身を責めてしまうことは、利用者さんにとってもつらいことだと思います。
■大切なのは「過ちを繰り返さないこと」
ただ、私はその責任感を持ち続けることはとても大切なことだと考えています。
なぜなら、1番大切なことは同じ過ちを繰り返さないことだからです。
私たち介護職は、時に命にかかわる仕事をしているからこそ
些細なミスもきちんと振り返り、同じことが起きる前に予測することが出来るようになることが大事だと思います。
■今回のケースについて
今回のケースについては、
・誤薬の事故と食事量低下
・移乗時の事故と発熱
の因果関係があるのではないかと責任を感じているのですね。
薬の内容や細かい状況が分かりませんが、きっと上司の方や看護師さんは状況から見て因果関係が薄いと判断してそのように声をかけたのではないかと思います。
事故は、起きてしまうもの。
生きている限り、この宿命からは逃れられません。
大事なのは、事故が起きる前に予測して必要な対策を取っていたか。事故を起こしてしまったあとにどう対応したか。
それしかないように思います。
■事故の振り返りに活用できる、4つの側面
質問者さんは今回の件で、誤薬や移乗の事故の振り返りをされたでしょうか?
事故というのは、
・人的な要因
・環境的な要因
・物理的な要因
・マニュアル等のソフト的な要因
など様々な要因が重なって起きていることが多いので、もし振り返りをされる際はこれら4つの側面からも考え、チームで対策を検討してみてください。
移乗の事故の場合は?
人的な要因:「ベッドの高さを下げ忘れた」
環境的な要因:「時間に追われており慌てて介助に入ってしまった」
ソフト的な要因:「まだ介助に慣れないのに1人で対応してしまった」
こういったことは、質問者さんだけではなく、同じ状況で対応した人が「起こすかもしれない」事故であり、チームで共有して防ぐ必要があります。
■責任を取るということは、自分を責めることではない
きっと質問者さんは、小さなことでも「私のせいで」と感じてしまう場面が多いのかもしれませんね。
ただ、事故は誰もが起こす可能性があるものです。事故を恐れて何もしないということになってしまうと、誰しもずっと布団で横になったままが1番安全だということになってしまいます。
責任とは、自分を責めて後悔することではなく、同じ誤ちを繰り返さないように振り返り、分析し、次同じようなことが起きた場合に備えること。
そんな風に考えてみてはいかがでしょうか。
社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員