本日のお悩み
介護職を始めて、1年になります。最近辞めたいと思うことが増えてきてしまいました。
メンタル面や体力面で辛いです。
自分の失敗が利用者の命に繋がることが本当に怖いのですが、先輩に相談すると「慣れだから!」と言われます。
「慣れていくしかない!大丈夫だよ!」と言われるとなにも言えなくなります。
やっぱり先輩の言う通り、慣れていくしかないのでしょうか?
相談者:みかん さん
不安な気持ちを逆手にとってみるのはいかがでしょうか
介護の仕事を1年続けてきて、仕事の大変さを強く感じるようになってきたのですね。
きっと利用者の方と接することにも慣れてきて、一通り介護のスキルも身についてきた時期なのではないでしょうか。
■「慣れる」とは何か?
質問者さんの質問を受けて「はて、そういえば慣れるってどういう状態だったっけ?」と考えて、辞書を引いてみました。
慣れる:①経験を積んだ結果、初めのように緊張したり失敗したりすることが無くなる。②何度も経験した結果、らくに出来るようになる。③何度も経験した結果、何とも(珍しく)思わなくなる。(新明解国語辞典第八版より引用)
1年前のご自身と比べてみて、どうでしょうか?①、②の意味については、多少仕事に「慣れてきたな」と実感する場面があるのではないでしょうか。先輩も、きっと質問者さんの普段の仕事姿をみて「大丈夫!」と言ってくださっているのかもしれませんね。
■感じている怖さは、失敗に対する不安かも
さて、質問者さんの感じている怖さとは、言い換えると失敗に対する「不安」かと思います。
私の中に「自分の失敗が他人の命に繋がる不安」とは果たして慣れるものなのか?という疑問が浮かびました。
ここでまた辞書に戻ってみると、①も②も、動作について述べてあるのでなんとなくしっくりきません。
ここで鍵になってくるのが③の意味です。
■不安の根源には、リスクを把握して対応できるという強みが隠れている
おっしゃる通り、私たちの仕事はつねに生死と隣り合わせです。
食事介助、入浴介助、移動移乗、内服管理、感染症への対応等々、日々神経を研ぎ澄ませながら対応されていると思います。
質問者さんの不安の根源は「つねに最悪の事態を予測している」ことにあるのではないでしょうか。
つまりそれは捉え方を変えると、リスクをきちんと把握しながら対応出来ている強みだと思うのです。
不安な気持ちがなくなることは、リスク意識が薄れるということ
慣れたほうが気持ちに余裕がうまれていいことももちろんありますが、③の状態になってしまったらどうでしょう。
今の不安な気持ちがまったくなくなってしまったら、逆にリスクを把握する意識が薄れてしまいかねません。
つまり、慣れれば解決するか?と言われたら、そうではないと考えるのが私の意見です。
■小さな成功体験を積み重ねて、不安に向き合いましょう
では、今質問者さんの抱えている不安な気持ちと、向き合いながら仕事をするにはどうしたらいいか。
私は、小さな成功体験を積んで、それを心の支えにすることが大切だと思います。
たとえば、移乗介助がスムーズに出来たとき。体調の変化にすぐに気づくことが出来たとき。食事の様子の変化に気づいて他の職員に発信できたとき。
ケアは毎日同じではない。できたことに目を向けて!
介護はつねに一回性で、まったく同じということがありません。その日、その時の利用者さんを観察して向き合うことからはじまり、小さな気づきであっても、チームで共有していくことで最適なケアを考えることが可能になります。
毎日のケアの中で、出来なかったことだけではなく出来たことにも目を向けて振り返ることで、自信に繋げてみる。日々のさりげないケアを当たり前に出来るということが慣れであるとしても、ケアの一回性は常に意識する必要がある。
■不安を感じ、それを他者に伝えられることはあなたの持っている強みです!
不安や怖い気持ちは、つねにリスクを考えて行動出来ている証拠ととらえ、それをぜひケアに生かしてほしいです。
そして、その不安を具体的に他者に伝えられることは、チームのケアの質を向上していくことにも繋がることだと思います。
どんな場面で怖いと感じるか?どんなときにメンタルが辛いと感じるか?
漠然とした不安を一つ一つ場面で書き出してみて、具体的にアドバイスをもらうことで、質問者さんの不安が少しでも和らぎ、介護の仕事が楽しいと思えることを願っています!
社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員