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介護施設を起業!介護施設を経営する際に最初に知っておきたいポイントを解説

介護施設を起業!介護施設を経営する際に最初に知っておきたいポイントを解説

介護施設といっても特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入所施設からデイサービスなど在宅サービスまで多岐に渡ります。または訪問介護や訪問看護などの介護事業所もあります。 若干の偏りありますが、今回はどの介護事業を経営する場合でも、共通している考え方について説明をしていきます。【執筆者:専門家、社労士/山本 武尊】


本日のお悩み

今の施設から独立をして介護施設の経営をしたいと考えています。
補助金や助成金の情報やそのほか起業する際に考えるべきことを教えてください。

執筆者/専門家

山本 武尊

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/23

おかげさま社労士事務所 代表 元地域包括支援センター センター長 社会保険労務士、社会福祉士・主任介護支援専門員・介護福祉経営士1級・ ファイナンシャルプランナー2級(AFP)・簿記3級 ▼プロフィール 大学(福祉学)卒業後、大手教育会社を経て、介護業界へ転身。 介護業界に関わる人の優しさに触れると共に、低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため社会保険労務士の資格を取得し、2021年に開業。 地域包括支援センターでセンター長として長年勤務した経験を活かして、介護現場の最前線で活躍する事業所と人をサポートしている。 また、介護関連の執筆・監修者としての活動や介護事業書向けの採用・定着・育成・組織マネジメントなど、介護経営コンサルタントとしても幅広く活動中。

いつもご質問・ご相談をいただきありがとうございます。
この度は介護施設を経営したいと考えられているとのこと。大変素晴らしいことと思います。

今回は「介護施設を経営する際に最初に知っておきたいポイント」をテーマに説明をさせていただきます。ぜひ参考にしてみてください。

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はじめに

介護施設といっても特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入所施設からデイサービスなど在宅サービスまで多岐に渡ります。または訪問介護や訪問看護などの介護事業所もあります。

若干の偏りありますが、今回はどの介護事業を経営する場合でも、共通をしている考え方について説明をしていきます。

介護施設を経営するまでの流れ

      介護施設を経営するまでの流れ

      1.法人の設立
      2.活動地域(エリア)の検討
      3.指定申請
      4.指定事業所番号の取得、介護事業開始

法人の設立

介護事業を始める上でまず必要なことが法人の設立が必要となり、個人では難しいです。
介護施設を開業するための法人は、社会福祉法人やNPO法人などの非営利法人以外にも、合同会社や株式会社などの営利法人でも構いません。

活動地域(エリア)の検討

次にどのエリアで営業をすることを検討する必要があります。
その際は、地域の高齢者数や高齢化率、平均要介護度など、地域のデータから需要がある地域であるかを検討しましょう。

また、データ上の数値では測れない部分もあるでしょうから、候補のエリアにおける情報を市区町村の同業者やケアマネからの生の声を情報収集するとよりよいかと思います。

指定申請

指定を受ける指定権者(都道府県、地域密着型サービスでは市区町村)の指定を受ける必要があります。
指定を受けるには人員基準・運営基準・設備基準などを満たさなければならず、その基準を満たすことができない場合は、指定を受けることはできませんので注意しましょう。

通常2~3か月前から申請の受付をしております。
県や市境で営業をする場合は、それぞれの指定権者より指定を受ける必要があるため注意が必要です。

指定事業所番号の取得、介護事業開始

指定を受けると事業所番号が取得され、介護事業が開始できます。

介護施設を経営するのに必要なこと

介護施設に問わずに一般的に起業をして事業経営をする上では必要なものがあります。
それは経営資源としての「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」があります。
特に介護事業をする上でどのような点を注意すればよいかを確認していきましょう。

「ヒト」について

ヒトは、介護施設を経営する際に最も大事な資源になります。
介護業界は機械やAIが発達をしようとも人が人をケアすることに変わりません。
また、介護現場の仕事は非常にやりがいがあり、社会的にも必要な仕事ですが、労働人口が減少している我が国において「人材確保」は最重要テーマになります。

特に介護施設ではきれいで立派な建物ができたとしても、そこで働く人たちの心がまっすぐに高齢者に向かっていない場合は、施設そのものの価値は下がってしまいます。

また、他業界と比べ、「人員基準」など事業運営をする上での人材の最低配置基準が設けられているのも介護業界の特徴の一つです。
それぞれの有資格者の配置や、利用者の定員や規模に応じて何名の有資格者を確保するのか、その必要性が求められます。 また資格さえあれば、どこでも働ける業界であるため、転職のハードルは低くありません。そのため、「人材の定着」にも努力が必要になるでしょう。

ゆえに法人の事業理念を掲げる中で、どのような人材が必要で、何を求めているのかを明確にした上での採用の戦略を練り、いかに定着をさせるかを考える必要があります。

「モノ」について

「ヒト」が中心の業界とはいえ、ハード面での「モノ」も当然必要です。
人が気持ちよく働く職場というはもちろんですが、施設はご利用者の生活の場にもなると考えると、一定の「モノ」の準備が必要となります。

施設でも生活感があり、ご利用者が安心して生活ができるような空間や、特に介護施設であれば衣食住を共にするため、どんなものを食べて、どんなものを着て生活をするのか、そのご利用者の生活の質にも影響が出てきます。
職場としても生活の場としても、快適であることが重要となり、安全や衛生に配慮された職場環境かどうかが大事なポイントになるでしょう。

「カネ」について|資金調達の方法

介護施設を経営しようと起業をした場合では、施設系サービスであれば建物の建築費用や内装費用、その他法人の設立や事業所の家賃や自動車や備品の維持管理など一定のお金がかかります。

施設の形態によっては多額の資金が必要となります。自己資金でまかないきれない場合は金融機関からの融資を受けることになりますが、代表的なところからの融資は以下の2か所になります。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫からの融資は無担保、無保証が特徴であり、3,000万円までの融資を行う「新創業融資制度」があるなど起業時の融資に積極的であります。一方で金利はやや高くなります。

信用保証協会

都道府県や市区町村など各地方自治体が中心となり金融機関と信用保証協会が連携して行う融資制度となります。日本政策金融公庫と同様に無担保、無保証が特徴です。信用保証協会からの保証があるため、金融機関が融資を実行しやすく審査が通りやすいというメリットがあります。

「カネ」について|補助金の活用

補助金は、国や自治体の政策目標(目指す姿)に合わせて、さまざまな分野で募集されており、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部を給付するというものです。融資など異なり、返済義務はありません。 特徴は以下になります。

      ・ 事業の経費すべてが補助になる訳ではありません(補助金の種類によって異なる)
      ・ 審査があり、申請したら必ずもらえる訳ではありません
      ・ 原則、補助金は後払い
      ・ 非常に多くの補助金が存在する

      ※出典:中小企業庁「ミラサポplus」(https://mirasapo-plus.go.jp/

介護事業を行う際の代表的な補助金

IT導入補助金

ITツール全般にシステム導入やクラウド会計導入などを検討する際に活用できます。

持続化補助金

ウェブサイト改修費など販路開拓を目的とした際の補助金となります。

事業再構築補助金

建物や機械装置・システムなど既存事業と異なる新規事業を展開していく際の補助金となります。例えば介護保険外の自費サービスを事業化する場合や、上記を満たす新事業を展開する場合は採択される可能性は十分にあり、検討する価値があります。

ICT導入支援事業補助金

ICT(情報通信技術機器)を導入して介護事業所の業務効率化を補助する制度です。

介護ロボット導入支援事業補助金

介護ロボット導入を補助する制度、介護支援者の負担軽減をサポートします。

※検討される際は、必ず最新情報をご確認ください。
また、各種補助金毎で対象事業者や対象経費、補助金額、申請難易度が大きく異なりますので、専門家への相談をお勧めします。

助成金の活用

助成金は厚生労働省管轄で扱い、雇用促進や職場改善などを目的に支給されるものです。補助金と同様に返済義務はなく、補助金と比べて採択率はありません。支給要件を満たせば原則として支給されます。
特徴は以下になります。

・財源は労働保険料の事業主負担分
・労働保険の適用事業所であることが要件
・労働保険料の滞納がないこと
・出勤簿、賃金台帳、雇用契約書、就業規則など、法律で作成が義務付けられている帳簿を備えていること

なお、解雇者を毎年出している、最低賃金を下回っていない、未払いの残業代があるなど労務管理が不十分の会社は支給されないという点も特徴と言えます。
介護事業を行う上で活用できる助成金は以下になります。

業務改善助成金

事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度です。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

従業員の処遇を改善させるための活用できる助成金です。入社して6カ月間以上は非正規雇用であった社員を正社員に転換時に基本給を3%アップさせ6カ月以上雇用した場合に助成します。

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

従業員に対し、職業訓練を計画に沿って実施する場合に助成される「人材育成」に役立つ助成金です。

両立等支援助成金(出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース)

従業員が仕事と育児、仕事と介護の両立ができるように社内整備をした場合に支給される助成金です。

これら助成金は正社員化、教育訓練、昇給、育児休業などで助成金をもらえるタイミングもあります。ただし助成金をもらうためには、社員が長く働ける、働きやすい環境づくりが必要です。つまり労働基準法を護る会社がもらえるご褒美であると考えてください。
これら助成金も支給額や支給要件が毎年変更となります。最新の情報などは専門家に相談のされることをお勧めします。

「情報」について

介護事業を経営する場合、敏感になっておくべき情報は下記です。
・介護保険法の改正情報
・介護報酬改定に関する情報

特に経営をする上で、基本料金に上乗せされる「加算」の取得は必須となります。
原則3年ごとに法改正されるため、既存の事業サービスで安定して経営ができるかを検討していくことになります。
年々、日本における高齢者人口の増加とともに、介護保険制度を持続可能なものとするためにも保険給付(収入)が今まで以上に厳しくなることが予想される中で、どのように経営をするかを考える必要があります。しっかりと「情報」のアンテナを張り巡らせ、感度を高めておきましょう。

さいごに

今回は「介護施設を経営する際に最初に知っておきたいポイント」をテーマに説明をさせていただきました。

何事もそうですが初心が大事だと思っております。
「なぜ、この事業をしようと思ったのか」
「この事業を通じてどのようなことを実現したいと思ったのか」
常に起業をしようと思った原点を忘れずに、リスクを恐れずに前に進んでいただきたいと考えております。

また、介護保険制度発足当初と比べ、これまで述べた「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」など経営者が考えないといけない範囲が拡大しており、より経営手腕が問われる時代となってきました。

どうしても一人で対応するには限界があるので、社内の信頼できる従業員や、社外の専門家に頼ることは経営判断の1つです。ぜひ、起業しようと思った原点の想いをカタチにしてほしいと考えております。

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この記事のライター

おかげさま社労士事務所 代表
元地域包括支援センター センター長

社会保険労務士、社会福祉士・主任介護支援専門員・介護福祉経営士1級・
ファイナンシャルプランナー2級(AFP)・簿記3級

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