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【介護職の転職】仕事に慣れなくて辛いときはウィルビーイングを意識しよう

【介護職の転職】仕事に慣れなくて辛いときはウィルビーイングを意識しよう

介護福祉業界で働く方は優しい方が多いゆえ、我慢をし続けたり、相手の幸せのために自己犠牲をしたりする方も多いのではないでしょうか。対象者の「幸せ」はもちろんですが、ご自身の「幸せ」についてもしっかりと向き合い「ウェルビーイング」な働き方を意識しましょう。【執筆者:大庭 欣二】


【介護職の転職】転職後に馴染めなくて辛いときはウィルビーイングを意識しよう

【介護職の転職】転職後に馴染めなくて辛いときはウィルビーイングを意識しよう

本日のお悩み

介護福祉士として、 訪問入浴に10年以上務めたのち老健に転職して3ヶ月になります。
まだまだ覚えないといけない業務が多く、自分にこなせる自信がなく毎日出勤するのが辛く苦しいです。同じ介護分野でもサービスによって環境や、仕事内容も違う為、慣れないのは分かってはいるのですが、ここまでやる業務が細かく大変だとは思わず、慣れるまで耐えられる自信がありません。

職場の人間関係は中には苦手な人も居ますが、怒鳴られたり残業が多かったりするわけでもなく環境だと思います。心療内科にも通院し抗不安薬も服用していますが、苦しさは変わりません。
もう正社員ではなくパートや派遣でもいいと逃げる事ばかり考えています。

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自分自身を大切にしてください

執筆者

大庭 欣二

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/11

福岡福祉向上委員会 代表 プロフィール 外資系コンピューター会社の営業、父親が営む会社の経営見習いを経て、2002年に35歳で福祉の世界に入り、14年間で2つの社会福祉法人の経営に携わる。 新規事業立ち上げ・組織づくり・職員育成・労働環境改善を行い、職員の労働満足度を向上させ、離職率の劇的低下を実現する。 2016年10月、福祉職の離職防止・人財確保を目的に「福岡福祉向上委員会」を立ち上げ、仲間と共に福祉職を支え続けている。また、福岡市の人材確保事業や福祉の魅力発信事業などにも携わり、福祉業界全体の底上げに寄与している。 得意なことは、縁を紡ぐことと戦略を立て実践すること。

ご相談ありがとうございます。
すでに心療内科に掛かり、医療の専門家による治療やアドバイスも受けているとお察しいたします。まずはそれを優先すべきだと思います。
それを踏まえて、私からは福祉分野での22年の経験からの視点で、思うところをお伝えいたしますね。

転職活動を通して自分に合った仕事先を見つけるのもひとつの手段です

私自身、転職をする中で自分自身の特性と自分に合った仕事先を探し求め、現在に至ります。
ご相談者さんにおかれましても、私と同様の考えを持たれてもよいと思います。

なぜなら、介護の仕事は決して一括りにできないさまざまな違いが存在するからです。
物理的な違いも感覚的な違いも多々あります。

事業種別の違い:特養、老健、デイサービス、訪問介護 等
労働時間の違い:日勤、夜勤、早出、遅出等のシフトの有無
労働場所の違い:施設内なのか、在宅なのか
事業規模の違い:全国組織なのか、ローカル組織なのか 等

そして、事業所ごとの特性も本当にさまざまですので、全く同じ事業所はありません。
挙げだすときりがないくらいの多くの違いがあります。
私は、全ての違いに柔軟に対応できる方は、この業界の中において一握りの方しかいないのではないかと思います。もしかすると、そんな方はいないかもしれません。

この業界は転職が多い業界です。
多くの方が、自分自身に合った事業種別、労働時間、労働場所などを感覚的に認識しながら、異動や転職を通じ、居心地のよい現在の職場に辿り着いているのではないかと感じます。

柔軟にご自身を受け止めて、選択肢を増やしていきましょう

介護・福祉業界の方は優しすぎるがゆえに、我慢をし続けたり、相手の幸せのために自己犠牲をしたりする方が多いのではないかと思います。
私は、介護や福祉の仕事であるからこそ、もっと自分自身の幸せを考えていいと思います。流行りの言葉で言うと、「ウェルビーイング」ですね。

サービスの対象である高齢者に幸せを感じていただくためにも、自分自身が幸せであっていいと思いますし、むしろ幸せである必要があると思います。
ウェル・ビーイングとは
個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念のことです。
※出典:厚生労働省 雇用政策研究会報告書概要(案)

ご相談の内容からは、思考と行動に関して下記のループが垣間見えます。

 「老健における業務が覚えられない。」
→「覚える努力を行う。」
→「なかなか覚えられず、慣れない。」
→「覚える努力を行う。」
→「慣れない。」

という状況のことです。

これを繰り返している現状をまず辞めてみるというのもよいかと思います。
止まってみて、初めて気付くこともたくさんあります。

「もしかしたら、老健の業務が自分に合っていないかもしれないな。」
「老健の業務より、訪問入浴の業務の方が自分に合っているな。」
「施設での仕事より、在宅での仕事が、労働環境として好みだな。」等

さまざまなことに気付くなかで、異動や転職を考えると良いと思います。

介護労働実態調査の結果から俯瞰して捉えてみましょう

「今の勤務先で働き続けたい」という方の割合は58.2%

令和4年度の公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」の結果によると「今の勤務先で働き続けたい」という方の割合は58.2%です。
つまり、残りの約4割の方が悩んだり迷ったりしていると言えるでしょう。
そのため悩んでいるのは、相談者さんだけではないのです。
介護労働実態調査(今の勤務先で働き続けたい)

※出典:公益財団法人介護労働安定センター 令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について

同じ法人に10年以上勤めている人は32.1%しかいない

次にご相談の文章の中で、「10年以上、長く勤めていた」とありますので、勤務年数という視点でこの業界の現状はどうであるかを同じ「介護労働実態調査」の結果から見てみましょう。

現在の法人における勤続年数は、
・「5 年未満」の比率が 40.5%
・「5 年以上 10 年未満」が 26.4%
・「10年以上15年未満」が16.4%
・「15年以上20年未満」が9.7%
・「20年以上」が6.0% となっています。

言い換えると、同じ法人に10年以上勤めている人は32.1%しかいないのです。
そのなかで、相談者さんが訪問入浴で10年以上勤めていたことは、胸を張っていいと思います。

「他で務まらないのでは」と思っているのであればそのように思う必要はなく、事実として「10年以上続けてきた介護の仕事がある」ことに自信を持っていただければと思います。

3か月間、老健に勤めて気付いた自分自身のこの職場との相性を悲観するのではなく気づきととらえてみてはいかがでしょうか。
慣れる自信がないのに、無理に続ける必要は無いですし、無理な我慢もする必要はないと思います。
治療に携わられている医師や専門家からのアドバイスにもしっかりと耳を傾けながら、一度立ち止まって、ゆっくりと考えてみてはいかがでしょうか。
介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書 (勤続年数)

※出典:公益財団法人介護労働安定センター 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書

自分に合っているのであれば、パートでも派遣でも良い

昨今、働き方改革という言葉をよく聞きます。
自分自身の働き方についても、「正職員希望」「パートは逃げになるのでは」でなく、考えを変えていき柔軟にしましょう。
前述しましたが、ウィルビーイングの考え方を意識することで人生が豊かになったり、生産性が向上することがあります。

そのためにまずやるべきことは、心身の状態を整えることです。冷静に考えるゆとりを持ちましょう。

幸いにも、現在の介護業界では働く場所は選ぶほどあります。その後、たくさんの事業所を見学し、場合によっては、ボランティアなどでその事業所の中身を吟味し、自分に合っているなと思えるところをゆっくりと探してみるのもいいと思います。

その際には、正職員でなければいけないというこだわりもないようですので、パート勤務や派遣登録から始められてもいいかもしれません。
わたしは、その働き方を決して「逃げ」であるとは思いません。
自分に合っているのであれば、パートでも派遣でもいいと思います。

大事なことは、職場も働き方もご自身に合っていることが重要なのです。
もしかしたら、空いた時間を有効に使えるかもしれません。

身体と心の状態が良い方向に向いていくかもしれません。
自分自身が良ければ、その働き方を続けられていいのです。
思考を柔軟に持ち、その時点の自分自身に合った選択を心掛けていきましょう。

さいごに

最後に大切なことを伝えさせてください。
「自分自身を大切にしてください。」

ご自身に合ったお仕事に巡り合われることを切に願っております。

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