精神保健福祉士とは?仕事内容や資格の取得方法、勤務先について解説
今回の記事では、精神保健福祉士の主な仕事内容や資格の取得方法、勤務先など、精神保健福祉士に関する基礎知識を解説します。
■精神保健福祉士とは?
1997年の精神保健福祉士法の施行によって誕生した国家資格で、資格を持つ人だけが精神保健福祉士を名乗ることができます。
2024年1月時点での登録者数は10万3,917人。介護福祉士(194万1,124人)、社会福祉士(28万7,222人)ほど多くはありませんが、近年、毎年数千人ずつ増加しています。
社会福祉士との違い
精神保健福祉士と同様に相談援助が主な業務ですが、支援する対象が異なります。
精神保健福祉士が精神障害者の支援に特化した専門職であるのに対し、社会福祉士は、身体や精神などに障害がある人はもちろん、高齢者や生活困窮者など、生活に困っているあらゆる人を対象としています。
介護福祉士との違い
社会福祉士、精神保健福祉士の業務は相談対応が中心であるのに対し、介護福祉士は介護施設や利用者の自宅などの現場で、身体介護や生活援助といった介護業務にあたります。
精神保健福祉士の主な仕事内容
では、精神保健福祉士はどのような仕事をしているのでしょうか。主要な4つの分野別に、主な仕事内容を紹介します。
■医療分野での支援
また、患者が退院した後の生活や社会復帰の支援を行うことも重要な業務の一つです。
他職種の医療従事者と連携して、チーム医療の一員として活躍します。
■行政分野での支援
必要に応じて公的サービスを紹介する、サービスの利用申請を手助けするといった生活支援を行うほか、保健医療福祉に関わる計画の策定や実施、心の健康や精神障害者への理解促進のための啓発活動も行っています。
■障害者福祉分野での支援
たとえば障害者が日中に介護サービスを受けながら創作・生産活動などを行う場である生活介護事業所では、身体介護や生活援助、日常生活に関する助言、創作・生産活動の支援などを行います。
自立訓練事業所では、精神科から退院した人や在宅で療養中の人に向けて、生活能力や自己管理能力の維持・向上につながる支援を、就労移行支援事業所では、障害のある利用者が就職に向けて必要な知識やスキルを身につけるための支援を行います。
■司法分野での支援
また、保護観察所において、精神障害のために重大な罪を犯してしまった人の社会復帰に向けて、見守りや生活環境の調整といった支援を行う「社会復帰調整官」として働く精神保健福祉士もいます。社会復帰調整官の業務は、2003年に成立した「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)」に基づいて行われています。
精神保健福祉士になるには?
国家試験の受験資格を得るためのルートは、主に4つあります。次に、ルート別に受験資格の取得方法を解説します。
■保健福祉系大学ルート(4年制大学など)
■保健福祉系短期大学ルート(福祉系短大など+相談援助実務)
■短期養成施設ルート
4年制の福祉系大学で基礎科目を履修して卒業した人は、短期養成施設などで6ヶ月以上学ぶと、受験資格を得ることができます。
3年制や2年制の福祉系短期大学で基礎科目を履修して卒業した人は、3年制であれば1年間、2年制であれば2年間、相談援助実務経験を積んだうえで、短期養成施設などで6ヶ月以上学ぶと、受験資格を得ることができます。
■一般養成施設ルート
一般の4年制大学を卒業した人は、一般養成施設などで1年以上学ぶと、受験資格を得ることができます。
3年制や2年制の一般短期大学を卒業した人は、3年制の場合は1年間、2年制の場合は2年間、相談援助の実務を経験した後、一般養成施設などで1年以上学ぶと、受験資格を得ることができます。
大学や短期大学を卒業していない人が受験資格を得るには、相談援助の実務を4年間経験したうえで、一般養成施設などで1年以上学ぶ必要があります。
精神保健福祉士国家試験の概要
細かい内容は受験する年度によって異なる場合があります。最新情報は、社会福祉振興・試験センター(以下、試験センター)のWebサイトでご確認ください。
■試験日:2月上旬
■合格発表:3月上旬
■国家試験科目
精神保健福祉士国家試験では、第27回(2025年度)試験から、新しい出題基準が適用される予定です。ここでは、第27回試験の試験科目や合格基準を紹介します(一部変更の場合あり)。
1 精神医学と精神医療
2 現代の精神保健の課題と支援
3 精神保健福祉の原理
4 ソーシャルワークの理論と方法(専門)
5 精神障がいとリハビリテーション論
6 精神保健福祉制度論
■共通科目
1 医学概論
2 心理学と心理的支援
3 社会学と社会システム
4 社会福祉の原理と政策
5 社会保障
6 権利擁護を支える法制度
7 地域福祉と包括的支援体制
8 障害者福祉
9 刑事司法と福祉
10 ソーシャルワークの基盤と専門職
11 ソーシャルワークの理論と方法
12 社会福祉調査の基礎
※社会福祉士の資格がある人は、共通科目が免除されます
※9科目群:出題全科目を9科目群に分類したもので、全科目と同様
精神保健福祉士の勤務先
精神保健福祉士は、医療機関や福祉施設を中心に、さまざまな職場で活躍しています。ここでは、主な勤務先を紹介します。
■医療機関
■障害福祉分野
地域生活の支援を目的とする相談支援事業所や地域活動支援センターなどでは、地域にお住いの障害者の日常生活に関わる相談を受け、自立した生活を送れるようにサポートを行っています。
■高齢者介護分野
地域包括支援センターでは、高齢介護分野の相談を受け、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、介護・医療・保健・福祉など幅広い側面から高齢者を支えています。
■行政機関
■刑務所・保護観察所
■学校
■ハローワーク
■企業
精神保健福祉士の給料
試験センターの調査によると、精神保健福祉士の平均年収は404万円です。また、主な職種別の平均年収は下記の通りです。
精神保健福祉相談員:378万円
医療ソーシャルワーカー:401万円
相談員:345万円
介護職(ホームヘルパー含む):300万円
スクールソーシャルワーカー:305万円
まとめ:精神保健福祉士は、幅広い分野での活躍が期待される職種
障害者施設や高齢者介護施設、行政機関のほか、一般企業、学校など、活躍できる場も広がっています。福祉系の大学や短期大学を卒業していない社会人でも、学歴によっては最短一年で精神保健福祉士の資格を取ることができます。
福祉の仕事に興味があり、特に精神面の課題を抱える人を支援したいという思いがある人は、キャリアの選択肢の一つとして検討してみましょう。
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