本日のお悩み:人見知りでも介護職に挑戦できる?
介護職にコミュニケーション能力が必須であるという記事をよく目にします。人見知りだと介護職に挑戦することは難しいのでしょうか。
人見知りのあなただからこそできる介護があります!
■執筆者/専門家

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員 特別養護ホーム生活相談員、訪問介護事業、地域包括支援センターにて介護支援専門員の経験あり。 現在は、デイサービス管理者として勤務。 地域でのネットワーク活動では事務局として「死について語る会」や「3大宗教シンポジウム」など幅広いテーマの勉強会やイベントを企画・運営の経験がある。 すきな食べ物はラーメン。
不安な気持ち、よくわかります。なぜなら、私も人見知りだからです。何年も介護の仕事をしていますが、いまだに初めましての方は緊張します。 介護職にコミュニケーション能力は必須です。
しかし、人見知りであっても介護職として活躍することは十分に可能であると思います。なぜなら、介護の現場で求められるコミュニケーション能力は、決して「誰とでも流暢に話せる能力」だけではないからです。
そもそも人見知りはなぜ起こるのか
ここでは、以下3つの視点から考えてみましょう。
2.心理的な要因
3.環境や経験によるもの
■1.脳の働きによるもの
● 扁桃体(へんとうたい)の影響
この扁桃体の反応が強い人ほど、知らない人と接するときに強い緊張を感じやすく、人見知りになりやすいのです。
● 進化の観点から
この警戒心が、現代にも「人見知り」として残っていると考えられます。
■2.心理的な要因
●自己意識の高さ
例えば、「変なことを言ったらどうしよう」「相手に嫌われたらどうしよう」「うまく話せなかったら恥ずかしい」といった不安があると、緊張して言葉が出にくくなり、結果として人見知りのような反応をしてしまいます。
●過去の経験の影響
その結果、人見知りとなり、話すことへの自信を失ってしまうでしょう。
■3.環境や経験によるもの
●幼少期の育ち方
例えば、「あまり外で遊ばず、親しい家族とだけ過ごしてきた」「幼少期に人見知りが強い親に育てられた(親の影響を受ける)」といった環境だと、新しい人との関わりに慣れておらず、大人になっても人見知りしやすくなります。
●文化的な影響
そのため、「失敗したらどうしよう」「周りからどう見られるか気になる」といった意識が強まり、人見知りが生まれやすい環境になっています。
■自分らしくいられるペースで過ごしましょう!
また「人見知り=悪いこと」ではありません。無理に性格を変えようとせず、自分らしくいられるペースで人と関わることが大切です。
介護現場で本当に求められるコミュニケーション能力

コミュニケーションは双方向に行うものなので、こちらが思ったような反応が利用者さんから返ってこなかったとしても落ち込まず、「もしかしたら相手も人見知りなのかもしれない」と考えることも必要ではないかと思います。
そのうえで、介護職に求められるコミュニケーション能力は主に以下の3つではないかと考えます。
2.観察力:相手の表情や仕草から、言葉にならない思いを汲み取る力
3.受容力:相手の個性や価値観を受け入れ、尊重する力
■1.傾聴力
無理にたくさん話さなくても、相づちを打ったり、うなずいたりするだけで「この人は話をちゃんと聞いてくれる」と信頼してもらえることが多いです。
■2.観察力
そのため介護職の方は、表情や仕草から「何を求めているのか?」を察する力が求められます。
■3.受容力
これら3つは、決して話上手である必要はありません。利用者さん一人ひとりと向き合い、丁寧なコミュニケーションを重ねることで、厚い信頼関係を築いていくことができるでしょう。
介護現場で働く際にできるコミュニケーションの工夫
とはいえ、いざ関わるとなると緊張しますよね。働く際に意識していただきたいことを具体的に挙げていきます。
2.笑顔や相づちを意識する
3.仕事の流れを覚えて余裕を持つ
4.無理に社交的になろうとしない
■1.挨拶+一言を意識する
最初から長く話そうとせず、シンプルな言葉をかけることで、利用者さんとの距離を少しずつ縮めることができます。
■2.笑顔や相づちを意識する
利用者さんは、話を聞いてくれる人に対して安心感を抱くことが多いため、会話が苦手でも「ちゃんと聞いていますよ」という姿勢を示すだけで好印象になります。
■3.仕事の流れを覚えて余裕を持つ
最初は戸惑うことも多いですが、少しずつ業務を覚えていくことで余裕ができ、人との関わりもスムーズになっていきます。
■4.無理に社交的になろうとしない
人見知りの方は、自分らしい接し方を大切にしながら、少しずつ関係を築いていくことが重要です。派手な会話がなくても、「誠実に接すること」が利用者さんにとって一番大切です。
最後に:自分らしいコミュニケーションを心がけましょう!
人見知りのあなただからこそ、できる介護があります。自信を持って、あなたらしい介護の道を歩んでいってください。応援しています!
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社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員