第32回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)
■問題1
マズロー(Maslow,A.)の欲求階層説の所属・愛情欲求に相当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。
1.生命を脅かされないこと
2.他者からの賞賛
3.自分の遺伝子の継続
4.好意がある他者との良好な関係
5.自分自身の向上
■解答
4.好意がある他者との良好な関係
■解説
マズローの欲求階層説は、「人は自己実現に向かって絶えず成長する」という仮説の下に、生理的欲求、安全欲求、愛情と所属の欲求、承認欲求、自己実現の欲求の5段階で理論化されています。
1.(×)生命を安定的に維持したいという欲求は、第2階層の安全欲求に相当します。
2.(×)他者から価値ある存在と認められたいという欲求は、第4階層の承認欲求に相当します。
3.(×)人間という種の存続に欠かせない欲求であり、基底層の生理的欲求に相当します。
4.(○)情緒的な良い関係を築きたいという欲求は、第3階層の愛情と所属の欲求に相当します。
5.(×)自分の能力を発揮して創造的活動をしたいという欲求は、第5階層の自己実現の欲求に相当します。
■問題2
皮膚の痛みの感覚を受け取る大脳の機能局在の部位として、正しいものを1つ選びなさい。
1.頭頂葉
2.前頭葉
3.側頭葉
4.後頭葉
5.大脳辺縁系
■解答
1.頭頂葉
■解説
1.(○)大脳皮質の頭頂葉には、一次体性感覚野、頭頂連合野、角回、縁上回、味覚野などが存在します。一次体性感覚野は、身体の感覚、温痛覚、触覚の中枢です。
2.(×)前頭葉は、主に思考や判断を司り、眼球の随意運動指示、動機付け、運動、音声言語の処理などにも関与しています。
3.(×)側頭葉は、聴覚情報の受け取りや認識に関与しており、感覚性言語中枢が存在します。
4.(×)後頭葉は、視覚情報を受け取り、分析・統合して認識する機能を持ちます。
5.(×)大脳辺縁系は、生命維持、本能行動、情動行動などに関与する複数の部位の総称であり、大脳の内側部に位置しています。
■問題3
爪や指の変化と、そこから推測される疾患・病態との組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.爪の白濁―チアノーゼ(cyanosis)
2.巻き爪―心疾患
3.さじ状爪―鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia)
4.ばち状指―栄養障害
5.青紫色の爪―爪白癬(つめはくせん)
■解答
3.さじ状爪―鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia)
■解説
1.(×)爪の白濁は、爪白癬(爪水虫)や爪カンジダ症などでみられます。チアノーゼは、指先、爪、鼻先、口唇などの末端部に現れます。
2.(×)巻き爪(陥入爪)の原因となるのは、深爪や不適合の靴、外反母趾などです。心疾患では、末梢組織の慢性的な酸素不足により、ばち状指(ばち指)がみられます。
3.(○)鉄欠乏性貧血では、鉄の欠乏により爪の強度が低下し、さじ状爪(スプーンネイル)がみられます。
4.(×)ばち状指がみられた場合は、心疾患、肺疾患、消化管疾患、内分泌疾患など、様々な原因が考えられます。
5.(×)青紫色の爪は、チアノーゼの症状の一つです。
■問題4
Jさん(80歳、男性)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断され、半年前から認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。最近、Jさんは、トイレに行きたいと言ってグループホーム内を歩き回った後に、失禁するようになった。
Jさんの排泄(はいせつ)の状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.反射性尿失禁
2.心因性頻尿
3.溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)
4.機能性尿失禁
5.腹圧性尿失禁
■解答
4.機能性尿失禁
■解説
1.(×)反射性尿失禁は、脊髄の損傷や神経系の障害により抑制中枢が失われ、尿意を感じられずに漏れ出す状態です。
2.(×)心因性頻尿は、器質的な問題がないにもかかわらず、精神的な不安などが原因となって頻尿となる状態です。
3.(×)溢流性尿失禁は、自らの意思で尿を出したいのに出せず、少しずつ漏れ出てしまう状態です。
4.(○)機能性尿失禁は、排尿機能は正常であるのに、排尿までの動作に時間がかかる、トイレの場所が分からない、排尿するという行動が理解できないといった理由で起こる尿失禁です。身体運動機能の低下や認知症が原因であり、Jさんの状態は機能性尿失禁に該当します。
5.(×)腹圧性尿失禁は、重い荷物を持ったときや、咳やくしゃみなどをしたとき、腹部に強く圧力がかかることで起こる尿漏れです。
■問題5
死亡直前にみられる身体の変化として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.関節の強直
2.角膜の混濁
3.皮膚の死斑(しはん)
4.下顎呼吸の出現
5.筋肉の硬直
■解答
4.下顎呼吸の出現
■解説
1.(×)関節の強直は、死後にみられる身体変化です。死後2時間ほどで、顎関節から現れます。
2.(×)角膜の混濁は、死後にみられる身体変化です。死後6時間ほどで出現し、1~2日で最も強くなります。
3.(×)皮膚の死斑は、死後にみられる身体変化です。死後20~30分で発生し、20時間以上経過すると固定されます。
4.(○)死亡直前には、血圧が低下し、胸郭を使った呼吸が下顎を使ったあえぐような呼吸(下顎呼吸)に変化して、呼吸回数も減少していきます。
5.(×)筋肉の硬直は、死後にみられる身体変化です。筋肉内で起こる化学反応により出現します。顎関節から出現して順次全身の筋肉に及び、死後20時間程度で最も強くなります。
■問題6
高齢者の大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)(femoral neck fracture)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.転落によって生じることが最も多い。
2.骨折(fracture)の直後は無症状である。
3.リハビリテーションを早期に開始する。
4.保存的治療を行う。
5.予後は良好である。
■解答
3.リハビリテーションを早期に開始する。
■解説
1.(×)高齢者の大腿骨頸部骨折は、転落ではなく転倒によるものが最も多くなっています。
2.(×)骨折直後から疼痛が生じ、立位や歩行が困難となります。
3.(○)できるだけ術後早期からリハビリテーションを開始し、長期臥床による筋力低下、褥瘡、肺炎、認知症発症などを予防することが適切です。
4.(×)保存的治療に伴う長期臥床により、ロコモティブシンドローム(運動器障害による移動機能の低下)を引き起こして、寝たきりや要介護状態につながる可能性があります。
5.(×)高齢者の大腿骨頸部骨折では、術後も歩行に対する様々な介助が必要となるケースが多く、概して予後良好とはいえません。
■問題7
抗ヒスタミン薬の睡眠への影響として、適切なものを1つ選びなさい。
1.就寝後、短時間で覚醒する。
2.夜間に十分睡眠をとっても、日中に強い眠気がある。
3.睡眠中に足が痛がゆくなる。
4.睡眠中に無呼吸が生じる。
5.夢の中の行動が、そのまま現実の行動として現れる。
■解答
2.夜間に十分睡眠をとっても、日中に強い眠気がある。
■解説
抗ヒスタミン薬は、アレルギー性疾患、感冒、乗り物酔い、睡眠障害などの治療薬として広く用いられています。
1.(×)抗ヒスタミン作用により脳の活動が抑制されるため、日中でも眠気が生じることがあります。ただし、就寝後短時間での覚醒は起こりにくいといえます。
2.(○)特に高齢者が抗ヒスタミン薬を服用する場合に注意が必要な副作用としては、過鎮静、眠気、ふらつきなどが挙げられます。
3.(×)体内のアレルギーを引き起こすヒスタミンの働きを抑制するため、皮膚のかゆみなどの症状を改善します。
4.(×)選択肢の内容は睡眠時無呼吸症候群の説明であり、抗ヒスタミン薬との直接的な関連性はありません。
5.(×)選択肢の内容はレム睡眠行動障害の説明であり、抗ヒスタミン薬との直接的な関連性はありません。
■問題8
口腔内(こうくうない)・鼻腔内(びくうない)の喀痰吸引(かくたんきゅういん)に必要な物品の管理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.吸引チューブの保管方法のうち、乾燥法では、浸漬法(しんしほう)に比べて短時間で細菌が死滅する。
2.浸漬法で用いる消毒液は、72時間を目安に交換する。
3.吸引チューブの洗浄には、アルコール消毒液を用いる。
4.吸引チューブの洗浄水は、24時間を目安に交換する。
5.吸引物は、吸引びんの70~80%になる前に廃棄する。
■解答
5.吸引物は、吸引びんの70~80%になる前に廃棄する。
■解説
1.(×)乾燥法(乾燥させて保管する方法)よりも、浸漬法(消毒液に漬けて保管する方法)のほうが短時間で細菌が死滅します。
2.(×)浸漬法で用いる消毒液は、24時間を目安に交換することが推奨されています。
3.(×)チューブ外側は、清浄綿などを使って拭きます。内側は、口・鼻腔吸引用は水道水、気管内吸引用は滅菌水で洗浄します。
4.(×)吸引チューブの洗浄水は、8時間を目安に交換することが推奨されています。
5.(○)吸引の停止や故障を引き起こす原因となるため、吸引びんがいっぱいになる前に破棄します。
ささえるラボ編集部です。
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