【場面別の例文あり】介護記録はどう書く?上手な書き方のコツとポイントを徹底解説!
介護の現場では、介護記録は必ず書かなければなりません。しかし、「どんなことを書いたらいいの?」「いつも同じような内容になってしまう」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。じつは、介護記録は書き方のポイントを押さえることでうまく書けるようになるのです。そこで、今回は介護記録の書き方のポイントについて、詳しく見ていきましょう。
また、記事の下部では
現役施設長であり、いばらき中央福祉専門学校で学校長代行として学生さんの指導にもあたる伊藤浩一さんが、介護記録の苦手を克服する方法を伝授します!あなたは、介護記録で使ってはいけない言葉を知っていますか?
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マンガ監修:望月太敦(公益社団法人東京都介護福祉士会 副会長)
介護記録とは?
一般的に介護記録とは、介護サービス事業者が利用者にどのようなサービスをしたのかを記録した介護経過記録のことをいいます。記録する媒体に決まりはなく、手書きで書きこむものやパソコンやタブレット端末で記入するものなど、さまざまなものがあります。

介護保険法では、介護記録の作成と保存が義務付けられています。そのため、介護職につく者にとって介護記録は大切な仕事です。しかし、「介護記録に何を書けばいいかわからない」と悩んでいる人は多く、特に、新人介護スタッフにとっては、最初に悩む仕事のひとつのようです。
介護記録はその目的を改めて理解することで何を記録しておくべきなのかがわかるようになります。新人のうちは、以下に示す7つの介護記録の目的を知っておくだけでも、格段に介護記録が書きやすくなるでしょう。
提供した介護サービスの実践内容を報告する
実際にどのようなサービス内容を提供したのかを記載しておくことで、利用者やその家族、ケアマネージャーなどの他職種への報告がスムーズになります。
利用者の生活の様子や変化を観察する
サービスを提供したときに利用者がどのような様子であったのか、ケアをした際に、どのような変化があったのかを記載することで、その後の経過観察に役立ちます。特に、体調が大きく変化したときや入院したときには、いつから症状が現れたのかを振り返ることで適切な治療につながることがあります。
ケアプランに活用する
ケアプランに記載された目標がどれくらい達成できているかを、介護記録を見て判断し、新たなケアプランに反映することができます。
介護スタッフ間、チーム間で情報を共有する
ひとりの利用者に対して多くの介護スタッフが関わるため、情報を共有する必要があります。自分が実践した介護サービスについて介護記録に記載しておけば、介護スタッフ間での情報共有がスムーズに行えます。
統一した介護サービスを提供する
介護スタッフによって違う対応をしてしまうと、利用者が混乱する原因になることもあります。またそれぞれの介護スタッフによって異なった対応をされると不安な気持ちになり、体調を崩す可能性もあります。介護記録は介護スタッフがどのような対応をし、どのようなケアを継続してきているのかを理解し、また次にケアを行う介護スタッフに伝えるためのものです。こうした作業を徹底して行うことで統一した介護サービスの提供ができます。
介護スタッフと利用者やその家族との情報交換に活用する
介護記録には、サービス提供時の利用者の様子を記載するため、利用者やその家族と介護スタッフが情報を交換するときの資料として活用できます。
事故時の対応や状況の説明を残し証拠とする
万が一、サービス提供時に利用者がけがをした場合、事故の経過や利用者の状況、介護スタッフの対応などを詳細に残すことで、介護サービス事業者が責任をきちんと果たしているかの証拠とすることができます。
※なお、広い意味で「介護記録」と言う場合には、利用者の基本情報やアセスメント表など、介護サービス全般に関わる記録全てを指します。
介護記録を書く前に
介護記録を書く前に、意識しておくべきことがあります。それは、「良い介護記録は良いケアから生まれる」ということです。
介護記録は、利用者の介護サービス計画や目標、ケア内容を見直したり新たに作成したりするときに活用されます。そのため、介護記録には利用者の行動や発言など、さまざまな様子を記載する必要があります。

■入浴介助の場合
入浴介助を例に紹介しましょう。
まず、服を着替えたときや体を洗うとき、浴槽に入ったときの動作だけでなく、その時の言動や表情なども書き記します。
特に、「このお風呂は気持ちいいね」と笑顔が見られたといった様子や、「最近靴下がうまく履けなくなって……」と利用者が何気なく告げた愚痴に近いような一言であっても記録できるかぎり記録することを心がけます。そういったやりとりは、利用者の様子を知る貴重な情報となり、ケアプランを作成するさいに大いに役立ちます。
■信頼関係の構築が必須
しかし、このようなやり取りは、介護スタッフと利用者の関係性が良くなければ生まれてこないものです。ですから、介護スタッフは利用者に安心してもらい、信頼してもらえる関係性を築くことが大切です。
良い介護記録を書くためには、まず利用者を敬う心を持ち、謙虚な姿勢といつも変わらない態度で接することを心がけましょう。
そして、利用者と接していくなかで気付いたことは、その場でメモを取るようにしておきましょう。具体的に、ケアを行ったときの利用者のちょっとした反応や言動などをメモしておくと、後から介護記録を書き込むさいに記憶を呼び起こしやすくなります。特に新人のうちは、気になったことは何でもメモをする癖をつけておきましょう。
介護記録の書き方
介護記録は、書いた本人だけでなく他の介護スタッフやケアマネージャーなど、多くの人が目を通す可能性のある文書です。また、利用者やその家族など、専門職ではない人にも開示されることがあります。そのため、誰が見ても何が書かれているのか、内容がわかるように記載されている必要があります。そのために、書き方の基本と基礎的な表現を学んでおきましょう。

■書き方の基本
介護記録を書くときには、次の5つの基本を押さえましょう。
正しく日本語を使おう
介護記録を読んだ人が正しく内容を理解するためには、文章が正確に読めなくてはなりません。まず、漢字や句読点、接続語を適度に使用しましょう。ひらがなやカタカナが多い文章や句読点が少ない文章は、意味を取り違える可能性があります。また、新人のうちは正しく伝えようとして一文が長くなりがちです。一文は短く簡潔に。接続詞を使ってつなげる場合は、正確に接続詞を使わなければなりません。
ささえるラボ編集部です。
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