本日のお悩み
昨年、やっと介護福祉士の国家試験に合格しました。
資格を取ることを一つの目標にしていたので、次はどうしようか考えています。
介護福祉士から社会福祉士になるのは難しいですか?
勉強することもかなり違うのでしょうか?
介護福祉士と社会福祉士の違いとは?介護福祉士を取得後、取れる資格は?
介護業界で働いている人でも、介護福祉士と社会福祉士の違いを「言語化」してください!と言われたら、戸惑う人が多い気がします。
少し整理してみましょう。
■介護福祉士とは?
介護福祉士の資格取得ルートと仕事内容
介護福祉士とは、介護に関する唯一の国家資格です。
資格を取得するには、介護福祉士の養成校に行くルートと3年以上の実務経験を積み、実務者研修を終える受験資格を得るルートがあり、共に国家試験を受験し、合格する必要があります。
現在、概ね70%程度の合格率で推移しています。ちなみに、2022年の合格者数は60,099人です。
仕事内容は、高齢者や障害者など介護を要する人のQOL向上のため、食事や排せつなどの適切な身体介護や、家族や介助者に対して助言や指導を行います。
■社会福祉士とは?
社会福祉士の資格取得ルートと仕事内容
一方、社会福祉士とは、ソーシャルワークの国家資格です。
資格を取得するには、福祉系の大学・短期大学や養成施設などに通い、所定の課程を修了する必要があります。そして、国家試験を受験し、合格する必要があります。
ちなみに、社会福祉士の合格率は昨今30%前後で推移しています。介護福祉士より難易度は高いと言えますね。
ちなみに、2022年の合格者数は10,742名です。仕事内容は、高齢者や障害者以外に子どもや低所得者等の生活困窮者などを対象に幅広い支援を行います。当事者や家族からの相談に乗ったり、その方に合ったサービスを紹介したり、安心して日常生活を送れるような支援をおこないます。
■実は資格間垣根が低いこともある、介護福祉士と社会福祉士
このように、取得方法や仕事内容に違いがある両資格ですが、実は介護や福祉の世界では、両方の資格を持って活躍されている方も多いのです。
そして、ざっくりとした伝え方になりますが、「介護福祉士をもっていなければ」「社会福祉士をもっていなければ」付けない職種や仕事は思ったほど多くなく、「社会福祉士を持ち、介護の仕事」に付いたり、「介護福祉士を持ち、ソーシャルワークの仕事」に付いたりする方も、私の周りにはたくさんいらっしゃいます。
■介護福祉士と社会福祉士の活躍する場はそれぞれ違う
介護福祉士の活躍する場とは
ただし、やはり双方ともに明確な専門性はあり、介護福祉士の方の活躍する場は社会福祉施設が多く、高齢者や障害のある人を対象とする入所施設やグループホーム、デイサービスなどで勤務をしたり、自宅を訪問して介護を行うヘルパーをしたりされる方が多いです。
大半の業務内容は介護ですね。
社会福祉士の活躍する場とは
社会福祉士は、介護福祉士と比べ、支援の対象とする内容が幅広いため、介護福祉士が活躍する社会福祉施設のほか、医療機関や学校、行政機関や一般企業などで働く方も数多くいらっしゃいます。
多くの業務内容はソーシャルワークです。
■介護福祉士の、資格取得後のキャリアとは?
では、絶対数が多い介護福祉士の方々は、どのようなキャリアを積み、どのような資格を取得されているのでしょうか。
私は3つのパターンがあるのではと考えます。
①介護現場で経験を重ねていく
このパターンでは、更に「喀痰吸引等研修」や「ユニットリーダー研修」を受けられ、仕事の幅や深さを増していかれていきます。
②介護現場からソーシャルワークへ
将来のことを考え、このような選択をする方も多いですね。その時は、働きながら通信制の社会福祉士養成校に通ったり、独学で「介護支援専門員」資格を学び、ケアマネージャーを目指されたりする方もいます。
③介護現場からマネジメントへ
介護で経験を重ね、そこでリーダーをしたり、主任をしたりと役職が上がるにつれ、マネジメントの世界に興味を持つ方も少なからずいらっしゃいます。そのまま、デイサービスの管理者になったり、入所施設の施設長になったりする方もいます。独立して、ご自身で介護事業所を立ち上げられる方もいますね。
③の場合は、特別な資格はいりませんが、労働や運営、経営の知識と「ヒト・モノ・カネ」に関するセンスは必要とされますね。
以上、介護福祉士と社会福祉士について記してきましたが、いずれの資格も、これから益々必要とされる資格であるというのは間違いありません。
進みゆく「人口減少」と「少子高齢化」、減少しない「障害者」、「8050問題」「社会的引きこもり」と多様化する社会問題など、私たちが向き合わなければならない社会課題は山積しています。そこで、活かされるのが介護や福祉の専門性です。
そしてその専門性を振りかざすだけでなく、社会とどう関わり、共生していくかが大切です。
資格を所有するだけでなく、この変節する社会の中で、その資格をどう活かしていくかが問われていると考えます。
今後のご参考になれば幸いです。
【体験談あり】介護福祉士取得後、社会福祉士の資格を取得するには?
ご質問ありがとうございます!!
まずは介護福祉士合格おめでとうございます。目標を一つ達成ですね!
資格取得をされて1年が経過しますが、介護福祉士としての一年は充実していましたか?
資格取得が、介護福祉士としてのスタートラインだったと思います。
これまでの一年間で様々な経験を積み、介護福祉士としてのスキルもより洗練されてきたものと思います。
■介護福祉士から社会福祉士を取得した、専門家・後藤さんの体験談
次の目標として、社会福祉士に興味があるのですね。資格取得への意欲や向上心、素晴らしいです!!
実は私も介護福祉士を取得した後、同じように目標を立てたんですよ。
介護福祉士を取得したことで、より知識や資格への意欲が高まり、もっと色々な資格を取得していきたいと思ったからです。
私の場合は、その後社会福祉主事、介護支援専門員、社会福祉士の資格を取得していきました。
恐らく、介護福祉士取得後にすぐに社会福祉士が受験できたとして、合格できたかは自身がありません。笑
社会福祉主事や介護支援専門員などの資格を取得していく中で、知識や実務での経験を積むことができたことで、その延長線に社会福祉士の合格があったと感じています。
私の印象としては、社会福祉士の試験は難しかったですよー!
膨大なカリキュラムもそうでしたが、高齢者福祉だけではない福祉への視点など、それまでに学んできた事の総決算のようでした。笑
ただ、知らないことを知れる楽しさから、勉強している最中からワクワクしていたのを思い出します。本当に有意義な時間でした。
■2021年度から導入開始の、社会福祉士 新カリキュラムまとめ
社会福祉士ですが、2019年に新たな養成カリキュラムが公表され、2021年度から導入開始となりましたので、最新の情報を入手してみてください!
社会福祉士養成カリキュラムの変更点①実習について
養成カリキュラムの大きな変更点は、実習の時間数が180時間から240時間に拡大し、さらに2カ所以上の施設での実習が必須となったことです。
ただし、ご質問者さんのような介護福祉士、精神保健福祉士の資格保有者は60時間を上限に実習が免除されます。
社会福祉士養成カリキュラムの変更点②ソーシャル機能を学ぶ演習について
ソーシャル機能を学ぶ演習も変更となります。
従来では1科目150時間でしたが、新カリキュラムでは精神保健福祉士との共通科目で基礎的な内容の「ソーシャルワーク演習」(30時間)と、社会福祉士として専門的に学ぶ「ソーシャルワーク演習(専門)」(120時間)の2つに分かれます。
社会福祉士養成カリキュラムの変更点③新たに創設された科目
内容の変更では、「地域福祉と包括的支援体制」と「刑事司法と福祉」が新たに創設されました。
「地域福祉と包括的支援体制」は、旧カリキュラムの「地域福祉の理論と方法」と旧カリキュラムの「福祉行財政と福祉計画」をベースにした科目で、複数機関と連携しての包括的な相談支援体制の仕組みを学びます。
「刑事司法と福祉」は、旧カリキュラムの「更生保護制度」をベースに司法と福祉の連携に関する内容となっています。
また、従来は複数の科目から1科目を履修していましたが、新カリキュラムではすべての科目の履修が必修です。
一方で、社会福祉士と精神保健福祉士は職域が重複することから、共通科目・時間数を拡充することで、両方の資格取得を目指す人の負担軽減が図られています。
■カリキュラムの全体像
学ぶカリキュラムについても、お伝えしておきますね。
高齢者介護福祉の現場でしか働いたことがなかった私にとっては、児童福祉や、更生保護についてはとても興味深かったですね。
1.医学概論 2.心理学と心理的支援 3.社会学と社会システム 4.社会福祉の原理と政策 5.社会福祉調査の基礎 6.ソーシャルワークの基盤と専門職 7.ソーシャルワークの基盤と専門職(専門) 8.ソーシャルワークの理論と方法 9.ソーシャルワークの理論と方法(専門)
10.地域福祉と包括的支援体制 11.福祉サービスの組織と経営 12.社会保障 13.高齢者福祉
14.障害者福祉 15.児童・家庭福祉 16.貧困に対する支援 17.保健医療と福祉 18.権利擁護を支える法制度 19.刑事司法と福祉 20.ソーシャルワーク演習 21.ソーシャルワーク演習(専門) 22.ソーシャルワーク実習指導 23.ソーシャルワーク実習
■社会福祉士の受験要件と、受験資格を得るルート
社会福祉士を受験するにあたり、受験要件があるのはご存じですか?
私の場合は、社会福祉主事の資格取得後に相談援助業務に従事したことで、受験資格を得るルートで受験をしました。
社会福祉士の受験資格を得るには、主に次の8つのルートがあります。それぞれのルートについてお伝えしますね。
①福祉系大学(4年制):指定科目履修、基礎科目履修+短期養成施設等(6ヵ月以上)
②福祉系短大(3年制):指定科目履修+相談援助実務1年、基礎科目履修+相談援助実務1年+短期養成施設等(6ヵ月以上)
③福祉系短大(2年制):指定科目履修+相談援助実務2年、基礎科目履修+相談援助実務2年+短期養成施設等(6ヵ月以上)
④一般大学(4年制):一般養成施設等(1年以上)
⑤一般短大(3年制):相談援助実務1年+一般養成施設等(1年以上)
⑥一般短大(2年制):相談援助実務2年+一般養成施設等(1年以上)
⑦社会福祉主事養成機関ルート:相談援助実務2年+短期養成施設等(6ヵ月以上)
⑧実務経験ルート:児童福祉士、身体障害者福祉士、査察指導員、知的障害者福祉士、老人福祉指導主事としての実務経験4年以上+短期養成施設等(6ヵ月以上)
相談援助実務4年以上+一般養成施設等(1年以上)
相談援助実務 の実務経験として認められる職種
また、相談援助実務 の実務経験として認められる職種は以下の4つに定められています。
(1)児童分野(保育士、児童福祉司、児童相談所の電話相談員など)
(2)高齢者分野(生活相談員、介護支援専門員、相談指導員など)
(3)障害者分野(身体障害者福祉司、心理判定員、職能判定員、ケースワーカーなど)
(4)その他の分野(精神保健福祉士、精神科ソーシャルワーカー、医療ソーシャルワーカー、生活相談員、相談支援員など)
介護福祉士は介護のプロであり、社会福祉士は、ソーシャルワークのプロとなります。
なので、学ぶ内容も大きく違い、より広い視点から社会福祉を学ぶことが出来るんです。
■専門職として視野を広げられる、社会福祉士
覚えることは多岐にわたり大変かもしれませんが、専門職として大きく視野が広がったことで、それまで以上に自分自身の成長を実感できます!!
新たな挑戦を応援しています!
ご質問ありがとうございました。
・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士