初心者が働きやすい職場の見極め方 3つのポイント
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介護職は大変そう…そんなイメージが付いた理由は?
皆さんは介護の仕事にどのようなイメージをお持ちですか?
『大変そう』『給料が安いんじゃないの?』『私にできるのかな?』『正直、仕事の内容がよくわからない』
こんな不安やイメージを持つのは当然です。世間で言われている事や報道で目にする情報が、どちらかというとネガティブな内容が多いからだと思います。また、介護サービスはご本人(高齢者)の自宅や施設で提供されている場合が多く、普通に生活している中で関わることがないためイメージしにくいものでもあります。
■発展途上の職業だった介護職
現在、超高齢社会を迎えている日本でも、介護保険制度がスタートしてすぐの頃、介護職は発展途上の職業でした。
メディア側も情報が少なく、直接介護職に話を聞いてみても、あまりポジティブな話題が聞こえてこなかったのでしょう。いったいなぜなんだ!?と、マスコミやメディアが、介護職員のネガティブな部分ばかりにフォーカスし、話題として取り上げていたことの影響も大きいかと思います。
ですが、安心してください。
あれから20年、今は2020年です。
介護職員を取り巻く環境は大きく変わりました。
この職業の価値やポジティブな面を現場で実践し、社会に発信している方々が本当に多くなりました。
介護を、もっと開かれた仕事に
■人手不足の実際
皆さんも耳にしたことがある通り、介護職員不足は深刻です。
現在全国の介護職員数は、2017年度時点で約190万人ですが、厚生労働省は2020年で約216万人、2025年度で約244.6万人の介護職が必要になるという予測を立てていました。
全然足りていませんね…。
(人手不足は介護や医療だけの問題ではありません。人口が減少しており、超高齢社会の日本においては、すべての産業で人手不足となるでしょう。)
■介護職は安定した仕事です!
実は介護職は、新型コロナウイルスが感染拡大する中でも、昇給やボーナスが支給され、安定した収入が得られています。
これは国をあげて介護職員の賃金改善を行う取り組みがされていることや、景気に左右されない安定した職業であることが理由です。これにより、全産業と比べても決して低くない賃金構造が出来上がり、勤続年数が長い職員は、全産業の平均給与を大きく上回る人も増えています。
また、介護未経験者に対する入門的研修制度である『介護職員初任者研修』も創設され、働き手を受け入れるための間口は確実に広がりを見せています。
■介護の仕事をもっと知ってもらうために
私たち介護保険事業者も、多様な人材の確保・育成として、高齢者雇用や障がい者雇用、中間的就労、ボランティア、地域住民の協力といった人材の受け入れを促進する取り組みを強化し、これまで閉鎖的で一般の方々に知られていなかった、介護職の存在を示していくことを始めています。
介護職とはどういうものなのか、どのような魅力があるのかを知ってもらうため、地域に出向いて体験型のイベントなどを開催することも増えてきているんですよ。
そして何より、認知症の方々が地域で笑顔で生活をする姿こそ、私たちの仕事の魅力を発信することに繋がる道だと理解するようになりました。これまでは閉鎖的だった施設も、地域に開かれた場所として新たな取り組みに挑戦しています。皆さんも、車いすを押している若い介護職の姿をご覧になったことがあるのではないでしょうか?
前置きが長くなりましたが、近年の動向や今後の職業としての安定性は働くうえでは非常に重要で、その課題と現状の取り組みをご理解頂きたいと思い、記載いたしました。そしてなにより、そのような活動を積極的に行っている施設こそ、初心者でも働きやすい職場だと思います!
介護職の経験が無くても大丈夫、初心者が働きやすい職場とは?
介護職員が不足しているということは、裏を返せば未経験の方にもぜひ来てほしいと思っている事業所が多いという事です。実際に私の事業所でも無資格未経験の入職者が多くいらっしゃいます。
皆さん不安を抱えて入職されるわけですから、事業所側も不安を安心に変えられるような受け入れ態勢を整えています。
ここでは、初心者の方が働きやすい職場の特徴を3つご紹介します。
■① 育成計画が整っている
面接の際に『未経験の人には、どのような研修が行われていくのですか?』と聞いてみてください。
ポイントは育成計画があるのか、それはどのくらいの期間なのか?という事です。3か月以上の育成期間を設定されている事業所は、未経験でも十分に仕事の理解が深めることができます。逆に短すぎると、不安が大きくなる可能性が高いといえます。
育成計画がないと、新人職員が何をどこまで理解し習得したのかが不明瞭になり、あなた自身が戸惑うばかりか、指導者側もわからなくなってしまいます。理解度を具体的な項目に分け、定期的に上司の方と面談が実施される環境があれば安心です。
■② 職場の人間関係が良好
職場の人間関係は最重要ポイントです。
育成が十分でない場合、職員は適切な技術を習得できません。不安やストレスを抱えている状態となり、その環境では良好な人間関係を築いている余裕がなくなってしまいます。
「介護職=離職率が高い」は本当?
介護職は離職率が高いと言われますが、実は全産業と比較しても全体の離職率はそれほど高くはありません。全産業での離職率が15%。介護職の離職率が16%ほどです。それほど大きい開きではありませんよね?
しかし、3年未満に離職していく割合は70%を超えています。大問題ですよね。そして離職理由の第一位が、『人間関係』なのです。
この状況は雇用する側、働き手側のどちらにとっても不利益しかもたらしません。その因果関係は、育成制度や研修制度にあると考えています。
制度がしっかりと定着している事業所は、安心して働ける環境となり、人間関係も良好に保つことができるという構図です。
①②のポイントは特に重要で、押さえておいていただきたい項目です。
中には職場体験をできる事業所もありますので、その際には必ず職場体験をしてみてくださいね。
【人間関係】働き始める前に介護現場の人間関係の良し悪しを見極める3つの手段 | ささえるラボ
https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/32介護の仕事はチームで行う仕事であるため、人間関係の良し悪しによって働きやすさが大きく異なります。本記事では実際に働き始める前に、その職場の人間関係が悪いかどうかを知る手段やチェックポイントを解説します。
■③ 資格取得のバックアップ体制がある
研修育成制度や人間関係とも繋がっていくポイントですが、従業員の資格取得をどの程度バックアップしているのかも大切です。
ここが整うことで、職員の資格取得への意欲が高まり、技術的なスキルアップが図られ、育成研修の質が上がっていった結果、安心して働ける職場となり人間関係も良好になる可能性が高くなります。
以上3つのポイントを、転職活動の際にチェックしてみてくださいね!
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https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/196【回答者:後藤 晴紀】理由は、スタッフの育成環境にあると思います。
・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士