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福祉住環境コーディネーターとは?資格の取り方や仕事内容を解説

福祉住環境コーディネーターとは?資格の取り方や仕事内容を解説

高齢者や障がい者に住みやすい住環境を提案する役割を担う、福祉住環境コーディネーター。自宅の介護リフォームを望む人が増えるなかで注目されている資格です。資格の取得方法や仕事内容など、福祉住環境コーディネーターの概要を解説します。 【ささえるラボ編集部】


福祉住環境コーディネーターとは?資格の取り方や仕事内容を解説

福祉住環境コーディネーターとは?資格の取り方や仕事内容を解説

福祉住環境コーディネーターは、医療・福祉・建築の知識を活かして住環境についてアドバイスする仕事とされていて、難易度別に3級から1級までの3つの資格があります。

要介護状態になっても暮らしやすいように自宅をリフォームする人が増えているなかで、注目されている資格です。
級による違いや資格の取得方法や合格率、主な仕事内容など、福祉住環境コーディネーターの概要を解説します。
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福祉住環境コーディネーターとは

福祉住環境コーディネーターは1999年に誕生した資格で、東京商工会議所が検定試験を実施しています。

誕生の背景には、高齢者や障がい者が安心して暮らせる住環境が求められているにもかかわらず、住環境づくりについての相談に対応できる職種がなかったことがあります。

資格の取得者には、医療・福祉・建築に関する体系的で幅広い知識をもとに、高齢者や障がい者に住みやすい住環境を提案するアドバイザーとしての役割が期待されています。

また、利用者の要望はもちろん、建築士、ケアマネジャー、医療従事者といった専門家の意見を聞いて住環境づくりに反映させることも重要な役割です。

現状では、福祉住環境コーディネーターという職種での求人募集は少ないため、この資格のみで就職や転職につなげるのは難しいでしょう。

ただ、福祉・介護業界や住宅業界では、ほかのスキルや資格に加えてこの資格を持っていると、歓迎されて採用で有利になる可能性があります。

どんな人が取得している?

では実際には、どんな人が福祉住環境コーディネーターの資格を取得しているのでしょうか。

東京商工会議所は、Webサイト上で福祉住環境コーディネーター検定試験受験者に保有資格を聞いたアンケート調査の結果を公開しています。

それによると、最も多かった保有資格は福祉用具専門相談員(19.5%)で、次いで介護福祉士(18.3%)、介護職員初任者硏修(13.8%)がそれに続きます。

さらにケアマネジャー、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、看護師、宅地建物取引士、1級・2級建築士、インテリアコーディネーターなどの資格名も含まれています。


この結果からは、福祉・介護業界、医療業界、建築・住宅業界と、幅広い業界に福祉住環境コーディネーターの資格取得者がいることがわかります。

福祉用具専門相談員をはじめ、介護職、ケアマネジャー、建築士、リフォーム会社のスタッフなどが、業務に役立てるために取得するケースが多いと考えられます。
※出典:東京商工会議所 福祉住環境コーデネーター検定試験サイト「受験者の保有資格(2・3級アンケート集計結果)

級による違い

福祉住環境コーディネーターには、3級・2級・1級があります。
以下に、各級について、検定試験で求められるレベルを紹介します。

■3級

最も難易度が低い入門的な資格です。生活者として知っておくべき福祉一般の基本的知識や福祉住環境整備の基礎知識を身につけているかどうかが問われます。

■2級

実務に活かせるレベルの福祉と住環境に関する幅広い知識・スキルが求められます。また、各専門職と連携して具体的な提案ができるスキルも必要です。

■1級

2級で得た知識をもとに具体的な新築や住宅改修のプランニングができるスキルに加えて、社会福祉施設の住環境整備、町づくりへの参画といった幅広い活動ができる知識・能力が求められます。

福祉住環境コーディネーターの資格取得方法

ここからは、2023年の第50回、第51回試験の情報をもとに、福祉住環境コーディネーター検定試験の概要を紹介します。

なお、試験の実施年度によって細部が変更になる場合があるため、詳細は東京商工会議所の福祉住環境コーディネーター検定試験サイトで確認ください。

受験資格

受験資格や年齢制限はなく、誰でも受験できます。
介護系の資格で求められることが多い実務経験は必要ありません。
2級や1級から受験することもできます。3級と2級の併願受験も可能です。

3級・2級の試験概要

■試験期間
7月~8月、11~12月の年2回

■受験方式
IBT方式、CBT方式から選択。
IBTは自分の端末・インターネット環境を利用して受験する試験方式、CBTは全国にあるテストセンターのパソコンで受験する方式です。定められた試験期間・開始時間から、受験者が受験日時を選んで申し込みます。

■試験形式・時間
試験形式は複数の選択肢から当てはまるものを選ぶ多肢選択式。試験時間は90分。

■合格基準
100点満点中70点以上

■受験料
3級:5,500円、2級:7,700円。CBT方式の場合は、それぞれにCBT利用料として2,200円が必要です。

1級の試験概要

■試験日
12月中旬

■受験方式
全国にあるテストセンターのコンピューターで受験するCBT方式のみ。決まった日時に実施される全国共通の統一試験なので、日時の選択はできません。

■試験形式・時間
前半:多肢選択式(90分)、後半:記述式(90分)

■合格基準
前半・後半各100点満点とし、それぞれで70点以上の得点が必要

■受験料
9,900円。それに加えてCBT利用料2,200円が必要です。
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合格率

下記は、過去3年間の福祉住環境コーディネーター検定試験の合格状況です。
3級の合格状況 受験者数 合格者数 合格率(%)
2022年度合計 5,616 2,183 38.9
2021年度合計 5,129 3,391 66.1
2020年度合計 6,486 4,335 66.8
2級の合格状況 受験者数 合格者数 合格率(%)
2022年度合計 13,263 4,903 37.0
2021年度合計 10,617 7,201 67.8
2020年度合計 10,778 5,043 46.8
1級の合格状況 受験者数 合格者数 合格率(%)
2022年度合計 285 16 5.6
2021年度合計 361 64 17.7
2020年度合計 335 43 12.8
※出典:東京商工会議所 福祉住環境コーディネーター試験サイト「2022年度 試験結果 (全国分)」「2021年度 試験結果 (全国分)」「2020年度 試験結果 (全国分)」
上記のデータを見ると、3つの級のうち最も受験者数が多いのが2級で、最も少ないのが1級であることがわかります。
合格率については、3級と2級は低い年で30%台後半、高い年は60%台後半と、年度によってかなり差があります。

一方、1級の合格率は5~17%程度と低い割合で推移しています。1級に比べると3級・2級は合格率が高めですが、難易度が低いわけではありません。各級のレベルに合わせた試験対策が必須です。

勉強方法

試験勉強には、東京商工会議所が発行している公式テキストを使うのが基本です。
公式テキストは3級、2級、1級の3冊あり、各級で求められる知識がテーマごとに解説されています。

さらに公式テキストに準じた練習問題もあるので、あわせて活用するとよいでしょう。
公式テキスト、練習問題は、福祉住環境コーディネーター検定試験サイトから、リンク先の外部サイトや申し込みフォームで購入できます。

試験勉強に要する期間・時間は人それぞれですが、東京商工会議所による2級・3級の合格者へのアンケート調査の結果を見ると、3級・2級ともに約6割の人が、2ヶ月以内の勉強期間で合格しています。
また、勉強時間については、1日あたり1時間以内の勉強時間で合格した人が約半数を占めています。

独学でも合格は可能ですが、より効率的に勉強したい場合は、商工会議所が主催する受験対策セミナーや、民間スクールによる講座を利用するとよいでしょう。
※出典:東京商工会議所 福祉住環境コーディネーター検定試験サイト「2級・3級の合格者の方に聞きました!」

福祉住環境コーディネーターの主な仕事内容

では、業務に活かせるレベルとされる福祉住環境コーディネーター2級以上の資格を取得すると、どんな業務ができるようになるのでしょうか。
ここからは、福祉住環境コーディネーターの主な仕事内容について解説します。

住宅の新築・改修の提案

福祉住環境コーディネーターの主な役割は、ケアマネジャーや建築士といったほかの専門職と連携しながら、利用者の体の状態や要望に合わせて、住宅の新築・改修についてプランを提案したり、アドバイスをしたりすることです。

個人宅のほか、介護施設の住環境整備に携わることもあります。
介護が必要な高齢者の住宅では、例えば、玄関に手すりやスロープを設置する、部屋と部屋の間の段差をなくす、浴室の床を滑りにくい素材にするといったリフォーム例が考えられます。

住宅改修の理由書の作成

介護保険では、要介護者や要支援者が自宅に手すりを取り付けるといったリフォームを行う際に事前に申請をすると、限度額の範囲内で、かかった住宅改修費の7割~9割が支給される制度があります。
申請時には、申請書のほかに、住宅改修が必要な理由をまとめた「理由書」が求められます。

この理由書は、ケアマネジャーが作成するのが一般的ですが、自治体によっては、福祉住環境コーディネーター2級または1級の取得者も作成を認められています。
そのため、いずれかの資格を持つリフォーム会社や工務店のスタッフなどが理由書を作成することもあります。

福祉用具の選定アドバイス

福祉用具とは、車椅子や電動ベッド、歩行器といった要介護者の日常生活をサポートする用具のことです。
福祉住環境コーディネーター資格(2級以上)を取ると、要介護者の体の状態やライフスタイルに合った福祉用具の選び方や活用の仕方についてもアドバイスできるようになります。

福祉用具貸与・販売事業所で働く福祉用具専門相談員は、利用者の状態や環境に合わせて適切な福祉用具を提案するほか、自宅に導入する際の取り扱い説明や調整、その後の定期点検なども行います。
福祉用具専門相談員が福祉住環境コーディネーターの資格を取ると、医療・福祉・建築に関する幅広い知識に基づいた提案ができるようになります。

まとめ:ほかの資格にプラスすると、活躍の場が広がる可能性が

国は今、医療や介護が必要な人が、可能な限り住み慣れた地域で暮らせるように支援する地域包括ケアシステムの構築を進めています。
医療・福祉・建築に関する体系的な知識をもとに住環境づくりのアドバイスができる福祉住環境コーディネーターのニーズは、今後さらに高まっていくでしょう。

福祉住環境コーディネーターは、これだけで就職や転職につながる資格ではありませんが、ほかの資格や知識・スキルにプラスすることで、活躍の場や機会が広がる可能性があります。
福祉住環境コーディネーターの資格は、実務経験などの受験要件が求められないうえ、独学で試験勉強が可能なので、比較的チャレンジしやすい資格といえます。

介護・医療・建築関連で働く人は、将来の選択肢の一つとして知っておくとよいでしょう。
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この記事のライター

ささえるラボ編集部です。
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