回答例あり!介護職の転職の面接でよく聞かれる15の質問

面接ではさまざまな質問に答える必要があります。
回答内容によっては採用担当者に好印象を与えることができるため、キャリアや資格に自信がなくても転職成功率をグッと上げることも可能です。
そこで今回は介護職の転職における面接で、よくある質問を面接の流れに沿って解説します。
面接の基本マナー
面接の質問対策に入る前に、面接の基本マナーを押さえておきましょう。
面接では、どれほど魅力的な経験があっても、面接時の印象が悪ければ採用してもらえません。
採用担当者の印象を良くするためには、基本的なマナーを頭に入れておき、実践するようにしましょう。
介護職の転職における面接マナーは、「介護職の転職で押さえておきたい面接のマナー」に詳しく記載されているので、ぜひ参考にしてください。
また、立ち振る舞いや動作だけでなく、服装や髪形などの見た目も印象を大きく変えます。
マナーとは相手に心地良いと感じてもらうためのものであるため、見た目を整えることはマナーのひとつと心得ておきましょう。
面接時の服装については、「介護の転職はスーツで面接? 夏場も? 服装に関する5つのポイント」を参考にしてください。
質問の流れを押さえよう

介護職の転職では、面接の質問は次の流れで進むことが多いでしょう。
1.導入での自己紹介
2.志望動機
3.人柄・スキルの確認
4.仕事の向き合い方の確認
自己紹介は、あなたの人物像や職務経歴、つまり経験を確認するための質問だと考えてよいでしょう。
志望動機では、貢献できるスキルと転職先への理解度を見られます。
人柄・スキルや仕事の向き合い方の確認では、職場でうまくやっていける人物かどうかに関する質問が多いでしょう。
また、今までに経験したことやそのときの対応を聞かれ、適応能力を見られることもあります。
面接が進むにつれ、質問の内容もより具体的になっていきます。
この流れに沿って、よく聞かれる質問と回答例をみていきましょう。
導入での自己紹介に関する質問

面接で導入時に質問される内容として最初に挙げられるのが、自己紹介です。
しかし、自己紹介と言われても名前以外にどのようなことを答えたらいいのか、わからないという人も多いのではないでしょうか。
ここからの項目では、それぞれの質問に答えるときのポイントと回答例を紹介します。
■質問1:自己紹介をお願いします
この質問では、名前とその職場で活かせる職務経歴を簡潔に答えましょう。
時間は1分程度を目安にします。
自分を知ってもらおうと、趣味や興味のあることなど仕事と関係のないことを長々と話してしまうと、あまり良い印象を与えません。
なぜなら、採用担当者が知りたいのは、あなたのプライベートな部分ではなく、今までどのように仕事に向き合ってきたのかといった情報だからです。
将来のビジョンを語ることは印象に残りやすいのですが、長くなりすぎないように注意しましょう。
【回答例】
山田幸子と申します。
家から徒歩で通える位置にあるドラッグストアに務めておりました。担当していたのは販売です。
前の勤務先で一般的な薬の研修やお客様へのアドバイス、薬剤師へとつなぐまでの対応などを身につけました。
また、仕事をしながら、5年ほど母の介護をしてきました。
こうした経験をするうちに、人の健康的な暮らしをサポートすること、介護を仕事にすることへの意欲が高まり、転職を決めました。
志望動機やキャリアに関する質問
志望動機やキャリアに関する質問では、その事業所や施設を選んだ明確な理由や、あなたが本当に活躍できる人材なのかどうかを見られます。
なかでも、次に紹介する質問は聞かれる頻度が高いので、事前に対策しておきましょう。
■質問2:どうして前の職場を辞めた(転職しようと考えた)のですか
前の職場を辞めた、あるいは転職を考えた理由は介護業界にかかわらず、必ずといってよいほど問われるものです。
理由の背景に不満が転職のきっかけになるのは一般的なことなので、回答する際に、不満を隠す必要はありませんが、伝え方には工夫が必要です。
例えば「給料が低かった」「職場が遠かった」などの理由をそのまま伝えては、「どうして就職前に確認しなかったのだろう」と思われる可能性があります。
他にも「人間関係の難しさに疲れた」という理由に対しては、「本人にも人間関係をうまく築けない理由があるかもしれない」と思われるかもしれません。(回答例1参照)
一方、前職も介護職である転職者が、職場環境が原因で、思うような介護を行うことができず、常にジレンマを抱えていたといった不満や葛藤であれば、その理由はそのまま伝えても「努力が足りない人だ」とは受け取られないでしょう。
しかし、このケースであっても、不満のあった職場環境で自分なりにどのような行動をとり、今回の転職に至ったのか、のような理由や状況を付け加えておくとよいでしょう。(回答例2参照)
また、転職先も前職場と施設が似ており、「今まで抱えてきた介護体制に関する不満や葛藤」が発生する可能性がある場合は、転職先のどのような業務形態や組織に惹かれたのかといったところに注目した転職理由を考えておく必要があります。(回答例3参照)
さらに、異業種から未経験の介護職へ転職を希望した場合は、前職で培ったスキルやそのなかで介護職を選んだ理由を論理的に伝えることが大切です。
日常業務のなかで気付いたことを突き詰めて考えると、高齢者の健康を担う役割を果たせるのではないか、との思いに至り、介護職への転職を決めた、という理由は納得感のある回答だといえるでしょう。(回答例4参照)
【回答例1】
以前務めていた施設は自宅から通勤に2時間かかりました。
就職時から距離や通勤時間は承知をしていたのですが、務めるうちに、介護職としてさらにスキルアップしたいという希望が大きくなりました。
通勤時間を学びや経験の時間に活用し、資格をとるための研修会にも参加をしたいと考えるようになり、通勤時間を短縮でき、さらに研修会参加を支援していただけるこの施設への転職を希望いたしております。
【回答例2】
以前勤めていたところは治療を目的とした施設ではありませんでした。
利用者の方が体調不良を訴えた場合は病院を受診する必要がありました。
そのために、まず家族と日程調整を行わなければならず、対処に時間がかかってしまいました。
そうした手間は、つらさを訴える利用者の方に我慢してもらうことにもつながり、介護を提供する者として葛藤がありました。
そこで、病院とのネットワークの強化や日常的な情報共有など、スムーズに介護から治療につなげられる方法はないかと施設内での話を提案したのですが、うまく実現することはできませんでした。
しかし、こうした経験は、さらなる自分のスキルアップへの意欲を高めることになりました。
介護老人保健施設であれば医療体制も整っているため、迅速な対処が可能だと考えております。
そうした環境で、自らのスキルと経験を高めていきたいと思い、転職を決意しました。
【回答例3】
以前は一度に対応する利用者の方の数が、50人を超えるような施設で働いていました。
そこでは、おむつ交換や入浴介助のような日常業務に追われる日々でした。
また、時間にゆとりもないため、機械的に業務を回す必要があり、利用者の一人ひとりと深く向き合うことができませんでした。
そのようなときに知ったのが、こちらの施設のような少人数制のユニット型施設の存在です。
こうした施設であれば、利用者の方一人ひとりの離床や状況、あるいは人生にも深く関わっていくことによって、丁寧な介護が提供できると考え転職を決めました。
【回答例4】
以前勤めていたところは地域に密着した小さなレストランです。そこで調理を担当しておりました。
地域で生産された食材で、なかでも無農薬や自然農法で育てられた季節の野菜を使った料理は評判で、さまざまな年齢層の方に利用いただいていました。
高齢のお客様から、牛蒡を柔らかく調理することができず、家では食べる機会が持てなかったけれど、このレストランで出してもらえる牛蒡の柔らか煮はおいしく食べることができる。
と喜んでもらえたり、逆に、この料理は飲み込みにくいなどのご注意を受けたりすることがありました。
この経験から、同じ食材でも調理法によって食べやすくなり年齢に適した食事を提供することができることに気付きました。
また、食べることは健康維持の基本的な要因であることも改めて意識するようになりました。
こうした経験と意識の変化が、もっと高齢者の方の要望を理解し、対応できる環境で働きたいという希望につながりました。
介護職は未経験ですが、未経験者でも転職できる可能性があることも知り、御施設への転職を決意しました。
■質問3:この仕事(職種)を選んだ理由は何ですか?
この質問では、前職やこれまでの人生経験と志望する仕事や職種を関連付けて回答するとよいでしょう。
とくに、介護の仕事が未経験の場合には、介護職に興味を持った理由や介護の仕事で活かせる経験などを具体的に伝えると、良い印象を与えることができます。
「経験はないけどがんばります」という意気込みだけでは、説得力は全くありません。
どういう点でどのように自分の力を発揮できると考えているのかを、採用担当者がイメージできるように伝えることが重要なポイントとなるでしょう。
【回答例】
前職では企業や施設、学校、あるいは個人の方が実施されるイベント企画を担当していました。
イベント企画といっても、ただ日程や内容、場所を予算内に収まるように組み立てればよいというのではなく、依頼される方が何を目的に行われるイベントで、どういう結果を求めておられるのかといった実施する意義や目的など、言葉には出ていない思い、要望を把握することが顧客満足度を高めることを経験しました。
人に心から満足して、充実した時間を過ごしてもらいたい気持ちが高まり、介護職を希望しました。
経験はありませんが、どのような状況で、何を求められ、どのような対応が適切であるのかを把握し実行すること。
また、それは他のスタッフとの協力のもとに丁寧に進めて行くことが重要であることは身に付いております。
こうした経験とスキルは介護職としても十分に活かせると考え、この仕事を選びました。
■質問4:どうしてこの施設を受けようと思ったのですか
以前の職場を辞めた、あるいは転職した理由を聞かれたうえで、この施設を選んだ理由を聞かれることもあります。
そのような場合は自宅からの距離や勤務時間帯、給料など、条件が希望に合っていたことを伝えるようにしましょう。
数ある同じような施設のなかでどうして面接を受けている施設を選んだのか、ということが伝わりやすくなります。
労働条件の話をすることを躊躇する人もいるかもしれません。
しかし、労働条件が希望と合致していると伝えることは、働くうえで不満が生じる可能性が低いということをアピールする効果があります。
採用担当者から「この人はミスマッチも少なくて長く働いてくれそうだ」というような評価をもらうことができ、採用率が高まる可能性もあると考えられるでしょう。
ささえるラボ編集部です。
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