第36回介護福祉士国家試験 対策問題(総合問題)8
■問題
次の事例を読んで答えなさい。
〔事 例〕
Dさん(38歳、男性、障害支援区分3)は、1年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し左片麻痺(ひだりかたまひ)となった。後遺症として左同名半盲、失行もみられる。現在は週3回、居宅介護を利用しながら妻と二人で生活している。
ある日、上着の袖に頭を入れようとしているDさんに介護福祉職が声をかけると、「どうすればよいかわからない」と答えた。普段は妻がDさんの着替えを手伝っている。食事はスプーンを使用して自分で食べるが、左側にある食べ物を残すことがある。Dさんは、「左側が見づらい。動いているものにもすぐに反応ができない」と話した。
最近は、日常生活の中で、少しずつできることが増えてきた。Dさんは、「人と交流する機会を増やしたい。また、簡単な生産活動ができるようなところに行きたい」と介護福祉職に相談した。
Dさんへの食事の支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.食事の量を少なくする。
2.テーブルを高くする。
3.スプーンを持つ手を介助する。
4.バネつき箸に替える。
5.食事を本人から見て右寄りに配膳する。
解答と解説
■解答
5.食事を本人から見て右寄りに配膳する。
■解説
Dさんは、左片麻痺と左同名半盲、失行がみられる状態です。同名半盲では、両方の眼において、右側または左側の半視野が見えなくなります。Dさんは左同名半盲であり、右眼でも左眼でも左側半分が見えていません。
1.(×)左側にある食べ物を残していることから、食べ残しの原因は食事の量が多いことではなく、左同名半盲の影響であると考えられます。
2.(×)テーブルの高さが問題となるエピソードは記載されていません。
3.(×)スプーンを利用して自力で摂取可能であるため、介助の必要はありません。
4.(×)バネつき箸は、手指の運動に障害がある場合などに用いられる自助具です。
5.(○)左同名半盲であることに留意し、Dさんが見える側に食事を配膳することが適切です。
ささえるラボ編集部です。
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