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介護職の仕事がきついって本当?きつい・大変と言われる原因と改善策を解説!

介護職の仕事がきついって本当?きつい・大変と言われる原因と改善策を解説!

[2024年11月29日更新]介護職と聞くときつそう、大変そうというイメージがある人も多いのではないでしょうか。この記事では、そもそもなぜ介護業界はきついと言われているのかその要因を分析し、それに対して、行われている改善の動きも確認していきます。


目次

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執筆者

ささえるラボ編集部

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ささえるラボ編集部です。 福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします! 「マイナビ福祉・介護のシゴト」が運営しています。

介護職と聞くとなんとなく大変なイメージがある人も多いと思います。しかし、介護業界は高齢化の進行という社会的なニーズの高まりに応じて、さまざまな変化を遂げているのです。

この記事では、介護職がきついと言われている理由を分析し、それに対して国や自治体、事業所がどのような動きをしているのかといった改善策や、「どうしても仕事がきつい…」と感じてしまった場合の対処法もあわせて紹介します。

介護職の仕事がきついと言われる理由=3K(きつい・汚い・危険)のイメージが強いから

まずはじめに、介護職がきついと言われている大きな理由は介護職=「3K」という昔からのイメージの強さが原因であると考えられます。

「3K」とは状況に応じて様々ありますが、介護職の場合、多くは「きつい・汚い・危険」のことを指します。介護業界においての「3K」を詳しく見ていきましょう。

1.「きつい」:夜勤・身体介護・休みの取りづらさや残業の多さ・人間関係

3Kの1つ目、「きつい」について考えてみましょう。基本的に人がきついと感じるときは、身体的もしくは精神的に負担がかかっている状態です。
介護職において、きついイメージを持たれている理由は主に以下の4つです。

・夜勤
・身体介護
・休みの取りづらさや残業の多さ
・人間関係

・夜勤

入居型施設の場合、夜勤がある施設がほとんどです。夜に働くことは、身体的な負担があるイメージが強く、介護職はきつそうと思う原因の1つではないでしょうか。

しかし、介護職に就くから絶対に夜勤をしなければならないということはありません。昼間だけ働くという雇用形態であったり、通所型施設や訪問型介護の事業所では利用者さんが24時間いるわけではないので夜勤がないことがほとんどです。

一方で、「昼間は学校があり、夜だけ働きたい」であったり、「資格取得を目指しながら、時給が高い夜に働きたい」など、自ら夜勤を望む方もいらっしゃると思います。このような方々は、夜を専門に働く、夜勤専従の雇用がある施設を選ぶと良いでしょう。

・身体介護

次に、利用者さんの入浴や排泄、移動などに関わる身体介護です。大人である利用者さんを支えたり、持ち上げたりする動作や、入浴・排泄などのセンシティブな動作に携わる仕事は肉体的にも精神的にもきついと感じる要因であると思います。

実際に、厚生労働省が出している「令和4年 業務上疾病発生状況(業種別・疾病別)」によると介護施設を含む、保健衛生業の「負傷に起因する疾病」2,228件のうち2,050件が腰痛であり、腰痛が発生する原因の多くは、身体介護が影響していると考えられます。
出典:厚生労働省 令和4年業務上疾病発生状況(業種別・疾病別)

・休みの取りづらさや残業の多さ

介護業界はサービス業の中でも、より人の生活や人生に寄り添う究極のサービス業です。
かつ、人手不足が嘆かれているため休みを取りづらそうだし、残業も多そうといったイメージが持たれているのではないかと思います。

しかし、実際には介護業界の多くはシフト制を取り入れているため、残業時間については以下のグラフの通り、約80%の人が1週間当たり5時間未満の残業時間となっています。
残業時間

出典:介護労働安定センター 令和5年度介護労働実態調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」 をもとに作成
介護職 有給取得率

参考:介護労働安定センター 令和5年度介護労働実態調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」 をもとに作成
また、有給の取得率についても4年前(2019年)と比較して47%から2023年は53.7%と上昇しているため、職場環境や働き方の改善が行われていると推測することができます。※1

一方で、全産業の平均値は62.1%となっているため、介護業界においてはさらにこの課題と向き合う必要があるとも言えます。※2
※1 出典:介護労働安定センター 令和5年度介護労働実態調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」
※2 出典:厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況

・人間関係

次に、人間関係です。人の生活を支え、直接的に人と関わる仕事であるからこそ、人間関係のトラブルは生じやすい環境であると考えられます。
実際に、介護職を辞めた理由としても最も多いのが「人間関係に問題があったため」です。※1

一方で、令和5年には介護職の離職率が過去最低となっており、その要因として「人間関係が良くなったから」と60%以上の事業所が回答しているというデータもあります。※2

このことから、介護業界においては様々な改善がなされているものの、他職種と比較して、人と関わる機会が多いことから、どうしても人間関係というのが悩みの一因になっているとわかります。けして、介護業界の人間関係が悪いと考えるのではなく、人と関わる機会が多いからこそ悩みとして上位にあがってしまうと考えるようにしてください。

※1 出典:介護労働安定センター 令和5年度介護労働実態調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」
※2 出典:介護労働安定センター 令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について

2.「汚い」:身体介護への抵抗感

ー身体介護は人々の生活を豊かにする介護です!

次に、3Kの2つ目、「汚い」について考えてみましょう。
介護職に携わっていない人から見ると、おそらく身体介護と呼ばれる、利用者さんの身体に直接触れる介護に対してこのような感情を持ちやすいのではないかと思います。

たしかに、入浴介助や排泄介助などは人の繊細な部分に関わる仕事であるため、抵抗をもつ人が少なくはないでしょう。しかし、これらをご自身に置きかえて考えてみてください。

今は当たり前の動作になっているかもしれませんが、ある日突然「入浴ができない」「トイレに行けない…」という状態になったらいかがでしょうか。
このような状態が続くことのほうが、清潔感であったり、生活の質を下げてしまうと思います。介護職はこのような課題に対し、人々の生活を豊かにするために身体介護を行っているのです。

そう考えると、汚い仕事ではなく、むしろ綺麗にする・生活の質をあげるための仕事であるので、人の人生に寄り添い、支えることができる仕事であると考えられるのではないでしょうか。

3.「危険」:利用者さんの安全・カスタマーハラスメントによる自身の安全

最後に、3つ目の「危険」についてです。
介護職における「危険」は主に2つの視点があると思います。1つは、利用者さんがケガをしないか、感染症にならないかなど、利用者さんに対する安全面での不安です。そしてもう1つは介護業界に従事する自身や仲間が利用者さんからの暴力や暴言などによって傷つく可能性がある「危険」です。

特に、2つ目の利用者さんからの暴力や暴言については、介護業界内外から見て危険であると感じやすいのではないでしょうか。

ー実際に暴力や暴言などのハラスメントは0ではない

介護職 カスタマーハラスメント

実際、介護現場においてハラスメントを受けたことがあるかという調査に対し、介護老人福祉施設では約70%の人が、訪問介護では約50%の人が「ある」と回答しています。

また、ハラスメントの内容については、コップを投げる、物を破壊する、直接暴力を振るうなどの「身体的暴力」や、能力を否定される、大声を出される、脅迫をされるなどの「精神的暴力」が多いことがわかります。 なぜ、利用者さんは介護職員に対して暴言や暴力などのハラスメントを行ってしまうのでしょうか。
出典:厚生労働省 介護現場におけるハラスメントに関する調査研究報告書

・利用者さんからのハラスメントの背景1:悩みや不安

利用者さんがなぜ暴力や暴言という行動を選んでしまうのでしょうか。その背景には多くの場合、悩みや不安などの葛藤があると考えられます。また、認知症の周辺症状としてと言われるBPSD(行動・心理症状)が影響もあると思います。

まず、悩みや不安についてですが、介護施設という自宅とは異なる環境に身を置かされたことによる不安や、1人でできていたことができなくなっていく不安、このまま家族と過ごすことはできなくなるのではないかといった悩みなど、介護されるという立場になったからこそ感じる不安や悩みがあると思います。

・利用者さんからのハラスメントの背景2:認知症の周辺症状(BPSD)

一方で、認知症の周辺症状であるBPSD(行動・心理症状)は体調や環境を整えることで軽減できるものです。

そもそもBPSDとは、脳の機能低下や神経伝達物質の異常により、認知機能が損なわれることで引き起こされる症状で、幻覚、妄想、不安、抑うつ、興奮、攻撃性、睡眠障害、拒食などが含まれます。

たとえば、入浴や排泄といった利用者さんの身体に触れる介助を行う際に、適切な声かけがないと認知症の方にとっては状況が把握できず、不安に感じてしまうのです。その結果、暴力や暴言としてその不安が表現されます。

このような場面に遭遇した場合は、自身の声かけが十分であったか、環境として変えられることはないかなどを見直してみてください。

ー利用者さんからのハラスメントに我慢する必要はありません!

介護の現場では、利用者さんからのハラスメントを報告してしまっていいのか迷われる方もいます。また、周囲に相談をした際に「若いころはそうだった」などと流されてしまうケースもあります。

しかし、介護に従事する職員側が我慢をして限界を迎えてしまっては、元も子もありません。もしも、利用者さんからのハラスメントがあった場合には以下の手順で対応しましょう。

1.発生直後は自分の身を守ることを優先する
2.暴力やハラスメントの内容や状況を詳しく記録する
3.当日のうちに上司や管理者に報告し、今後の対応を検討する
4.暴力やハラスメントの原因や背景を分析する

自分の身を守りつつも、利用者さんの人権や尊厳を否定せず、再発防止に努めることが大切です。

介護現場で行われている3K(きつい・汚い・危険)への改善策

ここまで、介護職が「きつい」と言われる理由について考えてきました。しかし、介護業界は高齢化で社会的なニーズが高まり、それに伴う人材不足を解消するためにも労働環境や待遇の改善が行われています。

ここからは、介護現場で行われている3Kへの改善策を2つ紹介します。

1.ICT化やロボットの導入
2.介護現場におけるハラスメント対策の義務づけ

1.ICT化やロボットの導入

先述したように、介護現場は身体的な負担も大きく、また人材不足による忙しさなども「きつい」と考えられる要因の1つです。
しかし近年、介護業界では他の業界と同じくICT化が進んでいます。また、身体介護における肉体的負担を減らすために、介助ロボットの導入なども進められています。

これらの動きには「介護職員等処遇改善加算」の加算要件として、生産性向上が掲げられたことが背景にあると考えられます。

「介護職員等処遇改善加算」とは、簡単に言うと、下図の通り、国が条件を満たした施設や事業所に対して、職員の処遇改善のために使用することを条件に施設や事業所への報酬を追加するものです。そのお金を施設や事業所の裁量で、介護職員などの賃金に上乗せして支給できるため、待遇不満による退職改善などにも役立ちます。この条件の1つに生産性向上も掲げられたということになります。

また、「生産性向上」とはたとえば、企業などの会議においてオンラインを導入することで移動時間の短縮を行い、その時間を他の業務に割くことで、業務の効率化を行うことのように、業務改善をすることで、人材不足であっても業務の質を高め続けていくための手段です。

施設や事業所は、この生産性向上を実践することで処遇改善加算をもらうため、かつ人材不足である介護業界で介護の質を下げないためにICT化やロボットの導入を行っているのです。
介護職員等処遇改善加算

ー介護業界でのICT化とは

人が資本の介護業界においてICT化はどのような場面で行われているのでしょうか。以下は、介護業界で行われているICT化の例です。

・利用者に関する記録の作成、保管
・事業所内での情報共有
・従業員のシフト作成、管理
・介護給付費明細書、請求書の作成、変更、印刷
・利用者さんの同意を得るための電子サイン、署名

参考:厚生労働省 ICT導入支援事業 令和3年度 導入効果報告取りまとめ

上記のように、書類関連やシフトの作成など事務的な業務でICTを活用し、時間の創出を図っているのです。この効率化で労働時間の短縮もできますし、今まで向き合うことができなかった利用者さんに対してコミュニケーションをとる時間に活用することもできます。

ー介護業界でのロボット導入とは

次に、ロボットの導入です。介護職は人が人を支えるイメージが強くありますが、近年、人の手だけでは補いきれない部分や、負担となっている部分を、ロボットを導入することで効率的に業務を行えるようにしています。

ロボットは、利用者の見守り機能のロボットや、移乗を介助するためのもの、入浴介助の補助をするもの、リハビリテーションで活用するものなど様々な種類があります。
ロボットも活用することで介護職が「きつい」と感じる肉体的負担や、身体介護への抵抗感などを軽減させることができます。

このようにICT化やロボットの導入で、仕事を分担することにより、人の手が必要なケアの質を高めつつ、介護職の負担軽減を行っているのです。

2.介護現場におけるハラスメント対策の義務づけ

次に利用者さんからの暴力や暴言などのカスタマーハラスメントに関する改善の動きを見ていきましょう。

先述した通り、介護現場においては利用者さんからのカスタマーハラスメントがあることは事実です。また、利用者さんだけでなくそのご家族からのハラスメントについても発生事例があります。それに対して、令和3年度の介護報酬改定において、介護サービス事業者に対しハラスメント対策に必要な措置を講ずることを義務づけました。併せて、カスタマーハラスメントについてもその防止のための方針明確化や必要な措置を講じることが推奨されています。

これらの背景を踏まえて、厚生労働省のホームページには「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル※外部サイトに遷移します」も掲載されているためこれらを参照しながら、各事業所はカスタマーハラスメントの減少に向けて動き出しているのです。

事業者と従業員も介護業界の課題と向き合い続けることが大切です!

ここまで介護業界における「3K」改善の動きを見てきました。どちらも共通して言えるのが、介護職員等処遇改善加算や介護報酬など事業所単位ではなく、国全体の取り組みの条件に、改善策が入っているのです。この動きから、介護業界は国全体として必要とされていると言うことができます。

一方で、それらを実行するかしないかは事業所単位の問題となってきます。従業員一人一人が課題と向き合うことはもちろん大切ですが、事業者も介護業界の課題と向き合い続ける必要があるのです。

どうしても介護の仕事がきついと感じてしまったときの対応策とは?

3Kの改善がなされようとしている動きは把握できたと思います。しかし、どの仕事においても人それぞれ「合う・合わない」はあると思います。

ここからは、「どうしても介護の仕事がきつい」という方に向けてそのように感じてしまった際の対処法を説明します。

1.きついと感じた理由を考えてみましょう!

仕事がきついと感じる瞬間には、短期的なものと長期的なもの、身体的な負担や精神的な負担など様々あると思います。
「きつい」と感じたときにその原因を分析せず、転職をしたり、辞めてしまったりすると同じことの繰り返しになります。まずは、何がきついのかを書き出してみて、それを客観的に見直してみましょう。

たとえば、「排泄介助の際に、ボディメカニクスを踏まえて利用者さんの移乗介助を行っていたとしても体力的にきつい」ということでしたら、せっかく介護の知識やスキルを身につけたのに、介護業界を辞めてしまうのはもったいないと思います。この場合、「力仕事がきつい」ということになりますので、上司に相談をし、身体介護の仕事からは外してもらうであったり、移乗介助ロボットを導入している事業所や施設を探し転職する、ケアマネージャーの資格を取得し、ケアマネジメント業務に従事するなど様々な選択肢がとれると思います。

「きつい」と感じたら、可能な限りはやくその環境から脱したくはなりますが、自己分析を行うことで後悔なく次のステップに踏み出すことができます。

2.上司や同僚に相談をしてみましょう!

仕事がきついと感じた際に1人で抱え込む必要はありません。「きつい」と伝えたら甘えていると思われるのではないかなど不安もあると思います。しかし、それは甘えではありません。
むしろ、早めに相談をすることで上司や同僚が一緒に解決策を考えたり、アドバイスができたり、気持ちを共有することができたりとメリットがたくさんあるのです。

上司に対して、今何をきついと感じているのかや、この状況から脱するために「配置替えはできないか」「同じ法人の別の施設に行くことはできないか」などを聞いてみるのもよいと思います。そのためには、前述した自己分析が行えていると、よりスムーズに相談ができるでしょう。

3.どうしても変えられない場合は転職も視野に入れてみましょう!

とはいえ、「きつい」と感じて我慢をする必要はありません。配置替えや施設の異動希望を出しても通らないであったり、そもそも小規模の事業所でそれらが難しいなど今の事業所では、解決することが難しい場合もあります。
その場合は、他の事業所への転職や、介護業界内でのキャリアチェンジなどを検討してみてください。

一方で、「どうしても介護業界で働き続けることがしんどい」という場合も、もちろんあると思います。何より、介護職に携わる人の健康が一番大切ですので、その場合は他業種への転職も検討してみましょう。

介護職で身につけた対人スキルを活かして営業職に就いてみたり、人と関わるという軸を残して他のサービス業に従事するなど選択肢は様々です。 自分自身が、何のためにどのように働きたいかを軸に持ち、行動していきましょう。

最後に:介護業界は働きやすい環境へと日々改善されています!

ここまで、介護業界がきついと言われる理由・それに対する改善の動き・どうしても仕事がきつい場合の対応策について解説をしてきました。
介護業界は、社会的ニーズの高まりと共に課題の解決に向けた動きをしています。しかし、もちろんまだまだ課題が残る部分もあり、それは事業所や施設によっても差があります。

国や自治体だけでなく、事業者や介護業界に従事する全ての人が、今後もそれらの課題と向き合い続けることが大切です。

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