マイナビ福祉・介護のシゴト
看護師が介護職を見下していて気分が悪い…原因と解決策3つを紹介します

看護師が介護職を見下していて気分が悪い…原因と解決策3つを紹介します

介護という仕事は多職種が連携しあうことにより、仕事の質が上がり、利用者さんの満足度もより高まります。「チーム」という意識の浸透を進めてはいかがでしょうか?【回答者:大庭 欣二】


介護職と看護職の間でトラブルが起こる原因と、解決策3つ

回答者

大庭 欣二

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/11

福岡福祉向上委員会 代表

介護という仕事は多職種が連携しあうことにより、仕事の質が上がり、利用者さんの満足度もより高まると思います。ですから、介護職と看護職も、出来たらトラブルがなく、お互いに仕事を認め合える関係ができれば、チームとしてしっかりと機能していくと思います。

では、具体的にどのようなことが原因でトラブルが発生し、どのような対処法があるかを考えていきましょう。

私は大きく分けると、3つの要因に分類できるのではと思います。
もちろん、それぞれの職種の個人的な素養が原因である場合もありますが、ここでは、職種特有の要因に触れてまいります。

原因① 過去の歴史や事業形態からくるもの

医療法人系の事業所などでみられるケースです。「医療現場における職のヒエラルキー」が要因となります。
「ヒエラルキー」とは、簡単に言うとピラミッド型の「階層」「階級制」を意味する言葉です。

医療現場でいうと、医師を頂点に、薬剤師や看護師、臨床心理士といった医療専門職が続き、介護職はその次。先にも紹介しましたが、介護職は過去に「看護助手」「補助看さん」などと呼ばれ、看護師の補助職のような仕事の位置づけであった時代もあり、いまだにその名残がある事業所もないとは言えません。
すると、介護職を下に見てしまう看護職のような構図ができ、看護職からの指示が命令のように感じたり、看護職が雑用を押し付けたりということもあるようです。
そこに反発する介護職とのトラブルが多発し、不満を持つ介護職の離職などに繋がります。

解決策

ズバリ、その文化の解消しかないと思います。
つまり、経営トップが、職員の声にしっかりと耳を傾け、方針を打ち出し、多職種間に尊厳を持ち合う仕組みづくりをし、環境を改善することです。

原因② 看護職と介護職の「職」としての就き方の違いからくるもの

極端な表現をすると、「看護」を、学生時代からしっかり学び、仕事への「誇り」や「責任感」を高く持たれ、「命」や「危険」に対する意識を叩き込まれている「看護職」。ともすれば、他業界から転職をしてきた「無資格」「未経験」の介護職。(もちろん、そうでない方も多くいらっしゃいます。)
仕事に対する意識や知識の違いが大きく異なるケースも少なくありません。

とりわけ、「与薬」や「栄養摂取」、「事故防止」「感染予防」などでは、違いが顕著に表れます。
看護職は「なんでこんなことも分からないの」と嘆き、介護職は「教えてもらったことがないから」と諦めるといった構図もあるようです。

解決策

ここで大切なのは、「業務上、必要な情報の共有方法の確立」です。
医療の観点から、少なくとも、これだけは守ってほしい、知っていてほしいというものは、マニュアル化し、丁寧な研修を重ね、業務に落とし込むことです。医療に詳しくない方でも理解できるやり方を組織として確立しましょう。

原因③ 看護職と介護職の特性の違いからくるもの

医療からのアプローチをする看護職と、生活からのアプローチをする介護職という違いから生じるトラブルです。
考え方の相違は、看取りや食形態、リハビリテーション、外出レクリエーションや事業所内行事など、さまざまな場面で生じます。それは、職業特性の違いから来るものも多くあります。

食形態を例にとると、リスクをなるべく回避し、しっかりと栄養が取れる状態を作ろうとする看護職、好きなものはなるべく自由に食べさせたい介護職。家族の差し入れに対し、衛生面や栄養面でのリスクを考え断ろうとする看護職、笑顔で受け取り、利用者に喜んでもらおうとする介護職。(もちろん、そうでない方も多くいらっしゃいます。)

極端な例ですが、このようなケースは多くの職場で起こっているようです。

解決策

やはりお互いの視点に立った考え方を意識したうえで、職場でのルールを定めることですね。
その際に互いの考え方を尊重しながら、決して押しつけにしないこと。施設の理念に立ち返ることを忘れずに。

大切なのは、お互いの視点に立つこと

以上、3つの要因からくる事例をあげさせていただきましたが、いずれのケースも、互いの視点に立って、考えをすり合わせることが大切です。それを意識するだけで、そこに共感が生まれ、多くのことが解決していくと思います。

看護職と介護職だけでなく、すべての職種同士に当てはまるので、是非ともチャレンジしてみてください。

「介護職員」の求人を見る

介護職と看護師のトラブルに関連したお悩み

施設にいる看護師が介護職をあきらかに見下していて、偉そうで気分が悪いです。
なぜこうなってしまうのでしょうか?

どこの職場でも同じような話を聞きます。

「チーム」という意識の浸透を進めてはいかがでしょうか

介護職と看護職の間のトラブルは、多くの事業所で、様々な場面で見受けられますね。

と申しますか、成熟しきれていない介護の現場ではいまだに散見されているようですが、しっかりと多職種連携が機能し、チームケアを実践できている現場では、そのようなことはほとんどないようです。

職種の違いは、役割の違い

そもそも、筆者は職種により「偉い」とか「上」や「下」などは、存在しえないと考えます。

見下しているその看護師さんは、その職場においてしっかりと役割を担えているでしょうか。
もしかしたら、ご自身の仕事や役割において自信が持てていないから、職種や資格を振りかざしているのかもしれませんね。

過去の医療や介護の現場において、介護職員が看護職員のサポート役のような捉え方をされている時代もありました。
そのような時代を生き抜かれた看護職員さんの中には、その名残を持っている方もいまだにいらっしゃるようです。

今や介護職員は、介護の現場における「専門職」として、貴重な役割を担っています。
そこには「看護が上」だという概念は存在せず、それぞれが同じチームの中で異なる役割を担うチームメイトなのです。

解消法は、責任者が全体に方針を伝えること

では、ご質問のような状況をいかにして解消するか。

まずは、経営者や管理者が「チーム」の存在する目的、「チーム」として向かうべき目標を明確にすること。
そして「チーム」の目標達成のために多職種連携が必要であり、そこには職種による上下は無いということを掲げ、組織図や評価の仕組みの中で「見える化」をしてもらうこと。

これは、組織を動かすことになるので、凄く大変な作業ではありますが、冒頭で記したような成熟した現場を望む経営者ならしっかりと理解され、必要なアクションを起こしてくれると思います。

この看護師さんに、ご質問者さんが直接伝えることは難しいと思います。
チームを営む責任者に「チームの方針」「チームの考え方」として、チーム全体にしっかりと伝えてもらいましょう。

「専門職」としての介護職のポジションを確立する

あと、介護職側でもやることはあると思います。
それは、介護職員が介護の専門職としての「知識」「技術」「矜持」を持ち、それを実践し、「専門職」としてのチームの中のポジションをしっかりと確立することです。

「介護」という仕事を自ら貶めるような言動しかできていない介護職員がいることも事実です。
自分自身は、そして自分の同僚はどうなのかをしっかりと確認し、介護の専門職として、看護職だけでなく他職種からしっかりと認めてもらえる存在になることも大切だと思います。

「介護職員」の求人を探す
専門家への質問はこちらから!
マイナビ福祉・介護のシゴト 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東】
【北陸・東海・甲信越】
【関西】
【中四国・九州・沖縄】

この記事のライター

福岡福祉向上委員会 代表

関連する投稿


サービス担当者会議の進行のコツは?スムーズな進行のためにすべきこと

サービス担当者会議の進行のコツは?スムーズな進行のためにすべきこと

サービス担当者会議で、話の長い人がいる、話が脱線してしまう等 進行に悩むケアマネさんからのお悩みに専門家が回答します!スムーズな進行のためにすべきことを確認してみましょう。【解説者/専門家:脇 健仁】


【介護職の転職】仕事に慣れなくて辛いときはウィルビーイングを意識しよう

【介護職の転職】仕事に慣れなくて辛いときはウィルビーイングを意識しよう

介護福祉業界で働く方は優しい方が多いゆえ、我慢をし続けたり、相手の幸せのために自己犠牲をしたりする方も多いのではないでしょうか。対象者の「幸せ」はもちろんですが、ご自身の「幸せ」についてもしっかりと向き合い「ウェルビーイング」な働き方を意識しましょう。【執筆者:大庭 欣二】


希望しない自立支援。「やりたくない人」への接し方とは?専門家が解説

希望しない自立支援。「やりたくない人」への接し方とは?専門家が解説

自立支援をしても拒否する利用者さんへの接し方とは?心が近づく共通点を探すために、まずは介護士とご利用者の価値観のすり合わせを行うようにしましょう。【執筆者:羽吹さゆり/介護福祉⼠、介護⽀援専⾨員、介護技術指導員、⽇本語教員、社会科教員、介護職員実務者教員、社会福祉主事任⽤】


人間関係の悩みで退職。こんな私が介護職として復帰しても大丈夫?

人間関係の悩みで退職。こんな私が介護職として復帰しても大丈夫?

人間関係の悩みで一度は辞めた介護職。こんな自分が介護職として再度、復帰しても大丈夫なのでしょうか?ー 介護職の方のお悩みに専門家がお答えします。 【執筆者:羽吹 さゆり】


介護職員 平均月給6,000円相当引き上げへ、専門家の見解は?

介護職員 平均月給6,000円相当引き上げへ、専門家の見解は?

2024年2月から介護職員に対し、1人あたり平均月給6,000円の賃上げを実施するというニュースを皆さんも耳にしたかと思います。 今回の施策に対して、なぜこのような施策を実施することになったのかという施策の背景と、施策に対する見解を伊藤先生にお伺いしました。


最新の投稿


【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

介護事業者の倒産数が過去最多となったというニュース。超高齢社会の日本においてなぜ、倒産数が増えてしまったのでしょうか。 今後、事業所が生き残るために必要なことを専門家が解説します。 【解説者:後藤 晴紀/介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・潜水士】


第107話 おやつ/ほっこり介護マンガ

第107話 おやつ/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


精神保健福祉士(PSW)とは?仕事内容や資格の取得方法、勤務先について解説

精神保健福祉士(PSW)とは?仕事内容や資格の取得方法、勤務先について解説

精神障害者の支援に特化した専門職である精神保健福祉士。メンタルの不調を抱える人が増えるなかで、ニーズが高まるといわれています。仕事内容や資格の取得方法、勤務先など、精神保健福祉士に関する基礎知識を解説します。【ささえるラボ編集部】


認知症の方がコロナに。介護施設でのBCP策定、感染症対策のポイントを解説

認知症の方がコロナに。介護施設でのBCP策定、感染症対策のポイントを解説

介護のお悩み:介護施設にコロナが蔓延し、認知症の利用者さんにも感染。他の利用者にも感染が拡大してしまいました。どうすればいいでしょうか? 介護施設でのBCP策定、感染症対策のポイントを専門家が解説します。【執筆者:羽吹 さゆり】


第106話 介護施設でのBCPってなに?/ほっこり介護マンガ

第106話 介護施設でのBCPってなに?/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


マイナビ福祉・介護のシゴト
「マイナビ福祉・介護のシゴト」は、福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
介護職をはじめ、福祉・介護業界に関連する職種の求人を掲載しています。
本当に自分にあった施設や事業所を、ご自身で手軽に探すことができるよう職場の雰囲気がリアルに伝わる情報を用意することで、適切なマッチングを実現していきます。
【職種から求人・転職情報を探す】