本日のお悩み
コロナなどで失業したから介護職になりませんか?という風潮が納得できません。
復帰者や転職者など、お金をもらえるからという理由で介護職になるような人と働くのは、介護職は誰でもできると言ってしまっているようなものではないでしょうか?
もちろんそういう理由の人ばかりではないと思いますが、コロナ禍でクラスターを発生させないよう自分を律しながらプライドを持って働いているのに、バカにされているような気がします。
今だけに目を留めず、心にゆとりができた時、未来をイメージしてみましょう
ご質問ありがとうございます。
今、本当に苦しい時ですよね。
私が勤務する施設の地域でも「昨日はこの施設で感染が確認された・・」「どこどこはデイサービスの受け入れを中止したらしい・・」など、もはや明日は我が身、綱渡りの状態が続いています。
そんな中、前線に立ってご利用者の介護にあたっている質問者さんは、文脈から「ご利用者に感染させない、そのために自分も感染しない」を信条に、常に自分を律することができるプロ介護職と推測します。すばらしいです。
■地域によっては人手不足が本当に深刻なのです
さて、一方で、もう一つ推測できることは、質問者さんが勤務している事業所は、人手不足に陥っていない優良な事業者さんなのではないでしょうか?
おそらく所属の介護職員さんも志が高い方が多く在籍し、チーム全体が介護職としてのプライドをもって仕事ができる状態のように感じます。
しかし、介護業界全体をみると、決して質問者さんのような事業所ばかりではありません。
過疎地域では、支えなければならない高齢者がたくさんいらっしゃるにも関わらず、そもそも高齢者以外の世帯は住んでいない。また、それなりの人口があっても人口減少の歯止めが効かない市町村はたくさんあります。
そのような状況の地域では、質問者さんの事業所のような優良な運営をしていても、本当に人が集まらず困っている事業所はたくさんあるのです。
■2025年に38万人不足する介護職…対策が必要ですよね。
今回の政策(コロナ失職者の介護への転職支援、復帰者へ支援)は、一時的な対策ではないとお考えください。
厚生労働省では、2025年に必要とされている介護人材は253万人と推計しています。
しかし、供給される介護人材の推計は約215万人程度なんです。差し引けば、約38万人も不足するということになりますよね。そしてこの数字は、地域により大きな温度差が出てくるでしょう。
つまり、そもそも人口が多い地域は供給できる可能性がまだありますが、人口が少ない地域は可能性が皆無に近い状況になっていくということです。
この数字は、コロナがあってもなくても現実として受け止め、常になんらかの対策を打っていかなければならないことが発端となっているのです。
■ゆとりができたとき、仲間を増やすこともイメージしてみましょう
まだまだ、気を緩めることができない状況が続くと考えられます。
質問者さんが、目の前のご利用者に真剣に向き合わられていること、とてもわかります。
なので、ふと心のゆとりができた時で結構です。
介護の未来をイメージしてみませんか?
熱心な質問者さんのこと、きっと、ひとりでも介護職の仲間を増やすことの重要さに気がつかれるはずです。
茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)