マイナビ福祉・介護のシゴト
コロナで失業したから介護職に、という施策…日々必死に働いているのにバカにされているような気がします。

コロナで失業したから介護職に、という施策…日々必死に働いているのにバカにされているような気がします。

【回答者:伊藤 浩一】今だけに目を留めず、心にゆとりができた時、未来をイメージしてみましょう


本日のお悩み

コロナなどで失業したから介護職になりませんか?という風潮が納得できません。

復帰者や転職者など、お金をもらえるからという理由で介護職になるような人と働くのは、介護職は誰でもできると言ってしまっているようなものではないでしょうか?
もちろんそういう理由の人ばかりではないと思いますが、コロナ禍でクラスターを発生させないよう自分を律しながらプライドを持って働いているのに、バカにされているような気がします。

今だけに目を留めず、心にゆとりができた時、未来をイメージしてみましょう

ご質問ありがとうございます。

今、本当に苦しい時ですよね。
私が勤務する施設の地域でも「昨日はこの施設で感染が確認された・・」「どこどこはデイサービスの受け入れを中止したらしい・・」など、もはや明日は我が身、綱渡りの状態が続いています。

そんな中、前線に立ってご利用者の介護にあたっている質問者さんは、文脈から「ご利用者に感染させない、そのために自分も感染しない」を信条に、常に自分を律することができるプロ介護職と推測します。すばらしいです。

地域によっては人手不足が本当に深刻なのです

さて、一方で、もう一つ推測できることは、質問者さんが勤務している事業所は、人手不足に陥っていない優良な事業者さんなのではないでしょうか?

おそらく所属の介護職員さんも志が高い方が多く在籍し、チーム全体が介護職としてのプライドをもって仕事ができる状態のように感じます。

しかし、介護業界全体をみると、決して質問者さんのような事業所ばかりではありません。
過疎地域では、支えなければならない高齢者がたくさんいらっしゃるにも関わらず、そもそも高齢者以外の世帯は住んでいない。また、それなりの人口があっても人口減少の歯止めが効かない市町村はたくさんあります。

そのような状況の地域では、質問者さんの事業所のような優良な運営をしていても、本当に人が集まらず困っている事業所はたくさんあるのです。

2025年に38万人不足する介護職…対策が必要ですよね。

今回の政策(コロナ失職者の介護への転職支援、復帰者へ支援)は、一時的な対策ではないとお考えください。

厚生労働省では、2025年に必要とされている介護人材は253万人と推計しています。
しかし、供給される介護人材の推計は約215万人程度なんです。差し引けば、約38万人も不足するということになりますよね。そしてこの数字は、地域により大きな温度差が出てくるでしょう。
つまり、そもそも人口が多い地域は供給できる可能性がまだありますが、人口が少ない地域は可能性が皆無に近い状況になっていくということです。

この数字は、コロナがあってもなくても現実として受け止め、常になんらかの対策を打っていかなければならないことが発端となっているのです。

ゆとりができたとき、仲間を増やすこともイメージしてみましょう

まだまだ、気を緩めることができない状況が続くと考えられます。

質問者さんが、目の前のご利用者に真剣に向き合わられていること、とてもわかります。
なので、ふと心のゆとりができた時で結構です。
介護の未来をイメージしてみませんか?

熱心な質問者さんのこと、きっと、ひとりでも介護職の仲間を増やすことの重要さに気がつかれるはずです。

専門家への質問はこちらから!

この記事のライター

茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)

関連する投稿


介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

自立支援介護とは、介護が必要になった高齢者が、可能な限り自分の力で生活できるように支援する介護のことです。高齢化が進む日本において、デイサービスなどを提供する介護施設でも近年、自立支援介護は注目されています。この記事では、自立支援介護の4つの基本ケアや実際の取り組みについて専門家が解説します!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームなどの介護施設では、夫婦での入居が認められています。長年連れ添った家族と同じ施設に入れることは安心感がある反面、施設に入居をしているにもかかわらず、老老介護になってしまうというリスクもあります。この記事では、夫婦で入居している方に介護職員ができるサポート方法を専門家が解説します!【執筆者/専門家:伊藤 浩一】


急増するスキマバイト!スキマバイトの受け入れで介護事業所が気をつけることとは?

急増するスキマバイト!スキマバイトの受け入れで介護事業所が気をつけることとは?

1時間だけ、半日だけでもOKな求人さえあれば、好きなときに好きな仕事に挑戦ができるスキマバイト。近年、介護業界でもスキマバイトを導入する事業所や、スキマバイトに登録をする介護職が増えています。実際に、介護の現場ではスキマバイトの受け入れにおいてどのようなことに気をつける必要があるのでしょうか。専門家が実体験も踏まえて解説します!【執筆者/専門家:伊藤 浩一】


高齢者の免許返納|メリット・デメリットや相談された際の介護職の対応方法についても解説!

高齢者の免許返納|メリット・デメリットや相談された際の介護職の対応方法についても解説!

運転免許は高齢になったから返却しなければいけないという義務はありません。しかし、高齢ドライバーの事故が増えていることなどから家族の視点では不安を感じる場合もあるかもしれません。この記事では、免許返納のメリット・デメリットを紹介しつつ、利用者さんのご家族から免許返納について相談された場合の対応方法についても解説します!【執筆者/専門家:羽吹 さゆり】


介護現場における高齢者虐待|発生要因や法律、対策方法について解説します!

介護現場における高齢者虐待|発生要因や法律、対策方法について解説します!

令和6年の報酬改定において介護施設での「高齢者虐待防止の推進」が義務化されました。今まで以上に高齢者虐待防止の体制整備の充実や再発防止に向けた取組みが各事業所に求められるようになりましたが、そもそもなぜ高齢者虐待は発生してしまうのでしょうか。また、高齢者側が身をまもるにはどのような法律があるのでしょうか。介護施設における高齢者虐待について専門家が解説します!【執筆者/専門家(弁護士):伊達 伸一】


マイナビ福祉・介護のシゴト 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東・甲信越】
【北陸・東海】
【関西・中四国】
【九州・沖縄】

最新の投稿


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【こころとからだのしくみ】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【医療的ケア】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【総合問題】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

自立支援介護とは、介護が必要になった高齢者が、可能な限り自分の力で生活できるように支援する介護のことです。高齢化が進む日本において、デイサービスなどを提供する介護施設でも近年、自立支援介護は注目されています。この記事では、自立支援介護の4つの基本ケアや実際の取り組みについて専門家が解説します!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

年末年始は、クリスマス会や忘年会などさまざまなイベントが行われる時期です。介護施設でもこれらのようなイベントを実施すると、利用者さんたちの活力を高めたり、親睦を深めたりする良い機会になります。この記事では、年末年始のイベントを企画するにあたって準備したいこと、当日取り入れられるレクリエーションなどを紹介します。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


マイナビ福祉・介護のシゴト
「マイナビ福祉・介護のシゴト」は、福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
介護職をはじめ、福祉・介護業界に関連する職種の求人を掲載しています。
本当に自分にあった施設や事業所を、ご自身で手軽に探すことができるよう職場の雰囲気がリアルに伝わる情報を用意することで、適切なマッチングを実現していきます。
【職種から求人・転職情報を探す】