本日のお悩み
全く 出来ない管理者や上司と どう付き合っていけばいいでしょうか?
日々 適当にあしらわれる入居者達がかわいそうでなりません。
いい加減なスタッフが多く、学びがないように思います。
相談者:洋たん さん
ご自身が動いちゃいましょう!!
ご質問ありがとうございます。
上司や管理者に対して不信感を抱かれているのですね。
同僚に対しても、育成制度が不十分なことから、成長が阻害されている環境が伺えます。
私も介護職員として現場で働いていた時に経験があるのですが、こんなに意見を言ったり、職場環境を改善しようとしているのに、何故上司は認めてくれないんだ!と不満と不信感でいっぱいだった時期があります。(笑)
介護職を始めて5年ほどの頃だったでしょうか。介護福祉士を取得し、介護支援専門員や社会福祉主事の任用資格を取得したての頃だったと思います。『こうしなければならない』『こうあるべきだ』と、独りよがりの正義感を前面に押し出していた時期だったように思います。
私の承認欲求が枯渇していたピークですね。(笑)
もちろん、ご質問者さんはそのようなことはないと思いますが、この経験から、どのように上司と付き合っていけばよいのか、ご質問者さんはどのように行動すればよいのかのヒントがあるかもしれません。
実際に私が行動した内容も含めて、整理しながらご質問者さんが思う、学びを得られる現場としていくためにアドバイスさせていただきます。
■まずは状況を整理します
まず初めに、ご質問者さんが感じていらっしゃる、全くできない上司や管理職とは、どのような事を指しているのでしょうか?
① 意見を聞いてくれない
② ご質問者さんを認めてくれない
③ 職員の成長や育成の体制を整えるために動いていない
④ だめな職員をいつまでも雇用し続けている
等々でしょうか??
ちなみに私は、全部でした!(笑)
■明確なビジョンをお持ちの相談者さん
ご質問者さんは恐らく、現場での発言力もあり、事業所内でも行動に移せる数少ない職員の一人かと思います。そして、ご自身の中でご利用者さんの支援はこうあるべきという明確なビジョンをお持ちなのかもしれません。
そんなご質問者さんのビジョンを共有できるスタッフさんはいらっしゃいますか?
孤立してしまい、ご自身の意見が受け入れられない環境にはなっていないでしょうか??
正しいことを言っていても、相手に認められない場合、相手にもその意見を否定する何かしらの理由があるという事ですよね、その不安感や不満感を拾い上げ、なぜ否定してしまうのかを考えてみましょう。そして、質問者さんも、その意見を否定せずにそのような考え方もあるのかと、肯定してみてください。
まずは相手を理解してから、自分を理解してもらうことに徹してくださいね。
こうすることで、お互いの考え方を理解できるようになり、議論もスムーズになるかと思います。感情論にならないよう、求めるものは法人理念に照らし合わせて議論されると良いかと思いますよ。
■上司や管理者を理解することから始めませんか?
まずは、上司や管理者の方についてですが、全くできないと決めつけずに、理解してみることから始めてみませんか。
上司の方については、スタッフ全体のマネジメントの他、現場も兼任されていることかと思います。上司の方にも想いがあるかもしれません。日々の業務に追われながら、人材育成の協力をしてくれる人材を求めているのかもしれませんし、問題のある職員の対応に苦慮しているかもしれません。
労働基準法にも定められているように、雇用者が労働者を解雇する(いわゆるクビにする)事は、一般職員が思っているほど簡単なことではありませんし、事業所や従業員に不利益を与える結果になってしまう可能性(人員配置減算や労働訴訟、それに伴う昇給や賞与カット等)や、ご利用者に不利益を与える(適切なケアを受ける為の人員が不足)結果となってしまう可能性もあり、総合的な判断が求められますからね。
一般職員からすると、指導や教育等の対応のレスポンスが悪く、歯がゆい思いをされていることが多いですよね。
■自分ができそうな役割を探し、すり合わせを!
そこで、業務の内容や自分が担える業務について上司や職員間で対話をしてみることは可能でしょうか?
そして、すぐに行動できて、解決していく優先度が高いものから改善していかれてはいかがですか?
具体的には、学べる場が必要という課題に気付かれているご質問者であれば、その役を担ってみてはいかがでしょうか?
上司に求めるのではなく、ご自身が行動してみるのも良い手段かと思いますよ!
まず第一歩として、研修委員を立ち上げ、賛同してくれる仲間と共に学びの場を設けてみるのはいかがでしょうか?
もちろん上司の確認と許可は必須となりますが、その場でご自身の想いや、事業所の課題を上司の方とすり合わせしてみるのも良いと思います。
まずは対話からです。
■育成には「介護職員プロフェッショナルキャリア段位制度」の活用を!
スタッフ育成について、漠然と何から手を付けていけばよいのかわからない場合は、介護人材の育成と定着に活用するための制度として、介護職員プロフェッショナルキャリア段位制度というものも存在します。都道府県にもよると思いますが、補助金も活用できる制度となりますので一度確認してみて下さいね。その制度構造からも人材育成のヒントが得られるかもしれませんし、入職者のオリエンテーションや育成計画に役立てられると思いますよ!
キャリア段位制度については、アセッサーという指導者研修の受講が必要となりますので、外部研修受講について、承認を得ることが難しいという事でしたら、事業所内でできる事を見つけていきましょう。
その場合、法定研修等を活用した研修計画を見直してみるのはいかがでしょうか?
身体拘束や虐待防止、事故防止対策や感染症対策、看取りに関して等、必ずやらなければならない研修の実施方法や資料を再確認し、改善してみることは事業所にとっても、ご利用者にとっても、スタッフにとっても大きなメリットです。
その他にも、接遇や介護技術など、毎月開催しても足りないほどのボリュームがありますから、優先順位を話し合い、一歩ずつ進めていきましょう。
その他にも業務に付随するマニュアルの見直しや、新人入職者の育成計画など、今すぐ始められることは沢山あると思います!
誰かがやってくれるのを待つのではなく、ご自身が行っていく事で、上司や管理者の方々もご質問者さんに一目置かれるのではないでしょうか!?
■最後に
現状の意見が受け入れられにくいのであれば、話を聞いてもらえる環境を自分で作ってみるのも有効です。これは私が実際に行ってきた事でもあります。誰かに任せるのではなく、自分事として動くという事です!
失敗も沢山しましたが、多くの職員に想いや方向性を共有していく為の経験として、とても貴重な学びの機会だったと感じています。また、管理者の立場になっても活かされていると思います!
相手に求めていてばかりでは、体制を変えられるとは限りませんし、管理職の方もご質問者さんと同じ思いを抱えながらも、改善できないジレンマを感じているかもしれません。
上司と部下の関係において適切なコミュニケーションは、人材育成やモチベーションアップに欠かせません。
現状が改善されないのはなぜか、改善の為には何が必要なのか、立場によって見えている課題や視野も変わってくると思いますので、是非意見交換の場や意識合わせの場は設けて頂きたいと思います。
ご入居者にとって、その人らしく笑顔で生き切れる場所となるように切に願っています。
・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士