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介護職のやりがいとは? 働く目的や魅力・メリットを確認しよう(体験談あり)

介護職のやりがいとは? 働く目的や魅力・メリットを確認しよう(体験談あり)

重労働で大変な仕事というイメージがある介護職ですが、実際に働いている人の多くは、やりがいを持っていきいきと働いているようです。介護職の仕事内容や働く目的をはじめ、やりがいを感じるポイント、仕事の魅力を探ります。(コラム:古畑佑奈)


目次

介護職のやりがいとは? 働く目的や魅力・メリットを確認しよう

介護職のやりがいとは? 働く目的や魅力・メリットを確認しよう

高齢者の身体介護が中心となる介護の仕事は、重労働で大変な仕事というイメージがあります。しかし、実際には多くの介護職が、やりがいを持っていきいきと楽しく働いています。せっかく転職するなら、そんな介護職を目指したいですよね。

そこで今回は、介護職の仕事内容や働く目的を確認したうえで、仕事のどんなところにやりがいや魅力があるのかを探ります。あわせて、やりがいを感じられなくなったときの解決策も紹介します。

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介護職の仕事内容と目的

仕事にやりがいを見出すには、何のために働くのかを明確にしておく必要があります。まずは介護職とはどんな仕事で、何を目的としているのかを確認しておきましょう。

要介護者の日常生活をサポートする仕事

介護職は、高齢になって体が思うように動かせなくなった要介護者の日常生活をサポートする仕事です。具体的には、介護施設や要介護者の自宅で、移乗介助、入浴介助、食事介助などの身体介護を行うほか、必要に応じて掃除や洗濯、日用品の買い物、料理といった生活援助を行うこともあります。

利用者の機能訓練も兼ねたレクリエーション

特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなどの入居型の介護施設や通所介護施設(デイサービス)では、脳トレゲームや健康体操といったレクリエーションを企画・開催するのも重要な業務です。レクリエーションには、主に、利用者の楽しみと機能訓練という役割があります。

介護保険法では、要介護者の「自立支援」と「尊厳の保持」を基本理念として掲げています。つまり介護職の仕事には、高齢者の自立を支援し、人としての尊厳を守りながら、その人らしい生活ができるよう支えるという目的があるのです。

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介護職の約半数が「働きがい」を重視

実際に介護現場で働いている介護職たちが、仕事に何を求めているかがわかるデータがあります。

介護職が現在の仕事を選んだ理由グラフ

介護労働安定センター

「令和2年度 介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」

(介護労働安定センターのページへ遷移します)

上のグラフは、介護労働安定センターが介護職に「現在の仕事を選んだ理由」を聞いた調査結果です。第1位は「働きがいのある仕事だと思ったから」で、割合は50.4%を占めます。

続く第2位は、「資格・技能が活かせるから」(37.9%)、3位は「人や社会の役に立ちたいから」(31.4%)、第4位は「今後もニーズが高まる仕事だから」(31.0%)と、上位には仕事への前向きな姿勢が感じられる理由がランクイン。現場で働く介護職の多くが、仕事にやりがいや将来性を感じていることが読み取れます。

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介護職が仕事にやりがいを感じるポイント

では、現役の介護職は、仕事のどんなところにやりがいを感じるのでしょうか。特にやりがいにつながりやすいシーンやポイントを紹介します。

利用者やその家族から感謝される

介護職は、介護サービスを利用する利用者と接して、日常生活のお世話をする仕事です。利用者の家族と話す機会も多々あります。

日々、利用者の気持ちに寄り添って心のこもったケアを続け、家族にも誠実に対応していると、相手から「いつもありがとう」「安心して任せられます」などと感謝の言葉をかけられる場面もあります。そんなときに「この仕事をしていてよかった」と感じる介護職は多いようです。

利用者の自立・回復に関われる

先述の通り、介護保険サービスは、利用者の自立支援を大きな目的としています。そのため、ただ身の回りのお世話をするだけでなく、認知症予防や身体機能維持を目的としたリクリエーションを実施することや、機能訓練指導員や看護師などと連携してリハビリをサポートすることも介護職の重要な仕事です。

ときには、思うように体を動かせなかった利用者が歩けるようになったり、食事などの日常生活動作ができるようになったりすることもあります。利用者の自立・回復に関われることは、介護職にやりがいや喜びをもたらすでしょう。

社会貢献につながる

今、日本は65歳以上の人口の割合が全人口の21%以上を占める超高齢社会を迎えていて、医療や介護、年金といった社会保障費の増大という課題を抱えています。介護職が日々の介護を通して要介護者の自立を支援することで、要介護者やその家族の助けになるのはもちろん、社会保障費の抑制に貢献することができます。

仕事を通じた学びが多い

介護が必要な高齢の利用者は、働き盛り世代の介護職にとっては人生の大先輩です。毎日のように会話を交わしていると、さまざまな知識や幸せに生きるためのヒントを得られるでしょう。

また、介護職は専門知識とスキルを要する専門職なので、長く続ければ続けるほどスキルが磨かれ、自分自身の成長を感じられます。向上心や学習意欲が高い人にとってはぴったりの仕事です。

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介護職の魅力・メリットとは

介護職はさまざまな点でやりがいを感じられる仕事ですが、実利面の魅力もたくさんあります。ここでは、介護職として働くメリットを紹介します。

安定している

日本社会は少子高齢化傾向にあり、介護サービスを利用する高齢者は今後も増え続けると予想されています。当面は介護職のニーズも高まる見込みで、介護業界では、人手不足で売り手市場の状況が続くと考えられます。

一度、介護職として入職してスキルや資格をつければ、失業のリスクが低くなり、将来にわたって安定した生活ができる可能性が高いでしょう。また、介護施設は日本中どこにでもあるので、パートナーの転勤などで別の地方に引っ越した際にも、新しい職場を見つけやすいという強みもあります。

年齢・性別に関係なく働ける

幅広い年代が活躍できる仕事

介護労働安定センターの調査によると、介護現場では、20代から60代まで、幅広い年代の介護職が働いています。少数ですが、70代以上で活躍している人もいます。

もちろん、身体介護があるので、体力を使う仕事ではありますが、年齢に関係なくできる仕事といえるでしょう。一般的には、年齢を重ねると採用市場で不利になる傾向がありますが、人手不足で売り手市場の介護業界では、40代以上でも十分に転職が可能です。

介護職には女性が多い

また、介護職には女性が多いのも特徴で、同調査によると、介護労働者の男女比率は男性2割(20.9%)、女性7割(72.3%)です。リーダー級の従業員や管理者にも女性が大勢いるので、女性であることが昇進や昇給を阻むケースは少ないでしょう。出産や育児の経験者も多いので、子育てしながら働く人にとっては、職場での理解を得やすく、両立しやすい環境です。

もちろん、だからといって男性が採用で不利になるわけでも、働きにくいわけでもありません。身体介護中心の介護現場では体力、腕力ともに必要となることも多く、また、男性の利用者のなかには同性の介護職に介助を希望する人もいます。人によっては同性の同僚が少ない職場に心細さを感じるかもしれませんが、男性介護職の比率は少しずつ増えているので、将来的にはそれほど気にならなくなるでしょう。

※出典:介護労働安定センター「令和2年度 介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」

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勤務時間の融通がききやすく、柔軟な働き方ができる

サービス形態によって働き方も違う

介護業界には特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなどの入居型施設をはじめ、通所介護(デイサービス)、訪問介護など、さまざまなサービス形態の施設があります。サービス形態の違いは、介護職の身体的な負担の度合いや働き方にも影響します。

例をあげると、入居型の施設では夜勤があるのが一般的ですが、通所型や訪問系では通常は日勤のみです。要介護度の高い入居者が多い特別養護老人ホーム(特養)は、身体介護が中心で重労働になる傾向があり、同じく高齢者が利用する施設であっても要介護の低い利用者が多い通所介護は、身体的な負担が比較的軽いといった違いもあります。

また、24時間対応の入居型施設では、早番、日勤、夜勤といったシフト制で勤務するのが一般的です。そのようなシフト制の職場であれば、ある程度シフトの希望も出せます。

ライフステージに合わせて働き方を選べる

介護職は、こうした多様なサービス形態・勤務形態のなかから、自分に合う職場や働き方を選ぶことができます。たとえば、子どもがいないうちは夜勤がある特別養護老人ホーム(特養)で正職員として勤務し、子どもができてからは訪問介護事業所に転職して、パートのホームヘルパーとして空いている曜日・時間にだけ働くケースもあります。

スキルアップのための研修時間を多めに取りたいと思う場合は、入居型施設で夜勤専門に働く夜勤専従という働き方を選ぶと、勤務時間が長い分休日が多いため、日中の時間を他の仕事や学業に費やすことも可能です。こうした自分のキャリアデザインに合った働き方が比較的自由に選べるということから、年代や性別に関わらず、働きやすい職業だといえるでしょう。

取得できる資格が多く、キャリアアップしやすい

介護関連の資格には、多数の種類があります。それらの資格を取ることで、段階的に専門知識を身につけ、スキルを高めていけるため、将来のキャリアの道筋がわかりやすいのもメリットです。やる気さえあれば、着実にキャリアアップしていくことが可能です。介護職の場合、介護の入門資格である介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修を修了して実務経験を積んだ後、国家資格である介護福祉士の取得を目指すのが、最も一般的なキャリアアップのプランです。

現場で働く介護職としてキャリアアップする道以外に、介護関連の事務職に転職する道もあります。ケアプラン作成を担うケアマネージャー、介護施設で利用者やその家族の相談に対応する生活相談員(ソーシャルワーカー)、訪問介護事業所でサービス計画を作成し、ホームヘルパーを指導・管理するサービス提供責任者といった仕事です。もちろん、それぞれ必要な条件や資格がありますが、キャリアの段階や興味に応じてさまざまなキャリアアップの道があることは、介護職の大きな魅力といえます。

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介護職への向き・不向き

ただし、介護職になれば、誰でもやりがいを感じられるわけではありません。向上心を持って前向きに働いていくには、介護職への適性を備えている必要があります。どんな人が介護職に向いていて、どんな人が向いていないかを解説します。

介護職に向いているのは、こんなタイプ

以下で紹介するタイプにひとつでも当てはまれば、介護職として自分の力を発揮し、成長していけるでしょう。

■体力がある人

介護職の業務は、利用者の体を支えながら、入浴を介助したり、ベッドから車椅子に移乗する際の介助をしたり、といった身体介護が中心です。さらに入居型の施設では、月に何度か長時間の夜勤があるのが一般的です。体を使う重労働で、気を遣う場面も多く、ストレスもあるので、心身ともに健康で体力があることは絶対に必要な条件です。

ただし、最初は自信があるというほどではなくても、仕事をしているうちに体力がついてくるケースも多いでしょう。また、身体介護をする際には、体に大きな負担をかけずに最小限の力を使う「ボディメカニクス」という介護技術もあります。
若いうちから介護職として活躍してきたのに腰を痛めて体に負担をかけられなくなった、という場合は、現場の介護職からケアマネージャーなどの事務職に転職する選択肢もあります。

■コミュニケーション力がある人

介護職は、利用者やその家族と日々接するサービス業です。食事や入浴などの介助スキルも重要ですが、利用者に安心して過ごしてもらうためには、介助のたびに適切な声かけをし、積極的にコミュニケーションを図って気持ちや要望を汲み取っていく必要があります。

また、同僚との情報共有も安全で確実な介護を行うためには重要です。そのためコミュニケーション力は介護職には必須のスキルです。ただし、基本的に人と接すること、話すことが好きな人なら、経験を重ねるうちに自然にコミュニケーション力は高まっていくでしょう。

■前向きな人

思うように体を動かせない利用者のペースに合わせながらケアをするのは、忍耐を要する仕事です。高齢の利用者のなかには、持病がある人や体調が悪く気分が落ち込んでいる人もいるため、ときにはきつい言葉をかけられることもあります。利用者の家族から理不尽な苦情を言われることもあるかもしれません。そんな日々のストレスがあっても、ネガティブな感情をうまく切り替えられる人、上手にストレス解消できる人が介護職に向いています。

また、特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなどの入居型施設のなかには、看取りに対応する事業所も増えてきています。長くお世話してきた利用者との別れは介護職にとってはつらいことですが、悲しみや精神的なショックを長く引きずらずに前を向く力が求められます。

■周囲に気配りができる人

介護職は、常に利用者の体調の変化に注意し、異変があればすぐに医師や看護師に知らせるなどの適切な対応をしなければなりません。ケアする際にちょっとした言葉遣いのニュアンスで利用者を傷つけることもあるので、常に利用者の気持ちを想像しながら接する必要があります。また、介護の仕事は、他の介護職や医療従事者とのチームワークなので、いっしょに働く仲間への気配りも欠かせません。

そのため介護職には、細やかな気遣いや配慮ができる、よく気がつく人が向いています。最初はできなくても、慣れや経験を重ねると少しずつできるようになっていくものなので、まずは意識することが大切です。

■学習意欲が高い人

体を動かす仕事というイメージがある介護職ですが、頭を使って勉強する機会も少なくありません。利用者の体の状態はさまざまで、ケースバイケースで柔軟に対応するには、健康や医療、認知症などに関する幅広い知識が求められるからです。時代に応じて新しい介護技術や理論を学んで取り入れていくことも必要です。

業務にあたるうえでわからないことがあれば、先輩に聞くか自分で調べて理解しなければなりません。なかには介護職向けの研修を積極的に実施している事業所もあります。勉強好きな人や学習意欲が高い人に適した仕事です。

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介護職にあまり向いていないタイプ

もし、以下に紹介するどれかのタイプに該当したとしても、周りのスタッフとの協力体制によっても異なりますし、こうした向いていないと思われる特徴があっても、それ以上に介護職として活躍するための力を秘めている人も少なくありません。以下のタイプは自分の特徴を分析するヒントとして考えてください。

■体力に自信がない人

体力勝負の仕事なので、体力に自信がない人は、せっかく介護職になっても続けられないかもしれません。病気など健康上の不安がある人は、回復してから転職を検討しましょう。

■人付き合いが苦手な人

介護職は人と接する時間が長く、コミュニケーション力が求められる仕事です。そもそも人と話すのが好きではない人や、人付き合いが苦手という自覚がある人には向いていません。

■介護の仕事に興味がない人

やりがいだけで仕事はできませんが、どんなに条件がよくても、やりがいを感じられない仕事をずっと続けるのは困難です。上で紹介した介護職の仕事内容ややりがいを感じるポイントを読んでも興味がわかない人や「やってみたい」と思えない人は、介護職には不向きでしょう。条件面を満たしているからといって、興味がないのに介護職に転職するのは、あまりおすすめできません。

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やりがいを感じられなくなったら?

もともとは介護職に意欲や魅力を感じて就職した人でも、一時的にやりがいを感じられないことはあります。ここからは、介護職がやりがいをなくす主な原因と解決策を探りましょう。

介護職がやりがいをなくす原因

■働く目的を見失っている

何年か介護職を続けて慣れてくると、毎日がルーチンワーク(繰り返し行う決まった業務)の連続に思えることがあるかもしれません。自分が何のために働いているのかがわからなくなると、やりがいを感じにくくなってしまいます。

■人間関係の悩みがある

介護現場は基本的にはチームワークなので、職場に一人でも気が合わない人がいると、人間関係のストレスが深刻になる場合もあります。悩みを抱えているときは、やりがいを持って働くのは難しいでしょう。

■業務が忙しすぎる

人手不足の事業所で働いていると、長時間勤務や不規則な勤務が増えがちです。忙しい毎日が続いて疲労やストレスがたまれば、やりがいを感じられなくなることもあるでしょう。

■給料が安すぎる

近年は待遇改善が進んでいますが、介護業界は、ほかの業界と比べて賃金が高いとはいえません。事業所によっては、業務内容や業務量に対して給料が安すぎるところもあるかもしれません。報酬は働くモチベーションの一つなので、その額が労働に見合わないと感じる場合にはやりがいを感じられなくなるのは当然です。

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やりがいを感じられなくなった時の解決策

■働く目的を再確認

毎日が代わり映えのしないルーチンワークの連続に思えるときは、介護職の仕事の目的や自分が介護職になりたいと思った理由を思い出してみましょう。介護職の仕事は、基本的には毎日同じ業務の繰り返しですが、初心に返って利用者の尊厳を守るよりよいケアを提供するために力を尽くすと、利用者との関わりのなかに新たな気づきや仕事の面白さが見えてくるはずです。明日や明後日ではなく数年後の将来をイメージしてみるのも、視点を変えるきっかけになるでしょう。

■配置換えを相談する

人間関係の悩みがある場合は、管理者に部署異動や配置換えの相談をしてみるのもよいでしょう。勤務先が複数の事業所を運営している規模の大きな法人であれば、別の事業所に移ることもできるかもしれません。配置換えの希望がかなわない場合や小規模な事業所で異動ができない場合は、転職を検討するのも一つの方法です。

■オンオフの切り替えを意識する

以前は好きだった仕事が楽しく感じられないときは、多くの場合、疲れやストレスがたまっています。まずは、オンとオフの切り替えを意識してみましょう。楽しく仕事を続けている介護職には、オンオフの切り替えがうまい人が多いようです。休みの日には仕事のことを頭から追い出して、休息をしっかり取り、遊びや趣味を思い切り楽しんでリフレッシュしましょう。

■働き方を見直す

子育てや介護との両立が負担になっている場合は、働き方を見直すのも一つの方法です。フルタイムからパートに変更する、勤務時間や日数を減らすなどの対応ができないかを管理者に相談してみましょう。

■転職する

人手不足などが原因で極端に業務量が多い、休みが少ないなど、勤務している事業所の労働環境に問題がある場合は、転職を検討してもよいかもしれません。同じサービス形態でより好条件の事業所を探す手もありますが、全く異なるサービス形態の施設に転職するのも選択肢の一つです。

たとえば夜勤があって要介護度が高い利用者が多い特別養護老人ホーム(特養)から、夜勤がなく要介護度が低い利用者が多い通所介護施設(デイサービス)に転職すれば、給料は下がるとしても負担は軽くなります。疲労やストレスが解消されれば、前向きな気持ちが戻ってくるかもしれません。

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■資格を取得してキャリアアップを図る

待遇に不満がある場合は、キャリアアップに向けて資格を取るのも一つの方法です。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員の平均給与額は、「保有資格なし」で271,260円であるのに対し、「保有資格あり」だと319,460円で、約5万円の差があります。特に、介護支援専門員(ケアマネージャー)や社会福祉士の資格があると、収入が高くなる傾向が見られます。

※出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」第98表 介護職員の平均給与額等(月給・常勤の者)、サービス種類別、保有資格別(処遇改善加算I~Vを取得している事業所)

まとめ:仕事に誇りを持てる介護職を目指そう

人が仕事をするのは、もちろん生活や収入を得るためではありますが、興味のない仕事を生活のためだけに仕方なく続けるのはつらいものです。一つの仕事を長く続け、キャリアアップしていくには、やりがいが欠かせません。

介護職は、現場で毎日身体介護をこなせる程度の体力があって人と接することが好きな人なら、やりがいを感じやすい仕事です。この記事を読んで「やりがいがありそう」、「私に向いているかも」と感じた人は、ぜひ前向きに介護業界への転職を検討してみてください。

一時的に仕事の目的を見失った人、今の勤務先の環境が合わないという人は、現状の見直しが必要かもしれません。サービス形態の種類が多く、多様な働き方があるのも介護職ならでは。より自分に合った職場を探してみましょう。

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コラム:介護職がやる気を感じられなくなったらどうする?専門家の体験談をご紹介します!

執筆者

古畑 佑奈

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/19

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

介護職として、やりがいを感じたエピソード

ターミナル期だけど、最期は自宅に帰りたい利用者さん

いろいろな出来事が頭に思い浮かびますが、1つ挙げるとすると、自宅でのお看取りにかかわらせていただいた方のことです。

特養の職員をしていたころ、食事の量や活動量が減り、全身状態が低下してきている方がいました。
医師からもターミナル期であると言われ、ご家族と面談の場を持ち、今後のケア方針について話し合いました。
お看取りまでしている施設でしたが、ご家族からの相談は「最期は家に帰らせてあげたい」。それはもちろん、ご本人の願いでもありました。
ただ、元々特養に入居する時点で日常生活動作のほとんどに介助が必要で、ご家族の介護負担が大きすぎて特養入居の運びとなった経緯がある方でした。

職員全員で悩んで、出した結論は

最初に相談を受けたときは、みな悩みました。
自宅とはいえ施設と違い、困ったらすぐに職員が来られる訳ではない状況に、ご本人はどう感じるか。ご家族の負担が大きすぎないか。医療との連携はどうしていくか。最終的にはご本人、ご家族の意向を尊重し「特養を退居し、自宅へ帰る」ということになりました。

「一度施設に入ったら、もう自宅に戻れない」わけではない

そこからは、ケアマネジャーが軸となり訪問介護、訪問看護、福祉用具、訪問診療等の在宅のサービスが協力し合い、特養の職員も情報共有をしながら連携を図っていきました。ご自宅に戻った利用者さんを伺うと、とても柔らかな表情をしてにこっと笑ってくださいました。

私はそれまで、1度施設に入ったら自宅に戻ることは難しい、と思っていましたが、そうではないことを知りました。そして数ヶ月後、結果として、ご自宅で家族に見守られながら穏やかに息を引き取ったと連絡をいただきました。

ご本人、ご家族の希望を「どう叶えるか?」考えるようになれた

後日、お線香を上げにご自宅へ伺った際、ご家族から「家に帰ることが出来て本当によかった。実は、私も無理だと思っていたんだけど、思い切って話してよかった」と言われました。
私はこのとき、本当にご本人やご家族が望んでいることを日頃どれだけ聞き出せているかを反省したと同時に、チームでなければここまで出来なかったことを思いました。

まさに、ご本人、ご家族を含めた1つのチームとして同じ目標に向かい、人生の最期を迎えるまで一緒に走り切れたという感覚です。このことを体験してから、ご本人、ご家族の希望に対して、まずは「どうしたら叶えられるか?」を考えるようになったと思います。貴重な経験をさせていただいたな、と今でも時々思い出します。

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やる気・やりがいを感じられなくなってしまったとき、どう対処した?

やる気がなくなった時期、私にもありました。
振り返ると、バーンアウトだったのだと思います。

ストレスで限界を感じたら

介護職はストレスが多い!? 主な原因と限界になる前に対処する方法 | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/648

介護職は重労働でストレスを感じやすい仕事です。なかにはストレスで心身の調子を崩して離職する人も。ストレスをためない工夫をしつつ、つらいときには早めに対処することが大切です。介護職のストレスの主な原因と対処法を紹介します。【コラム:島田 友和 伊藤 浩一 古畑 佑奈】

介護とは全然関係のないことをしたくて、海外に行った古畑さん

仕事にやりがいを感じていたものの、忙しくて自分に余裕がなくなり、仕事の日も身体を休めるだけで余暇を何も楽しめなくなったとき、私は1年休職して、介護とは全然関係のないことをしました。具体的には、ワーキングホリデーで海外へ行き、飲食店で働いたり、牧場で働いたり、宿の清掃をしたり、畑仕事をしたりしました。

少し離れてみると、介護の仕事が好きなことに気づけた

やる気が感じられなくなったときは「介護の仕事よりも向いている仕事があるかもしれない」と本気で思っていたのですが、思い切っていざ離れて、いろいろなことをしてみると「やっぱり介護の仕事が好きなんだな」という思いが強くなりました。
(最終的にはお年寄りが恋しくなり、現地の老人ホームにボランティアに行きました。)

この時、少し離れて仕事を客観的に見ることで、自分の視野が狭くなっていたことに気づいたのでした。

介護職という仕事を俯瞰で見られるようになった

介護の仕事は、どうしても対利用者の方との1対1のかかわりに焦点が置かれてしまいますが、実際はダイナミクスがはたらく人間の営みに本質があるのだと考えるようになりました。
戻ってきてからはまた介護の仕事に戻り、その後もやる気が低下することはもちろんありますが、バーンアウトしないよう息抜きをすることでバランスを保てています。

専門家・古畑さんが考える、やる気の出し方3選

もし、これを読んでいる方が最近やる気が出ないな、やりがいが感じられないなと思ったら

・バーンアウトしないよう休息をとる
・休日の過ごし方を変えて新しいことに挑戦してみる
・仕事とは関係ないコミュニティに参加してみる

など、普段の生活の中で疲れを溜めない工夫や、視野を広げる活動をしてみることをおすすめします!

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