本日のお悩み
無資格の方も含めて、例えば入浴介助中に足底の角質とりをしても大丈夫なのでしょうか?
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ケアの具体的な内容を検討する前に様々な確認をしましょう
■執筆者
ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役 株式会社ゆりかご 代表取締役 茨城県訪問介護協議会 副会長 茨城県難病連絡協議会 委員 水戸在宅ケアネットワーク 世話人 介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員
おそらくお悩みを相談してくれた方は、入浴介助における具体的な行為について知りたいということだと思います。
結論としては利用者や症例・施設・保険者(市町村)などによって、結論は異なりますので、画一的な回答は難しいです。
しかしながら、判断をするために必要な手順はお示しできると思いますので、ご参照いただければ幸いです。
■確認してほしいこと
(1)居宅サービス計画書(ケアプラン)に沿った支援内容であるか
そもそも、ケアプランに通所介護での入浴が記載されていない場合は通所介護を利用されていたとしても、入浴介助自体をしてはいけません。
ケアプランには通所介護で入浴を計画するための理由にあたる目標とその目標を達成するための支援内容が記載されています。
例えば、下記の目標と支援内容が記載されていたとします。
- 目標
自宅で入浴できるようになる
- 支援内容
入浴動作の確認
できない行為をできるようにその人に合った機能訓練の提案
環境調整を図るための情報提供
自宅に近い形での入浴環境を再現し、見守りを行いながら入浴介助を実施する
まずは本人がやってみて、どうしてもできないときにはじめて支援を行います。
できない部分とその理由を本人やケアマネジャーにフィードバックし、どうすれば本人が自宅で入浴できるようになるかを考えていくということになります。
よって、まずは目標や支援内容によっては、業務の範疇ではあるがやるべき介助ではないということもあり得るということを念頭においていただくといいかと思います。
(2)介護職が実施することが適切かどうか
医行為にあたる場合や医行為でない場合(いわゆる医療的ケア)でも、共通して介護職が実施することが適切かどうかという確認は大切になります。
医行為そのものを定義した法律は存在しませんが、
厚生労働省通知「医療法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(平成17年7月26日付医政発第0726005号厚生労働省医政局長通知)にて、「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)」とあります。
よって、今回のご質問にある角質ケアについては、表皮のケアと捉えると当該通知にある爪切りと同じ解釈で良いと考えられます。
しかしながら、爪切り・角質ケアは医行為にあたらないから、介護職が対応してよいとはなりません。
この通知には「病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もあり得る」とあるからです。
よって、職場の医療従事者に必ずどこかの段階で判断を求めておくということが大切になります。
看護師等から皮膚の状態やケア方法について、介護職で行うべきか?行う場合はどのようにケアすればよいかについて確認をしておきましょう。
念のためですが、いくら医療従事者の確認を得たとしても、医行為にあたる行為はやってはいけませんので、申し添えておきます。
厚生労働省:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)
■無資格の方も考え方は同じ
ご相談の中に「無資格」の方が対応する場合とありますのでこちらにも触れますが、通所介護の人員基準上、資格の有無による業務範囲の差異はありません。
無資格の方でも上記内容については、同様とお考えください。
ただし、保険者によっては無資格者だけでケアをすることについては指導を受けることもあります。
例えば、浴室でケアをしているスタッフが全員無資格者の場合、目の届く範囲に資格所有者を配置し、不測の事態に迅速に対応できる体制を求められることもあります。
詳細は保険者にご確認ください。
まとめ
まずは「足底の角質とりを行う」という支援内容をする必要がある目標がケアプランにあるかどうかをご確認ください。
個人的には通所介護での入浴支援に位置付けるよりは、フットケアなど介護保険外のサービスを提案した方が良いケースかもしれないと感じます。
しかし、通所介護の中でもフットケアの資格を持っているスタッフがいるという特色を持った通所介護もあると思います。
ぜひ、今一度、そのご利用者のケアプランや状態を見直し・確認していただくきっかけにしてみてください。
ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役
株式会社ゆりかご 代表取締役
茨城県訪問介護協議会 副会長
茨城県難病連絡協議会 委員
水戸在宅ケアネットワーク 世話人
茨城県介護支援専門員協会 水戸地区会幹事
茨城県訪問看護事業協議会 監事
水戸市地域包括支援センター運営協議会 委員
水戸市地域自立支援協議会全体会 委員
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
日本社会事業大学大学院 福祉マネジメント研究科 在籍中
介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員・FP2級