脳トレや手遊びって必要?今後の認知症予防レクネタの考え方について専門家が解説

■専門家

茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもくせい施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 ▶プロフィール 介護福祉士として8年の現場を経験後、33歳で特別養護老人ホームの施設長に就任。現在まで、4カ所の特養の施設長を経験。また、介護福祉士養成校の経営に携わる観点から福祉人材の確保定着をライフワークと位置づけ「茨城から福祉で世界を元気にするプロジェクト(いばふく)」を法人の垣根を超えて横展開している。 令和元年にNPO法人ちいきの学校を設立。元気なシニアが中心となって多世代が笑顔で暮らす新しいちいきをつくることにもチャレンジしている。 20年で培った現場経験と教員経験、管理者経験を生かして、認知症ケアから組織やチームマネジメントの悩みなど幅広く対応する。 <茨城から福祉で世界を元気にするプロジェクト(いばふく)> https://www.ibafuku.com <ちいきの学校> https://chiikino.com/
認知症の原因は、アミロイドβたんぱくと言われている
日本では抗認知症薬は現在4種類のため、5つ目の薬となりますね。
国内約600万人といわれる認知症患者の約6割〜7割はアルツハイマー型認知症です。
そして、その原因は「アミロイドベータたんぱく」が神経細胞を壊し、記憶力や判断力を低下させるとこと言われています。
レカネマブは、この脳内に蓄積した異常なタンパク質「アミロイドベータ」の除去を狙います。
この新薬のお話をとってみても、認知症予防として重要なこととしては「アミロイドベータたんぱくを蓄積させないこと」となるわけです。
認知症を予防するには

認知症の予防方法(アミロイドベータたんぱくを蓄積させない方法)としては、
●1日3杯コーヒーを飲む(新潟大学医学部発表)
●良質な睡眠をとる(脳の老廃物を洗い流す) などの方法が明示されているものの、まだまだその効果が明確とは言えないようです。
しかしながら、脳の活性化に関しては、脳を使わない人より使う人の方が認知症のリスクを軽減させるケースが科学的に立証されています。
脳の活性化という意味では、後出し負けジャンケン(利き手でない手で相手に負けるようにジャンケンをする)は、普段使わない手で直感的には勝とうとしてしまう脳に逆の考え方をさせるという脳とって効果的な介護予防になりうる「手遊び」かもしれません。
ただし、この「手遊び」という考え方、現在のご利用者にマッチしなくなってきています。
■利用者のニーズの変化により、レクリエーションの内容も進化している
※団塊の世代…(終戦直後1947〜1949年生まれ、75〜77歳)
これらの年代の方は、高度経済成長、バブル経済、核家族への移行などを経験しており、娯楽も整った時代を生きてきました。
そのため、趣味・趣向の質も高く、レクリエーションという感覚よりもより質や効果を求める傾向へ変化しています。
最近は、昭和歌謡がブームになっていますが、まさしく昭和時代のオンタイムの人々です。
当時の曲ってとても質が高いですよね。
昭和の時代の世代は質の高い娯楽のなかで生きてきた世代ということなのです。
実際に最近、流行っているデイサービスをみてみると、
●本格的なカルチャーの先生がいる
●リハビリの専門職がいる など
ご利用者のニーズとサービスの質がマッチしているところのように感じます。
根拠の薄いレクレーション的な「手遊び」は、これからのご利用者にはニーズがないかもしれません。
まとめ
そして、直接的に認知症を予防できる方法もまだ確立されてはいません。
そのなかで、認知症を予防するためには、生活習慣病を防ぐ、脳を活用することは効果的と言われています。
最近の研究では、計算問題のようなよくある脳トレより「人と話すことと」が脳の活性化にはより効果的とのお話も。
いずれにしても、対象者の変化や脳科学の変化にもアンテナをはることが介護職にも求められる時代となったこと、これは事実でしょう。

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茨城県介護福祉士会副会長
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いばらき中央福祉専門学校学校長代行
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介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員