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高齢者向け脳トレゲーム25選! 脳トレの目的や実施時のポイントも解説

高齢者向け脳トレゲーム25選! 脳トレの目的や実施時のポイントも解説

介護施設で行われているゲームや計算問題など脳トレは、高齢者の脳を活性化して認知機能を鍛えるほか、認知症予防にもつながるといわれています。脳トレの目的や実施する際のポイントとともに、具体的なアイデアと方法を紹介します。【執筆者:ささえるラボ編集部】


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ささえるラボ編集部

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ささえるラボ編集部です。 福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします! 「マイナビ福祉・介護のシゴト」が運営しています。

高齢者向けの介護施設では、レクリエーションの時間に、頭を使うゲームやクイズ、計算問題などの「脳トレ」がよく行われています。脳トレは、高齢者の脳を活性化して認知機能を鍛えるほか、認知症予防にもつながるといわれています。

今回は、介護施設でレクリエーションとして実施したい脳トレのアイデアと方法を紹介。あわせて、脳トレの目的、実施する際のポイントや注意点、利用者に楽しんでもらうコツについても解説します。

脳トレを実施する目的

まずは、介護施設がレクリエーションとして脳トレを実施する目的を確認しておきましょう。
◆認知機能の維持・向上
◆コミュニケーションの活性化
◆ストレス発散

認知機能の維持・向上

記憶や思考、感情のコントロール、行動の抑制、集中、判断といった重要な認知機能は、脳の前頭葉にある前頭前野という部分が担っています。しかし、この前頭前野の働きは、年齢を重ねるにつれて衰えるため、記憶力や思考力といった認知機能もしだいに低下してきます。

脳トレを行うと、脳の前頭前野が刺激されて活性化されるため、認知機能の低下防止や改善につながると考えられていて、幅広い介護施設でレクリエーションとして取り入れられています。

コミュニケーションの活性化

一般的に、高齢になると人と会話をする機会が減って、コミュニケーション不足が原因で認知機能の低下やうつ病などのメンタルの不調を招くことも多いといわれています。

介護施設では、複数の利用者を集めて脳トレを実施するのが一般的です。仲間といっしょにクイズやゲームをすると、コミュニケーションの機会が増え、楽しみや生きがいにつながります。仲間や担当の職員と会話を交わすことで、脳も刺激されます。

ストレス発散

脳トレのクイズやゲームに熱中し、仲間とともに笑ったり声をあげたりすることは、利用者にとってストレス発散になります。

また、頭を使いながら脳トレを行いクイズや計算問題に正答することで、達成感や心地よさがもたらされ、日々の充実につながるというメリットもあります。

脳トレゲームを企画・実施する際のポイント

◆できるだけ継続して行う
幅広い種類の脳トレを取り入れる
簡単にできる内容にする
仲間といっしょにできるものを選ぶ
余裕のある時間設定にする
◆参加者に合わせた内容にする
◆参加者の気持ちを傷つけない

できるだけ継続して行う

脳トレは、たまに気が向いたときに実施するだけでは、大きな効果を見込めません。認知機能の維持・向上を目指すのであれば、1回あたりの時間は短くても、できるだけ継続的に取り組むことが大切です。

幅広い種類の脳トレを取り入れる

参加者が慣れるまでは毎回決まった内容の脳トレを繰り返すことも必要ですが、長期的には、幅広い種類のゲームを取り入れていくとよいでしょう。
そうすることで、複数の認知機能を活用することができます。

利用者が達成感を得られる内容にする

クイズや計算問題などの設問が難しすぎて解けないものばかりだと、参加者は達成感を得られず、楽しいはずのレクリエーションの時間が苦痛になってしまいます。最初は簡単なものからスタートして、少しずつ難易度を上げていきましょう。

そのほかのゲームは、ルールや遊び方が理解しやすいものを選びましょう。

仲間といっしょにできるものを選ぶ

ほかの利用者とのコミュニケーションの機会をもたらすことは、脳トレの重要な目的の一つです。できるだけ一人で取り組むものより、チームで行うものや周囲の人との会話を楽しめるものを選びましょう。

レクリエーション中は、参加者同士が円滑にコミュニケーションをとれるように、様子を見ながら声をかけてサポートをすることも、職員の大切な役割です。

余裕のある時間設定にする

適度な難易度の脳トレに集中することは高齢者に達成感をもたらしますが、短い制限時間内で集中を強いられると、焦りやストレスを感じる人もいます。
焦らずに脳トレに取り組めるように、参加者の認知機能レベルを考慮して、余裕のある時間配分で予定を組みましょう。

参加者に合わせた内容にする

脳トレをレクリエーションとして企画するときは、参加者の得意なことや不得意なこと、性格、趣味などを把握し、興味を持って前向きに取り組んでもらえそうなものを選びましょう。
また、参加者のなかには体が思うように動かせない人や車椅子の人もいるため、特に手遊びや体操などは、参加者の体の状態に合わせた内容にすることが大切です。

さらに、どんな認知機能を鍛えられる脳トレなのかに着目すると、より目的や参加者に合ったレクリエーションを実施することができるでしょう。

参加者の気持ちを傷つけない

高齢者の気持ちに寄り添い、尊重することは介護の基本です。しかし、担当の職員に特に悪気はなくても、レクリエーション中に無意識に口に出した言葉が参加者を傷つけてしまうこともあります。
たとえば問題が全部解けなかったときに、「あと少しだったのに、残念」と言えば、参加者は能力不足を指摘されたように感じて自信をなくすかもしれません。そのほか、強い口調での指示出しやほかの利用者と比べるような発言も、参加者の気持ちを傷つける原因になります。

常に参加者の気持ちを想像しながら、「うまくできていますよ」「今日もがんばりましたね」などと、ポジティブな声かけを心がけましょう。ゲームのルールや方法などを教えるときは「次はこうしませんか?」「こうしたらもっとよくなりますよ」と提案する言い方で伝えるとよいでしょう。

脳トレゲームのアイデア25選

脳トレイメージ画像

ここからは、介護施設でのレクリエーションにおすすめの脳トレゲームのアイデアを、維持・改善したい認知機能別に紹介します。

1.記憶力アップ脳トレ
2.計算力アップ脳トレ
3.注意力アップ脳トレ
4.思考力アップ脳トレ
5.脳トレ効果のある手遊びや体操

1.記憶力アップ脳トレ

物事を記憶しておくためには、情報を取り込んで記憶にとどめ、必要になったときに思い出す力が求められます。年齢を重ねると、特に思い出す力が低下しやすくなるといわれています。
脳トレで思い出す力を中心にトレーニングすることで、記憶力の低下を防ぐ効果が期待できます。実施する際には、必要に応じて紙やホワイトボードを活用しましょう。

◆しりとり

しりとり遊びでは、単語の語尾から始まる別の単語を、自分が覚えている言葉の中から探す必要があるため、思い出す力のトレーニングにぴったりだと思います。
ただし、何の縛りも加えずに行うと少し退屈に感じる参加者もいるかもしれません。全員に楽しんでもらうためにお題を決めるなどの工夫もしてみてください。

*遊びの例*
・「色の名前」「〇文字の言葉」「世界の国々」のようにしりとりのテーマを決めてみる
・「ごま」「まり」「りんご」などしりとり言葉が書かれた紙を10回ほど用意し、参加者に頭文字と語尾がつながるように並べてもらう

◆神経衰弱

裏返しに並べたカードのなかから同じ数字のカード2枚を引き当てる、トランプでおなじみのゲームです。同じカードを引き当てるには、一度めくったカードの位置を覚えておく必要があるため、記憶力のトレーニングになります。

ただし、トランプを使った一般的な神経衰弱は、記憶力や視力が低下した高齢者には難しい場合があるので、カードを準備する際は工夫をしましょう。

【準備時の工夫】

・職員がオリジナルのイラストを描いたカードを作る(一般的なトランプだと絵柄も多く高齢者には難易度が高い場合がある)
・一般的なトランプより大きいカードを用意する(視力が低下した方も楽しむため)

◆漢字クイズ

漢字を使ったクイズも定番の脳トレです。昔覚えた漢字や読み方、熟語などを思い出さなければならないため、記憶力のトレーニングになります。漢字クイズは多種多様であるため参加者の認知機能や知識のレベルに合わせた問題を用意しましょう。

*遊びの例*
・バラバラの漢字を組み合わせて四文字熟語を作ってもらう
・四文字熟語の一文字を空白にして当てはまる漢字を考えてもらう
・難しい熟語の読み方を当ててもらう

◆ことわざクイズ

誰もが一度は聞いたことのあることわざをクイズにするのもアイデアの一つです。

*遊びの例*
・ことわざの一部分を空白にして、参加者に当てはまる言葉を考えてもらう
・4択問題を作って解答してもらう

◆クロスワードパズル

クロスワードパズルは、文章のヒント(クイズ)をもとに、縦・横に並んだ空白のマスに言葉を埋めていくパズルです。クイズとパズルの要素を備えた、高齢者向けの趣味やレクリエーションとして人気のあるゲームです。記憶力だけでなく、思考力や推理力なども求められるため、高い脳トレ効果が期待できます。

パズルの素材は、インターネットでダウンロードできるほか、多数のクロスワードパズルを収録した本や雑誌もあります。施設でレクリエーションとして実施する場合、各自にプリントを配って解いてもらうこともできますが、そのほかにも様々な工夫をすることで仲間と盛り上がることができるでしょう。

【準備時の工夫】

・プロジェクターで映写するなどして参加者全員で共有し一体感を楽しむ
・職員がヒントを読み上げて、当てはまる言葉を思いついた人から手を挙げて発表してもらう

◆都道府県クイズ

特産品や地形の特徴など、特定の都道府県に関するヒントを3つほどあげて、都道府県名を当ててもらうクイズです。

【準備時の工夫】

・あまり知られていない都道府県を出すなどで難易度の調整を行う
・参加者同士の会話が弾むよう、参加者の出身地である都道府県を出題する

◆昭和クイズ

昭和時代の出来事や風習、流行した音楽、ファッションなどをテーマにクイズを出して、参加者に答えてもらいます。
記憶力アップに加えて、「回想法」と呼ばれる心理療法と同様の効果が期待できます。「回想法」は、思い出の品や昔流行した音楽などを手がかりに、高齢者から話を引き出すという方法で行われます。
昔を思い出すことで脳を活性化させるとともに、自信を取り戻すきっかけになり、精神に安定をもたらすといわれています。

*遊びの例*
・昭和時代に活躍した三種の神器とは電気洗濯機、電気冷蔵庫ともう一つは何でしょう
・昭和時代の消費税は何%だったでしょう。

◆歌クイズ

参加者が若かった頃に流行した歌謡曲の歌詞から、ヒントとなる言葉をいくつかホワイトボードに書き、曲名を当ててもらいます。

記憶力アップにつながるのはもちろん、昔を思い出すことで「回想法」と同様の効果も期待できます。

【準備時の工夫】

・職員が歌詞の冒頭だけを読み上げ難易度をあげる
・曲名を当てた人にその歌を歌ってもらう
・正解が出た後にその曲をスピーカーで流す

2.計算力アップ脳トレ

計算力とは、文字通り数の計算をする能力のことです。加齢とともに計算力が衰えると、足し算や引き算が難しくなり、買い物をするときや時間配分を考えながら予定を立てるときなどに支障をきたすことがあります。脳トレに計算を取り入れると、日常生活に必要な計算力の維持・改善につながります。

◆足し算・引き算

高齢者の脳トレに使う計算問題は、小学校低学年レベルの足し算や引き算が適しています。簡単な問題でも、十分に計算力のトレーニングになります。

【準備時の工夫】

・計算力が高い人もいるので難易度の幅は広く準備しておく
・大きめの文字で数字を書くことで高齢者に見やすいようにする

◆そろばんを使った計算問題

高齢者のなかにはそろばんを使った経験がある人が多いので、そろばんをレクリエーションに取り入れるのもおすすめです。参加者に合わせた難易度の計算問題を用意して、実際にそろばんを弾いて計算してもらいましょう。

【準備時の工夫】

・事前に参加者がそろばんを使えるか確認しておく
・そろばんより電卓を使い慣れている場合があるのでその場合は電卓も用意する

◆お金の計算問題

日常生活を送るうえで不可欠なお金の計算問題は、買い物をするといった身近な場面を思い浮かべながら解けるので、計算に苦手意識がある人でも取り組みやすいのがメリットです。計算力のほか、記憶力や想像力、生活機能の訓練にもなります。

*遊びの例*
・複数枚の硬貨やお札が印刷されたプリントを準備し、参加者に合計金額を計算してもらう
・値札のついたさまざまな品物を用意し「5,000円以内で好きなものを買う」など買い物感覚で計算をしてもらう

◆時間の計算問題

普段の生活では、家事や外出の予定を考える際などに、時間の計算をしなければならない場面が多々あります。仕事を辞めた高齢者は時間の計算をする機会が少なくなるため、レクリエーションに時間の計算を取り入れると、生活機能の訓練になります。

参加者の認知レベルに合わせて問題の難易度は調整しましょう。

*遊びの例*
・「○時に家を出発して、徒歩で15分の場所にある喫茶店で40分過ごした後、まっすぐ歩いて帰宅すると何時になりますか?」といった計算問題を用意して、参加者に計算してもらう

◆サイコロを使った計算ゲーム

ゲームにサイコロを使うと、自然にゲームのなかで暗算をするので、計算力の脳トレになります。
さまざまなゲームのアイデアが考えられ、使用するサイコロの数などで参加者に応じて難易度の調整ができます。

*遊びの例*
・参加者をいくつかのチームに分けて、交互に複数回サイコロを振って合計数を競い合う
・サイコロを振るたびに出た数をホワイトボードや用紙などに記録し、最後に参加者全員で合計数を足し算してもらう

3.注意力アップ脳トレ

注意力は、一つのことに気持ちを集中させる能力です。注意力が低下してくると、人の話についていけなくなったり、家事がうまくできなくなったりと、日常生活にも影響する場合があります。
どんなゲームであっても、一定の時間、集中的に取り組むことは注意力アップにつながりますが、なかでも次のようなゲームが効果的です。

◆間違い探し・仲間はずれ探し

いずれも高齢者向けの脳トレゲームの定番です。間違い探しは、ほとんど同じに見える2枚のイラストを見比べて、間違っている部分を探すゲーム。仲間はずれ探しは、一見、同じに見える多数の図形や漢字のなかから、一つだけ異なるものを見つけるゲームです。

素材はインターネットや本でも探せますが、参加者がより盛り上がるために他にも以下のような工夫ができます。

【準備時の工夫】

・担当の職員が手作りする
・大きめにプリントして掲示したり、プロジェクターを使ってスクリーンや壁に映したりして参加者間で共有できるようにする

◆点つなぎゲーム

点つなぎは、数字やアルファベットの点を順番につないでいくと、最後に一つの絵になるゲームです。
点と点をつなぐ際には鉛筆で線を引く必要があり、頭と同時に手も動かすので、より広範囲に脳を刺激することができます。間違い探し、仲間はずれ探しと同様、インターネットや本から素材を入手することができます。

【準備時の工夫】

・数字やアルファベットの数を増やすことで難易度の調整ができる
・各自で作業をした後にできあがった絵を全体で発表すると参加者が一体感を持つことができる

◆ジグソーパズル・図形パズル

全体の絵柄を想像してピースを組み立てていくジグソーパズルは、注意力や集中力、想像力、記憶力など、さまざまな認知機能を刺激する脳トレといえます。また、組み立てる際に手や指先を使うので、運動機能のトレーニングにもなります。

完成形を想像しながら平面や立体の図形を組み立てる図形パズルも、手を使って楽しみながら脳を刺激できるアイテムです。注意力や想像力はもちろん、判断力、空間認識力などの認知機能を鍛える効果が期待できます。

【準備時の工夫】

・ピースが小さいジグソーパズルだと、人によってはつかみにくい場合があるので、ピースが大きめのパズルや高齢者向けのパズルを選ぶ

◆迷路

紙にプリントした迷路のゲームも、脳トレの一つです。間違った道に進まないように気をつけながら、ゴールを目指して入り組んだ道を進まなければならないため、注意力や集中力をアップするトレーニングとして効果的であると言われています。

参加者の認知度などに応じて以下のように工夫をしてみましょう。

【準備時の工夫】

・動物や季節の風物などをかたどった迷路を使う
・難易度を上げるために途中で花や木の実などを拾うなどミッションをこなしながら進む迷路を取り入れる

4.思考力アップにつながる脳トレ

思考力は、これまでに蓄積してきた知識や記憶をもとに考える力です。頭をしっかり使って考える要素のある脳トレを取り入れることで、脳が活性化され、思考力が鍛えられることが期待されます。

◆なぞなぞ

なぞなぞとは、言葉遊びや駄洒落を使ったクイズを指すのが一般的です。
解答する際には柔軟な発想が必要になるため、思考力や想像力が鍛えられます。また、参加者同士で会話を交わしながら答えを考えることで、コミュニケーションも活性化します。

*遊びの例*
・10匹集まるとお礼を言ってしまう昆虫は?(答え:アリ)
・9匹の虎が乗っている車は?(答え:トラック)

◆回文

回文とは、「新聞紙(しんぶんし)」「無駄なダム(むだなだむ)」のように、上から読んでも下から読んでも全く同じ読み方になる単語や文章のことです。言葉を反対に読むのは頭を使う作業なので、効果的なトレーニングになります。

認知機能のレベルによっては回文を考えることは難しいので参加者が楽しめるよう工夫をする必要があります。

【準備時の工夫】

・職員が回文を考え、穴埋め問題にする
・文字数を認知機能のレベルに合わせて調整する

◆あいうえお作文

3文字程度の単語をテーマにして、それぞれの文字を頭文字にして、参加者に文章を考えてもらいます。どんな文章を考えても自由なので、計算問題やクイズが苦手な人も楽しめるのが魅力です。

言葉の組み合わせによっては的はずれでおかしな文章ができることもありますが、そんなときに笑いが起こって盛り上がるのも、このゲームの醍醐味です。

*遊びの例*
・お題:あさひ
「あ」味見をしたら
「さ」砂糖が多かった
「ひ」久しぶりの料理

◆文字並び替えゲーム

文字の順番をバラバラにした単語を参加者が並び替えて、元の単語を当てるゲームです。実施する際には、いくつかの単語をひらがなまたはカナカナにして文字の順番を並び替えたものを、紙やホワイトボードに書いて見せます。どんな単語も順番を並び替えるだけでゲームに使えるので、職員が簡単に素材を用意できるのがメリットです。

最初は4~5文字程度の単語で参加者の様子を見て、簡単そうなら徐々に文字数を増やして難易度を上げていきましょう。

*遊びの例*
・「ハーチャン」→「チャーハン」
・「キョウトウ」→「トウキョウ」

5.脳トレ効果のある手遊びや体操

脳トレというと頭を使うゲームというイメージがありますが、高齢者施設でレクリエーションとしてよく実施されている手遊びや体操も、脳の活性化につながります。手や体を動かすことで、脳トレと同時に運動機能の訓練ができるのもメリットです。

◆指体操

「第二の脳」といわれるほど、手は脳と関係の深い器官です。大脳の約3分の1は、手の動きや感覚をコントロールするために使われているといわれています。そのため、指先を使う体操は脳を活性化する効果が高いと考えられており、多くの介護施設でレクリエーションに取り入れられています。座ったままでもできるので、体の状態にかかわらず幅広い利用者が参加しやすいのも特徴です。

インターネット上にある動画やレクリエーションの本などを参考に、参加者の機能レベルに合う指体操を取り入れましょう。慣れてくれば、アレンジも可能です。

*遊びの例*
・「指折り体操」
1、2、3…と数を数えながら、両手の指を順番に折り曲げていく体操
・「指回し体操」
両手の指をドームのように合わせて、向き合っている指に当たらないように指を1本ずつ回していく体操

◆後出しじゃんけん

職員の掛け声に合わせて、参加者が後出しでじゃんけんをするゲームです。

簡単そうに思えますが、実際にやってみると意外と難しいため、脳を十分に刺激することができます。ほかの参加者とテンポを合わせて手を上げることで、適度な運動にもなります。

*遊びの例*
1.担当の職員が「私に勝ってください」「次はあいこで」などと指示を出しをする
2.職員は「じゃんけんぽん」と言いながら、グー・チョキ・パーのいずれかを出す
3.参加者は職員からの指示通りに「ぽん」と言いながらグー・チョキ・パーのいずれかを出す

◆お手玉

手を動かしてお手玉を投げたり受けたりするお手玉遊びも、脳トレに最適な手遊びです。高齢者のなかには子どもの頃にお手玉で遊んだ人が多いため、レクリエーションに取り入れると、懐かしい気分も味わってもらえます。

2つのお手玉を両手に持って、右手で一つを上に投げ、左手からもう一つお手玉を右手に移して、落ちてきたお手玉を左手で受けるという動きを繰り返すのが基本の遊び方です。最初は簡単な技から始めて、参加者の様子を見ながら、より難易度の高い技にもチャレンジしてみましょう。

【準備時の工夫】

・お手玉の数はある程度多めに準備しておく
→基本の遊び方で難易度を上げることができる
→「的当て」や「玉入れ」、参加者が円座になって一人一人が持っているお手玉を回していく「お手玉回し」など遊びの幅を広げられる

◆足踏み体操

足踏み体操とは、イスに座った状態で、腕を振りながら足踏みをする体操のことです。
座ったままで下肢の運動機能のトレーニングができるうえ、脳内のほかの脳トレでは刺激できない部分を刺激できるのがメリットです。

【準備時の工夫】

・参加者の認知度や身体機能などに応じて指折り体操や手遊びを組み合わせることも考えて準備をしておく

高齢者に脳トレゲームを楽しんでもらうコツ

高齢者に脳トレゲームを楽しんでもらう

1.準備をしっかりしておく
2.ルールや目的をわかりやすく説明する
3.様子を見ながら声かけをする
4.職員自身も楽しむ

1.準備をしっかりしておく

レクリエーションを段取りよく進めるには、入念な準備が欠かせません。まずは参加者の人数分の材料や道具が揃っているかどうかを確認しましょう。
そのうえで、頭のなかでゲームの開始から終了までの流れをシミュレーションして、練習や休憩タイムをどこで挟むかなどの計画を立てておきます。

トラブルや事故のリスクを考慮して、安全対策を講じておくことも重要です。

2.ルールや目的をわかりやすく説明する

脳トレは、ルールをきちんと理解しないと進められないものが多いので、スタート前に担当の職員が、参加者にわかるように簡潔な言葉で具体的に説明する必要があります。

また、参加者のなかには、しりとりやクイズ、初歩的な計算問題といった脳トレに対して「なぜこんな子どもの遊びのようなゲームをしなければいけないのか」と抵抗を感じる人もいます。そんな人にも前向きにレクリエーションに参加してもらうためには、その日に実施する脳トレの目的や効果を説明することも必要です。

3.様子を見ながら声かけをする

脳トレゲームは、リズム体操や球技のような体を動かすレクリエーションに比べると、盛り上がりにくい面があります。参加者のなかには、ルールを理解していない人や全体の流れについていけない人もいるかもしれません。

担当職員が一人ひとりの様子を観察しながら声かけをして、できる限り全員が脳トレゲームを楽しめるように配慮をして、ムードを作りましょう。

4.職員自身も楽しむ

参加者に楽しんでもらうには、職員自身も脳トレや参加者とのコミュニケーションを楽しむことが大切です。職員が楽しく仕事に取り組んでいる姿勢が伝われば、参加者も自然に脳トレの内容に興味を持って、積極的にかかわってくれるでしょう。

まとめ:参加者に合った脳トレを選び、楽しいひとときを

脳トレは高齢者が日常生活では普段使わない脳を活用することができるため、多くの介護施設がレクリエーションとして取り入れています。クイズやゲームを通して仲間と交流し、集中したり笑ったりして充実した時間を過ごすことは、施設の利用者の「QOL(生活の質)」向上にもつながります。

脳トレの多くは、必要な道具を用意すれば手軽に実施できるため、レクリエーションに慣れていない介護職にも実施しやすいでしょう。職員に多数の脳トレのレパートリーがあれば、さまざまな認知機能のトレーニングになるうえ、施設の利用者に飽きずに楽しんでもらうことができます。

今回紹介したアイデアを参考に、利用者の興味や心身の状態に合った脳トレのレクリエーションを企画しましょう。

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