本日のお悩み:クリスマス会や忘年会を介護施設で行う際の準備マニュアルを知りたい!
利用者さんにも楽しんでもらえるイベントにしたいのですが、準備したほうがよいこと、イベント内で取り入れられそうなレクリエーション、工夫できることなどがあれば教えてください。
介護施設で「クリスマス会」や「忘年会」を企画する際のマニュアルを紹介します!
■執筆者/専門家
・けあぷろかれっじ 代表 ・NPO法人JINZEM 監事 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士 『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。
高齢者施設でのクリスマス会や忘年会の企画は、利用者さんにとって楽しみなイベントの1つですよね!皆さんの笑顔を想像するとワクワクします!
素敵なイベントを企画できるようにイベント内で取り入れられそうなレクリエーションや参考として工夫できることなどについてお伝えしますね。
ご質問者さんだけではなく、施設でのイベントや行事を立案していくための手順(マニュアル)としてもご活用いただければ嬉しいです。
準備を進める前に必ずクリスマス会や忘年会に使用できる予算は確認しておきましょう。
予算の中でイベントを組み立てるということを前提に準備すべきこと、取り入れられそうなレクリエーション、工夫できることについて詳しく説明します。
介護施設で「クリスマス会」や「忘年会」を企画する際の手順
■1.介護職が行う「クリスマス会」や「忘年会」の準備
準備で行っていただきたいのは以下の6つです。
2.装飾のテーマとスケジュールの決定
3.参加者の把握と招待状の作成
4.会場の装飾と準備
5.プレゼントや景品の準備
6.食事や飲み物の手配
■1.イベントのターゲットを決めてみましょう!
そのために「今年は利用者さんも参加型にしよう!」という提案をされてみてもよいかと思います。
スタッフの中には、利用者さんを楽しませたいという想いを持たれているスタッフが多いと思います。
とても素敵なことですが、場合によっては、支援者側の想いの押し付けになってしまう場合があります。 忘れてはいけないのが、自立支援のケアも含めて検討していただきたいということです。
持てる能力を最大限に生かした催し物を、利用者さんが来場者に向けて提供することだって、利用者さんが楽しむということにも繋がりますね!
ー【具体例】後藤先生の施設で実施しているイベント
具体的には、扉の先には魔女に扮した利用者さんが待っていて、『トリックオアトリート』と言って扉を開けた園児さんたちをお迎えしてお菓子を配ってくださります。
イベントが終わると、園児たちや保育園の先生方から、たくさんの笑顔と『ありがとう』を利用者さんがもらえることになります。このようなイベントの方向性ならば、ターゲットは園児の皆さんとなりますね。
地域の子どもたちを招いて、クリスマスイベントを提供するのも素敵かもしれません!
子どもたちへのプレゼント品を利用者さんと一緒に作って、プレゼントするというのも良いと思います。考えれば考えるだけアイデアが出てきますね。
ターゲットを息子さんや娘さんにするなら、イベントが終わった後に思い出の写真などを娘さんや息子さんにお手紙としてプレゼントするのもよいと思います。
ーターゲットを絞るとイベントの日時も決めやすい
そして、上記のターゲットに応じて、開催日時も決められるかと思います。
たとえば2024年(今年)は、クリスマスイブである12月24日が火曜日です。小学校や中学校は冬休みに入っていると思いますが、利用者さんの息子さんや娘さんはお仕事の可能性が高いですね。
また、当日はすでに別の予定を入れられてしまっていると参加は難しいかもしれません。 そう考えると、少し早い21日や22日の土日に開催する方が来客者が見込まれ、多くの方にご参加いただける可能性があると思います。
時間も日中が望ましいのか夜の開催が望ましいのか検討しましょう。
息子さんや娘さんのご家族都合にも合わせられるように、後藤の施設ではあえて14時から16時の開催時間に設定することもあります。 夜はそれぞれのご家庭のクリスマスを過ごすことも可能なので、ご家族を招待しやすい時間帯です。
■2.装飾のテーマとスケジュールの決定
ー介護施設のイベントにおける装飾テーマ決め
先述した後藤の施設でのハロウィンイベントの装飾は、園児の皆さんを楽しませるためにかわいいお化け屋敷にしましたよ(笑)少しだけ不気味な雰囲気づくりも意識しました。
装飾は雰囲気作りには欠かせないものとなりますが、クリスマスであれば、赤と白や緑を基調とした飾りつけやライティング、雪やプレゼントを模した飾りつけなど華やかな雰囲気を作るだけでも十分に盛り上がると思います。
100円ショップなどで材料は揃えられますが、イベント時期の直前は売り切れてしまう場合もありますので、早めにチェックしておくようにしてくださいね。
ー本番当日までのスケジュール調整
2.準備物品の取りまとめ
3.誰が何を準備するか担当者決め(装飾、催し物、当日の運営etc.)
4.進捗管理のための会議日程調整
5.企画書やタイムテーブルの作成
6.催し物の練習日
計画書に関しては稟議が必要な事業所さんも多いと思いますので、早め早めの準備を進めていきましょう。 相談員さんや看護職員さんなども巻き込みながら、スタッフ一丸となって準備に関わっていくことが大切です。
■3.参加者の把握と招待状の作成
招待状には、イベントの日時、場所、プログラム内容などを記載しましょう。
■4.会場の装飾と準備
気持ちを盛り上げていくためにも、当日だけではなく、12月(イベントの実施月)に入ったら装飾を始めていくと、人手や作業も分散しながら、当日に向けて効率的に装飾を華やかにしていくことができると思います!クリスマス会ならクリスマスツリーやリース、忘年会なら紅白の幕や提灯などを用意していきましょう。
また、当日の会場のレイアウトは、トイレの位置や誘導の動線なども考え、利用者さんが移動しやすいように配置を工夫してください。
こちらは、計画書内で事前に配置図を用意しておくと当日の混乱も少なく、当日までの修正も行いやすいので良いと思います。
■5.プレゼントや景品の準備
その代わりにですが、予算は当日の飲食代に振り分けて、食べたい物を豪華なものをご用意しています。お寿司やローストチキン、アルコールなどの飲料を大量に購入しています。
ご家族へ向けてサプライズを用意する場合は、ご利用者さんとよく打ち合わせをしながら、お手紙等のプレゼントをご用意されると良いと思います。
ビンゴ大会などを開催する際には、ターゲット対象の嗜好を良く考察して、景品を購入されてみてくださいね。
■6.食事や飲み物の手配
クリスマス会ならクリスマスケーキやチキン、忘年会ならおせち料理や鍋料理などが考えられますね。食事制限がある方への配慮も忘れずにですが、私の施設では看護職員も含めて『好きなものを好きなだけ。利用者さんの笑顔のために楽しんでいただく』という想いから、重篤な病状とならない(透析の利用者さんの水分量など)利用者さんについては、高血圧や塩分制限、糖尿病の方でもお食事やケーキを楽しまれています。
もちろん、これらの対応については入所時の契約の際にご家族にも説明をさせていただき、同意を得たうえでの対応となりますので、その場の判断での対応は絶対に行わないようにしてください。
■2.イベント内で取り入れられそうなレクリエーション
2.落語などの娯楽をボランティアさんへ依頼
3.ビンゴ大会
4.ハンドベル演奏
5.クイズ大会
6.利用者さんのご家族へサプライズイベント
7.1年間を振り返るスライドショー
■1.合唱やカラオケ
歌詞カードを用意し、みんなで一緒に歌うことで一体感も生まれますので、馴染みのある歌を選定していきましょう。
■2.落語などの娯楽をボランティアさんへ依頼
演劇やマジックショー、講談や落語など調べてみるとさまざまなボランティアさんがいらっしゃると思いますので、イベントに応じて来ていただくのもよいと思います。
■3.ビンゴ大会
認知症の方には介助が必要な方もいらっしゃいますので、利用者さんの状態やスタッフの配置と併せて選択肢に入れていただければと思います。
■4.ハンドベル演奏
スタッフが演奏するだけでなく、利用者さんにも参加してもらうことで、より楽しんでもらえる定番のレクレーションでもありますね。
■5.クイズ大会
ご利用者さんの状態に合わせる必要もありますが、4択問題にすると皆さんも答えやすいと思います。
■6.利用者さんのご家族へサプライズイベント
■7.1年間を振り返るスライドショー
是非プロジェクターなどを用いて大画面で見ていただきたいですね。
■3.介護施設のイベントにおける雰囲気づくり
2.手作りの飾りつけ
3.写真撮影
■1.仮装をする
職員がサンタクロースやトナカイの仮装をすることで、会場の雰囲気が一気に盛り上がりますし、利用者さんにも簡単な仮装アイテムを配布すると、より一層楽しんでもらえます。
注意が必要なのは、利用者さんへのコスチュームの着用と忘年会におけるモラルです。
判断ができないご利用者に仮装と称してコスチュームを着用させてしまうことは禁止です。 『かわいい』というキーワードは、判断ができない認知症の状態の方への不適切な発言にも繋がりますので、必ず身につける前の判断と同意は忘れないよう注意してください。
また、忘年会でも仮装をしたいとなった際に、クリスマスとは異なりイメージを持ちやすいものが少ないかと思います。不適切と思われるコスチュームなどは避けるよう、上長にも確認をとって運営していきましょう。
■2.手作りの飾りつけ
■3.写真撮影
写真は思い出として残り、家族との会話のきっかけにもなります。居室に飾っていつでも見れるようにしてあげると日々の活力などに繋がります。
まとめ:丁寧に準備を行うことで、素敵な思い出作りになります!
職員の皆さんも一緒に楽しみながら、利用者さんにとって特別な時間を提供しましょう。
マニュアルは他のイベント等にも活用できますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
今年のクリスマスや忘年会が楽しみです!
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・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士