Aさん(60歳、男性)は、脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)のため、物をつかもうとすると手が震え、起立時や歩行時に身体がふらつき、ろれつが回らないため発語が不明瞭である。
次のうち、Aさんの現在の症状に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.運動麻痺(うんどうまひ)
2.運動失調
3.関節拘縮
4.筋萎縮
5.筋固縮
1.(×)運動麻痺は、筋肉を正しく動かすことができない状態であり、主に大脳の障害により出現します。
2.(○)運動失調は、運動に関与する筋肉の調節機能が失われ、身体をスムーズに動かすことが困難になった状態です。脊髄小脳変性症では、歩行時のふらつき、手の震え、口や舌がもつれて話しづらいなど、小脳の障害による運動失調をきたします。
3.(×)関節拘縮は、傷病などが原因で関節を動かす機会が減り、関節が硬くなって動きが制限されている状態です。
4.(×)筋萎縮は、筋線維が細くなって筋力が低下した状態です。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の主症状となります。
5.(×)筋固縮は、筋肉がこわばって力が抜けず、動作をスムーズに行うことが困難になった状態です。パーキンソン病の四大症状の一つとなります。
学習障害の特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.読む・書く・計算するなどの習得に困難がある。
2.注意力が欠如している。
3.じっとしているのが難しい。
4.脳の機能に障害はない。
5.親のしつけ方や愛情不足によるものである。
1.(○)学習障害(学習症)は、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するといった基礎的能力のうち、1つ以上の習得に困難が生じている状態です。
2.(×)注意力の欠如は、注意欠如多動症(ADHD)にみられる特徴の一つです。
3.(×)じっとしているのが難しいのは、注意欠如多動症にみられる特徴の一つです。
4.(×)原因は完全には解明されていませんが、脳機能の一部に障害があると考えられています。
5.(×)学習障害は発達障害の一種であり、脳機能の障害であるとされています。親のしつけ方や愛情不足などの環境要因は直接の原因とはなりません。
「障害者虐待防止法」における、障害者に対する著しい暴言が当てはまる障害者虐待の類型として、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
1.身体的虐待
2.放棄・放置
3.性的虐待
4.心理的虐待
5.経済的虐待
1.(×)身体的虐待には、たたく、殴る、蹴るなどの暴行や、正当な理由のない身体拘束などが該当します。
2.(×)放棄・放置(ネグレクト)には、食事を与えない、入浴させない、必要な医療やサービスを受けさせないなどの行為が該当します。
3.(×)性的虐待には、性的な行為の強要や、一方的にわいせつな言葉を聞かせたり、映像を見せたりすることなどが該当します。
4.(○)著しい暴言や拒絶的な対応により精神的苦痛を与えることは、心理的虐待に該当します。
5.(×)経済的虐待には、財産の不当な処分や、財産上の利益を不当に得ることなどが該当します。
Bさん(21歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)を発症し、継続した内服によって幻覚や妄想などの症状は改善しているが、意欲や自発性が低下して引きこもりがちである。現在、Bさんは、外来に通院しながら自宅で生活していて、就労を考えるようになってきた。
介護福祉職が就労に向けて支援するにあたり留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.あいまいな言葉で説明する。
2.代理で手続きを進める。
3.介護福祉職が正しいと考える支援を行う。
4.Bさんに意欲をもつように強く指示する。
5.Bさん自身が物事を決め、実行できるように関わる。
5.Bさん自身が物事を決め、実行できるように関わる。
1.(×)統合失調症では理解力や問題解決能力が低下することから、理解しやすい言葉や方法で説明します。
2.(×)Bさんができることや決められることは、できるだけ本人が手続きする方向で支援します。
3.(×)介護福祉職の意向を一方的に押し付けるのではなく、本人が意思決定できるよう情報提供などの支援を行います。
4.(×)意欲や自発性が低下しているのは統合失調症の陰性症状であり、強く指示することは不適切です。
5.(○)本人の自主性を尊重し、力を最大限に生かして自己決定できるよう関わります。
上田敏の障害受容のモデルにおける受容期の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.受傷直後である。
2.障害の状態を否認する。
3.リハビリテーションによって機能回復に取り組む。
4.障害のため何もできないと捉える。
5.障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になる。
5.障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になる。
1.(×)受傷直後は、ショック期となります。
2.(×)障害の状態を否認するのは、否認期です。
3.(×)リハビリテーションによって機能回復に取り組むのは、努力期です。
4.(×)障害のため何もできないと捉えるのは、混乱期です。
5.(○)受容期では、障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になります。障害に適応する最終段階であり、価値転換を行って残された機能の活用を模索するなど、人生を前向きに捉えるようになります。
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