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ささえるラボ編集部です。 福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします! 「マイナビ福祉・介護のシゴト」が運営しています。
しかし近年、少子高齢化に伴う介護ニーズの高まりを受けて、国は介護職の賃金をアップするために、さまざまな取り組みに力を入れています。介護職の給与は本当に上がっているのか、今後どうなっていくのかが気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、介護職の処遇改善の動きや、施設形態別、職種別、保有資格別の平均給与額など、最新の給与事情を徹底解説。さらに、介護職の給与が上がりにくいと言われている理由や収入をアップする方法についても紹介します。
・資格取得は収入アップにつながることが多い
・待遇などをみて他の施設に転職することも収入アップの選択肢になる
介護職の給与は今後どうなる?
近年の処遇改善の動きを確認したうえで、今後の見込みについても見ていきましょう。
■介護職の平均給与額は増加している
下のグラフは、近年の介護職の平均給与額と前年度からの増加額をまとめたものです。
出典:厚生労働省 平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果
出典:厚生労働省 令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果
出典:厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果
出典:厚生労働省 令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果をもとに作成。
なお、介護報酬は3年ごとに改定されます。その改定において加算制度や加算要件の見直しも行われます。2024年は医療・介護・障害福祉サービスという3つの報酬が同時に改定される、いわゆるトリプル改定が行われ、さまざまな加算項目、内容が変更され、介護職員が働きやすい環境へと変化することが期待されています。
以下ではそうした加算制度と介護職の平均給与額との関係を理解するために、介護業界の処遇改善を時系列で振り返っておきましょう。
■2012年に始まった「処遇改善加算」とは?
そこで政府は、2012年に、介護人材の確保や定着を目的に、「介護職員処遇改善加算」の運用を開始しました。この制度は、職員のスキルアップのために研修の機会を設ける、経験や資格などに応じて昇給する仕組みを整えるといったキャリアパス要件や職場環境の整備に関する要件を満たした事業所に、介護職員の待遇を改善するための加算金を支給するものです。
施設・事業所が受け取った加算金は、処遇改善手当てや基本給の昇給分として、職員の給与に追加して支払われます。対象は利用者の介護業務を行う介護職員とされていて、パートや派遣の職員も含まれます。
加算にはⅠ~Ⅲの3つの種類があり、どの加算を取得するかで、支給される加算金の額は異なります。なお、「介護職員処遇改善加算」がスタートしたときには、上記の3種のほか、「加算Ⅳ」と「加算Ⅴ」もありましたが、2023年4月以降は廃止されています。
職員に加算金を配分する方法や条件は事業所が自由に決められるため、実際に介護職が受け取る金額は事業所によってまちまちです。また、加算Ⅰ~Ⅲのなかでも加算金の額が高いものほど、事業所に多くの要件が求められます。
厚生労働省の調査によると、2022年12月31日時点で、介護施設・事業所のうち9割以上(94.5%)が、「介護職員処遇改善加算」Ⅰ~Ⅲのいずれかの届出をしています。特に特別養護老人ホーム(特養)は99.3%と、大多数の施設が加算を申請していることがわかっています。※
※出典:厚生労働省 令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果
■2019年にはベテラン介護職を対象とした「特定処遇改善加算」もスタート
加算金は、対象となる職員一人あたり月額平均8万円相当の賃上げができる額とされています。ただし、「処遇改善加算」と同様、基本的なルールに則していれば、対象となる職員の範囲や配分方法については事業所が柔軟に判断できます。そのため、職員が受け取ることができる手当ての金額は、事業所によって異なります。
■2022年には一人9,000円相当額の賃上げ施策を実施
同年10月以降は、「介護職員等ベースアップ等支援加算」として介護報酬に組み込まれ、介護職一人あたり月9,000円の賃金アップや手当てに相当する額が、要件を満たす事業所に加算金として支給されています。
ただし、事業所ごとに加算率が異なるうえに、職員への配分方法は施設・事業所に任されているため、実際に職員に配布された金額はまちまちでした。賃金アップの対象は介護職員ですが、事業所の判断しだいで他の職種に加算金を配布することも可能とされています。
■2024年2月からは一人6,000円相当額の支給がスタート
対象は基本的には福祉・介護職員ですが、事業所の判断によっては、交付金をほかの職種の処遇改善にあてることもできます。交付を受けるには、「介護職員等ベースアップ等支援加算を取得していること」をはじめとする複数の要件を満たす必要があります。
ほかの加算や補助金と同様、職員への配分方法などは事業所に委ねられているため、一律に6,000円が配られるわけではありません。補助金の換算方法や事業所の判断によっては、6,000円を下回ることもあります。
■2024年6月以降、処遇改善のための加算を1本化
新しくできる「介護職員等処遇改善加算」には、それぞれに要件と加算率が異なる加算Ⅰ~Ⅳの4種が設けられます。また、新加算Ⅰ~Ⅳに直ちには移行できない事業所のために、新加算Ⅴ(1~14)が、2025年3月まで設置される予定です。
要件には「キャリアパス要件」のほかに、「月額賃金改善要件」「職場環境等要件」があり、加算金を受け取るためには、加算の種類に応じて、これら3種の要件を満たす必要があります。賃金アップの対象は基本的には福祉・介護職員で、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することが望ましいとされていますが、事業所の判断で柔軟な配分が認められています。
■介護職の給与は今後も上がっていく見込み
加算制度や交付金の取得要件などの詳細や最新の動向については、厚生労働省ホームページ「介護職員の処遇改善」でご確認ください。
介護職の平均給与額
厚生労働省の調査によると、介護職の平均給与額と年収は下記の通りです。
常勤の介護職全員が正職員とは限らないため単純に比較はできませんが、常勤の介護職の平均年収387万600円と比べると、100万円以上の差があります。現状では、介護職の年収は、全業種のなかでは低いほうといえるでしょう。
とはいえ、一概に給与が低いというわけではありません。施設形態や職種、資格の有無などで平均給与も異なってくるのです。ここからは常勤で月給の人の平均給与額を様々な視点で見ていきましょう。
出典:国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
■施設のサービス形態別平均給与額/入居型施設が高い傾向
介護施設・事業所には、入居型の特別養護老人ホームをはじめ、訪問介護事業所、通所介護事業所(デイサービス)など、さまざまなサービス形態があります。施設のサービス形態別の平均給与額についても見てみましょう。
なかでも、最も給与額が高いのが特別養護老人ホーム(特養)です。一般的に、特別養護老人ホーム(特養)は利用者の要介護度が高く、介護職の身体的負担が大きいため、給与額が高めに設定されています。
■資格別の平均給与額/資格ありとなしでは約5万円の差
資格がなくても介護職として働くことはできますが、スキルアップのために介護職員初任者研修(以下、初任者研修)をはじめとする資格を取る人も少なくありません。
保有資格の有無や資格の種類別の平均給与額を紹介します。
介護職にとっては、介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)、介護福祉士という順序で資格を取得していくのが、王道のキャリアアップのルートといわれています。 保有資格なしの人に比べると、初任者研修や実務者研修を保有している人は平均給与額が約3万円高く、介護福祉士だと約6万円高くなります。
ちなみに社会福祉士の資格保有者は約8万円、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格保有者は10万円以上、保有なしの人より平均給与額が高くなっています。
■介護業界における職種別の平均給与額/介護職員はキャリアのスタート
介護業界には、現場で介護業務にあたる介護職のほかにも、さまざまな職種があります。ここでは、職種別の平均給与額を紹介します。
平均給与額が高い看護職員は、介護職員と比べると6万円以上の差があり、次に高い介護支援専門員(ケアマネジャー)は5万円以上の差があります。
介護職員も専門性が高い職種ではあるものの、看護職員やケアマネジャーに比べると平均給与額が低くなる傾向があるようです。
これは介護職員は、未経験から始められる職種であり、働きながら資格取得を目指せる職種のため、介護業界のキャリアのスタートラインになりやすいため平均給与がほかの職種よりも下がってしまう傾向があるとも推測できます。
■勤続年数別の平均給与額/勤続年数に応じて上昇
一般企業では勤続年数に応じて給与も上がりやすい傾向があります。介護業界ではどのようになっているのでしょうか。
入職後の勤続年数によって平均給与額がどのように変わっていくか見てみましょう。
その後も5年ごとに約2万円ずつ上がっているのがわかります。また、勤続1年目と20年以上では、約9万円の差があります。
さらに、厚生労働省の令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果より、年齢別の給与額を見ても、20代と比較し、経験を積んだ40~49歳が最も給与額が高いことがわかります。
50代、60代になると平均給与額が下がる傾向がありますが、これは加齢とともに体力が低下し、夜勤時間を減らしていることによる夜勤手当の減少が影響しているでしょう。※
出典:厚生労働省 令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果
■介護従事者の平均賞与額
職種別にみてみると以下の通りです。
介護業界における職種別の平均給与額のパートでも伝えましたが、介護職員はキャリアのスタートの方の割合が多く、訪問介護職員の方は非正規雇用者の方も多いため、平均賞与額がほかの職種よりも下がるのではと予測ができます。※
いずれにしても、賞与は各施設・事業所の業績にも左右されますので、務めている事業所で賞与をあげるためにご自身がすべきことを考えてみるのがよいでしょう。
出典:厚生労働省 介護労働の現状について
■都道府県別平均給与額
給与アップを目指して事業所を探す際、遠方を探すことは少ないと思いますが、近隣都道府県の求人も見てみるとよいのではないでしょうか。
介護職の給与が低いと言われる理由
主な理由を解説します。
1.介護報酬に上限があるから
2.人件費の割合が大きいから
3.専門性が低い仕事という誤解があるから
4.給与が低くても働き手がいるから
5.非正規雇用の従業員が多いから
6.介護法人の内部留保が多いから
■1.介護報酬に上限があるから
介護報酬の金額は、そもそも低く設定されているうえ、介護保険制度によってサービスの種類ごとに上限が定められていて、事業者が自由に値上げすることはできません。
こうした構造上の理由で、介護サービス事業には、どんなにサービスの質を高めても利益につながりにくいという特徴があります。
つまり、多くの介護施設・事業所には、給与を上げるための財源がないために、職員に高い給料を支払えないケースが多いのです。ただ、前出の通り、近年は政府が加算制度や交付金によって介護職の処遇改善を支援しているため、加算金や交付金を取得することで賃金アップが可能になった施設・事業所もあります。
■2.人件費の割合が大きいから
安易に職員の数を減らせば労働環境の悪化やサービスの質の低下を招くおそれがあるうえ、介護保険法によって人員配置基準が決められているため、人件費を抑えることは簡単ではありません。
人件費に経営を圧迫されて、多くの介護施設・事業所が赤字に苦しんでいます。赤字に苦しむ施設・事業所では、職員の給与を上げたくてもなかなか上げられないのが現実です。
■3.専門性が低い仕事という誤解があるから
しかし、介護サービスが普及する前の日本では、長年、高齢者の介護は家族がするものと考えられてきました。そうした経緯も影響して、介護職は誰でもできる仕事とみなされやすく、専門職というイメージが定着していないことが、給与額が上がりにくい原因の一つです。
また、訪問介護事業所以外の介護施設では、未経験、無資格の人でも、資格を持つ職員の指導を受けながら介護業務を行うことができます。そのため、看護師やケアマネジャーといった資格がないと業務を行うことができない職種に比べると、最初の介護職の給与額は低めに設定される傾向があります。
看護師などの資格に比べると、介護職向けの国家資格である介護福祉士の資格は、人材不足の影響もあり比較的取りやすく設定されています。さらに、介護の資格には、初任者研修や実務者研修も用意されていて、介護福祉士を取得しなくても介護の質を一定担保できる資格を取得しやすいことも、介護職が専門性の高い仕事とみなされにくい一因かもしれません。
■4.給与が低くても働き手がいるから
採用難に悩む施設・事業所は多いものの、給与が低めでも、「自分は未経験だからこれくらいの給与額が妥当だ」と考えて求人募集に応募する人は、一定数は存在します。そのため、なかなか給与が上がらないという一面もあるでしょう。
■5.非正規雇用の従業員が多いから
また、正規職員の場合、昇進や昇給の仕組みが整っているため、勤続年数が長くなれば給与が上がっていくのが一般的です。一方の非正規職員は昇給の機会が少なく、長く働いていてもなかなか給与が上がりません。この印象から低いと捉える人も多いのでしょう。
■6.介護法人の内部留保が多いから
内部留保が多いほど融資を受けやすいといったメリットもあり、長く安定的に経営を続けていくためにはある程度の内部留保が必要とされています。
しかし、一部の社会福祉法人では、この内部留保が多すぎるのではないかと指摘されています。こうした法人が内部留保を溜め込みすぎて職員の給与に還元しないことが、給与が低くなる一因となっている可能性もあります。
介護職が収入をアップする方法
ここからは、そんな介護職のために、現状より給与をアップする方法を解説します。
1.資格を取得する
2.介護リーダー・主任に昇進する
3.サービス提供責任者になる(訪問介護事業所の場合)
4.施設長になる
5.生活相談員・支援相談員になる
6.ケアマネージャーになる
7.より給与の高い施設・事業所に転職する
8.同じ施設・事業所に長く勤める
9.夜勤を増やす
■1.資格を取得する
多くの施設・事業所では、資格を取得した職員に、資格の種類に応じて資格手当てを支給しているため資格取得をすることで資格手当を得られる可能性があります。
特に介護の上位資格である介護福祉士を取得すれば、給与額が大幅にアップする可能性があります。介護職として働き続ける場合、資格を取る時期が早いほど、生涯年収も高くなります。
職員への福利厚生として、資格取得にかかる費用の全額または一部を支給する支援制度を用意している施設・事業所も少なくありません。職場にそうした資格取得支援制度がある場合は、積極的に活用しましょう。
■2.介護リーダー・主任に昇進する
介護リーダー・主任は、介護現場のまとめ役として現場の業務を管理し、チーム内の介護職のフォローや教育・指導、他職種との連絡・調整などを担います。
昇進すると、業務や責任が増す分、役職手当てがついたり賞与の額が増えたりして、給与額がアップするのが一般的です。ただし、施設・事業所によっては介護リーダーや主任になっても役職手当てがつかない場合もあるので、職場の規定を確認しましょう。
介護リーダーや主任になるために必要な条件や資格は施設・事業所によって異なりますが、ある程度以上の介護業務の経験のある、有資格者が役職につくケースが多いようです。厚生労働省の福祉人材確保専門委員会は、チームリーダーには、介護福祉士としての業務経験が5年以上ある人が適しているとしています。※
したがってリーダー職・主任を目指すなら、介護福祉士の資格を取ることを視野に入れてキャリアプランを立てるとよいでしょう。
出典:厚生労働省 介護人材の機能とキャリアパスの実現に向けて
■3.サービス提供責任者になる(訪問介護事業所の場合)
サービス管理責任者は、訪問介護計画の作成のほか、事業所で働くホームヘルパーの管理、育成・指導などの業務を行います。訪問介護事業所で働いている場合、ホームヘルパーからサービス提供責任者になることで給与がアップする可能性があります。サービス提供責任者になるには、実務者研修以上の資格が求められます。
■4.施設長になる
施設・事業所によっては、施設長(管理者)のほか、所長、ホーム長と呼ばれることもあります。施設長(管理者)は、収支・運営の管理、利用者や職員の管理や教育のほか、小規模な施設では採用活動を行う場合もあります。
これまで勤めてきた施設・事業所の施設長になる場合、介護職として現場経験を重ね、リーダーや主任を経て施設長に抜擢されるのが一般的です。施設長(管理者)候補を募集している施設・事業所も少なくないため、ほかの施設・事業所に転職して施設長(管理者)になる道もあります。
施設長(管理者)になるための要件は、施設・事業所のサービス形態によって異なります。たとえば特別養護老人ホーム(特養)の施設長には、介護保険法によって、社会福祉主事任用資格を取得すること、社会福祉事業に2年以上従事した経験があることなどが、要件として定められています。
有料老人ホームや通所介護施設(デイサービス)、訪問介護事業所の施設長(管理者)になる場合、法律で定められた要件はありませんが、ある程度以上の現場経験や介護福祉士の資格が求められることが多いようです。
■5.生活相談員・支援相談員になる
生活相談員とは、特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホーム、通所介護施設(デイサービス)といった介護施設において窓口業務を担う存在で、利用者やその家族からの相談に対応し、入・退所の手続き、ケアマネジャーや関係機関、他職種との連絡・調整などを行います。
一方の支援相談員は、介護老人保健施設(老健)において窓口業務や相談業務を担当する職員のことです。
生活相談員・支援相談員になるには、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のうち、いずれかの資格が求められます。
ただし、自治体によっては、これらの資格がなくても、一定以上の実務経験があることなどを条件に、生活相談員・支援相談員につくことを認めている場合もあります。
■6.ケアマネジャーになる
したがってケアマネジャーへのキャリアチェンジは、大きな収入アップにつながる選択肢といえます。
ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所に勤務し、自宅で介護を受けながら暮らす要介護者のために働く「居宅ケアマネ」と、介護施設に勤務し、施設の利用者のために働く「施設ケアマネ」の2つに大きく分けられます。
居宅ケアマネは、要介護者やその家族からの相談に応じながら、要介護者が適切な介護サービスを受けられるようにケアプランを作成し、介護サービス事業者(施設・事業所)との橋渡し役を担います。一方、施設ケアマネの主な仕事は、面談などを通して利用者の心身の状態や課題を把握し、適切な介護サービスを提供できるようにケアプランを作成することです。
ケアマネジャーになるには、まず看護師や介護福祉士、社会福祉士といった国家資格に基づく業務、または生活相談員や支援相談員としての相談対応業務に5年以上従事する必要があります。そのうえで、ケアマネジャー(介護支援専門員)の試験に合格し、実務研修を修了して、資格を得なければなりません。
■7.より給与の高い施設・事業所に転職する
「施設形態別の平均給与額」を見てもわかる通り、介護施設・事業所のなかでは、要介護度の高い利用者が多く入居する特別養護老人ホーム(特養)の平均給与がもっとも高額です。その分、身体的な負担が大きく、夜勤もありますが、収入がアップするほか、チーム介護を学べる、介護スキルが高まりやすいなどのメリットもあります。
通所介護施設(デイサービス)や訪問介護事業所で働いている人は、特別養護老人ホーム(特養)への転職を検討するのもよいでしょう。そのほか、同じサービス形態でも、手当てが充実している、人事評価制度が整っていて昇給しやすい、賞与が多いなど、より条件の良い施設・事業所を選んで転職するのも一つの方法です。
■8.同じ施設・事業所に長く勤める
同じ施設・事業所に勤め続けていれば、10年後、20年後には満足できる給与額になっているかもしれません。ただし、施設・事業所によっては、勤続年数を重ねてもそれほど昇給しない場合もあるので、まずは職場の給与体系や昇給の仕組みを調べてみましょう。
将来、昇給する可能性が十分にあり、資格手当てがつく職場であれば、勤続年数を重ねながらより上位の資格を取得していけば、少しずつ給与を上げていくことができるでしょう。
■9.夜勤を増やす
施設・事業所によって夜勤手当ての金額には差がありますが、日本医療労働組合連合会の調査によると、正規職員の介護職の2交替夜勤の平均手当て額は、6,365円です。※
夜勤には昼夜逆転して睡眠のリズムが崩れやすい、育児と両立しにくいなどのデメリットも多く、体質やライフスタイルによって向き・不向きがあります。しかし夜勤が苦にならない場合、夜勤の回数を増やすだけで、数千円から数万円の月収アップにつながるでしょう。
また、日勤もしながら夜勤を増やす以外に、夜勤専門に働く「夜勤専従」という働き方を選ぶという方法もあります。夜勤専従の働き方には、夜勤手当てや深夜割り増し料金で給与額が高くなるほかに、勤務日数が少なく休日が多いというメリットもあります。
出典:日本医療労働組合連合会 2023年介護施設夜勤実態調査結果
まとめ:収入アップを目指す介護職は、資格取得や転職の検討を
しかし近年、国は介護人材確保のために、加算制度や補助金といった処遇改善のための施策を推進しており、介護職の平均給与額は上がりつつあります。今後はさらに改善されていくでしょう。
こうした国が支給する加算金や補助金は、職員への配分方法が施設・事業所の判断に委ねられているため、職場によっては期待通りのペースで給与が上がらないこともあるかもしれません。しかし、加算金や補助金による賃上げのほかに、自分自身の努力やアクションで収入をアップする方法もあります。
給与を上げたい介護職は、まずは初任者研修、実務者研修、介護福祉士といった資格の取得を目指すのがおすすめです。すでに介護福祉士の資格を持っていて、十分な経験やスキルがある人は、介護リーダーや主任、施設長などへの昇進を目指すか、介護職よりも平均給与額が高いケアマネジャーなどの他職種につくことを検討するのもよいでしょう。
介護職として現場で働き続けながら収入を上げたい場合は、より条件の良い施設に転職するのも選択肢の一つです。
マイナビ福祉・介護のシゴトでは、給与や勤務時間などの詳細条件からの検索も可能です。より自分に合う、納得できる条件の職場を探してみましょう。
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