サービス管理責任者とは
この記事では、サービス管理責任者の仕事内容や、必要な資格、給与事情やキャリアパスなどを紹介します。サービス管理責任者について確認し、自身のキャリアパスの参考にしてください。
サービス管理責任者の仕事内容
2.サービス担当者会議の開催
3.関係機関との連携
4.職員の指導・育成
5.苦情解決
■1.個別支援計画の作成とモニタリング
また、計画を作成して終わりではありません。作成した計画が適切に実行されているか、定期的に確認を行います。必要に応じて計画を見直し、改善点を反映させます。
■2.サービス担当者会議の開催
さらに、会議の進行を行うこともあります。利用者さんの支援に関わるスタッフや関係機関の担当者と共に、現状の課題や今後の支援方針について話し合います。利用者さんの意見なども積極的に取り入れるよう意識し、ケアの質を高めます。
■3.関係機関との連携
また、情報を共有したうえで、関係機関と協力し、利用者さんが必要とするサービスを円滑に提供できる連携体制も整えます。
■4.職員の指導・育成
また、研修だけでなく日常的な指導も行います。具体的には、職員が業務を遂行する中で直面する課題に対するアドバイスやサポートなどです。職員の成長を促すことで、施設・事業所全体のサービスの質向上に繋がります。
■5.苦情解決
苦情の内容に応じて、適切な対応策を検討し、迅速に解決に向けて対応します。また、対応後も、問題が解決したかどうかを確認し、再発防止策を検討します。
サービス管理責任者はこれらの業務を通じて、利用者さんが安心して過ごすことができる環境づくりや、質の高いケアの提供を行っています。
サービス管理責任者が働く場所
サービス形態によって、先述した仕事内容は共通ですが、その他に実施する業務の内容が少し異なります。詳しく見ていきましょう。
まず、サービス管理責任者の配置基準が定められている障害者福祉サービスは以下の通りです。
・療養介護、生活介護
・就労移行支援、就労継続支援(A型)、就労継続支援(B型)
■自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、共同生活援助(グループホーム)
共同生活援助(グループホーム)に関しては障害のある利用者が共同生活を送る施設において、夜間や休日に入浴や排泄や相談などの支援を行うサービスです。
これらのサービスにおいて、サービス管理責任者は利用者さんが自立した生活を送ることができるよう支援を行っています。
■療養介護、生活介護
療養介護は、病院に入院中の障害がある方を対象に、機能訓練や身体介護を行います。また、生活介護では、支援施設に入所中の方に対して、生活援助や身体介護を提供します。
■就労移行支援、就労継続支援(A型)、就労継続支援(B型)
就労移行支援施設とは、一般企業での就労を目指す利用者さんに対して職業訓練やアドバイスを行う施設のことです。一方で、就労継続支援A型・B型は、一般企業での就労が困難な障害のある方に対して継続的な職業訓練や支援を提供する施設です。
これらの施設において、サービス管理責任者はこの計画作成やサポートを行っています。
サービス管理責任者になるには
資格の概要としては、実務経験と基礎研修、実践研究を修了することで資格を有することができます。以下でそれぞれの詳細を紹介します。
各自治体ごとに実施要項や対象の業務範囲等が掲載されています。以下で紹介するのはあくまで一例ですので、受講の際は必ず受講予定の自治体のホームページをご確認ください。
※参考:兵庫県 サービス管理責任者の資格要件

■実務経験要件
2.直接支援業務の期間が通算して8年以上
3.国家資格の期間が通算して3年以上かつ1もしくは2の実務経験3年以上
●相談支援業務と直接支援業務の定義
障害がある方やその家族に対して、生活全般に関する相談を受け、適切な支援を提供する業務
※主な実施場所:障害福祉施設・保険医療機関・就労支援施設・学校など
障害がある方に対して、介護業務や、就業支援、職業教育など日常生活の支援を直接行う業務
※主な実施場所:障害福祉施設・特別支援学校・就業支援事業所など
●1.相談支援業務及び直接支援業務の期間が通算して5年以上
具体的な業務内容としては、以下のア~オに当てはまる経験が必要です。
(障害児相談支援事業・身体(知的)障害者相談支援事業・地域生活支援事業・児童相談所・身体(知的)障害者更生相談所・発達障害者支援センター・福祉事務所・保健所・市町村役場・障害児入所施設・障害者支援施設・老人福祉施設・精神保健福祉センター・救護及び更生施設・介護老人保健施設・地域包括支援センター)
イ.保健医療機関における相談支援業務
(社会福祉主事任用資格保有者・介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)相当の研修修了者・国家資格(※以下記載)保有者・ア・ウ・エのいずれかに従事した経験が1年以上の者)
ウ.就労支援に関する相談支援業務
(障害者職業センター・障害者雇用支援センター・障害者就業・生活支援センター)
エ.進路相談・教育相談の業務
(盲学校・聾学校・特別支援学校)
オ.その他これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務
●2.直接支援業務の期間が通算して8年以上
具体的な業務内容としては、以下のア~エに当てはまる経験が必要です。
(障害児入所施設・障害者支援施設・老人福祉施設・介護老人保健施設・医療法に規定する療養病床・障害児通所支援事業・障害福祉サービス事業・老人居宅介護等事業・保健医療機関・保険薬局・訪問看護事業所)
イ.就業支援に関する業務
(特例子会社・重度障害者多数雇用事業所)
ウ.職業教育に関する業務
(盲学校・聾学校・特別支援学校)
エ.その他これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務
(市町から補助金又は委託により運営されている地域活動支援センター及び小規模作業所)
※以下の資格を持つ人は5年以上の実務経験でOK
・相談支援の業務に関する基礎的な研修を修了する等により相談支援の業務を行うために必要 な知識及び技術を修得したものと認められるもの(ホームヘルパー2級以上に相当する研修を修了 した者)
・児童指導員任用資格者
・保育士(上記「2.直接支援業務の期間が通算して8年以上」に該当しない保育所に勤務した期間は、実務経験として日数算入不可)
・精神障害者社会復帰施設指導員任用資格者
●3.国家資格の期間が通算して3年以上かつ1もしくは2の実務経験3年以上
※対象の国家資格
■研修修了要件
以下で、研修について紹介していきます。
●基礎研修
受講のタイミングは、先述した実務要件が完了する2年前から受講可能で、この研修を修了すると、「既にサービス管理責任者等が1名配置されている場合は、2人目のサービス管理責任者等としては配置可能」「 個別支援計画原案の作成が可能」の2点が認められています。
※参照:厚生労働省 サービス管理責任者等研修制度について
●OJT(実務経験)
しかし、昨今の人材不足等を加味し、基礎研修受講時に実務経験要件(3~8年)を満たしている方については、届け出をしたうえで例外的に「6月以上」のOJTで次の研修を受けることが可能です。
※参考:東京都福祉局 サービス管理責任者等に関する告示の改正について
●実践研修
この研修も修了すると、サービス管理責任者として配置・就業が可能です。また、やむを得ない事由によりサービス管理責任者等が欠けた場合は、上記で紹介した流れ以外に、例外の対応があります。以下で詳細を確認しましょう。
※やむを得ない事由によりサービス管理責任者等が欠けた場合の措置
このような状況においては、以下の措置が認められています。
(この要件のみ満たしている場合は、欠如時から1年間サービス管理責任者として従事可)
2.サービス管理責任者等が欠如した時点で既に基礎研修を修了済みであること
3.サービス管理責任者等が欠如する以前から当該事業所に配置されていること
(1・2・3のいずれも満たしている場合は、欠如時から最長2年間サービス管理責任者として従事可)
※参考:東京都福祉局 サービス管理責任者等に関する告示の改正について
サービス管理責任者の平均給与は?
■サービス管理責任者の平均給与(常勤・処遇改善あり)

厚生労働省の調査によると、サービス管理責任者の平均給与は常勤・処遇改善ありの場合で38万7,970円で、他の障害福祉サービス職と比較をしても高い水準となっています。
■サービス管理責任者の平均時給(非常勤・処遇改善あり)

これらの背景には、もちろんその責任の重さなども関係していますが、社会的ニーズの高まりに対して、資格取得までの道のりが長いことなどから人材が不足していることも要因に挙げられます。
令和5年にも改正がありましたが、今後もサービス管理責任者の資格取得要件の見直しなども求められるでしょう。
サービス管理責任者のキャリアパス
サービス管理責任者はその経験を活かして多様なキャリアの選択肢があります。
2.他の福祉関連職種への転職
3.独立・起業
4.専門分野のスペシャリスト
5.教育・研修の講師
6.行政機関での勤務
■1.施設管理者
施設管理者は、施設の経営や運営方針の策定、スタッフの採用・管理、予算の管理など、幅広い業務を担当します。サービス管理責任者以上に広い視野を持つことが大切です。
■2.他の福祉関連職種への転職
例えば、相談支援専門員やケアマネジャー、福祉用具専門相談員など、さまざまな職種があります。これによって、福祉分野でのキャリアの幅を広げることができるでしょう。
■3.独立・起業
ただし、開業には資金の調達や経営者としての視点などサービス管理責任者としての経験のみでは補いきれないスキルなども求められますので、しっかりと準備をする必要があります。
■4.専門分野のスペシャリスト
例えば、発達障害や精神障害に特化した支援を行う専門家としての道があります。専門知識を深めることで、より質の高い支援を提供することができるようになるでしょう。
■5.教育・研修の講師
新たなサービス管理責任者を育成するための研修や講義を担当し、次世代の福祉専門職を育てる役割を果たすことは、社会的なニーズに対する貢献へと繋がるでしょう。
■6.行政機関での勤務
行政機関では、福祉政策の立案や実施、福祉サービスの監督・評価などを行います。これにより、現場とはまた異なる視点で、福祉サービスの質の向上に貢献することができます。
サービス管理責任者のやりがい
2.自分の支援方法を実践できる
3.地域福祉への貢献
■1.利用者さんのよい変化を見守る喜び
特に、長期間にわたって支援を続けることで、利用者さんが少しずつでも前に進んでいくような変化を実感できることはサービス管理責任者としての大きなやりがいを感じる瞬間です。
■2.自分の支援方法を実践できる
また、この支援によって利用者さんが自立する姿を見ることで、利用者さんにとって最適な支援を提供できていると感じることができます。
■3.地域福祉への貢献
地域の自立支援協議会や福祉関連の会合に参加し、地域全体の福祉向上に貢献します。これにより、地域社会における自分の役割を実感でき、仕事においてもやりがいを感じられるでしょう。
サービス管理責任者の大変なところ
2.責任の重さ
3.人間関係の調整の難しさ
■1.業務量が多い
さらに、計画のモニタリングや見直しなども定期的に行う必要があり、複数の利用者さんを担当する場合、業務量が多いと感じている方も少なくありません。
■2.責任の重さ
そのため、関係者からのクレーム対応や、職員のミスによる責任を負うこともあります。多方面に気を配りながら業務を行う必要があり、プレッシャーや責任を感じることが多くあります。
■3.人間関係の調整の難しさ
しかし、多くの人と関わっていると相性の問題や意見の対立は避けることができない場合もあります。このような側面から人間関係の調整を大変と感じることもあるでしょう。
これらのようにサービス管理責任者の仕事には大きなやりがいもあれば、その分大変なことも伴います。業務内容がしんどい、きついと感じないためにも、チームでの連携体制の構築やストレスマネジメント方法などを事前に用意しておけるとよいでしょう。
サービス管理責任者に向いている人
では、これらを踏まえたうえでサービス管理責任者にはどのような人が向いているのでしょうか。その特徴を見ていきましょう。
2.コミュニケーション能力が高い
3.向上心がある
4.協力関係を築くことができる
5.柔軟な対応力を持っている
■1.責任感が強い
■2.コミュニケーション能力が高い
相手の立場や状況を理解し、共感しながらコミュニケーションを図ることで、信頼関係を築くことができる人が向いています。
■3.向上心がある
そのため、常に学び続け、より良い支援を提供するための努力を惜しまない人が向いています。
■4.協力関係を築くことができる
円滑な連携を図るためには、それぞれの機関の役割や特徴を理解し、適切な情報共有や調整を行う能力が求められます。
■5.柔軟な対応力を持っている
また、多様な価値観や考え方を理解し、受け入れることができることも大切です。
サービス管理責任者の将来性と課題
一方で、人材不足や研修体制の地域格差、業務量の負担など課題も山積みです。福祉業界において人材を確保するためには、給与のアップなどはもちろんですが、ICT化の進行や業務の見直し、研修体制の再構築などといった内面的な変化も重要です。
まとめ:サービス管理責任者の魅力と挑戦
また、キャリアパスも多様で、さまざまな道に挑戦することができます。今後も、福祉サービスの需要が増加する中で、ますます重要な役割を果たすことが期待されています。興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。
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