本日のお悩み:介護職の資格手当はどのくらいが相場ですか?
知り合いの勤務先では、介護福祉士が20,000円とのこと。施設形態や法人によって違いはあるとは思いますがどのくらいもらえるのが一般的なのでしょうか。
■執筆者/専門家(社労士)

おかげさま社労士事務所 代表 元地域包括支援センター センター長 社会保険労務士、社会福祉士・主任介護支援専門員・介護福祉経営士1級・ ファイナンシャルプランナー2級(AFP)・簿記3級 ▶プロフィール 大学(福祉学)卒業後、大手教育会社を経て、介護業界へ転身。 介護業界に関わる人の優しさに触れると共に、低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため社会保険労務士の資格を取得し、2021年に開業。 地域包括支援センターでセンター長として長年勤務した経験を活かして、介護現場の最前線で活躍する事業所と人をサポートしている。 また、介護関連の執筆・監修者としての活動や介護事業書向けの採用・定着・育成・組織マネジメントなど、介護経営コンサルタントとしても幅広く活動中。
介護職の皆さんにとって月々支給される給与は、働くうえで重要な要素かもしれませんね。 その中でも資格手当は働くモチベーションの具体的な指標ひとつといえるでしょう。
今回は質問にお答えしながらも、一般的な手当の話を通じてどのように給与が決められているのかについても解説できればと思います。
介護職の資格手当の相場と平均額
では、その資格手当の金額はどのくらいが相場なのでしょうか、また平均額についても確認していきましょう。介護福祉士だけでなく、初任者研修や実務者研修など他の資格もあわせて紹介します。
※参照:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター介護福祉士就労状況調査実施結果報告書
■介護職の資格手当の相場
研修・資格 | 手当の相場 |
介護職員初任者研修 | 0円~5,000円 |
介護福祉士実務者研修 | 5,000円~10,000円 |
介護福祉士 | 10,000円~20,000円 |
ケアマネジャー | 10,000円~20,000円 |
■介護職の資格手当の平均額
ここでの相場は、ざっくりどのくらい資格手当をもらえているかを表す数値で、平均額は実際のデータをもとに計算した平均の金額を指します。
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給与や手当は法人が決める以上、金額に差があるのは自然なことかもしれません。ただ、ここでお伝えしたいのは、資格手当に限らず、法人が支給する給与については、以下のようなポイントを確認しておくことが大切です。
・どのように昇給していくのか?
・何年くらい働くといくらもらえるようになるのか?
これらのことを確認しておけると、安心して働くことができると思います。 また、資格手当が高くても昇給制度がない法人もあれば、賞与支給の有無も法人によって異なります。
年収ベースで考えたときに入職から1年目、5年目、10年目の状況をイメージできると、自身のライフプランやキャリアプランに合った法人を見つけることができるでしょう。
介護職の資格手当以外の一般的な手当とは?
賞与を支給する法人では基本給が低くなる傾向があります。そのため手当を乗せる賃金体系の法人が多く、特に資格手当が支給されていなくても、処遇改善加算が資格手当を兼ねている場合も少なくありません。
そのため、「資格手当が少ないから、資格手当が多い法人への転職を検討する」のは慎重になった方がよいかもしれません。下記に一般的な手当の例をご紹介します。
※詳細は法人で定められている就業規則(賃金規程)をご確認ください。
■通勤手当
支給は義務ではないため、法人によって支給の有無が異なったり、上限額が設定されていたりする場合もあります。従業員の負担軽減と通勤の継続を支援する目的で支給されているため、月15万円までは非課税です。
■住宅手当
家賃の一部を会社が負担する形で支給されることが多く、支給条件や金額は企業によって異なり、持ち家か賃貸かによっても変わることがあります。社宅という形で、企業が所有する物件を貸し出す場合もあります。
■家族手当(扶養手当)
扶養人数に応じて金額が変動することが多く、生活費の補助としての役割があります。企業によっては「扶養手当」と呼ばれることもあり、少子化対策や従業員の家庭支援の一環として導入されています。
■時間外・休日手当
労働基準法に基づき、時間外労働や夜間労働には通常賃金の25%以上、休日労働には35%以上の割増率が適用されます。従業員の労働に対する正当な対価として支払われる手当です。
■役職手当
役職に伴う責任や業務量の増加を考慮して支給されます。金額は役職の階級や企業規模によって異なり、昇進に伴って増額されることが一般的です。
■資格手当
介護職では、先述した通り初任者研修や実務者研修、介護福祉士など、職務に必要な専門資格が対象となることが多いです。資格の種類や難易度によって金額が異なり、専門性の高い業務への貢献を評価する目的で支給されます。施設によって毎月の給与に上乗せされる場合と、取得した月に臨時ボーナスとして支給する場合など支給方法が異なります。
■処遇改善加算手当
介護職員の賃金向上や人材定着を図るために導入されており、事業所の加算取得状況に応じて支給額が変わり、支給方法も各事業所が決めることができます。
■職能手当
同じ職種でも、業務の質や成果、スキルレベルに応じて金額が設定されることがあり、能力評価の一環として活用されます。職能手当は、成果主義や能力主義を取り入れた企業で導入されることが多く、モチベーション向上や介護の質向上にもつながります。
介護福祉士の資格を取得するとどれくらい給与が上がるのか?
では、実際の月給を見たときに、介護で唯一の国家資格である介護福祉士を取得すると、どのくらい給与が上がるのか確認していきましょう。

これを12か月分(1年分)で考えると、71万3,160円の差となるため、介護福祉士の資格を取得することは給与アップに繋がる可能性が高いということができるでしょう。
給与体系とは?どんな体系が多い?
これまでお話をしてきたように、給与体系は基本給をベースに手当を上乗せする給与体系の会社が多いです。しかし、詳細は法人や事業所によってさまざまで、一例として以下のようなものがあります。
・能力評価に応じた成果給を導入する法人
・職務や役割に応じて昇給する仕組みをとる法人
さまざまな給与体系があるため、入職前に必ず確認をし、自分が一番長く安心して働くことができる給与体系を選択されることをお勧めいたします。
最後に:短期的な支給額ではなく、長期的な視点で職場を見ましょう!
給与は職員のモチベーションや法人との信頼関係に関わる重要な要素です。資格手当は、努力して取得した資格を金銭で評価するもので、金額が気になるのも自然なことです。
ただし、資格手当は数ある手当の一つにすぎません。短期的な給与額だけでなく、福利厚生や賞与、退職金なども含めた長期的な視点で給与を捉えることが大切です。給与や手当はもちろん重要ですが、「働きやすさ」や「働きがい」といった職場の雰囲気や評価のされ方も、モチベーションに大きく影響します。
広い視点で法人を見ることで、不安や不満がやりがいに変わることもあるでしょう。
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