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年末年始、介護施設から自宅へ一時帰宅|施設に戻りたくない利用者さんへの対応方法を専門家が解説!

年末年始、介護施設から自宅へ一時帰宅|施設に戻りたくない利用者さんへの対応方法を専門家が解説!

年末年始が近づくと、介護施設から自宅へ一時帰宅をし、家族や親戚と年越しを楽しむ利用者さんも多いのではないでしょうか。自宅での時間が充実すると、施設に戻ってくることを拒む利用者さんもいらっしゃいます。この記事では、そのような利用者さんに対する対応方法を専門家が解説します!【執筆者/専門家:羽吹 さゆり】


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本日のお悩み:年末年始に一時帰宅する利用者さんへのケア方法を知りたい!

年末年始など長期休暇のタイミングで一時帰宅をする利用者さんがいます。
一時帰宅は、利用者さんのリフレッシュとなり活力に繋がる場合がほとんどです。一方で、少数ですが、一時帰宅をすると「施設に帰りたくない」と仰る利用者さんもいます。

もちろん日ごろの過ごしやすさをより意識することなども大切だと思うのですが、一時帰宅前にまた帰ってきたくなるような声かけなどができたらよいのかな…とも考えています。

一時帰宅前後で利用者さんに安心してもらえる声かけのポイントなどがあれば教えてください。

ご入居者様視点で、自宅で過ごしたい理由を考えることから始めましょう!

執筆者/専門家

羽吹 さゆり

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/7

・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表 ・アモールファティスクール⻑ 介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員 介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤ 理論と経験に基づく「優しく丁寧に美しい介護」を理念に実践的な介護技術研修/コミュニケーション研修及び介護離職防止の為一般企業様向けに「介護セミナー」を実施しています。

お盆や年末年始をご家族様とお過ごしになる方々も年々増えているように感じます。ご家族様にとっても、施設とご自宅を上手に併用しながら、親子の絆を深め合う貴重な機会となっているのではないでしょうか。

また、毎日一緒に過ごせないからこそ、日頃関われない親へ特別なサービスをしたいというご家族の気持ちから、ご入居者様にとってはかけがえのない楽しい時間になっていることもあるようです。

ご家族様と有意義な時間を過ごし、活力を得て帰設される方がいる一方で、「このまま家にいたい」と感じる方がいるのはある意味当然のことかも知れません。
そこで、改めて考えていきたいことは、「このまま家で過ごしたい」というご入居者様の気持ちの理由について、ご入居者様目線で模索することです。

施設に戻りたくない理由の一例

施設に戻りたくない利用者様に多い理由は、以下のようなものがあります。

1.家族同様に信頼がおけるスタッフがいない
2.毎日が退屈だ
3.気のおける友達がいない
4.楽しみがないetc…


上記以外にも、様々な理由があるはずです。その理由に気づかないまま声かけをしても、ご入居者様の心には響かないかもしれませんね。

自宅へ一時帰宅する利用者さんに、介護施設側ができる工夫策

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自宅は「最高の場所」というのを前提にできる工夫策を検討していきましょう!

まず、自宅とは誰にとっても最高に居心地の良い場所で、それ以上の場所はないということを前提に考えていきましょう。

居心地とは人それぞれ異なるもので、それぞれの幸福度に値するものだと思います。ご入居者様にとって、施設での暮らしは快適なのかどうかの確認をしてみましょう。特に、ご入居者様が施設内で気兼ねなく相談できるスタッフがいるかいないかは、実は大変重要なことです。

これらを前提に、施設でおこなえる工夫策は以下の通りです。

1.利用者さんにとっての「暮らしのパートナー」になる
2.介護施設が自宅以上に安心できる場所であると伝えていく
3.帰ってくるタイミングで、利用者さんが楽しめるレクリエーションを企画する

ー1.利用者さんにとっての「暮らしのパートナー」になる

我々は子どもの頃から、大小に関わらず、日々様々な課題を解決しながら暮らしています。課題にぶつかった際には、自然と家族や友人に相談しながら、自分で判断して解決しているのです。

つまり相談できる相手である「暮らしのパートナー」の存在があってこそ、安心して暮らしていたということにつながると思います。自宅以外の場所で、心の底から「暮らしのパートナー」と感じられる人が施設内にいれば、自分が迷ったり悩んだりした時には、心の拠り所になってもらい、様々な課題を乗り越えることができると感じながら安心して暮らせます。

また、安心して過ごすことができると、施設内で友人を作ることも積極的にできたり、レクリエーションや自分が活動したいことも発言しやすくなったりと、施設での暮らしも楽しくなっていくのではないでしょうか。

ー2.介護施設が自宅以上に安心できる場所であると伝えていく

つまり、大切なのは、ご入居者様が自宅に帰っても、もちろん楽しいけれど、施設に帰ってきても安心して楽しむことができる暮らしを感じられているかどうかです。

施設での暮らしに満足されている多くの方は、自宅に帰ることを「家族イベント」として楽しみ、施設に帰ってきてからも安心してゆったり過ごされています。「帰りたくない」という言葉は、施設が安心できる場所ではないという理由以外にも、「家族イベント」があまりにも楽しすぎたからという場合もあるかと思います。ただ、ご自宅に戻っても、特別な日だからこそ楽しく過ごせるわけであって、日常が毎日楽しく過ごせるかといったら、それはまた別問題になるわけです。

自宅よりも施設の方が安心して暮らせることの体感を積み重ねる努力も必要だと私は思います。

ー3.帰ってくるタイミングで、利用者さんが楽しめるレクリエーションを企画する

また、自宅にお帰りになるタイミング次第でもあると思いますが、ご入居者様が施設内で好きなことや、楽しみにしていることなどのイベントレクリエーションを企画していくのも良いかと思います。

これは一例ではありますが、私が実際に試みた経験があるのでご紹介します。

■羽吹先生が実施したレクリエーションの実体験

入居間もないご入居者様が、年末に娘さんがお迎えに来られ、ご自宅に帰宅の予定が決まりました。お子様やお孫さんたちが集まることを大変嬉しそうにスタッフに話をしてくれていました。

入居後、まだ間もないこともあり、「施設に帰りたくない」と感じられるのではないかと心配でならない私たちスタッフが考えたのが、帰設する予定日の午後に、そのご入居者様の大好きであろうイベントの企画でした。

ご入居者様はとてもお洒落な方で、娘さんとも大変良好な関係でした。そこで考えたのが「親子でできる〇〇」講座です。ここでのポイントは「親子」参加です。イベントに娘さんが参加することが条件になりますので、一緒に施設にいなければなりません。娘さんのご協力も得て、夕方の帰設予定を繰り上げて、午後からの早めのイベントに親子で参加いただきました。お子様やお孫様を、ご入居者様が自然にお見送りできて安心したことを思い出します。このケースはのちに他のご入居者様の帰設時にも応用し、多くのご家族様から「とても安心できた」と嬉しいご感想をいただきました。


最後に:日頃の介護施設での充実度を高めることはもちろん大切です!

ここまで様々な工夫策をお伝えしてきました。声かけや企画をおこなうことも大切ですが、日頃の施設での暮らしの充実度の見直しをはじめ、ご自宅から帰ってきやすい工夫を心がけることも重要です。

また、ご自宅に帰る際には「いってらっしゃいませ。楽しんできてください。施設で〇〇様のお帰りを心からお待ちしています。」という言葉を添え、利用者さんに気持ちを届けながら見送ることを意識しましょう。 利用者さんにとっても、職員の皆様にとっても、よい年末年始が過ごせることをお祈りしています。

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この記事のライター

・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表
・アモールファティスクール⻑

介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員
介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤

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