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介護職は体力勝負?|介護業界の現状や、体力に自信がなくなった際の対処方法を解説!

介護職は体力勝負?|介護業界の現状や、体力に自信がなくなった際の対処方法を解説!

介護職は、夜勤や身体介護など体力勝負なイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。とはいえ、体力は年齢とともに衰えていくものです。この記事では介護現場の実態を確認したあと、体力に自信がなくなった場合の対処方法などを解説します!【コラム執筆者/専門家:大関 美里】


目次

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介護職は体力勝負なのか?介護現場の実態を確認!

介護職は身体介護による腰痛や、夜勤による生活リズムの不安定さなど、体力がなければ働くことができないというイメージを持たれている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、「介護職は本当に体力勝負なのか?」という疑問に対して、介護職の実態を確認しつつ、実際に介護現場に携わった経験のある大関先生にも解説いただきます。
介護職 労働条件や仕事の悩み

出典:介護労働安定センター 令和5年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書をもとに作成
上記図は、介護労働安定センターが介護事業所で働く従業員を対象に行った調査結果です。
労働条件や仕事の負担に関する悩みや不安で、身体的負担は回答者のうちの約3割で3番目に多い悩みであることがわかりました。

また、年齢層別に身体的負担を感じている人の割合を見てみると、20代~40代は各世代のなかの25%前後であるのに対し、50代以降は30%を超えています。このことから、年を重ねるにつれて体力などに対する不安が強まっていることがわかります。

介護職が腰痛になりやすいは本当?

厚生労働省の調査によると、業務上発生した負傷に起因する疾病2403件のうち約90%にあたる2194件が腰痛(災害性腰痛)であるとわかります。

これは同じ対人サービス業である接客・娯楽業が、負傷に起因する疾病377件のうち約75%にあたる284件が腰痛(災害性腰痛)であることと比較しても、非常に高い数値であることがわかります。

しかし、これらはあくまで数値上のデータです。実際の現場ではどうだったのか、大関先生に解説いただきます。
出典:厚生労働省業務上疾病発生状況等調査(令和5年)

【コラム】専門家の視点で介護職は体力勝負なのか解説します!

執筆者/専門家

大関 美里

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/13

社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士 介護現場の職員の後、祖父の在宅介護での後悔と、自身の介護うつ経験から、そのきっかけになった排泄の支援を追求すべくおむつメーカーへ転職。 1000人以上の方のおむつ交換に触れ、介護する側もされる側も双方が「シッカリ出して、スッキリ生きる」ことが、より良い人生に繋がる。気持ち良く「出す」ことをサポートすることで良い循環が生まれることを実感する。

介護職は体力勝負?

一般的なイメージで言われる「三大介護」には、食事・入浴・排泄がありますが、人の体重を支えることなどを想像すると、強靭な体力が必要だ!と、女性などは尻込みされてしまうかもしれませんね。

しかし貧血持ちの私でも、介護の仕事が体力勝負だな!と感じることはあまりありませんでした。

どちらかというと、パワーや握力が必要なのではなく、「どうやったら介護される方が自分の力で自然に動いてもらえるか、動き出したくなるか」を想像して考えていく部分の方が大切だったからです。

ー介護職はチーム戦

体力はあるに越したことはありませんが、「その方が動き出したくなるようなきっかけ」をどう作るか、といった創造力が重宝されるのは、介護職の魅力の1つだと感じています。

また、介護はチームでの仕事になります。そのため、できないところや不安なところは、チームの中で補い助け合うこともできます。逆に体力に自信があるような方にそういったシーンはお任せをするような役割分担も考えることができると思います。

ー夜勤については負担が少ないようにシフト調整が行われている

さらに、夜勤に対しての体力面での心配もあるかもしれませんね。

最近は、夜勤後、朝に帰宅してから次の勤務までには十分な時間をとるシフトを組んでいる施設が多いです。
プライベートな時間を平日休日問わずに活動したい方にとっては、同じ時間帯に勤務が固定しない交代勤務もメリットに感じると思います。

このように、いろいろな面から介護の仕事を見ていただけると可能性が広がってくるのではないでしょうか?

介護は「力」で行うものではありません!

はるか15年以上前、「私、介護職です」と自己紹介すると、「えぇー!そんな細いのに、あんな力仕事できるの?」と言われました笑。

今ではそんなリアクションをもらうことは少なくなったのは(私が太ったからではないと思いたいのですが)体力勝負とは言い切れないのかも・・・?と思うような「介護方法」や「介護ロボット」がメジャーになってきたからかもしれません。

以前より、明らかに「体力勝負」のイメージが減ってきたのを肌で感じます。

ー最近では幅広い世代の人が、介護業界で活躍しています!

最近では50〜70代の方が介護の現場で活躍されているのも多く目にします。 人生経験が豊富なほど、利用者の方の気持ちに沿うことができたり、コミュニケーションが上手くいったり、信頼関係が築きやすくスムーズな介護に繋がる場面も多いのです。

人生経験豊かな方が介護業界に来てくださることで、お互いに信頼しあえる関係で安心して過ごせる利用者さんが増えたら良いなと思います。

ー力任せな介護は利用者さんの「機会」を奪っているかも

とはいっても、介護職で体格も小さい方が身長の高い利用者さんを介護するシーンを想像すると、一体どうやって体を持ち上げるのだ!?と普通なら思いますよね。

実は介護の仕事の面白さがここに1つ隠れています。
介護は「力」でするものではありません。 どっこいしょと力任せで持ち上げる介護では、腰も痛めますし何より利用者さん自身が宙に浮いてしまい、怖かったり痛かったりと、良いことがありません。

しかも、まだ立つことができる利用者さんだったとしたら「立つ機会」すら奪ってしまうことにもなりますよね。 まだできることを減らしてしまうばかりか、間違ったケアで介護職も腰を痛めてしまうので、お互いにとって良くないですよね。

介護職を救う「介護ロボット」の導入

介護技術の発展により、腰に負担がかかるようなやり方ではなく、お互いが負担なく介護できるような方法が広まってきました。人の体の動きを知れば、本当に無理なく介護ができるのです。

海外では、40キロよりも重いものは持たないようにするようなケアの流れも出てきています。
これからは日本でも、介護者に負担が少ないケアや福祉用具、介護ロボットと言われる介助をアシストするものを活用する施設も多くなってきました。介護ロボットと言うと身構えてしまうかも知れませんが、触ってみればなんてことありません。利用者さんの体重を機械が支えてくれる、簡単な仕組みのものばかりです。

一度使えば慣れてきますので、気になる施設がどういった介助方法や福祉用具等を取り入れているかなど、事前に聞いておくのも方法の1つですね。

ー自分の身体を思いやるきっかけにしましょう!

予防として、コルセットの使用や日常の運動で体を柔軟にしておくセルフケアも大切ですが、介護の仕事に就くことでより自分の身体を思いやるようになった方もいらっしゃいます。

ずっと座りっぱなしの仕事より、多少体を動かす介護職の方が、腰部への負担が少ない可能性もあります。ご自身の工夫と、環境の選び方で腰痛対策は可能になると感じています。

皆さんの魅力や能力が、介護現場では必要とされています。
皆様の魅力が、思う存分開花されるような機会が増えることを祈っています。

【補足】体力以外に不安視されがちな利用者さんからの暴力

「噛みつかれる」「殴られる」と言ったことが、介護のニュースで取りあげられることもよくありますね。

それは、介護職から利用者さんへ向かうものだったり、利用者さんから介護職へ向けられるものだったり、どちらのパターンもありますが、その部分だけを見聞きをするととても悲しい気持ちになり、恐怖を覚える方がほとんどだと思います。

介護施設で起こるこの悲しいニュースは、介護職側が行う虐待のニュースの方が取りあげられることが多いですが、今回は介護職員が受ける場合についてお話します。

ー暴力の背景事情を考えましょう

まず事実として、人は脳の老化によって感情のコントロールが効きにくくなるようです。 前頭葉の委縮が原因とされていますが、心のバランスを調整する物質であるセトロニンが少なくなることも原因です。

私自身も介護施設で働いているときに、利用者さんから引っ掻かれてしまった経験があります。
こういった経験がある介護職は多いようですが、実はこれの多くは利用者さんの方からの「嫌だよ」「やめてほしい」のサインや表現です。

コミュニケーションの取り方やケアの内容が原因で起こっているとも考えられるため、利用者さんの背景事情を探り、声の掛け方や介助について同意を取る方法を見直すことで改善できる場合もあります。(ただし重傷を負ってしまう場合は別の検討が必要です。)

ー周囲の人に相談するのも大切です!

利用者さんからこのような行為を受けてしまうと、精神的なダメージで声をあげづらいかもしれません。でも、1人で抱え込まないでくださいね。

信頼できる人がいれば、その人に話すだけでもかまいません。チームでケアの方法を一緒に考えて検討し、解決の糸口を見つけていきましょう。

大関さんからのメッセージ:できないことではなく「できること」に目を向けていきましょう!

24時間365日休まずに現場は動き続け、人の身体だけではなく人生を支えるような介護職は、「体力勝負」というイメージが強いかもしれません。
一見、介護は「お世話をする仕事」のように見えるのですが、「その人のできない部分を自然にサポートする影武者のような役割」だと、笑顔を引き出す介護をされる方に出会うことで教わってきました。

人が生きていく中で他人の手が必要になったとき、気負いすぎず罪悪感を感じすぎず、互いに自然に助け合えるような空気は、介護の現場からの発信で広がると感じています。

温かい気持ちを持った方が、介護の業界にはたくさんいらっしゃいます。できないことに目を向けるより、できることに目を向けて、少しでも生きていてよかったと思えるような時間を、私たちと利用者さんの両方が過ごせたら良いなと思っています。

介護職でどうしても体力に限界を感じた場合の対処法

大関先生のお話しから、介護=体力勝負の仕事と捉えるのではなく、いかに利用者さんの機会を活かすことができるかであったり、利用者さんの背景事情を考えてみることであったり、視点を変えてみることが大切であるとわかりました。

とはいえ、体力は人それぞれですから、「どうしても介護職がきつい」「体力の限界を感じている」という方もいらっしゃるでしょう。

そのような場合にどのような対策をとるのがよいのか、ここからは解説していきます。
考えられる対応方法は以下の通りです。

1.介護技術を再確認する
2.ストレッチや運動で体力づくりに励む
3.福祉用具や介助ロボットを活用する
4.上司に相談をし業務内容の変更もしくは、勤務時間や日数を変更してもらう
5.資格を取得し、管理業務や相談援助業務にを行う

1.介護技術を再確認する

体力的にしんどいと感じている方の中には、介助時の姿勢が誤っており、本来必要のない部位に力を入れてしまっている場合や、その影響でうまくできていない場合なども考えられます。

初めは、基礎基本に忠実に動いていても、慣れてくると独自の方法で実施しがちです。今の介助方法に自信がない方は、改めて介助方法を確認してみるのも、解説に繋がる可能性があるでしょう。

2.ストレッチや運動で体力づくりに励む

もちろん無理に身体的負担を掛け続ける必要はないのですが、介護が好きで今の業務を続けたいという場合、体力づくりに励むのも1つの方法でしょう。

とはいえ、突然運動を始めると、肉離れや半月板損傷などケガをしてしまう可能性もあります。日頃、運動の習慣がない場合は、軽いストレッチなどから始め、少しずつ負荷をかけるようにしましょう。

3.福祉用具や介助ロボットを活用する

近年、社会全体で技術の発達と、介護業界の腰痛問題に対する深刻さの高まりがあり、福祉用具や介助ロボットの利用が増加しています。

もちろん、人による介護は大切ですが、介助者も被介助者も安全で安心な介護を受けるために、これらの活用は今後も増加していくと思います。
体力に不安がある方は、福祉用具や介助ロボットの導入が進んでいる施設に転職を検討するのも1つの手です。

4.上司に相談をし業務内容の変更もしくは、勤務時間や日数を変更してもらう

体力的にきついと感じている場合、上司に相談をするのも解決方法の1つとなるでしょう。限界を迎えた状態での介助は、事故発生などの要因になりがちです。

身体介護ではなく、生活介助に業務内容を変更してもらう、勤務時間を短縮してもらう、通所型などの場合は利用者さんの数が少ない曜日に変更してもらうなど、対応方法はさまざまあるはずです。それでも現状維持を提案された場合は、他の事業所やサービス形態への転職も検討しましょう。

5.資格を取得し、管理業務や相談援助業務を行う

身体介護を伴わない業務に就けるよう、必要な資格を取得するのも方法の1つです。

たとえば、管理業務である特別養護老人ホーム(特養)の施設長になる場合は、社会福祉主事の要件を満たすもの(社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている・都道府県の講習を受講しているetc.)などのように資格や講習の受講が要件となっているものが多くあります。

また、相談援助業務を行うケアマネージャーを目指すためには指定業務を5年以上かつ900日以上経験したうえで、介護支援専門員実務研修受講試験を受けることが条件となっています。

一方で、有料老人ホームの施設長や、生活相談員などは事業所・施設ごとに要件が定められており、無資格でも挑戦できる場合がありますが、有資格者のほうが有利になることが多いので、資格は取得しておけるとよいでしょう。

体力に自信がない方におすすめの施設形態!

ここまで、体力に自信がない・不安な場合の対処方法を解説してきました。とはいえ、「利用者さんと現場で関わり続けたい」と考える介護職の方もいらっしゃるはずです。

最後に、そのような方に向けておすすめの施設形態を紹介します!

1.デイサービス

デイサービスは、特養などと比較すると要介護度が低い利用者さんが多い施設です。また、昼間のみ通う施設であるため夜勤などが不安な方にも、おすすめの施設でしょう。

さらに、土日休みの施設などもあるため求人を探す際はこの辺りも確認しつつ、無理なく働くことができる環境であるか確認するとよいでしょう。

2.訪問介護事業所

訪問介護事業所のホームヘルパーは生活援助のみを行うなど、介護の範囲を調整できるだけでなく、利用者さんのご自宅を約1~3時間ごとに移動して介護をおこなうため、「午前のみ」「午後のみ」といったように時間の調整も行いやすいのが特徴です。

ただし、利用者さん宅間の移動が生じるため、真夏や真冬は体力がないとしんどく感じてしまう場合もあるでしょう。

3.サービス付き高齢者住宅

こちらも特養などと比較すると、比較的自立している利用者さんが多く、介護が必要になった場合は、外部サービスを利用することもできるため、24時間介護を要する施設と比較すると負担は軽減されると思います。

また、サービス付き高齢者向け住宅には2種類あり、「一般型(介護職員の常駐なし)」の場合は主な業務が「定期巡回による安否確認」と「生活相談への対応」、「介護型」の場合は身体介護や生活援助を行います。

最後に:介護職は体力勝負だけの職種ではありません!

ここまでの解説で介護職は体力勝負のみではないということはご理解いただけたでしょうか。もちろん、体力は人それぞれです。そのため身体介護がきつい、夜勤がしんどいなどと思う方もいらっしゃると思います。

そのような際に忘れないでいただきたいのは、介護職の体調が最優先であるということです。介護職の方が限界の状態で介護をしてしまっては、利用者さんに質の高いものを届けられるわけがありません。しんどいと感じた際には、1人で抱え込まず上司や同僚に相談をし、環境や業務内容などを変えていけないか考えるようにしましょう。

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社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士

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