本日のお悩み:家族の介護施設入所を検討しているが、たばこやお酒を制限するのがかわいそう…
理由としては、若いころからお酒やたばこといった嗜好品が大好きで、それが制限されてしまうと父にとってストレスとなると思うからです。
介護施設でお酒を飲むことやたばこを吸うことは可能なのでしょうか。
嗜好品の可否は施設によって異なります!
■執筆者/専門家
けあぷろかれっじ 代表・NPO法人JINZEM 監事 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士 『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。
ご質問者さんの「お父様がストレスを感じずに、安心して施設で過ごして欲しい、辛い思いはさせたくない」というお気持ちは、私も家族介護者の立場から非常に共感します。
ご家族としてのご希望は、これまで習慣にされていた、お酒と喫煙が可能かどうかというのが気になるポイントですね。
こちらの2点と併せて、記事をお読みになられる皆さんの参考となるように、お菓子やジュース等の嗜好品についても、あわせて確認していきましょう。
詳しい解説の前に、ご質問者さんの質問に回答させていただくと、
「ご希望に応えられる施設は存在しますが、直接施設に確認しないとご希望に添えるかどうかわからない」
というのが正直な状況となっています。 そのため、各施設にどのように確認をとる必要があるかなどのポイントもおさえながら、ここから解説します!
1.介護施設での飲酒について
施設の運営方針や、そこで働く介護、医療職員や管理者たちの方針が大きく影響してくる状況です。
以前までは多くの施設で【禁止】としている施設が多かったのですが、ご利用者の生活の場ということに重きを置くようになり、これまで送られてきた生活の継続として、適度な飲酒を認めているところも増えてきました。
■利用者さんの健康状態なども確認したうえで飲酒の可否は決まる
施設側としては、利用者さんの日常的な健康管理も、果たすべき責務になりますから、利用者さんのご病気の状態に合わせた判断が必要であるということになります。
健康に問題がない場合は、利用者さんの習慣の一環として、少量の飲酒が許可されることがあります。
過度な飲酒は健康を害する恐れがあるため、飲酒の量や時間帯に制限が設けられていることが一般的です。
私の施設でも、適度な飲酒は個別の嗜好として、利用者さんも楽しまれています。
■介護施設に飲酒の可否について確認する際のポイント
2.施設における飲酒の可否について確認する
3.施設で許可している飲酒の量に関して確認する
4.飲酒に関するその他の事項の有無に関して確認する
上記4点を確認することで、施設での飲酒の状況が分かるのと、施設側から教えていただいた内容を利用者さん本人にもお伝えすることができ、安心して入所することができると思います。
2.介護施設での喫煙について
ほとんどの介護施設では、病院や公共施設同様に健康増進法に基づき、敷地内や建物内での喫煙が禁止されています。
この対応は利用者さんだけに限らず、働いている職員にも適応されており、そもそも喫煙場所が設置されていないという施設の方が多いかもしれません。
喫煙可能な場合であっても、喫煙スペースは受動喫煙を防止する観点から、屋内ではなく屋外に設置されており、火災予防のために厳格な管理が行われています。
■喫煙は飲酒より制限が厳しい場合が多い
また、屋外での転倒等の事故予防の観点からも、制限なく自由に喫煙が可能な施設はまず「ない」と言って良いと思います。
上記のことから飲酒よりも制限が厳しい状況であると言えます。
ただし、裏を返せばルールに基づいて喫煙が可能な施設も存在するということです。
この場合には、利用者さん本人やご家族と相談し、飲酒同様に1日の喫煙時間や本数をあらかじめ定めることで、スタッフの付き添いのもと煙草を楽しむことが可能です。
実際に私の施設でも個別に時間が定められ、1日に決めた量の範囲であれば、職員付き添いのもと喫煙が許可されていたりします。
■介護施設に喫煙の可否について確認する際のポイント
2.喫煙可の場合の喫煙方法について
3.喫煙に関するその他のルールについて
この3点を確認することで、施設での喫煙の状況が分かると思います。
3.介護施設でのお菓子やジュース、その他嗜好品について
ただし、お酒やたばこ同様、医療的管理が必要な場合や健康状態に不安がある場合、食事制限や塩分制限を行っている場合など状況によっても変わってきます。
■季節のイベントの際などだけ許可される場合もある
しかし、このような場合でも、誕生日会やクリスマス会、敬老の日のお祝いなど、特別な場合には利用者さんの好きなものを食べられたりする場合もあると思います。この判断については、入所される施設の方針とご家族の意向に大きく左右されるので、入所前にしっかりと目線合わせをしておくことが必要となります。
私の施設でも、糖尿病や高血圧の利用者さんについては、日常的に健康管理を実施していますが、ご家族やご本人の意向を十分に聞き取ったうえで、嗜好品の制限を解除する場合があったりします。
医療的な対応よりも生活の質を優先することが望ましい場合もあると思っていますし、可能な範囲で利用者さんには、お好きなものを我慢せずに楽しんでいただいています。 施設側も、ご本人やご家族のご希望に添えるように、努力をしています。
■介護施設にお菓子などの嗜好品について確認する際のポイント
2.持参する嗜好品の中で制限はあるか?
(例えば果物や、生もの、手作りのクッキー類は可能かなど)
3.持参した嗜好品は施設側で預かってもらえるのか、持ち帰りかetc.
上記3点を確認されると、施設における嗜好品の取り扱い状況が確認できると思いますので、参考になさってください。
最後に:ルールをまもったうえで嗜好品を適度に楽しめる介護施設はあります!
すべての嗜好品が制限されるわけではなく、時間や量をあらかじめ決めておくことで、これまで同様に介護施設でも嗜好品を楽しむことができる場合があります。
最後に、施設では様々な利用者さんが入居していますね。嗜好品の取り扱いについては、他のご入居者に配慮していただくことも必要になるかと思います。
例えばご自身の嗜好品を他の利用者さんにこっそり配ってしまったり、居室内で喫煙してしまったりするといった行為がある場合には、嗜好品の禁止や制限が出てしまう場合もあるのです。
しっかりと施設側のルールをご確認のうえ、相談しながら進めていただければと思います。
質問者さんのお父様にとって、快適で安心した生活が送れる場所が見つかるように切に願っています。 ご希望に沿える施設探しには、質問者さんのご負担もあると思います。
くれぐれも御身体ご自愛ください。ご質問ありがとうございました。
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・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士