本日のお悩み
障害者施設で働いています。
利用者から髪を引っ張られたり、怪我をさせられたりしても、「利用者は弱い立場だから、利用者の人権を守ろう、利用者が手を出すのは介助者の支援が悪い」という上司や経営者の考え。
職員にだって人権はあるし、利用者だって気持ちの振り幅があるから、介助者のせいとも一概に言えません。
利用者ばかり優先して職員を大事にしない、経営の仕方に納得がいきません。
人員不足で休憩時間もろくに取れないのに、人は募集しても来ません。
離職者が多いのに、なぜ離職が多いのかということに目を向けない経営者。
どこの施設も似たりよったりなのでしょうか?
転職する時にこういう施設に入らないようにするにはどうしたらいいですか?
相談者:煎茶 さん
当たり前に職員さんを大切に考える事業所は増えています!
大変な思いをされながら、お仕事をされているのですね。
おっしゃる通り、利用者さんにも人権はありますが、職員さんにも人権はあります。
確かに、ひと昔前はご質問者さんの働かれているような福祉事業所が当たり前に存在していた気がします。
■厚労省:ハラスメント対策マニュアルを参考に
ところが、ここ10年くらいで福祉現場における利用者さんからのハラスメント(含む暴力)への考え方は、大きく変わり、国を挙げて対応がすすんでいます。
2019年には厚生労働省から「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」も出されています。
厚労省のホームページからダウンロードできますので、参考までに読まれてはいかがでしょうか。
ここでいう「ハラスメント」とは、セクシャルハラスメントや身体的暴力、精神的暴力も指しています。
「介護現場における」とありますが、障がい者支援事業所でも活用できることが満載です。
ここには「職員が安心して働くことのできる職場環境・労働環境を整えることが必要不可欠です。」と謳ってあります。
■職員の人権を守ることは経営者の責務
職員さんを守ることも、経営者の責務です。
それを行わなければ、人材は流出し続けていくでしょう。
そして、その皺寄せは人不足の現場で働く職員さんに及び、利用者さんの生活の低下につながるという、悪循環に陥ります。
「利用者さんの人権を尊重しながら、職員の人権を守る。」
これを両立することは、決して難しいことではありません。
現に、多くの福祉事業の経営者の皆さんはそれを実現させています。
決して暴力を振るう利用者さん、暴力を振るわれた職員さんだけの問題として捉えるのではなく、組織を挙げて、アセスメントを行い、対応を考え、実施する。
これが基本だと思います。
■自分の五感をフルに使って、事業所を見てみましょう
では、このような事業所さんに巡り合う、就職するにはどうしたらよいのか?
逆に、職員さんを大切にしない事業所さんに入らないためにはどうしたらよいのか?
まずはご自身の「事業所を評価する力」を養うことだと思います。
たくさんの事業所さんとの接点を持ち、経営者さんや職員さんとたくさん話しをし、実際に見学や自主実習などで職場に触れてみてはいかがでしょうか。
人の評判だけ、面接時の面接官の言葉だけでは得られない情報が、しっかりと入ってくることと思います。
その際は、自分自身の五感をフルに活用してみてください。
■最後に
そして、「職員さんが活き活きと働いているな」「利用者さんの尊厳もしっかりと守られているな」という職場と巡り合ったら、最終的にはご自身の判断で、職場を決められることをお勧めします。
「自分自身で決める」という行為が、これからの働き方や生き方にも関わってくるのではと思います。
福岡福祉向上委員会 代表